経理・財務スキル検定(FASS)ってどんな資格?評価基準・簿記との違いまで全て解説!

「経理・財務スキル検定ってどんな検定なの?」

「試験の難易度は高いの?」

こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

経理・財務スキル検定は実務家によって作成された、実務家向けの資格です。出題される内容も経理・財務の実務に直結しているので、自身のスキルアップやキャリアアップにはうってつけと言えます。

また、実務を学べるので実務経験がない人でも目指しやすい資格となっています。初心者・ベテラン問わず幅広くおすすめできます。この記事では検定の概要や簿記試験との違いなどを紹介します!

検定について興味のある方は是非参考にしてみて下さい!

経理・財務スキル検定(FASS検定)についてザックリと説明すると

  • 実務を重視した実務家向けの経理・財務系資格
  • 経済産業省が主導して2005年からスタートした
  • 知名度では簿記試験に劣るが、社内アピールやスキルアップには役立つ
  • マークシート式なので難易度はやや低め

経理・財務スキル検定ってどんな資格?

クエスチョンマーク

経理・財務スキル検定とは

経理・財務スキル検定とは経理・財務部門における人材配置の最適化や円滑な人材移転のために経理・財務人材を育成することを目的とした試験です。英語表記は「Finance According Skill Standard」で、頭文字をとってFASS検定と呼ばれることもあります。

既存の試験との大きな違いは実務家向けという点です。試験の内容や形式が現場で働いているビジネスパーソンに適しています。実際、本検定は「経理・財務の第一線で活躍する実務家のスキルレベルを客観的かつ信頼性をもって測定する手段」として高い評価を得ています。

マークシート式なので初心者でも受験しやすく、またテキストやeラーニングも豊富なので独学での受験も容易です。実務家対象の試験ですが、未経験者でも受けやすい間口の広さも魅力の一つです。

経理・財務スキル検定の主催団体

経理・財務スキル検定は経済産業省の委託の下、一般財団法人の日本CFO協会が実施しています。約60の企業に勤めている経理・財務幹部が集まって作成した「経理・財務サービス・スタンダード」という業務標準に従って構成されています。

経済産業省のお墨付きという信用があり、実務家によって作られた実務家向け試験であることから多くの人が受験しています。2020年現在、54,000人を超える人が受験しています。

経理・財務スキル検定の実用性

悩む人

経理・財務スキル検定の対象者

経理・財務スキル検定は実際に経理や財務の定型的業務に従事している人やこれから経理・財務分野を目指す人を主な対象としています。

試験内容は経理・財務部門に従事する人なら誰もが身につけているべき事柄ばかりなので、業界や勤務先に関わらず受験できます。

経済産業省の人材育成事業の一環として、2005年より始まった新しい試験です。期間中は特定の試験日に限らず自由に受験できるので、忙しいビジネスパーソンには最適の試験です。

また、試験会場は全国各地にあるため地方在住者でも都心部在住者と同じような条件で受験できます。具体的な試験会場については公式ページをご確認ください。

社内のスキルアップに役立つ

経理・財務スキル検定は実務を重視した試験です。実証試験によると、試験の分析結果と現場での社内での評価に高い相関関係がみられることがわかっています。そのため、社内でのスキルアップの手段として有効な試験として多くの企業から注目を集めています。

例えば、NTTコミュニケーションズ、ライオン、バンダイ、日立化成、伊藤忠商事、日産自動車などでは経理財務部門の指標として利用されています。その他にも多くの企業で昇進・昇給などのスキルアップに貢献しています。

試験勉強が実務に直結する

経理・財務スキル検定は実務に直結する試験です。勉強する知識やスキルは企業の規模に関わらず役に立つので、自分のスキルを計測・向上させるための良い機会となるでしょう。

経理関連の試験には簿記試験や会計士などの試験があります。しかし、これらの試験は実務に関わらない知識も出題されるため必ずしも実務能力の評価とは直結しません。そのため、実務経験がなければこれらの資格を取得していても高い評価は得られません。

それに対し、経理・財務スキル検定は資産・決算・財務・資金という4分野からなり、すべてが実務と結びついています。それぞれの分野でスコアを知ることができるので、自分の弱い分野もわかります。

このような理由から、実務能力の評価が目的であれば経理・財務スキル検定の方がより適していると言えます。

就職・転職に役立つ

経理・財務スキル検定の評価は就職や転職にも役立ちます。スコアの高さは実務経験の長さや年収と相関関係にあるため、自分の実力を証明するための資格と言えます。しかし、それだけではありません。

実施団体である一般社団法人日本CFO協会は2016年から「FASS人材バンク」をスタートさせました。これは転職エージェントと業務連携した正社員・派遣サービスであり、経理パーソンの就職・転職にも役に立ちます。

簿記試験とは何が違うの?

