土地家屋調査士試験の合格後は何をする?独立開業の仕方や調査士登録の方法まで解説!
「土地家屋調査士試験合格後の手続きについて知りたい!」
「土地家屋調査士として独立開業するにはどうすればいいの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
土地家屋調査士は不動産系資格の中でも非常に難易度が高い資格なので、就職で有利になるだけでなく独立開業にも繋がります。
試験合格後の手続きの流れについて詳しく知っておきたい、と考えている方も多いはずです。
そこで、こちらの記事では土地家屋調査士試験合格後の独立開業の仕方や調査士登録の流れについて、詳しく解説していきます!
土地家屋調査士の登録などについてざっくり説明すると
- 登録にあたって15万円程度の出費が発生する
- セミナーなどには積極的に参加しよう
- 独立開業しやすい資格なので、いつまでも働くことができる
このページにはプロモーションが含まれています
土地家屋調査士試験に合格したら
土地家屋調査士試験は合格率10%未満の難関試験です。
例年多くの不合格者が出ている試験ですが、今回は土地家屋調査士試験合格後の手続きの流れや調査士として働き始めるまでの過程を見ていきます。
土地家屋調査士になるには試験合格と登録が必要
土地家屋調査士は専門性が高く希少価値も高いので、平均年収が高く稼げる仕事と言われています。
なお、調査士として働き始めるためには、試験に合格した後に調査士として土地家屋調査士会に登録する必要があります。
つまり、試験に合格していれば必要な書類と費用を収めるなどの諸手続きを済ませることで調査士として活躍することが可能です。
そのため、できるだけ早く実務経験を積むためにも試験に合格した後は速やかに調査士会への申請を行いましょう。
試験に合格したらイベントに参加しよう
試験合格後に行われるイベントは、どれも人脈を広げたり有益な情報を得る上で非常に役立ちます。
そのため、合格祝賀会などのイベントには積極的に参加することをおすすめします。
合格証交付式
試験に合格した後の合格証明書は、郵送で届くのではなく法務局で直接受け取ることになります。
これは他の合格者と顔を合わせる絶好の機会なので、親睦を深め人脈を広げるためにも積極的に参加すると良いでしょう。
なお、合格者だけでなく調査会の役員なども出席するため、先輩の土地家屋調査士から話を聞くことも可能です。
試験合格後に一度しか参加できない貴重なイベントなので、ぜひ参加してください。
新人研修会は必ず受けなければならない
調査士の仕事は専門用具を必要とするため、未経験でいきなり調査士として働き始めるのは困難です。
新人調査士がスムーズに業務に入れるようにサポートするための研修会が行われていますが、資格取得をして調査士会員となった者は必ず受講しなければなりません。
また、新人の調査士以外も研修を受講することができるため、合格後に再度勉強の必要性を感じた場合なども受講が可能です。
なお、新人研修も各地域で違いがありますが、多くのケースで研修終了後には交流会などの催しが行われているため、業務の実態などを知る良い機会になるでしょう。
さらに人脈を増やすための合格祝賀会
土地家屋調査士として働く際には、人脈作りも重要となります。
企業で働く際にも独立開業する際にも人脈が広いことで様々なメリットがあるので、常にこの点を意識すると良いでしょう。
各予備校では合格発表後に祝賀会を開くことがあるため、このようなイベントがある場合は積極的に参加しましょう。
これらの仲間は就職後にも繋がりを保てる貴重なビジネスパートナーにもなり得るので、事前に人脈を築いておくことは重要です。
土地家屋調査士会に登録・入会しよう
調査士として働くためには調査士の登録が必要で、さらに調査士会への入会が必要となります。
こちらのトピックでは、調査士に登録して調査士会に入会するまでの流れについて解説していきます。
登録に必要な書類を確認しよう
