貸金業務取扱主任者の難易度はどのくらい?合格率・独学勉強法まで全て解説!

貸金業務取扱主任者の資格は、貸金業には絶対欠かせない資格です。

それだけにこの資格試験は「対象が貸金業従事者限定」と誤解されやすく、貸金業従事者でないことから受験を躊躇している人が多いと言われています。

この記事では、貸金業務取扱主任者の難易度や一般の人でもどのような勉強をすれば独学合格ができるか、といったことについて解説します!

読み進めていけば、独学で資格試験に合格する道筋を必ず理解していただけるはずです!

貸金業務取扱主任者の難易度をざっくり説明すると

  • 初学者が合格するまでには1日2時間で3カ月程度の勉強時間が必要
  • 貸金業務取扱主任者の合格率は毎年異なるが約30%
  • 貸金業務取扱主任者資格試験は独学での合格が十分可能

貸金業務取扱主任者の難易度はどのくらい?

貸金業務取扱主任者の難易度表

ここでは、「そもそも貸金業務取扱主任者とは」「貸金業務取扱主任者になるためにクリアしなければならない資格試験の難易度はどのくらいなのか」といったことについてみていきます。

貸金業務取扱主任者は貸金業には欠かせない資格

改正貸金業法の全面施行の際、多重債務者問題を引き起こした貸金業者(消費者金融やクレジットカード会社など)に対しては、さまざまな規制がかかりました。

その1つが、貸金事業や貸金業務を営む際の条件に、国家資格保有の貸金業務取扱主任者の配置を義務付けたことです。

配置しなければならない貸金業務取扱主任者は、営業所や事務所で貸金業務に従事する者の人数に対し50分の1以上の人数(50人以上ごとに1名以上)でなければなりません。

また、この貸金業務取扱主任者には、貸金業務に関する法令の順守と適正な業務に必要なすべてのことを助言・指導する賃金業者のエキスパートとしての役割が課せられました。

この改正貸金業法の全面施行によって、貸金業務取扱主任者は貸金業に欠かせない国家資格に位置付けられたのです。

貸金業務取扱主任者の難易度は高くはない

貸金業務取扱主任者資格試験の実施に関する事務は指定試験機関として『日本貸金業協会』が行っており、毎年約1万人が受験しています。

誰でも受験できる資格試験でありながら2022年の合格率が26.6%ですから、国家資格の中ではそれほど難易度の高い資格試験ではありません。

とはいえ、知識ゼロの人が一夜漬けで合格することは不可能といえます。それは試験範囲が非常に広いことと、問題文が長いにもかかわらず50問を2時間で解くスピードが求められる試験だからです。

こうした試験範囲が広い試験に独学での合格を目指す初学者には、十分な勉強時間と過去問で問題処理スピードに慣れることが求められます。

試験の難易度は習熟度で大きく左右される

貸金業務取扱主任者の資格試験の試験範囲は4つのジャンルで構成されており、その内の3つは法律・法令に関連したジャンルです。

したがって、試験範囲に該当する法律の知識や習熟度によって、試験の難易度は大きく左右されます。

民法や商法、貸付けや取引に関する法令の学習や実務経験のある人にとっては、習熟度にもよるのですが難易度はそれほど高くないのです。

特に行政書士・宅地建物取引士・管理業務主任者・マンション管理士などの受験で民法の勉強をしたことがある人なら、貸金業法の勉強をするだけで合格できるとさえ言われています。

貸金業務取扱主任者試験は法律書を読むのが苦手な人にとっては楽な試験ではありませんが、独学での合格は不可能と言われるような資格試験ではありません。

貸金業務取扱主任者の勉強時間は初学者で3カ月

貸金業務取扱主任者資格試験に合格するために必要な時間は特に定まったプログラムがあるわけではなく、試験範囲の法令に関してのそれぞれの習熟度によって異なります。

試験範囲が広いことから、初学者がそれらを網羅的に勉強するためにはある程度長い時間をかけた勉強が必要です。

そのことから、初学者の場合には「1日2時間で3カ月(約180時間)」の勉強時間が必要と言われています。

しかし試験範囲の法令に関してある程度の学習や実務経験がある人の場合、知らないジャンルの勉強と問題形式になれるために「1日2時間・1カ月(約60時間)程度」の勉強時間が必要になるのが一般的です。

