証券アナリストは独学で合格できる?勉強法から必要な学習時間まで徹底解説!
「証券アナリストって独学で合格できるの?」
「独学で勉強を進めていくときはどのような勉強法でやるべき?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
証券アナリストは金融市場の分析のプロフェッショナルですが、独学で合格を狙えるのか気になる人は多いと思います。
また、合格ラインや難易度の傾向も気になりますよね。
こちらの記事では、証券アナリストの合格ラインや必要な勉強時間に関して解説していきます!
証券アナリストの独学についてざっくり説明すると
- 独学合格は簡単ではないが、十分に目指すことができる
- 独学のメリットとデメリットをよく確認しよう
- 挫折しそうな不安がある人は独学はやめておくべき
- メリハリをつけた勉強が大事
証券アナリスト試験は独学で合格できる?
証券アナリストの難易度は比較的高いため、独学での合格は簡単ではありません。
ただし、独学で勉強する環境は整っており、独学での合格は十分に狙うことができます。
そもそも証券アナリストになるには
証券アナリストになるためには「日本証券アナリスト協会」の通信教育講座を受講して、試験の全科目に合格しなければなりません。
この通信教育講座を受けないとそもそも試験の受験資格をクリアできないため、必ずこの講座を受講する必要があります。
また、試験は第一次レベルと第二次レベルの二段階の試験となっています。
通信教育講座に申し込むとテキストと3年分の過去問が送られてくるため、基本的にはこれらの教材を使って勉強を進めていくことになります。
また、学習効果を確かめるための択一式Web練習問題や5年分の過去問を日本証券アナリストウェブサイトのマイページから解くことができるため、これらも活用していくと良いでしょう。
独学で勉強すると何が良いのか
低予算で合格が狙える
独学の最大のメリットとして、費用が多くかからないことが挙げられます。
他の通信講座や予備校を利用すると多く費用がかかってしまいますが、独学であれば通信教育講座の費用や自分で追加して購入するテキストや過去問題集の費用だけで済むため、低予算で合格を狙うことができます。
「とにかくお金をかけずに合格を目指したい!」と考えている人にとっては独学がオススメです。
自分にあったスケジュールで学習できる
独学だと自分で勉強のスケジュールを立てることができ、自分のペースで勉強していくことができます。
勉強慣れしている人にとっては、予備校などを使うよりも独学で進めた方が効率的なケースもあります。
予備校などに通うと予め決められているカリキュラムに出席しなければならず、手間になってしまうケースも多いのです。
特に、一度数点差で不合格になってしまった人や、証券アナリストで学ぶ内容を仕事で既に学んでいる人などは、独学の方がおすすめだと言えます。
独学で勉強するデメリット
学習スケジュールの管理が難しい
証券アナリスト試験の合格のために必要な勉強期間は約1年とされています。
長期間に渡って自分で学習スケジュールを管理し、計画を立てて勉強するのは非常に手間がかかる上に難しいです。
勉強のスケジュールを考えるのもかなり負担になる作業であるため、勉強に集中できなくなってしまう恐れもあります。
また、独学で1年間継続して勉強するのはモチベーションの維持も難しく、途中で挫折してしまう可能性を孕んでいる点には注意が必要です。
自分自身でスケジュールを管理できる自信がなかったり、モチベーションの維持に不安を感じている人は独学は避けるべきです。
学習サポートが利用できない
当然ながら、独学だと分からない問題があっても気軽に質問することができず、勉強が行き詰まってしまう可能性があります。
また、分からない問題が出たときに放置してしまうと勉強の進捗の管理もうまくいかなくなり、その結果挫折してしまうケースも出てきます。
一方、ほとんどの予備校などは質問対応などのサポートが充実しているため、勉強で行き詰まるリスクを大幅に抑えることができます。
気軽に質問できる環境にいることで安心して勉強することができ、また勉強の進捗も管理しやすくなるためメリットが非常に大きいです。
金融に関する知識があまり無くて、自力で疑問を解決できる自信が無い人は独学はやめておいた方が良いでしょう。
途中で挫折しやすい
