土地家屋調査士は意味ない無駄な資格?役に立たないと言われる原因と実態を調査!

「土地家屋調査士について興味があるけれど、世間的な需要はどれくらいあるんだろう」

「そもそも周りに有資格者がいないから、本当に有益な資格なのか、不安がある」

土地家屋調査士の資格に興味を持っても、「意味ない」「取得しても無駄」といった、ネガティブな話を聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。

ですが、「土地家屋調査士は役に立たない」と断言する人は、資格を十分に活用できていなかったり、そもそも資格の価値を正確に理解できていなかったりする人も多いものです。

この記事では、土地家屋調査士の資格の価値や将来性について、詳しく解説しています。

土地家屋調査士の資格取得や価値について悩んでいる人は、ぜひ参考にしてくださいね!

「土地家屋調査士の資格の意味や有用性」をざっくり説明すると

  • 土地家屋調査士は国家資格であり、信頼度は高い
  • 独占業務も抱えており、ダブルライセンスや他士業との相性も良い
  • 「意味ない」「無駄」というネガティブな噂は、実際の仕事や需要への理解不足に起因する

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土地家屋調査士は本当に意味ない資格なのか?

ライセンス

土地家屋調査士は、土地・不動産の測量及び表題登記についてのエキスパートです。登記というと司法書士を連想される方も多いかもしれませんね。

司法書士は土地を始めとする不動産にまつわる諸権利を扱うのに対して、土地家屋調査士は、次のような項目を登記します。

  • どこにあるのか
  • どのような形状や面積なのか
  • どのような用途に利用されているのか

これらの部分についての登記を「表示に関する登記」と言い、土地家屋調査士の独占業務です。

さらに合格率が8~9%と、不動産系の資格の中でも難易度が高いと言われている国家資格であり、不動産関連業務を扱う人々の間では人気があります。

もっとも一部では「取得しても無駄」「意味ない」とネガティブな評価を下す人も存在し、不安を感じるかもしれません。

ですが、土地家屋調査士を取得するメリットは非常に大きいです。以下、なぜ取得メリットがあるのかについて、詳しく解説していきます。

安定した需要がある

先に述べたように、土地家屋調査士は独占業務を持つ国家資格です。不動産に関する登記簿は、法的権利について司法書士が作成する権利部(甲区、乙区)と、土地家屋調査士が作成する表題部がそろって初めて登記簿として完成します

不動産について所有者が変わったり、土地の形状について変更があったりした場合には、その都度登記をしなければなりません。不動産について各種登記は必須義務ですから、仕事そのものがなくなるというのは考えづらいでしょう。

不動産鑑定評価に関する法律も、士業の業務区分については厳格であり、法制度そのものが変わらない限りは、土地家屋調査士の資格も存在し続けると考えられます。したがって、不動産が存在する限りは土地家屋調査士の仕事も存続するのです。

世代交代で土地家屋調査士のニーズが増える可能性

さらに高齢化社会が進行しつつある中で、遺産相続の案件は士業の領域を超えて増加傾向にあります。

また、高度経済成長期に建築されたマンションが続々と建て替えの磁気を迎えており、それに伴い土地家屋調査士の需要も増加すると見込まれているのです。

いずれにしろ、権利者の地位変動に伴い新たな登記簿の作成や見直しが必要になりますから、土地家屋調査士の需要増加の傾向は続くでしょう。

活躍の幅が広い

先に述べたように、不動産登記簿の表題部の作成は土地家屋調査士の独占業務です。

この表題部の作成においては、対象不動産の正確な実態を把握する必要があるので、そのための土地や建物の正確な測量・調査も、通常は土地家屋調査士自身が行います。

さらに、長い年月の間に不動産の所有者が曖昧になることもあります。例えば祖父母の代で隣人と共有していた土地であっても、代替わりに伴って方針が変わることもあるでしょう。

その際に、登記官や筆界調査委員に調査測量を依頼して、依頼人に代わって筆界特定の手続きを行うのも、土地家屋調査士の業務の1つです(筆界特定の代理業務)。

他に、土地の境界をめぐる争いに発展した場合の裁判外紛争解決手続(ADR)の代理業務や、登記簿にまつわる上級行政機関への不服申立ての代理業務(審査請求の代理業務)も、行えます。