貸金業務取扱主任者の試験範囲は広い

貸金業務取扱主任者の試験範囲は広く、次のように4つのジャンルで構成されており、それらのうちの3つのジャンルが法律関連であることが特徴です。

①法および関係法令に関すること:

貸金業法・同施行令・同施行規則・出資の受入れ、預り金および金利等の取締まりに関する法律・利息制限法・貸金業者向け総合的な監督指針・事務ガイドライン・貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則・紛争解決等業務に関する規則・同細則・貸付自粛対応に関する規則

②貸付けおよび貸付けに付随する取引に関する法令および実務に関すること:

民事法・民事手続法・倒産法・刑事法

③資金需要者などの保護に関すること:

個人情報保護法・消費者保護法・経済法・賃金法とその関係法令

④財務および会計に関すること:

家計診断(家計収支の考え方・個人の所得と関係書類)・財務会計(企業会計の考え方・財務諸表)

貸金業務取扱主任者を偏差値で表すと?

そもそも偏差値とは、ある集団の中でどのくらいの位置の存在かを表す値です。ですから平均70点のテストで得点が平均点と同じ70点であれば、その人の偏差値は50と表現します。

このことを資格の偏差値に置き換えれば、偏差値50以上の資格は難易度が高く50未満の資格は難易度が低いことを意味するのです。

ネット上に貸金業務取扱主任者の偏差値を難易度とともに公表しているサイトから、偏差値と難易度をいくつか紹介しておきましょう。

「偏差値・53で難易度・普通「偏差値・49で難易度・普通」「偏差値・46で難易度・やや楽」と紹介されています。

ここに紹介したとおり偏差値や難易度などは、判断する人・組織・機関によって異なります。そのことから、あくまでも目安であることを理解しておきましょう。

貸金業務取扱主任者の合格率・試験形式

貸金業務取扱主任者資格試験は2009年に開始され、実施に関する事務は指定試験機関として『日本貸金業協会』が行っています

ここでは、この資格試験の合格率や試験形式などの詳細を紹介しましょう。

合格率は約30%

貸金業務取扱主任者の試験は、改正貸金業法の施行で貸金業での貸金業務取扱主任者の配置を義務づけたことから、2009年の実施は4回です。

その際の合格率は60~70%、合格基準点(合格点・合格ライン)が30~33問でした。しかし、翌2010年からの合格率は20~30%台(合格基準は27~34問)へと大幅に変化して厳しくなっています。

合格率が半減したのに対し合格基準点(合格点・合格ライン)にほとんど変化がみられないということは、問題が難しくなったと言うべきでしょう。

なお、貸金業務取扱主任者は50問で50点満点の資格試験ですが、合格点や合格ラインといった合格基準点は設定されていません。

つまり50問のうち何問正解すれば(何点を取れば)合格とするかは定められていないのです。

結果的に、何問正解した受験者が合格したかによって、合格者発表の段階で明らかになります。

過去5年分の合格点、合格率まとめ

過去5年分の貸金業務取扱主任者資格試験の試験関連データは、下表のとおりです。

なお、合格基準とは「50問のうち、何問以上の正解が必要であったか」を示しています。

実施回 実施年 受験者数 合格率 合格基準
第17回 2022年 9950人 26.6% 28問
第16回 2021年 10491人 32.2% 31問
第15回 2020年 10533人 33.9% 33問
第14回 2019年 10003人 30.0% 29問
第13回 2018年 9958人 31.5% 32問

この表からわかるとおり、過去5年間は毎年「受験者数は毎年約10.000万人・合格率は約30%・合格基準は約30問」での推移です。

なお年齢別の合格率は以下のようになります。

実施回 20歳代以下 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代以上
第17回 30.7% 28.1% 24.0% 22.3% 28.4%
第16回 33.7% 31.4% 31.4% 30.9% 42.5%
第15回 36.8% 32.8% 32.3% 32.5% 34.7%
第14回 30.1% 31.1% 28.4% 30.5% 30.6%
第13回 33.3% 31.0% 30.3% 30.3% 33.1%

貸金業務取扱主任者の試験形式は?