経理・財務スキル検定と簿記検定、よく似た二つの資格にはどのような違いがあるのでしょうか。結論から言えば、社外へのスキルアピールには簿記試験、社内でのキャリアアップや自身のスキルアップ目的であればFASSが適しています。

簿記試験の長所は圧倒的な知名度にあります。数十年にも及ぶ歴史と全国各地の商工会議所のために、今では誰でも知っている資格となっています。そのため、社外の人や経理・財務の専門家以外の人にもアピールできます。この点、新しい資格であるFASSはやや劣っています。

対してFASSの長所は実務に特化したスキルにあります。実際に役に立つスキルが身につくので、自分のスキルを磨いたり、FASSに詳しい社内の人向けのアピールにはより適しています。

また、簿記試験の内容はFASSにも役立ちます。得意な分野が異なるので、両方取得しておいても無駄にはならないでしょう。

経理・簿記スキル検定試験の内容・評価方法

チェックシート

経理・財務スキル検定の試験範囲

経理・財務スキル検定は「経理・財務サービス・スキルスタンダード」において定型業務として標準化された業務から出題されます。

経理・財務スキル検定の必須科目として出題されるのはそのうちの4分野です。具体的には①資産・②決算・③税務・④資金です。以下で詳しく見てみましょう。

4分野の対象業務内容

出題される対象業務を詳しく見てみましょう。分野ごとにまとめました。

①資産分野 売掛債権管理、買掛債務管理、在庫管理、固定資産管理、ソフトウェア管理

②決算分野 月次業績管理、単体決算業務、連結決算業務、外部開示業務

③税務分野 税効果計算業務、消費税申告業務、法人税申告業務、連結納税申告業務、税務調査対応

④資金分野 現金出納管理、手形管理、有価証券管理、債務保証管理、貸付金管理、借入金管理、社債管理、デリバティブ取引管理、外貨建取引管理、資金管理

この他に「収益認識基準」があります。現在では任意選択のオプション科目ですが、2021年度上期以降は必須科目となります。この科目の詳細は後述します。

経理・財務スキル検定の試験結果は5段階!

FASS検定は簿記検定のように合格・不合格という形では評価されません。試験結果は800点満点の総合点から算出された5段階(AからE)のレベルで評価されます。また、試験で出題される4つの分野それぞれで達成度合いも判断されます。

試験はコンピューターを利用したCBT方式で、全国の試験センターで実施されます。試験時間は90分で、試験問題は四肢択一式で100問あります。おおよそ1問あたり1分弱で解答するペースになります。さほどシビアな時間配分ではないので精度を重視した解答を心がけましょう。

5段階評価の目安

5段階の試験結果の目安を確認しましょう。企業により異なりますが、おおむねレベルC以上で評価されやすくなります。

レベル 点数 評価
レベルA 689点~ 経理・財務分野について、業務全体を正確に理解し、自信をもって経理・財務部門の業務を遂行できるスキルをもっている。
レベルB 641点~688点 経理・財務分野のほとんどの業務を理解し、業務を遂行できるスキルをもっている。分野によって、知識の正確さに個人差があるものの、業務を妨げるようなことはなく、適切に対応できるスキルをもっている。
レベルC 561点~640 経理・財務分野について、日常の業務を行うための基本的なスキルが身についているが、自己の経験以外の業務への対応力について差が見られる。日常の業務であれば、業務を理解して、支障なく対応できるスキルをもっている。
レベルD 441点~560点 分野によって、知識の正確性に差があり、不十分な部分が多いが、支援を受けながら、最低限の業務を行うスキルをもっている。
レベルE 440点以下 経理・財務分野について、部分的にしか理解できていない。今後の努力を期待する。

オプション科目:「収益認識基準」に関して

オプション科目である「収益認識基準」は試験達成度による3段階で評価されます。オプション科目なので、受験は必須ではありません。試験時間は30分で、試験問題は四肢択一式で20問です。

評価 正答率
Green 80%以上
Yellow 60~79%
Brue 59%以下

オプション科目は収益認識基準だけではありません。。かつてはIT統制、その次は英語FASSでした。IT統制も英語力も経理や財務部門で役立つ知識です。現在ではIT統制や英語に代わって収益認識基準が採用されています。

経理・財務スキル検定の勉強法

ノートでの勉強

経理・財務スキル検定の勉強法は?独学は可能?

