金融窓口サービス技能検定ってどんな資格?難易度や実用性・過去問の出題内容まで解説

「金融窓口サービス技能検定ってどんな試験なの?」

「取得すると就職やキャリアアップに有利なのかな」

そんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

金融窓口サービス技能検定は、金融機関の窓口業務などに従事する人向けの検定ですが、検定内容や取得するメリット、難易度、過去問があるか否かなど、分からないことも多いと思います。

この記事ではそんな金融窓口サービス技能検定について、詳細に解説していきます。

読み終わった頃には、金融窓口サービス技能検定に詳しくなり、必要であれば受験に向けて動き出せることでしょう!

金融窓口サービス技能検定をざっくり説明すると

  • 合格すると、金融機関の窓口業務に関わる一定の知識・技能があると認められる
  • 国認定の技能検定で、合格後「金融窓口サービス技能士」が名乗れる
  • 大学生の就活対策には向いていない

金融窓口サービス技能検定ってどんな資格?

空とはてな

金融窓口サービス技能検定がどんな検定なのかは、受験の基礎となる大切な情報です。

あとで「思っていたのと違った」とならないよう、正しく把握しましょう。

金融窓口サービス技能検定とは

金融窓口サービス技能検定は、金融機関関連業務をしている人やしようとしている人を対象とした検定試験です。金融機関の窓口業務などに欠かせない技能や知識を持っているかが問われます。

銀行等の窓口では、預金などの出し入れ、税金や公共料金の収納、金融商品の販売などさまざまな業務を行います。業務内容が幅広く、働く人にも豊富な知識と技量が求められる職種です。

また接客業務である以上、説明能力や対応能力も欠かせません。

この金融窓口サービス技能検定に合格することで、それらの技能・知識を持っていることが証明ができます。

金融窓口サービス技能検定の主催団体

金融窓口サービス技能検定は、一般財団法人金融財政事情研究会が、厚生労働省から指定認定機関に認められ実施しています。

この一般財団法人金融財政事情研究会は、1950年に設立された歴史ある団体です。

金融窓口サービス技能検定のほかにも、ファイナンシャルプランニング技能試験や金融業務能力検定も行っています。

金融窓口サービス技能検定は国が認定した検定資格

金融窓口サービス技能検定は、国から委託されているため国家資格と思われがちですが、職業能力開発促進法に基づく技能検定です。

この技能検定は、働く上で身につけるべき、もしくは必要とされる技能の程度を国が証明するというものです。技能検定に合格した人だけが「技能士」を名乗れるというメリットがあります。

もし、金融窓口サービス技能検定に合格していないのに金融窓口サービス技能士と名乗ると、30万円以下の罰金に処されます。

合格すれば名刺に記載できる

金融窓口サービス技能検定に合格すると、金融窓口サービス技能士として、名刺などに記載することもできます。

名刺に乗せる際は「等級」「正式職種名」「技能士」の順に表記する決まりがあるため、注意しましょう。

例えば、「テラー3級金融窓口サービス技能士」という表記は許されていません。3級のテラー業務に合格した場合は、「3級金融窓口サービス技能士」もしくは「3級金融窓口サービス技能士・テラー業務」と表記できます。

金融窓口サービス技能検定の難易度

勉強している手

金融窓口サービス技能検定は1~3級があり、その中でも1級が一番専門性・難易度の高い等級となっています。

どの級も学科試験と実務試験が行われます。

金融窓口サービス技能検定の試験項目と出題形式

学科試験はマークシート方式で行われます。

また実技試験というとロールプレイングゲームや面接などを思い浮かべる人も多いでしょうが、金融窓口サービス技能検定では異なり事例問題がマークシートや記述式で出されます

3級の試験項目と出題形式

3級の学科試験は40問程度の出題です。

実務試験は、テラー業務と金融商品コンサルティングから選べます

学科試験、テラー3級、金融商品コンサルティング3級ともに、マークシート方式の試験です。

出題形式と問題数、試験範囲は以下の通りです。

試験名 出題形式 問題数 試験範囲
学科試験 マークシート 語群選択式(三肢)が20問
三答択一問題が20問程度
顧客対応・コンプライアンス等
関連法令・規制
金融経済知識・投資理論
金融商品知識
相談業務等に係る知識
実技試験(テラー業務) マークシート 事例問題が5題程度
各題においておよそ4問ずつ
顧客対応
事務手続・実務知識
コンプライアンス
商品知識
情報収集、提案・セールス
実技試験(金融商品コンサルティング業務) マークシート 事例問題が5題程度
各題においておよそ4問ずつ
投資型金融商品知識
コンプライアンス
説明・提案技能
苦情対応力