貸金業務取扱主任者の資格試験は、日本貸金業協会が「資格試験実施要領」を発表して受験者を募集し、毎年11月の中旬から下旬を試験日に実施されています。

試験形式は項目ごとにほぼ定型化されており、次に列挙しているとおりです。

項目 内容
試験方法 筆記試験
試験問題数 50問
試験点数 50点満点
出題形式 4肢択一方式
解答方式 マークシート方式
試験時間 120分
試験会場 全国17地域
試験日 年1回・毎年11月

貸金業務取扱主任者試験範囲の傾斜

貸金業務取扱主任者の試験科目は4ジャンルで構成されており、全部で50問が出題されます。この50問がそれぞれのジャンルごとに何問出題されるかは設定されていません。

しかし、下表のような貸金業務取扱主任者資格試験における4ジャンルごとの出題数目安が日本貸金業協会から公表されています。

なお、試験科目4つのジャンルは次のとおりです。

  • ①法及び関係法令に関すること
  • ②貸付けおよび貸付けに付随する取引に関する法令および実務に関すること
  • ③資金需要者などの保護に関すること
  • ④財務および会計に関すること
ジャンル 出題数目安 18~22年実績
22~28問 27問
14~18問 15問
4~6問 5問
2~4問 3問
全体 50問 50問

出題数目安を見れば明らかなとおり、試験範囲は①だけで半分近くを占め、それ以外のジャンルには傾斜で配点されるよう出題されています。

また、2018~2022年のジャンルごと出題数が同じである点は、これから勉強をする人がしっかりと頭に入れておきたいことです。

貸金業務取扱主任者の受験資格・受験会場・受験料

ここでは貸金業務取扱主任者資格試験の受験に関連して受験資格・受験会場・受験料について解説します。

まずは「受験資格」です。国家資格によっては、実務経験や学歴などに関してある程度の受験資格が求められるケースがありますが、貸金業務取扱主任者の場合には、受験に当たっての特段の制約はありません。

したがって学歴・年齢・性別・国籍などに関係なく、誰でもが申し込めます。

しかし、受験の際に試験開始から30分以上遅刻した場合(理由に関係なし)・試験監督員などの指示に従わないとき・不正行為などの不都合な行為があったときは失格させられるので注意が必要です。

「受験会場」は、札幌・仙台・千葉・東京・埼玉・神奈川・高崎・名古屋・金沢・大阪・京都・神戸・広島・高松・福岡・熊本・沖縄の17都市で実施されます。

かつては受験者の希望する会場で受験できていましたが、近年は受験票発行時に日本貸金業協会から指定するのが一般的です。

なお、この受験会場のことで注意しなければならないことがあります。それは、試験開始から30分以上の遅刻をした場合は、遅刻理由に関係なく受験が認められないことです。

「受験料」は、貸金業法施行令第3条の13第1項で8,500円とすることが定められており受験手数料の内訳は次のとおりです。

  • 試験事務に係る人件費:2,677円
  • 試験事務に係る物件費:4,909円
  • 試験事務に係る諸謝金:953円
  • 合計:8,539円

このことから8,500円に設定されています。

宅建士との難易度比較

貸金業務取扱主任者とよく比較される職業といえば宅地建物取引士です。両者とも設置義務があり、不動産に関わる仕事となっています。

しかし両者には様々な違いが存在します。

設置義務の範囲において、貸金業務取扱主任者は50人に1人以上配置するのに対して、宅地建物取引士は事務所従事者数の5分の1以上配置することとなっています。

また、貸金業務取扱主任者は貸金業の業務が適正かどうかを判断し、事務所内に対して助言したり法令順守の指導をしたりします。一方で、宅地建物取引士は事務所内だけではなく、外部に対しての重要事項の説明・書類への記名押印も行っています。

合格率においても両者に違いがあります。

どちらの試験も全部で50問であり、合格ラインの正答数もさほど変わりませんが、ここ数年の合格率は貸金業務取扱主任者が約31%なのに対して、宅地建物取引士は約16%と約半分になっています。

