DCプランナーってどんな資格?難易度・実用性・学習レベルまで全て解説!
「DCプランナーってどんな資格なの?」
「仕事で年金などの知識が必要だけど良い資格ないかな?」
そんなことを思っている人はいませんか?
DCプランナーは年金制度全般に関することや投資、ライフプランについて幅広い知識を持つ専門家です。
そこで今回はDCプランナーの資格についての説明に加えて、取得するメリットや難易度、勉強方法なども詳しく解説します。
この記事を読めばDCプランナーのことが分かるだけでなく、どうすればDCプランナーの資格を取得できるかまで、しっかり理解できるはずです。
DCプランナーについてざっくり説明すると
- 確定拠出年金をはじめとした年金制度全般にわたる専門家
- 1級と2級があり、2級は受験資格なしでだれでも受験できる
- 試験は例年年1回で2級は9月、1級は1月に実施される
DCプランナーってどんな資格?
年金は私たちにとって重要な話ですが、その年金制度全般にわたって専門的な知識を持つのがDCプランナーです。
DCプランナーがどんな資格なのか、どんな団体が実施しているのかについて具体的に紹介していきます。
そもそもDCプランナーとは?
まず「DC」とは 「Defined Contributuin」の略で「確定拠出年金」 のことを指します。しかしDCプランナーは確定拠出年金の専門家ではありません。
DCを始めとした年金制度全般についての専門的な知識に、金融商品や投資、ライフプランなどに関する幅広い知識を持ち合わせた専門家であるため 「企業年金総合プランナー」 と呼ばれることもあります。
公共性と専門性を持って、金融機関・経営者・年金加入者に対して年金制度の説明や提案、アドバイスをおこないます。
DCプランナーは年金制度の知識の普及や新しい年金制度の運用を担う人材の育成を目標に創設されたため、試験では年金や退職給付に関することや、投資教育に関する知識、DCプランナーとしての能力が図られます。
DCプランナーの年金教育の専門家
DCプランナーの役割は、専門的で幅広い知識を生かして、年金制度のすべてにおいて正しい知識を普及・啓発することです。
正しい知識を普及・啓発するためにはDCプランナーが最新の年金制度のこともしっかりと理解し、メリット・デメリットを熟知しなければ、多様なニーズに応えることはできません。
そしてDCプランナーには金融機関・企業や経営者・従業員などの加入者の三者それぞれに対して中立かつ公正な視点でアドバイスすることも求められます。
だれかに不利益を被ることがないように、法令を尊守してしっかりと説明責任や受託責任を果たすことも大切です。
DCプランナーの主催団体
DCプランナーの認定試験は日本商工会議所と一般財団法人金融財政事情研究会が共同で実施している試験で、今まで13万人以上が受験しました。
試験の目的は、確定拠出年金制度の利用を検討している企業・個人に対して、正しい情報やアドバイスを提供できる人材の育成です。
そして、そうした人材の育成を実現するために、年金に関する知識だけでなく、投資教育や老後の生活設計に関する知識も身に付けることを求めているのです。
ちなみに日本商工会議所は簿記やそろばん、プログラミングなどのビジネス系の資格、一般財団法人金融財政事情研究会はファイナンシャルプランナーなどの金融系の資格を多く運営していて、どちらもメジャーな団体です。
DCプランナーの実用性、各級のレベル
DCプランナーは認定試験に合格しても手続きをして登録を完了させないと名乗ることができません。
DCプランナーになるとどんなメリットがあるのか、どれくらいのレベルを求められるのか見ていきましょう。
「DCプランナー」として認定
DCプランナー認定試験には1級と2級があります。ちなみに以前は2級よりも難易度の低い3級もありましたが、3級は2016年をもって廃止となりました。
DCプランナーになるためには1級または2級の認定試験に合格した後に、(所定の手続きをおこなって登録を完了することでDCプランナー(企業年金総合プランナー)として認定してもらいます。
登録料は11,000円(税込)が必要で、登録期間は2年間です。
登録するとメールマガジンや情報誌が届いて、定期的に最新の年金関連情報が手に入るため、日々の活動のバックアップに役立ちます。
「DCプランナー」は更新が必要
DCプランナーの登録期間は2年間のため、2年ごとに更新が必要になります。
資格の更新をするためには、まず「資格更新通信教育講座」を受講しなければいけません。
講座の受講後は登録更新料11,000円(税込)の振り込みと、資格更新申請書等を提出すれば更新手続きが完了します。
更新をしないと登録資格が失効となり、名刺や履歴書に「DCプランナー」と記入したり、名乗ることができなくなるため、注意が必要です。
万が一、失効して再登録をする際には、もう一度試験を受けて合格しなければいけません。
DCプランナーの試験対象
DCプランナーの認定試験は 金融機関に勤務する人、企業経営者、福利厚生の担当者、社会保険労務士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(FP)など幅広い職業・役職の人を対象としている試験です。
銀行や証券会社、保険会社などの金融機関への就職を目指す学生や転職を考えている人も対象にしています。
また自分の年金のことを知りたい、老後のために知識を身に付けたい、資金を有効に運用するために年金制度の勉強したいという人にもおすすめです。
就職に役立つのか?