独学で学習を進めると、予備校や通信講座等を利用して勉強している人よりも挫折する人が多くなりがちです。
質問したくてもできなかったり、放置されてしまっている分からない問題が蓄積されていくことにより、意欲が失われてしまうことが原因です。
また、独学だと「高い費用を払っていないから」という理由もあり、遊びなどの様々な誘惑に負けてしまう人が多くいます。
一度勉強のモチベーションが失われてしまうと、またやる気を取り戻して勉強し直すのは非常に難しいため注意が必要です。
また、せっかく始めた勉強を途中で諦めて挫折してしまうことは、金銭的にも時間的にも最も損失が大きいためモチベーションの維持に自信がない人は独学はやめておきましょう。
独学がおすすめな人
証券アナリストの知識や経験を持っている人
ある程度知識や経験があれば、それらの事前知識を活かして学習を進めることができます。
金融機関に勤めていたりFPの勉強をしたことがある人であれば、資産運用などに関する事前知識を豊富に持っているため、初学者と比べると非常に有利です。
また、実際に自分自身で投資経験があって成功も失敗も味わったことがある人は、すんなりと勉強を始めて理解することができるでしょう。
独学で受験を突破した経験がある人
大学受験等で、独学で合格を掴み取った経験のある人は、勉強に慣れている人が多いため独学適性があると言えます。
このように、独学で勉強をすることで自分なりの勉強しやすいスケジュールや勉強のペースを把握できるため、独学に慣れていることは非常に大きな強みとなります。
また、大学受験だけでなく他の難関資格などを独学で取得したことがある人にも同じことが言えます。
試験までのモチベーション管理や直前期の緊張感など、勉強の進捗以外の精神的な強さも鍛えられているため、独学に慣れている人は挑戦してみる価値はあるでしょう。
数学が得意な人
証券アナリスト試験の一次試験では数学の問題が多く出題されるため、数学が得意な人が有利と言えます。
この数学の問題は、数学が苦手な人が独学で勉強していると躓きやすいポイントであるため、数学が得意な人は自分で勉強しても合格できる可能性が高いのです。
また、日頃から経理や財務の仕事をしていて数字に強い人も同じことが言えます。
また、企業の財務諸表の計算や分析、ポートフォリオの計算などでも複雑な数学の知識が求められるため、やはり数学が得意な人は独学に向いているでしょう。
独学での勉強方法
一次試験の独学勉強法
一次試験は、証券分析とポートフォリオ・マネジメント、財務分析、経済の3科目から出題されます。
科目ごとに合否が決まるため、特定の科目に苦手を作らずに3科目全てに合格する必要があります。
なお、一次試験は基本的な知識を確認するための試験であるため、難易度の高い問題や複雑な問題はあまり出題されません。
テキストでしっかりと基本知識をインプットして、過去問などの問題演習をしっかりとやり込んでアウトプットをこなせば、十分に合格が目指せる難易度です。
例年似たような問題が出題されることが多ため、ひたすら過去問題集を解くと自然に解法が暗記できるようになり、比較的簡単に得点するコツを掴むことができます。
科目を一括で合格しよう
3科目から出題されるため、科目ごとに個別の対策が必要だと思われがちですが、実際はそうではありません。
それぞれが全く異なる内容ではなく各科目に共通する内容が多いため、3科目一気に勉強をした方が効率的なのです。
また、2次試験においても1次試験で学んだ内容がそのまま生かせることが多いため、テキストで科目ごとに丁寧に勉強を進めるよりも横断的に勉強した方が短期で合格できる可能性が高いです。
科目別の対策法
経済
経済の出題範囲が広いものの、IS-LM分析・AD-AS分析は毎年のように出題されているため、ほぼ確実に出ると思って優先して勉強するようにしましょう。
経済は得意な人と苦手な人とがはっきりと別れる科目なので、もし苦労するようであれば公式を暗記して対策をすることも可能です。
公式を覚えているだけで解ける問題も多いため、解けそうな問題は落とさないようにしましょう。
また、行動ファイナンスと信用リスクモデルに関しても頻繁に出題されているため、過去問題集を使って基本的な論点は押さえておきましょう。
財務
財務を攻略していくために、まず問4の財務分析を完璧に仕上げましょう。
財務分析の問題はかなりパターン化されているため、何回か過去問を解いてみると自然と慣れてきて得点できるようになります。