経理・財務スキル検定の基本的な勉強法は大きく二つあります。実務の積み重ねとテキストや問題集の読み込み・演習です。

実務に直結した内容なので、座学による勉強だけでなく実務もまた対策になります。簿記試験と比べると、より実務による対策が効果的です。

座学での対策では、公式テキストや問題集が有効です。通販や書店で販売されています。自分のスキルを確かめる目的であったとしても、試験の形式に慣れるために問題集である程度は演習を行っておくと良いでしょう。

実務重視の試験なので、経験者が有利です。しかし、テキストや問題集などが充実しているため、独学でも十分に対策できます。学生、社会人問わず受験しやすい、バランスの良い試験といえるでしょう。

公式テキストが存在する

上述のように、経理・財務スキル検定試験には公式テキストがあります。毎年改訂される「経理・財務スキル検定学習ガイド」がそうです。公式webページからも購入できます。

その他にも財務研究会やNTTビジネスアソシエ株式会社からもテキストを購入できます。テキストや問題集にはそれぞれ特徴があるので、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。

eラーニング講座も存在する!

経理・財務スキル検定にはeラーニング講座もあります。試験で出題される業務範囲に完全準拠した内容を動画で学習することができます。公式webページから確認しましょう。

講義だけでなく、問題演習や解説もしっかりついているため、実践的な経理・財務のスキルを身につけることができるでしょう。

なお、この講義は全範囲だけでなく、分野ごとの受講も可能です。資産、決算、財務、賃金の各分野で苦手な内容がある場合にも利用しやすくなっています。

経理・財務スキル検定の試験日程・会場・申し込み方法

時計

経理・財務スキル検定の基本情報

経理・財務スキル検定はコンピューターを用いたCBT方式で行われます。実施会場となる試験センターは全国各地にあります。

CBT方式には、試験後すぐに結果が表示される、期間内で自由に受験日を決められるなどのメリットがあります。

試験は年2回、上期(5月1日から7月31日まで)と下期(11月1日から1月31日まで)に分かれています。それぞれの試験期間内で一度だけ受験できます。同じ問題で繰り返し受験することができないということですね。

経理・財務スキル検定に受験資格・受験料は?

経理・財務スキル検定は受験資格の制限がありません。誰でも気軽に受験できる資格です。想定している受験者は実際に経理や財務部門に勤めている人ですが、未経験者でも受験可能です。

受験料は一般で税別10,000円です。日本CFO協会法人会員の場合には若干安くなり8,000円です。

団体割引制度もあります。50人以上での受験では一人当たり7,200円で受験できます。障がい者割引制度でも受験料は同じく7,200円になります。いずれの制度も受験申込時に手続きが必要になります。あらかじめ確認しておきましょう。

また、オプション科目には個別の受験料がかかりません。受験有無に関わらず、同一の受験料が設定されています。オプション科目を受験してもしなくても料金は変わらないと覚えておきましょう。

経理・財務スキル検定の難易度

飛び跳ねる人

経理・財務スキル検定の難易度はさほど高くありません。以下の表は実施結果の内訳をまとめたものです。

レベル 割合
レベルA 17.7%
レベルB 16.9%
レベルC 28.4%
レベルD 26.7%
レベルE 10.3%

経理・財務スキル検定はレベルAからレベルEまでの五段階で評価されます。このうち、企業から評価されるのはおおよそレベルC以上です。

上記の表を見てわかるように、レベルCよりも良い評価を得ている人は73%もいます。合格率が73%と考えると難易度はかなり低めと言えますね。

また、最も高い評価であるレベルAも17%以上います。高難度の試験では合格率が一桁ということも多いので、この点でも難しい試験とまでは言えないでしょう。

参考までに簿記試験の合格率を見てみましょう。1級はおおよそ5%から10%、2級は15%から25%程度、3級で40%から50%くらい、簿記初級で50%から60%です。

合格率で比べても簿記試験よりもやや難易度が低めと言えますね。点数制なので自分の実力の推移を理解しやすく、四択である分受験のハードルが低いのも大きな特徴です。

経理・財務スキル検定のまとめ

経理・財務スキル検定(FASS)のまとめ

  • 特典に応じた5段階のレベルで評価される
  • テキストや問題集があるので、独学でも勉強できる
  • eラーニングも充実している
  • 社外アピールには簿記試験、社内アピールやスキルアップにはFASS試験と住み分けできる

この記事では経理・財務スキル検定について紹介してきました。いかがだったでしょうか?

経理・財務スキル検定は2005年に始まったばかりの比較的新しい資格です。 この分野では簿記試験が有名ですが、実務的であるという点では経理・財務スキル検定に分があります。

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