他の士業との協業やダブルライセンスでさらに活躍

土地家屋調査士は単独で活動するだけでなく、他の士業やダブルライセンスとして価値を活かすケースが多く見られます。

現在は多くの士業においてワンストップサービスを心がけている事務所も多いです。そのため、土地家屋調査士事務所を始め、測量会社や不動産会社、土木建築会社、司法書士事務所などへの就職にも役立つ資格です。

もちろん独立を視野に入れている人もいますが、司法書士を始めとして他の資格とのダブルライセンスや協業も視野に入れると、収入が安定しやすいでしょう。

信頼度の高い国家資格

土地家屋調査士は社会的責任も大きく、評価も高い資格です。一般市民にとって不動産は大切な財産であり、それを守ることで、周りからの信頼を得やすくなります。

また、様々な業種においてワンストップサービス化が進行する中で、各種行政手続きを個別の士業に依頼するよりも、1つの事務所や会社で全て賄える企業は重宝されます。

たとえ名称そのものに馴染みが薄くても、土地家屋調査士は、縁の下の力持ちのような存在だと言えるでしょう。

独占業務で長く働ける

土地家屋調査士の仕事は、独占業務が含まれています。独占業務は他の士業の有資格者であっても、代替できない資格ですから、それだけライバルの数も減り収入アップのチャンスに恵まれると言えます。

また、現在は世代交代が進み、20~30代など若手の土地家屋調査士の需要が伸びています。現地のフィールドワークなど土地家屋調査士の業務には体力勝負の業務も含まれていますから、若い人でも活躍するチャンスは大いにあると言えるでしょう。

さらに土地家屋調査士の資格を所持していると、国土調査や区画整理など公共事業の業務にも深く携わります

都市計画とこれらの公共事業は密接な関わりがあり、行政機関からの依頼を受けて公共事業の入札に参入できるようになると、地元での信頼度もアップします。

他にも、不動産の表示に関する登記の代理、越境物に関する業務、私道の通行や掘削に関する業務など、活躍の幅は多岐に渡るので、フィールドワークが好きな人にも向いているでしょう。

独立や開業を狙える

多くの土地家屋調査士は自分で個人事務所を構えたり、他の土地家屋調査士と連携して法人の認可を受けたりして、経営者として活躍します。

独立開業すると、企業や事務所に勤務していたときよりも収入アップにつながり、年収1000万円を超える人もいます。

また、親が司法書士事務所を開業している場合は、子供が土地家屋調査士の資格を取得することで事務所としての活動領域が広がり、家族単位での増収になるケースもあります。

ただし、独立開業したての頃は仕事の依頼が来にくかったり、収入が伸び悩んだりする辛い時期もあるかもしれません。景気の影響も受けやすいため、資金計画などはあらかじめ余裕を持ち、入念な準備を心がけましょう。

土地家屋調査士資格は無駄と言われる理由

頬杖をつく女性 ここまで見てきたように、土地家屋調査士には多くのメリットや魅力があります。それにも関わらず、「土地家屋調査士は食えない資格だ」と批判の声がネットで散見されるのはなぜなのでしょうか。

その理由はいくつか考えられますが、そもそも土地家屋調査士の知名度が低いことや、活動の実態があまり知られていないのも原因です

それらのネガティブな噂の根拠について、考察してみましょう。

仕事・収入減との噂

土地家屋調査士の年収は500万円前後と言われており、日本の平均年収と同程度です。士業の中では比較的低いほうでしょう。

また、不動産と縁の深い土地家屋調査士は、景気が停滞・後退の局面で仕事が減少しやすいと言われています。現在はコロナ禍ということもあり、新規案件が受注しにくい状況かもしれません。

さらに、2003年の規制緩和で、法務大臣認可の報酬規定が廃止されました。報酬額の自由化が実現した結果、土地家屋調査士の1件あたりの報酬単価が下がってしまったのです。

その結果、サラリーマンの平均収入と大差がなくなってしまい、士業の中では「意味ない」「役に立たない」などと揶揄されるようになったのです。

業務の需要は常にある

もっとも、不動産登記の需要は常にあります。先に「不景気になると仕事が少なくなる」という話をしましたが、不景気では資金繰りのために、銀行の融資を受ける企業も多いものです。