2級の試験項目と出題形式

2級からは、実務試験の内容が全員共通になります。

学科試験、実技試験ともに、マークシート方式での出題です。

出題形式と問題数、試験範囲の詳細は以下の通りです。

試験名 出題形式 問題数 試験範囲
学科試験 マークシート 語群選択式(三肢)が20問、三答択一問題が20問程度 顧客対応・コンプライアンス等
関連法令・規制
金融経済知識・投資理論
金融商品知識
相談業務等に係る知識
実技試験 マークシート 事例問題が5題程度、各題においておよそ5問ずつ出題される 顧客対応・情報収集
商品知識・説明技能
コンプライアンス
商品知識・説明技能
顧客フォロー

1級の試験項目と出題形式

1級から実技試験が記述式になります。2級と比較すると、学科試験の問題数は増え、実技試験の問題数が減っています。

詳細は、以下の通りです。

試験名 出題形式 問題数 試験範囲
学科試験 マークシート 語群選択式(三肢)が25問、三答択一問題が25問程度 顧客対応・コンプライアンス等
関連法令・規制
金融経済知識・投資理論
金融商品知識
相談業務等に係る知識
実技試験 記述式 事例問題が4題程度、各題においておよそ3~4問ずつ出題される 顧客対応・情報収集
商品知識・説明技能
コンプライアンス
商品知識・説明技能
顧客フォロー

金融窓口サービス技能検定の合格ライン

金融窓口サービス技能検定は、100点満点で70点以上取れれば合格です。

1~3級すべての学科、実技試験において、共通の合格ラインになっています。

金融窓口サービス技能検定3級の勉強時間は実務経験など基礎知識にもよりますが、30~60時間程度だったとの声が多く見受けられました。

金融窓口サービス技能検定の合格率

どのくらいの難易度なのかの目安にもなる合格率は、試験を受ける上で気になるポイントでしょう。

各級、毎年合格率が公表されています。

級ごとに見ていきましょう。

3級の合格率まとめ

試験日 学科試験 テラー業務 金融商品コンサルティング
2020年1月実施 32.10%(2,190人) 40.61%(1,278人) 82.78%(366人)
2019年5月実施 44.48%(1,839人) 82.40%(1,131人) 81.10%(350人)
2019年1月実施 44.11%(2,591人) 61.64%(1,666人) 84.83%(455人)
2018年5月実施 51.72%(2,440人) 85.37%(1,716人) 81.83%(457人)

()内の人数は受験者数です。

3級の実務試験はテラー業務と金融商品コンサルティングから選べますが、多くの人がテラー業務を選んでいることが分かります。

ただ、金融商品コンサルティングのほうが合格率が安定しています。

学科試験の合格率は30~50%台と回によって幅があります。

2級の合格率まとめ

2級の合格率は以下の通りです。

試験日 学科試験 実技試験
2020年1月実施 23.89%(1,607人) 20.79%(1,111人)
2019年5月実施 22.22%(1,507人) 40.70%(1,049人)
2019年1月実施 22.55%(1,862人) 22.17%(1,240人)
2018年5月実施 34.94%(1,966人) 60.01%(1,303人)

2級の学科試験の合格者率は20%前半~30%と高くありません。

また実技試験は回によってかなり差があることが伺えます。

1級の合格率まとめ

1級の学科試験は、1桁の年があるなど難関です。

一方、記述式で出される実技試験は、それほど低い合格率ではありません。

詳細は以下の通りです。

試験日 学科試験 実技試験
2020年9月実施 7.12%(337人) 42.51%(247人)
2019年9月実施 75.00%(12人) 57.14%(7人)
2018年9月実施 12.98%(416人) 38.94%(303人)

合格率で判断すると、金融窓口サービス技能検定3級の難易度はそれほど高くありません。一方1級の学科試験の難易度は高いといえるでしょう。

3級の実務試験は「テラー業務」か「金融商品コンサルティング」か?