残念ながらDCプランナーを取得したからといって、必ずしも就職活動のプラスになるとは言い難いのが現状です。
しかし年金や福利厚生について学ぶため、金融機関はもちろんのこと、人事・総務・労務系の担当者として一般企業への就職を目指すなら十分にアピールポイントになります。
社会保険労務士やファイナンシャルプランナー、税理士などの関連資格と併せて取得すれば更なるアピールポイントになるはずです。
DCプランナー2級に求められるレベル
DCプランナー2級は、まず確定拠出年金を始めとする年金制度全般に関しての、基本的な内容の理解をしなければいけません。
その上で、金融商品や投資などに関する幅広い知識を身に付けて、確定拠出年金の加入者や受給者、または確定拠出年金制度を利用する企業の担当者に対して分かりやすく説明できるレベルになることが求められます。
主な養成対象者は企業の年金担当者や、金融機関の渉外担当者などです。
DCプランナー1級に求められるレベル
DCプランナー1級の試験を受けるためには2級に合格していなければいけないため、当然2級よりも高度なレベルを求められます。
まず確定拠出年金などの年金制度全般、それに関する金融商品や投資などに関しても、より専門的な知識が必要となります。
企業に対しては、現在行っている退職給付制度の特徴と問題点を把握した上で、新たに確定拠出年金を中心とした施策を作り上げていくことが求められます。
加入者などの個人に対しては、確定拠出年金の加入者教育を行ったり、老後のことまで考えた生活設計を提案できるようになるレベルが求められます。
いずれも自分自身がさまざまな制度をしっかりと理解した上で、説明する相手に分かりやすく伝えられる能力が必要になります。自分だけ理解していても、相手に伝わらなければ意味がありません。
主な養成対象者は企業の年金担当者、退職給付コンサルタントなどです。
DCプランナーの難易度
DCプランナーがどのような資格か見てきましたが、実際にDCプランナーを目指すなら、どのような勉強が必要になるのでしょうか?
ここからはDCプランナーの試験範囲や出題形式を紹介していきます。
合格ラインと合格率も併せて紹介しますが、決して難易度の低い簡単な試験ではないことが分かるはずです。
DCプランナーの試験範囲と出題形式
まずはDCプランナー認定試験の試験範囲と出題形式についてそれぞれみてみましょう。
先述した通り、確定拠出年金制度だけでなく、年金制度・投資・ライフプランニングと幅広く勉強することが分かります。
試験範囲
試験範囲は1級2級とも共通で、A~Dの4分野について勉強していきます。具体的な内容は以下の通りです。
同じ出題範囲とは言え、1級ではより専門的な知識を問われるため難易度は上がります。
<A分野> わが国の年金制度・退職給付制度
①公的年金制度 ②私的年金制度 ③新しい私的年金制度
<B分野> 確定拠出年金制度
①確定拠出年金制度の概要 ②コンプライアンス
<C分野> 投資に関する知識
①投資の基本 ②運用商品の理解 ③アセットアロケーションの考え方
④投資判断のための評価指標
<D分野> ライフプランニングとリタイアメントプランニング
①ライフプランニングの基本的な考え方 ②リタイアメントプランニングと確定拠出年金
出題形式
出題形式は1級と2級で異なります。
まず2級はマークシート方式のみです。四答択一問題が30問と事例問題が5問出題されます。
一見少なく感じるかもしれませんが、試験時間は150分で、単純計算すると1問を解くのに4分かかる計算になります。
1級は基礎編と応用編に分かれます。
基礎編はマークシート方式で四答択一問題が50問出題されます。応用編は記述式で、事例問題が「四択・穴埋め・記述・計算」の中から出題されます。
試験時間は基礎編は2級と同じ150分、応用編は120分です。お昼を挟んで一日かかる長丁場な試験です。
DCプランナーの合格ライン
DCプランナー資格試験の合格ラインは1級2級ともに7割以上の得点となっています。
2級は100点満点なので70点以上、1級は200点満点なので140点以上の得点が必要ということになります。
DCプランナー認定試験は絶対評価試験なので、合格ライン以上の点数が獲得できれば全員合格することができます。
また科目による足切りなどもありません。
DCプランナーの合格率
DCプランナーの合格率を以下の表にまとめました。
2級 | 1級 | |
---|---|---|
2021年 | - | 39.8% |
2020年 | 52.7% | 35.8% |
2019年 | 52.7% | 11.8% |
2018年 | 41.3% | 22.5% |
2017年 | 44.6% | 24.6% |
2016年 | 38.5% | 9.3% |
DCプランナー認定試験は 2級でも40~50% の合格率で推移していています。 1級の合格率は10~40% とさらに低く、一番低い年はわずか9.3%でした。
この結果から2級も難易度が低くないことが分かりますが、1級は特に難易度が高いということがうかがえます。
試験が行われる年によって合格率に差があることから、難易度が異なることが分かりますが、どの難易度の試験の時でも合格できるようにしっかり勉強しましょう。
DCプランナーの勉強法
DCプランナー試験の対策はどのように行えば良いのでしょうか。
DCプランナーの勉強法は?独学は可能?
