測量士補に必要な数学とは?独学可能かや難易度・勉強時間・対策方法まで解説!
「測量士補ってどんな仕事をするの?」
「測量士補試験の数学ってどのくらいの難易度?」
測量士補に興味がある方は、このような疑問を抱くのではないでしょうか。
この記事では「測量士補試験で必要になる数学のレベル」「独学で合格することが可能か」「難易度はどのくらいか」「合格に必要な勉強時間」など、測量士補試験について徹底解説しています。また、測量士補の仕事についてもご紹介します。
測量士補は勉強すれば合格が十分狙える試験です。ぜひ合格を目指しましょう!
測量士補についてざっくり説明すると
- 測量士補は独学での合格が可能
- 測量士補試験の数学は中学・高校レベル
- 測量士補試験に合格するために必要な勉強時間は100~200時間
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測量士補に必要な数学とは?
まず、測量士補試験の数学の勉強法を解説します。また、試験の難易度や出題傾向はどのようなものなのかも合わせてご紹介します。
試験では、簡単な四則演算からピタゴラスの定理、正弦定理など幅広い難易度の問題が出題されています。のちほど、試験で頻出する公式についても解説します。
測量士補数学の試験範囲
測量士補試験で出題される試験範囲は以下の通りです。
- 測量に関する法規
- 多角測量
- 汎地球測位システム測量
- 水準測量
- 地形測量
- 写真測量
- 地図編集
- 応用測量
この中で、難易度が低いのは「測量に関する法規」「地形測量」「地図編集」です。
測量に関する法規は計算問題が出題されません。また「地形測量」は多少計算問題がありますが数学が苦手な方でも解けるレベルの問題です。「地図編集」は、地図記号の知識があり、距離の計算ができれば難しくはありません。)
一方、「水準測量」「写真測量」「応用測量」は難易度が高い科目です。「水準測量」は数学の知識を用いて計算する問題が出題されます。
「写真測量」は、写真測量の経験がないと問題がイメージしにくいため、難易度が高くなっています。「応用測量」は複雑な計算問題が出題されるため、数学が苦手な方は非常に難しく感じるでしょう。
測量士補数学の合格率と難易度
平成23年から令和元年までの測量士補試験の合格率は以下の通りです。
R1 | H30 | H29 | H28 | H27 | H26 | H25 | H24 | H23 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
合格率 | 35.8% | 33.6% | 47.3% | 35.9% | 28.0% | 39.7% | 21.2% | 40.7% | 21.4% |
合格率は年度によって20%から40%超と波があるのが特徴です。
この試験は受験資格がないことから、あまり対策を十分に行っていない受験生も多いと考えられます。
合格率が20%台の年もあることから難関試験という印象を受ける方もいるかもしれませんが、試験対策を行っていない受験者が合格率を下げている可能性があります。
ですから、合格率の数字だけで判断することはできません。測量士補試験は、しっかり試験対策を行うことで合格することが可能な試験です。
中高レベルの数学の公式は必要
測量士補の試験では、中学、高校レベルの数学の知識が必要な問題が多く、基礎的な問題が多い傾向があります。高度な問題はあまり出題されません。
- 中学数学
四則演算、少数、分数を正確に扱えるかが問われます。数学が苦手な方でも、復習すれば思い出して問題が解けるようになるでしょう。
- 高校数学
高校数学の知識のみで解く問題も多いので、高校数学が得意だったという方には有利です。
試験では、正弦定理、余弦定理、三角関数の知識は必須になります。そのため、これらを忘れている方や自信がない方は、高校数学の問題集を解いて勉強をし直す必要があります。
三角関数
三角関数は関数の一つです。sin(サイン)、cos(コサイン)、tan(タンジェント) を用いて、基本的には直角三角形の辺の長さの比を求めるときに使います。
直角が右側になる直角三角形で考えてみます。直角から垂直に伸びる辺をb、底辺をa、斜辺をcとし、辺bとcが交わってできる角をθとしたとき、公式は以下のようになります。
-
sinθ = b/c
-
cosθ = a/c
-
tanθ = b/ a
正弦定理
正弦とは三角比で用いられるsin(サイン)のことを指します。正弦定理とはsinを使い、三角形の角度と辺の長さの関係を表すものです。
三角形の角をA、B、Cとし、それぞれの角に向かい合う辺をa、b、cとします。また、三角形の外接円の半径をRとします。すると、以下の公式が成り立ちます。
- a/sinA=b/sinB=c/sinC=2R
余弦定理
余弦とは三角比で用いられるcosのことであり、余弦定理とは三角形の角度と辺の長さの関係性を表す公式のことです。
三角形の角をA、B、Cとし、それぞれの角に向かい合う辺をa、b、cとすると、以下の公式が成り立ちます。
-
a^2 = b^2 + c^2 – 2bccosA
-
b^2 = a^2 + c^2 – 2accosB
-
c^2 = a^2 + b^2 – 2abcosC
三平方の定理(ピタゴラスの定理)
三平方の定理はピタゴラスの定理とも呼ばれています。これは直角三角形の辺についての関係性を表す公式です。
三角形それぞれの辺について、底辺をa、直角から伸びる辺をb、斜辺をcとすると、以下の公式が成り立ちます。
- c^2=a^2+b^2
仕事で数学が役立つ場面は?