また学習範囲の広さや学習期間を合わせてみても、貸金業務取扱主任者は宅地建物取引士よりも比較的難易度の易しい資格といえるでしょう。

貸金業務取扱主任者は独学で合格できるのか

貸金業務取扱主任者の資格は、初学者が勉強もしないで取得できるほど簡単な資格ではありません。

また同時に、独学であっても適切な準備をすすめれば、確実に取得できる資格です。

ここでは、貸金業務取扱主任者資格試験に独学で合格する方法を解説します。

独学合格を目指す時の注意点

独学合格を目指す時に重要な3つの注意点からお話ししましょう。

学習スケジュールを立てて継続的に勉強する

初学者の場合、貸金業務取扱主任者の試験に合格するためには、「1日2時間で3カ月(約180時間)」の勉強が必要とされています。

これを基準に、試験日から逆算すれば、1日当たり最低でどの程度の勉強時間が必要になるかが明らかになるのです。

次にその日程に配点の大きい試験科目から優先的に割り振り、いつまでにどの勉強に取り組むか大まかなスケジュールを立ててから学習をスタートします。

なお、学習をスタートしてからは、定期的に学習計画を見直しすることを忘れないでください。

貸金業法が合格のためのキーポイント

学習計画をつくる段階から意識しておきたいことは、50問の試験問題のうち「貸金業法関連」が半分近くもあって貸金業法の習熟が合格のキーポイントであることです。

また、民法や商法、消費者保護法の問題も必ず出題されますから、それらの法律にも重点的に取り組むことを忘れないでください。

短期決戦においては、時間をかけて取り組むべき科目を間違えないことが大切です。

過去問にしっかり取り組もう

受験対策のキーポイントとしては、貸金業法の学習とともにしっかりと過去問に取り組むことです。

どのような資格試験であっても、その資格者に「知っておいてほしいこと」についての理解度を確認するものであり、受験者を振り落とすための試験ではありません。

つまり、関連法令などの改正などがない限り、出題される重要ポイントや傾向は毎年大きく変更されることはないのです。

ですから、過去問にしっかりと取り組むことで、受験対策として効果的な学習が可能になります。

なお、過去問は日本貸金業協会のホームページで公開されていますから、それの利用が可能です。

合格のためのおススメのテキストは?

独学合格を目指す際には、すでに紹介したキーポイントを守って学習するとともに、テキスト選びにも注意しなければなりません。

このテキスト選びのポイントは、中身をよく確認して自分にとって読みやすく分かりやすいものを選ぶことです。

ここでは、おススメのテキストを2つ紹介しておきます。

勉強が取り組みやすいテキスト

取り組みやすいテキストとしては、「らくらく突破貸金業務取扱主任者〇✕+過去問題集」をおすすめします。

本来の試験問題は四者択一ですが、このテキストでは〇✕で出題することで、問題に取り組みやすくスピーディーに重要ポイントを把握できるのです。

さらに過去問題集も付いていることから、よく出題される重要ポイントや傾向を知ること、また本番を見越した練習もできます。

見やすく分かりやすいテキスト

見やすく分かりやすいテキストとしては、「貸金業務取扱主任者合格テキスト」をおすすめします。

このテキストをおすすめする理由は「簡潔明瞭な文章で解説されている」「図表が多くて見やすいので初学者にも理解しやすい」ことてす。

また、項目ごとに「要点・重要度・よく出題される問題」をまとめているので、メリハリのついた学習をすすめられます。

確実に受かりたいなら通信講座がおすすめ

貸金業務取扱主任者試験に確実に合格したいなら通信講座の利用がおすすめです。

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賃金業務取扱主任者の難易度まとめ

賃金業務取扱主任者の難易度まとめ

  • 初学者でも1日2時間3カ月程度の勉強で独学合格できる。
  • 合格率は約30%だが偏差値は50以下で難易度は普通
  • 貸金業法と過去問への取組みが合格のキーポイント

貸金業にとっては、配置できなければ事業活動をすることを認められないほど重要な資格が貸金業務取扱主任者です。

しかし、偏差値・難易度から判断して、独学でも十分取得できる資格でもあります。また、独学に適したテキストも市販されていますから、その気になればいつでも受験勉強のスタートが可能なのです。

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