調査士登録をするためにはいくつかの書類の提出が求められ、不備があると再提出となるので要注意です。
煩雑な手続きを早く終わらせるためにも、抜かりなく書類を準備してください。
登録に必要な書類
まず、調査士の登録手続きに必要な書類を列挙します。
-
登録申請書(3通、30,000円の収入印紙)
-
証明写真(5枚)
-
身分証明書(2通)
-
履歴書(2通)
-
資格証明書(合格証書)
-
誓約書(2通)
-
住民票(2通)
-
戸籍謄本(2通)
以上の中でも、各都道府県の土地家屋調査士会に問い合わせることでデータを入手できるものもあるため、事前に確認しておきましょう。
入会に必要な書類
続いて、入会にあたって必要となる書類です。
-
印鑑届(1通)
-
入会届(2通)
これらも同様に、各都道府県の調査士会に問い合わせることでデータが入手できることがあるため、事前に問い合わせて確認しておくと良いでしょう。
登録にかかる費用
多くの資格にありがちですが、土地家屋調査士として登録するために様々な費用負担が発生します。
例えば、登録手数料として25,000円・入会金として50,000円・会館維持管理資金に50,000円・名刺プレートに2,000円の費用負担が発生します。
さらに、申請書に同封する30,000円も必要となるため、登録するための初期費用だけで合計157,000円もの出費となるのです。
さらに、毎年かかるコストとして1年間で138,000円の会費が必要となり、必要経費をすべて合算すると膨大な金額となるため、登録の際には資金面に余裕を持たせておきましょう。
申請・登録までの手順
続いて、実際に調査士登録の申請から完了までの流れを見ていきましょう。
県の土地調査士会に事前連絡
必要書類の準備が完了してチェックも終わったら、まずは提出をする日程を決めましょう。
日程を決めたら各都道府県の調査士会へ事前に連絡を入れ、アポイントを取ってください。
各都道府県で違いがありますが、いきなり調査士会に出向いても提出できないケースがあるため、事前連絡は行っておくのがベターです。
調査士会に持ち込む
日程を決めて調査士会への連絡を済ませたら、当日に必要書類と費用を持参して調査士会へ出向きましょう。
書類を提出するだけの簡単な手続きなのですぐに終わりますが、余裕があれば挨拶などをして良い印象を残しておくと良いでしょう。
調査士会からの連絡を待つ
調査士会での申請手続きが終わったら、調査士会から登録完了の連絡を待ちましょう。
なお、一般的には申請から10日後ほどに登録が完了して調査士会から連絡が来ます。
諸手続きから登録完了までに数日かかるため、調査士として働き始めるまでに時間が空くことに留意しましょう。
土地家屋調査士の就職
土地家屋調査士の資格を活かせる職場は多く、測量会社などに就職して調査士スキルを磨く方や開業する方が多くいます。
なお、開業をする場合でも一度就職して調査士としてのスキルを磨いてから開業するケースが一般的です。
こちらのトピックで、調査士の主な就職先について見てみましょう。
土地家屋調査士事務所
土地家屋調査士としての仕事を始める上で、実務経験が無い方も多いでしょう。
そういった場合は、土地家屋調査事務所に就職をして調査士としての実務経験を積みながら多くの勉強をするケースが多いです。
事務所に就職して先輩から専門道具の扱い方や実務のノウハウを学び、スキルを高めていきましょう。
測量会社
調査士の就職先として測量会社も代表的です。
測量会社では調査士としてのスキルが必要とされる場面が多くあるため、多くの測量会社には土地家屋調査士が勤務しています。
つまり、土地家屋調査士のニーズは常にあるため、測量会社にとって有資格者は貴重な存在と言えるでしょう。
会社によっては公共測量を行う機会があるため、大規模な業務を経験する貴重な機会を得ることも可能です。
転職に年齢は関係するのか
転職にあたって年齢に関する悩みを持つ方は多いですが、調査士への転職を目指す上で年齢はあまり関係ありません。