DCプランナー2級はテキストや過去問が載った問題集が市販されていることもあって、独学での合格が可能な資格だと言われています。
しかし現実は合格率50%であることからも簡単な試験とは言えません。また予備知識や習熟度によって必要な勉強量や大変さも変わってきます。
DCプランナーは簿記やファイナンシャルプランナーなどの資格に比べて知名度が低く、受験者が少ないため、インターネット上に情報が少なくて調べにくいというデメリットもあります。
学習前に自分の予備知識量などを見極めて、難しそうであれば通信講座やTACなどの予備校講座を受講することも検討してみましょう。
公式対策問題集が出版されている
先述通り、独学でもDCプランナー認定試験の勉強ができるように、1級2級ともにテキストが市販されています。
テキストのほかに試験対策用の問題集もあり、株式会社きんざいからは「DCプランナー試験対策問題」、年金問題研究会からは「合格対策問題集」 が出版されています。
いずれも過去問題を中心に出題の要点をまとめているため毎年出版されます。特にネットなどで購入するときは何年度版のものかを必ず確認しましょう。
試験問題は過去問の中から出題されることが多いので、独学での合格を目指すなら、過去問が載った問題集を手に入れて勉強することをおすすめします。
またテキストも内容が改訂されることがあるので、新しいものを使うようにしましょう。
通信講座も存在する!
また公式対策問題集を出版している上記2社は通信講座も行っています。
きんざいが行っているのは 「企業年金・退職金に強くなる講座」 で、名前にDCプランナーという文字は入っていませんが、DCプランナー2級認定試験に対応しています。受験期間は3カ月で開始時期は5月か6月のどちらかを選べます。
年金問題研究会の 「DCプランナー2級試験対策通信講座」 は通年開講なので好きなタイミングで始めることができます。標準受講期間は3カ月となっています。
DCプランナーの試験日程・会場・申し込み方法
ここではDCプランナー認定試験の日程や会場、料金などの具体的な情報を紹介します。
DCプランナーの基本情報
DCプランナー認定試験は年1回、全国約130か所で実施されていて、試験日は例年2級は9月上旬~中旬、1級は1月下旬の予定になっています。また、試験は基本的に日曜日に実施されます。
申し込みはインターネットか郵送にて行うことができます。
試験では計算機が必須な上に細かな指定があるので、必ず事前に確認しておきましょう。
DCプランナーに受験資格は?受験料は?
DCプランナー認定試験2級は年齢・性別・職歴などの受験資格がないため、だれでも受験することができます。
1級は2級に合格していなければ受験することはできません。ちなみに2級に合格していれば良いため、登録していなくても受験できます。
また2級の合格時期も問われません。
受験料は2級が6,600円、1級が11,000円でいずれも税込価格です。
合格発表はいつ行われる?登録はいつ行えば良いの?
DCプランナーの合格発表はいつどのように行われるのでしょうか?
先ほど触れた登録手続きについても併せて紹介します。
DCプランナー認定試験の合格発表
DCプランナーの合格発表は2級で試験日よりおよそ1カ月半、1級は試験日からおよそ2カ月後です。
受験者全員に合否通知が発送されるようになっています。
また一般社団法人 金融財政事情研究会のホームページ内では合格発表日の午前10:30より参照することも可能です。
ホームページでは過去の試験すべての合格率を確認することもできます。
合格したらどうやって登録手続きをするの?
試験に合格すると合否通知と一緒に合格証書のほか、資格登録の案内とDCプランナー資格登録申請書が送られてきます。
登録を希望する人は合格発表後から90日以内に必ず登録手続きを行ってください。
登録手続きはインターネットか郵送で申し込むことができます。
先ほども触れたように、登録手数料は11,000円(税込)で登録期間は2年間です。
DCプランナーについてまとめ
DCプランナーについてまとめ
- 金融機関や福利厚生担当者など、年金に関する業務に携わる人におすすめ
- DCプランナーを名乗るためには登録や更新手続きが必要
- 難易度の高い試験なので、必要であれば通信講座などの利用も検討する
DCプランナーについて説明してきました。年金の知識は年金に関する業務をしている人だけでなく、会社の経営者や働く人にとっても、とても重要なものです。
仕事として活用するのはもちろん、ぜひ会社や自分の将来のためにもDCプランナーの勉強をしてみてはいかがでしょうか?