テラー業務と金融商品コンサルティングどちらの試験を受けるか迷う人も多いでしょう。

テラー業務検定での試験範囲では、窓口業務について学べます。

一方、金融商品コンサルティングでは、その名の通り金融商品の知識や、その営業で活用できる苦情対応について出題されます。

得られる知識が違うので、自分が行いたい仕事、自分に向いている分野に合わせて受験するのがよいでしょう。

金融窓口サービス技能検定の実用性

PCとコーヒー

金融窓口サービス技能検定は実用性があるのでしょうか。またどんな仕事で生かせるのでしょうか。

以下で詳しく解説します。

金融機関勤務なら必要!

現在金融機関で勤務している人にとっては、実用性があると言えます。

自身の能力の向上はもちろん、特に2級や1級の取得は会社によっては評価の対象となりえます。

金融窓口サービス技能士として、名刺に記載できるメリットもあります。

チャレンジして損はないと言えるでしょう。

窓口業務が多い女性ならば3級取得が役立つ

金融機関に勤務しておりメインの業務が窓口である、という人には、3級の取得がおすすめです。

3級の実技、テラー業務検定などでは、窓口業務について学べます。

金融機関での窓口業務は比較的女性の方が多いですが、この金融窓口サービス技能検定の受験者も、女性の割合が多くなっています。

実技のテラー3級は特に、普段の仕事に生かせる試験内容です。

新卒の就職には役立たない!

新卒で「金融機関へ就職したいから、金融窓口サービス技能検定を受けよう」というのはおすすめできません。

金融窓口サービス技能検定には受験資格があり、より高度な1・2級を受けるためにはひとつ下の級の合格か実務経験が必要です。

学生が挑戦できる3級の合格では、入社においてあまり評価されないことが多いでしょう。

金融窓口サービス技能検定の勉強法

ペンと電卓

金融窓口サービス技能検定はどんな勉強法がよいのか気になる人も多いでしょう。

また独学で合格できるかについても調査しました。

金融窓口サービス技能検定の勉強法は?独学は可能?

金融窓口サービスの基本的な勉強法は、

  • 対策講座を受講する
  • 問題解説集を解く
  • 過去問を解く

です。

2級、3級であれば独学で合格した人も少なくありません。

経験がなくても、1日1~2時間、1~2ヵ月勉強を続けられれば合格が見えてくるでしょう。

ただ、1級については難易度が高く、独学で合格するのは厳しいといえます。

テキストは最新版のものを手に入れよう!

金融窓口サービス技能検定に関するテキストは、株式会社きんざいから「金融窓口サービス技能士精選問題解説集」として発売されています。

この株式会社きんざいは、金融窓口サービス技能検定を運営する金融財政事情研究会から委託を受けています。毎年発売されているので、最新版であるかチェックしておくと安心です。

2級、3級は実技編・学科編で分かれています。また3級実技のテキストには1冊にテラー業務検定、金融商品コンサルティング業務検定、どちらも掲載されています。必要な種類を確認して購入しましょう。

過去問はホームページで手に入る

金融窓口サービス技能検定の過去の試験問題は一般社団法人金融財政事情研究会の公式ホームページに掲載されています。

回答も「模範解答」のページに載っています。

参照:金融財政事情研究会「試験問題」

問題形式になれるためにも、本番と同様に時間を計測しながら解くのがおすすめです。また、2017年5月に範囲の改訂が行われているので、それより新しい過去問のみ参考にしましょう。

金融窓口サービス技能検定の試験日程・会場・申し込み方法

スマホと女性

いつ、何回試験が行われるかは、勉強のスケジュールを立てる上で欠かせない情報でしょう。

金融窓口サービス技能検定は、2・3級は年2回、1級は年1回実施されることが多いです。

試験日程・会場・申し込み方法をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

金融窓口サービス技能検定の基本情報

金融窓口サービス技能検定は、2020年度現在、2・3級は5月と1月の年2回、1級は9月の年1回実施されています。受験地は選択できますが、どの会場になるかは選べず、自動で振り分けられます。

今後、変更される可能性もあるので、公式ホームページにて確認すると確実でしょう。

参考:金融財政事情研究会「試験日程」

受験の申込期間は3週間程度設けられています。ただ、試験日の1~2ヵ月前には終わってしまうので、注意しましょう。

各級実技試験のみ、学科試験のみの受験も可能です。

もちろん両方に挑戦することもできます。

金融窓口サービス技能検定に受験資格はある?