そもそも土地家屋調査士は専門性が非常に高く、また資格合格者の平均年齢自体も30~40代と高めで、基本的に高齢化している世界です。
しかし、調査士の業務には測量など体力を必要が求められるものも多いため、40代で業務経験が無い場合は「イメージと違う」というミスマッチを誘発してしまう恐れがあります。
基本的に年齢を懸念する必要はありませんが、必ずしも転職が上手くいくとは限らない点に注意してください。
独立開業をする
土地家屋調査士を目指す理由に「自ら独立開業したい」を挙げる方も多いのではないでしょうか。
こちらのトピックでは、調査士として開業をする際の注意点などを解説していきます。
調査士事務所からの独立開業
開業をする方で最も多いのは、調査士事務所からの独立開業です。
いきなり未経験で独立開業するのはリスクが大きいため、調査士事務所に所属して1~2年ほどの実務経験を積んでから独立開業するのが一般的です。
調査士の業務には実務経験が無いと難しい業務が多くあるため、実務経験を積んでおくことは非常に重要なポイントです。
調査士としてのスキルを磨くためには、実際に調査士として実務を経験することが最も手っ取り早い方法と言えるでしょう。
未経験での独立開業
あまり多くはありませんが、調査士として登録した後すぐに開業してしまう方もいます。
未経験でいきなり独立開業するのはリスクが大きいため、基本的におすすめしません。
実務では試験で勉強したこと以外のスキルが求められる場面も多いため、未経験の状態で開業をしても勝手が分からずにトラブルを抱えてしまう危険があります。
そのため、一日も早く独立開業したいという気持ちは分かりますが、まずは事務所に勤務して実務を経験したり、実際に開業している先輩調査士から苦労話を聞くなどして、イメージを持っておくと良いでしょう。
補助者が必要
調査士の仕事は一人で進めるのではなく、一緒に実務をこなす補助スタッフがいないと難しいでしょう。
調査士の仕事は体力を要する上に大変な業務が多いため、補助スタッフの雇用は必須です。
なお、補助スタッフは実務経験がなくても勤まるので、開業を検討している方は業務を手伝ってくれるスタッフを事前に探しておき、知人や親族などにあたっておくと良いでしょう。
開業にかかる費用
開業をするためにはそれなりの費用が掛かるため、余裕を持った予算を組んでおく必要があります。
調査士の登録費として60万ほど、機材などで50万ほど必要になるため、最低でも100万円の準備資金が必要となります。
さらに、測量などの作業に行くための社用車や作業着なども必要となるため、これらの費用を含めるとかなり高額になる点は覚悟しておきましょう。
また、継続的にかかるコストとして調査士としての会費や人件費なども必要になるため、開業を視野に入れている方は余裕を持って資金計画を練りましょう。
サラリーマンを続けながら準備しよう
開業してから事業が軌道に乗るまでにはどうしても時間がかかってしまうため、無収入期間が発生する点は覚悟する必要があります。
そのため、現職の仕事を辞めてから開業を目指す場合は金銭的なリスクヘッジの意味でも、現職の仕事と並行して開業まの準備を進めることをおすすめします。
実務経験を積みながら開業のタイミングや経営のノウハウを学び、無収入期間を短くできるような工夫をしてください。
開業セミナー
各都道府県の調査士会では、合格発表後のタイミングに合わせて開業セミナーを行っている場合が多くあります。
多くの方は開業歴が無いと思われるので、開業を考えている場合はこのような開業セミナーの機会を有効活用しましょう。
また、セミナー後には親睦会などを通して先輩調査士から実務に関する話を聞くことができるため、有益な情報を得られる絶好のチャンスです。
開業にあたって情報収集は必須なので、多少面倒に感じてもこのようなセミナーの場には積極的に参加しましょう。
土地家屋調査士になったら
こちらのトピックでは、実際に土地家屋調査士になった後のスキルアップ方法について解説していきます。
土地家屋調査士は仕事がない??