測量士補の仕事内容は、基本的には測量士と同じです。建設現場、土地、道路、河川などのインフラ整備のための測量業務や、紙の地図をデジタル化し、カーナビやWEB地図に取り込めるようにする業務などがあります。
資格としては測量士補は測量士の下位互換とされていますが、仕事内容は測量士とあまり変わりません。数学の知識を発揮できる業務は多々あります。
トータルステーションを使いこなす仕事
現場ではトータルステーションという測量の機械を使って測量を行います。トータルステーションは距離と角度を測れるものです。
トータルステーションは、地点Aと地点Bの間の距離を測ることはできます。しかし、地点Aの真上にある点Aから地点Bまでの斜辺ABの距離を測ることはできません。そこで、三角関数の知識を使い、計算して斜辺ABの距離を出すのです。
小数や分数・累乗・平方根はいつでも使う
測量では、1mの100万分の1の単位であるマイクロメートルという小数点以下のかなり小さい単位までよく扱います。
また、空中から写真測量を行うこともあります。その場合、デジタル航空カメラで撮影しますが、撮影する対象物を指定の画素で撮るためにどのくらいの高度から撮ればよいか、分数を使って計算して割り出します。
その他にも、測量時の計算では累乗や平方根を使って計算することも多いです。測量をする上で基礎的な数学知識は必須なのです。
測量士補数学の対策法
測量士補の数学の勉強法には決まったパターンがあります。その具体的な方法についてご紹介します。
勉強時間は100~200時間が目安
測量士補に合格するためには、100~200時間の勉強時間が必要だとされています。初学者で独学だったとしても、数学の基礎的知識があればこの程度の勉強時間で合格することが可能です。
数学が苦手な方、基本的な公式を忘れてしまったという方は、勉強をし直す必要がありますので200時間を超えるかもしれませんが、独学が不可能というわけではありません。
数学が苦手というわけではない場合、一日2時間くらい勉強時間が取れれば、長くても4ヶ月程度あれば合格を目指せることになります。
基礎固め時期(勉強開始〜2週間)
まず、勉強を開始してから2週間で、中学生レベルの数学を復習し、基礎固めを行います。 中学生のときの教科書や問題集が残っている方はそれを利用して復習をしましょう。
数学の基礎ができていないと、測量士補の問題を解くことが難しくなってしまいますので、最初の時期に基礎についてはしっかり理解しましょう。簡単な計算をスラスラ解けるようになることが大事です。
確率分野と統計分野の攻略(2週間〜2ヶ月目)
勉強開始から2ヶ月目までは、確率分野と統計分野の攻略をしていきます。
この分野では得意不得意によって個人差が出ますが、一般的な勉強時間としては1ヶ月半くらいかけて勉強していきましょう。
高校のときの教科書や問題集が残っている方は、それを利用して勉強すれば十分対応が可能です。
もし捨ててしまった方でも、後ほど紹介する教材を使えば効率的に勉強ができます。
過去問による実践的攻略(2〜4ヶ月目)
勉強を開始して2ヶ月から4ヶ月目は、最後の追い込みとして過去問演習を徹底的に行います。
過去問演習は試験合格のためには大変重要ですので、できるだけ多くの時間を使う必要があります。
早めに過去問にとりかかると自分に何が足りないのかがわかります。わからなかったところを重点的に復習して、よく理解していなかった部分をしっかり理解し苦手分野をなくしていくという方法がおすすめです。
国土地理院から過去問を手に入れよう
測量士補の過去問は、国土地理院のHPから過去5年間分を手にいれることができます。 また、過去問と合わせて解答が掲載されているので、勉強を始める前に解いてみてどのくらい正解できるのか調べたり、試験直前期に実力を試すために解いてみたりするなど、自由に使いましょう。