指標の定義と意味を押さえれば、あとは数字をパターン化された数式に当てはめて計算するだけで答えが求まります。
問4の配点は26点あるため、ここで満点を取れば合格が大きく近づきます。
また、株価モデルや退職給付金、リース会計では割引現在価値の考え方もよく問われるため、過去問題などを通じて対策を講じておくようにしましょう。
証券分析
証券分析の対策をすすめる上で、公式の暗記は欠かせません。
具体的には、以下の公式は必ず覚えておくようにしましょう。
- 債券のデュレーション、コンベクシティ
- 株式の割引配当モデル
- デリバティブのプット・コール・パリティやリスク中立確率
また、一物一価の法則と割引現在価値の考え方も頻出なので押さえておくべきです。
証券分析の問題は一見難しそうですが、公式をしっかりと覚えて過去問題を繰り返し練習すれば比較的簡単に合格することができます。
2次試験の独学勉強法
2次試験は、証券分析とポートフォリオ・マネジメント、コーポレート・ファイナンスと企業分析、市場と経済の分析の3科目の合計点と、職業倫理・行為基準の点数で合格が決まります。
証券分析の配点ウェイトが最も重いため、証券分析を重点的に行うなど、得点戦略をしっかりと練ることが重要です。
合格ラインもおよそ半分程度の得点で合格できるため、すべての問題を真剣に取り組む必要はありません。
初めて見る難問や奇問はスルーして、取れる問題を確実に取る意識を持てば問題ありません。
暗記よりも理解が大事
二次試験は論述問題が多いため、単に暗記するだけでなく「どういった理由でその回答になったのか」を理解することが合格のカギになります。
また、日頃の勉強でも暗記するよりも理屈を理解した方が全体的な理解も早まるため、暗記することよりも「理解する」ことを意識して勉強を進めてみてください。
全体像を理解できると、様々な応用が利くようになるため、非常にオススメです。
証券アナリストの二次試験についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
職業倫理は満点を目指す
職業倫理と行為基準には科目単体で足切りがあるため、しっかりと勉強しなければなりません。
職業倫理と行為基準は初めて勉強する内容ですが、大して難しくない上に出題パターンと回答のパターンが決まっているため、過去問に取り組んでいれば比較的簡単に得点源にすることができます。
そのため、過去問を中心に進める勉強法を行えば、対策は十分でしょう。
独学で勉強するときのコツ
問題演習を中心に勉強を進めるべき
証券アナリストの試験では、同じような問題が多く出題されるケースが非常に多いです。
過去問題集は本試験レベルの学力を身に着けるのに最も効率的な学習ツールであるため、積極的に活用しましょう。
過去問題を繰り返し解く勉強法を重ねることが、合格レベルの学力を身に着ける上で非常に大切です。
仮に答えを覚えてしまったとしても、その答えを導くプロセスをしっかりと意識することで、本試験で似た問題が出てきたときにすぐに反応できるようになります。
頻出の問題はマスターする
過去問を解き進めていくと、頻出な論点とたまにしか出題されない論点があることが分かってきます。
頻出な論点は次の試験でも出題される可能性がとても高いので、確実に解けるようにしましょう。
一方、そこまで頻出ではない論点についてはそこまで詳しく勉強せずに、過去問題を見て軽く確認しておき基本的な概要だけ押さえておけば十分でしょう。
合格ラインはそこまで高くないため、自分が解ける問題を確実に解くメリハリをつけた勉強法が非常に有効です。
過去問は完璧にしておく
過去問題は非常に優れた学習ツールなので、多く取り組み完璧に仕上げておくべきです。
過去問は、問題の横に取り組んだ日付とそのときの正誤を○×でメモしておくと、2周目以降の勉強で反省を生かしやすくなります。
これにより復習のペースがつかみやすくなったり、自分が苦手としている分野などの要復習分野がすぐに判断できるようになるというメリットがあるのです。
また、過去問は最低でも3周以上は取り組むようにしてください。
答えを覚えてしまうくらいやり込むことで知識の完成度が高まっていくため、合格に近づくことができます。
過去問を奇問を除いて8~9割を確実に解けるようになれば、十分な知識が身に着いていると言えます。
証券アナリスト試験の難易度
証券アナリスト試験の合格率は?