せっかく資格を取得しても、仕事の需要がなければ意味がありません。
インターネットでの書き込みなどを見ると成功している調査士と失敗している調査士がいるので、自分は果たして食っていけるのか不安になる方も多いでしょう。
しかし、実際は調査士の仕事の需要は常にあるので、このような心配をする必要はありません。
不動産の測量や登記に関する仕事が無くなることは有り得ず、需要がなくなることは考えられないので、将来性に関しては申し分ありません。
きつい仕事をこなす体力づくり
調査士の仕事は実地に赴いて測量などの作業や現場隣接者との立ち合いを行うため、事務作業だけではありません。
ある程度の体力が求められることから、日頃から生活習慣には気を配り体力作りに励んでおくと良いでしょう。
健康的な身体を維持することで長く調査士として活躍することができるため、若い内から体力作りは意識しておくことをおすすめします。
ダブルライセンス獲得を目指す
自身の価値を高めるために、他の資格とのダブルライセンスを目指すのもおすすめです。
行政書士
行政書士の業務内容は多岐に渡りますが、土地家屋調査士と相性の良い仕事で農地転用と開発許可が挙げられます。
住宅などを建てる際には許可が必要となるケースがあり、許認可の専門家である行政書士がその申請を請け負うという形です。
行政書士の資格を保有していることで、土地家屋調査士の業務において行政書士に依頼するべき業務を自分自身で行えるようになります。
ワンストップで業務を請け負うことができる上に自身の利益を増やすことができるため、行政書士の取得もおすすめです。
司法書士
司法書士は土地家屋調査士と最も関わりの深い資格と言えます。
司法書士資格を持つことで不動産の権利登記など、司法書士に依頼するべき業務を自身で行うことが可能となります。
土地家屋調査士と司法書士のダブルライセンスを実現できれば登記のプロフェッショナルとして活躍できるでしょう。
とはいえ、土地家屋調査士も司法書士試験も共に難易度が高いため、ダブルライセンスは非常に険しい道です。
人脈を増やす
どんな仕事を行うにしても、やはり人脈は大きな財産です。
人脈が多ければ多いほど請け負う仕事を増やすことができ、また信頼度も高まっていきます。
また、元々の人脈を大切にすることはもちろんのこと、休日を使って手広く営業活動などを行うことで、自分の知名度を高めることができます。
徐々に人脈を広げて信頼を得ることで、安定的に高収入を得ることができるでしょう。
土地家屋調査士の年収は?
前述したように、土地家屋調査士として登録したり独立開業するためには、かなりのコストがかかります。
そこで気になるのは「コストをかけたは良いものの、土地家屋調査士は稼げるのか?」という点です。
土地家屋調査士の年収は多少のばらつきがあるものの、平均すると600~650万円程度となっています。
平均的なサラリーマンの年収は450万円程度なので、結論から言うと「土地家屋調査士を取得する価値は大きい」となります。
長年に渡って安定的な収入が期待できることから、土地家屋調査士を取得する経済的メリットは大きいと言えるでしょう。
しかも、独立開業すれば定年という概念が無くなり健康である限り稼ぎ続けることができるため、生活に安心をもたらすことにも繋がるのです。
土地家屋調査士の登録などまとめ
土地家屋調査士の登録などまとめ
- 独立開業するには100万円程度の出費が必要になるが、十分に回収できる
- 実務経験を積んでから独立するのがおすすめ
- 土地家屋調査士の仕事の需要は常にあるため、将来性も高い
土地家屋調査士は難関資格なだけあって、価値は非常に高いです。
調査士として活躍するためには登録手続きを済ませなければならないため、合格後は速やかに手続きをしましょう。
仕事の需要は常にあり将来性も申し分無い資格なので、興味がある方はぜひ土地家屋調査士の資格取得を目指してみてください!