ただし、冊子などの紙媒体で配られているわけではないため、過去問に取り組みたいときには全て自分で印刷しなければならない手間はあります。
測量士補試験合格のためのおすすめテキスト
ここからは、測量士補試験に合格するためにおすすめのテキストをご紹介します。
テキスト選びが合否を分けますので、自分の数学の知識や測量士補試験の理解度に合わせて適切なテキストを選びましょう。
おすすめテキスト・参考書3選
今回は、多くの測量士補試験のテキスト・参考書の中から、初心者の方でもわかりやすい内容のものをご紹介します。
測量士補合格ナビゲーション基本テキスト
『測量士補合格ナビゲーション基本テキスト』は、最近の試験傾向を踏まえ、合格に必要な知識を掲載しています。丁寧な解説がされているため、初学者で測量の知識がない方でもこの本で勉強に取り組むことができます。
マンガでわかる測量
『マンガでわかる測量 』は、タイトル通りマンガで測量の基礎について解説しています。測量に関しては文章のみではなかなかイメージしにくい場合もありますが、マンガでわかりやすく解説しているため、特に初心者の方におすすめできる本です。
測量士補過去問アタック
『測量士補過去問アタック』は、平成25年から令和4年までの過去10年間分の過去問が解説されています。科目ごとに掲載されているため、科目を復習する際にも便利です。また、よく出題される項目も掲載されているため、効率的な試験勉強に役立ちます。
独学でも合格可能?
結論から言うと、測量士補試験は独学でも合格が可能です。ここからは、独学で合格できる理由について解説していきます。
独学合格が目指せる方
測量士補試験は、中学・高校の数学レベルの問題がほとんどなので、数学が得意な方であれば独学での合格が可能です。
測量士補試験は過去問と同じような内容が出題されることが多いため、テキストの内容をしっかり理解し問題集にも取り組んでいれば、本番でも学んだ内容が出題されることが多いため、高得点が狙えます。
また、過去問は国土地理院のHPから手に入れられますので、過去問演習をしっかりすればより実践的な試験対策ができます。
このように、環境を上手に活用できる方は独学で測量士補に合格することが可能です。
数学が苦手な方は通信講座で対策しよう
数学が苦手な方は、独学をするよりも通信講座を受講することがおすすめです。
数学が苦手な場合、独学をしようとしてもなかなか時間がかかってしまいますが、通信講座ではわかりやすい講義でスムーズに勉強を進めることができます。
おすすめの講座はアガルートの測量士補試験対策講座です。こちらは測量士補試験の数学対策に特化した講座があるため、数学が苦手な方には特におすすめできます。
過去に出題された計算問題をパターン化して、本番の試験で確実に解けるようにわかりやすく解説してくれるため、特に直前期の受講で威力を発揮する講座であるといえるでしょう!
測量士補についてまとめ
測量士補についてまとめ
- 測量士補は、試験でも仕事をする上でも数学の知識が必須となる
- 数学が苦手でなければ独学で十分合格が目指せる
- 数学が苦手な方は通信講座で数学対策をして試験に挑もう
測量士補には数学の知識が必須です。試験に合格するためだけではなく、合格後に仕事をする上でも日常的に数学の知識を使います。
そのため、測量士補は数学が得意な方にはぴったりの仕事です。しかし、数学が苦手な方が合格できないというわけではありません。数学が苦手でも、通信講座などでしっかり対策し知識を身に付ければ合格が目指せます。
測量士補に興味がある方は、ぜひ試験を受けてみてはいかがでしょうか。