金融窓口サービス技能検定には、受験資格が設けられています。

各級ごとに異なるため、確認が必要です。

実務経験がない場合は、3級から挑戦しましょう。

詳細は、以下の通りです。

受験資格
3級 金融機関関連業務で働いている、もしくは働こうとしている人
2級 2年以上の実務経験がある人、もしくは3級技能検定合格者、もしくは厚生労働省認定テラー技能審査3級合格者
1級 4年以上の実務経験がある人、もしくは2級技能検定合格者、もしくは厚生労働省認定テラー技能審査2級合格者

実務経験の申告に、証明書はいりません。虚偽が発覚した場合は、合格が取り消されます。

技能検定合格者の場合は「テラー業務」「金融商品コンサルティング業務」、どちらの科目で合格していても、次の級に挑めますよ。

参照:金融財政事情研究会「受験資格」

金融窓口サービス技能検定の受験料

金融窓口サービス技能検定の受験料は以下の通りです。

等級 科目 金額(税抜)
1級 学科 8,500円
1級 実技 15,000円
2級 学科 6,500円
2級 実技 7,000円
3級 学科 3,800円
3級 実技 4,000

実技は、テラー3級、金融商品コンサルティング業務3級どちらを選んでも金額は変わりません。

金融窓口サービス技能検定の申し込み方法は?

金融窓口サービス技能検定の申し込み方法には

  • インターネットで申し込む方法
  • 申請書を郵送する方法

の2種類あります。

インターネット申し込みは、金融財政事情研究会の公式ホームページから、申込期間内のみ行えます。

郵送申し込みも、同様に申込期間があり、当日消印まで有効です。

どちらで申し込む場合も、申請期限には気をつけましょう

金融窓口サービス技能検定を受けるときの注意事項は?

クエスチョンマーク

金融窓口サービス技能検定を受験する際に、押さえておきたい注意事項をまとめました。

持ち込める物の規格が決まっている

金融窓口サービス技能検定では、鉛筆、消しゴム、電卓が持ち込めます。

鉛筆は、マークシート方式のため、HB以上のものを用意しましょう。

持参できる電卓には細かい決まりがあります。

  1. 電源内蔵であること

  2. 演算計算だけができること

  3. 数値を表す部分がほぼ水平で、1行であること

  4. 26cm×18cmを超えない大きさの電卓であること

以上の、4つを満たさなくてはなりません。

関数計算機能がある電卓などは、NGです。万が一違反が発覚した場合その電卓は使えず、代替機の貸し出しもないため、気を付けましょう。

学科か実技片方だけ合格したあと再挑戦するときには免除申請を

学科試験、実技試験両方を合格することで、合格証書が発行されます。

ただ、どちらかだけ受かるということも多いです。

この場合一度合格すれば、合格した年度の翌々年度末までは合格した方の試験は免除されます。

不合格だった方だけ、再挑戦すればよいのです。

この試験免除制度は自動的に適用されません。事前申請が必要となります。受験の申込の際に行えますので、忘れないようにしましょう。

金融窓口サービス技能検定まとめ

金融窓口サービス技能検定まとめ

  • 金融機関の窓口業務を行う人がキャリアアップできる検定
  • 合格すると、金融窓口サービス技能士と名乗れる
  • 過去問は公式ホームページで手に入る
  • 2級、3級であれば独学での合格も十分可能

金融窓口サービス技能検定についての基本情報を解説してきました!

金融窓口サービス技能検定で得た知識や技術は、金融機関で働いている人であれば普段の業務に生かせます。

国が認定した検定試験であり、合格すれば金融窓口サービス技能士と名刺に記載することも可能です。是非一度受験を検討してみてはいかがでしょうか。

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