証券アナリストの合格率は、2022年度試験は一次試験が47%、二次試験が55% となっています。
過去5年の合格率は一次試験は46%~55%、二次試験は45%~55%で推移しており、比較的合格率は高い試験であると言えます。
合格率が1桁台や10%前後の難関国家資格と比べると、試験に合格する難易度は比較的低めと言えるでしょう。
しかし、数学に関する出題が多かったり専門的な内容が多かったりするため、学習する難易度は高い点には注意が必要です。
なお、証券アナリストに合格するための勉強時間は、一次試験・二次試験ともに3ヶ月間ほどと言われています。
受験生の平均的な勉強時間は約200時間なので、1週間に15時間以上勉強することを3ヶ月間続ければ、合格ラインに到達できる学力が身に着くでしょう。
試験の合格ライン
証券アナリスト試験の明確な合格ラインは公開されていません。
そのため、はっきりとした合格ラインは不明であり、目標が設定しづらいという声もあります。
しかし、これまでの試験結果や受験経験者の意見などを踏まえると、1次試験に関しては概ね6割、2次試験に関しては概ね5割以上の得点がひとつの目安となっています。
満点は必要なく4割は間違えても大丈夫な試験であるため、完璧は求めない勉強法がオススメです。
勉強している中でどうしても理解できない問題や論点が出てきた場合は、思い切って捨て問題にしてしまうのも一つの手と言えるでしょう。
証券アナリストの独学合格に必要な勉強時間
合格者の声を参考にすると、試験の合格のためにこなすべき勉強時間は、一次試験対策の平均勉強時間は約200時間で、二次試験対策も平均約200時間でした。
より知識を得たいと考えている人の中には300時間以上勉強する人もいますが、あくまでも少数派です。
勉強期間としては、1週間に15時間以上勉強することを3ヶ月間ほど続けることを目安にすると合格ラインに手が届くでしょう。
なお、受験生は金融機関や証券会社への転職を目指している社会人が多く、仕事の前後や土日にまとめて勉強する人が多いようです。
証券アナリスト資格を取るメリット
アピールポイントになる
証券アナリスト資格の学習を通じて、幅広い金融や投資に関する領域を学習するため、金融に関する様々な知識が身に着きます。
資格を持っていることが自分の実績や実力に加えて、豊富な知識を持っているというプラスアルファのアピールポイントになるのは間違いないでしょう。
金融の業界や投資の世界では、証券アナリストの価値と認知度は広く評価されているため、資格の取得が自分の価値を高めてキャリアアップにつなげることができます。
また、勉強熱心である人柄をアピールできるようにもなるため、知識があることだけでなく前向きな性格なども高く評価されます。
有資格者は就職や転職を目指す上で周囲と差をつけることができ、大きな強みとなるでしょう。
キャリアアップに繋がる
金融機関でも新卒で最初からアナリストとして採用されることは稀です。
証券アナリストになる人は、他の職種で実務経験を積んでいくなかで、適性や実力が認められてアナリストに抜擢されることが多いのです。
資格を持っていることで金融についての専門的な知識を有していることを対外的に証明できるようになるため、金融業界への就職や転職を目指す場合は非常に有利になるでしょう。
また、金融機関だけでなく、企業が投資家に向けて経営状況や財務状況などの情報を伝えるIR部門は金融や財務の知識が必須です。
つまり、上場している大企業のIR部門への転職や異動にも有利に働くでしょう。
また、資格を取得してから転職や企業内で昇進する人は多数いるため、証券アナリストはキャリアアップに繋げやすい資格と言えます。
証券アナリストへのニーズは高まっている
近年は金融業務の規制緩和・資産運用ビジネスの拡大などから、証券アナリストのスキルを持つ人材へのニーズが高まってきてきます。
それらの影響もあり、市場や株価を予測するアナリストの需要も増えていくと予測されています。
また、年金財政の不安から資産運用に興味を持つ人が増えているため、多くの金融機関が投資初心者向けのセミナーなどを開催するなどしています。
このような時代の背景もあり、証券アナリストの需要はますます高まっていくでしょう。
また、これからは今まで以上にデータの分析や情報発信が重要となるため、その分野のプロであるアナリストの重要性も高まっていくと考えられます。
証券アナリストの独学まとめ
証券アナリストの独学まとめ
- 低予算で済むため、事前知識がある人は独学で挑む価値はある
- 独学だとスケジュール管理などは非常に手間がかかる点に注意
- モチベーションの維持も独学だと非常に苦労しがち
- 全体像を把握するように勉強すると効率的
証券アナリストは専門性の高い資格なので、多くの企業で活躍できる可能性があります。
お金に関する仕事に興味がある人は、ぜひ取得を目指すと良いでしょう。
キャリアアップや収入アップも狙えるため、金融のプロになりたい人はぜひ合格を目指して頑張ってください!