銀行から融資を受けるための手段の1つとして、融資の担保として土地に抵当権を設定する方法があります。この際には、現在の状況と登記内容が一致していなければならないので、ここが土地家屋調査士の出番です。

また実際の土地家屋調査士の仕事は、どのような場面で活躍するのか把握していない人も多く、一般的な噂と実態には乖離があるという見解もあります。したがって仕事そのものは安定していると言えるでしょう。

最新技術にとって替わられる

土地家屋調査士は、今後AIが発達すると仕事がAIによって代替されると考えている人もいます。土地家屋調査士に限らず、士業の周辺ではそのような悲観的な見方をする人も珍しくありません。

ですが、実際の業務には顧客とのコミュニケーションが不可欠です。例えば土地の測量作業1つとっても、隣接人への挨拶や説明が不可欠であり、AIではそのような場面で細やかなやり取りをするのは、ほぼ不可能でしょう。

よって、業務が完全にAIに代替されるとは考えにくいです。

ただし、図面作成など機械的にできる部分をAIが担当する可能性はあります。そのように機械の特性を理解し、AIとの協業を模索していける土地家屋調査士が、今後活躍するようになるでしょう。

知名度が低い士業の誤解

土地家屋調査士は士業の中でも、かなり知名度が低い資格です。受験生も年間5000人を下回っており、難関資格と言われる司法書士や公認会計士よりも受験生が少ないのが現状です。

さらに、近年では受験生の減少傾向が続いています。

受験年度 受験者数(人) 合格者(人)
平成26年度 4,617 407
平成27年度 4,568 403
平成28年度 4,506 402
平成29年度 4,600 400
平成30年度 4,380 418
令和元年度 4,198 406
令和2年度 3,785 392
令和3年度 3,859 404
令和4年度 4,404 424

ですが、先に述べたように仕事の需要は確実にあります。さらにフィールドワークの比重も高い仕事なので、体力にも自身のある土地家屋調査士は、非常に重宝されるでしょう。

独立開業で多数失敗

土地家屋調査士は初期の投資費用も比較的安価だと言われています。東京都を例にすると、独立には次のような初期投資が必要です。

名目 費用
土地家屋調査士連合会への登録料 25,000円
東京都土地家屋調査士会への入会金(個人の場合) 13,000円
会費 50,000円

同じ士業でも、行政書士の場合は30万円前後の初期費用がかかります。土地家屋調査士は士業の中では初期費用が安く、独立開業に踏み切りやすいと言えるでしょう。

ただし、土地家屋調査士が余っている地域では、仕事が回ってきにくいのも事実です。コネクションがない、事務所の立地が良くないなどの条件が重なると、案件を受注できずに廃業に追い込まれることもあるでしょう。

土地家屋調査士は知名度が低いので、競争率は低めです。それに甘んじることなく、いかに差別化を図れるかが、地域で信頼される土地家屋調査士へのカギとなるでしょう。

自分の営業力やスキル次第では高収入への道筋も見えてくるため、独立開業のやりがいは大きいと言えます。

土地家屋調査士の資格は意味ないのかまとめ

土地家屋調査士の資格の意味や有用性まとめ

  • 土地家屋調査士は不動産取引のトラブルを避ける為に必要な人材である
  • 受験生は減少傾向にあるが、フィールドワークなどもあるので有資格者は重宝されやすい
  • 地域によっては同業者間の競争が激しいが、仕事そのものはやりがいがあり需要が見込める

土地家屋調査士は、令和元年の土地家屋調査士法の改正により「土地の筆界を明らかにする業務の専門家」という文言が追加されました。

巷間で言われるような役に立たない資格どころか、むしろ土地を扱う上でのスペシャリストとしてのニーズが高まってくるでしょう。

土地の実態については、必ずしも登記簿の書面のみで判断できるものではありません。今後、現地に足を運び、国民の大切な財産を守る役割を担える専門家が、土地家屋調査士なのです。

土地家屋調査士の実態については受験者が少ないこともあり、「役に立たない」という根拠のない噂に困惑していた人も多いかもしれません。ですが、その実態を知ることで印象が変わるのではないでしょうか。

今後この資格取得を目指す人は、秋の試験に向けて、資格の有用性に自信を持って臨んでください!

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