TOEICと英検準一級のレベルの違いは?スコア換算や難易度・合格率まで徹底比較
「TOEICと英検準一級のレベルの違いは?」
「英検準一級をTOEICのスコアに換算するとどのくらい?」
などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。
TOEICは全受験者が一律の試験を受けてスコアで英語力が評価される一方、英検には7つの級があり、各級で合否が判定されます。
「大学中級程度」とされる英検準一級はかなりハイレベルだと言えますが、TOEICに比べればどうなのでしょうか。
今回はTOEICと英検準一級のレベルの違いについて、スコア換算や難易度の違い、準一級の合格率などを解説します。
これを読んで、TOEICと英検準一級のどちらを受験するかを決める上での参考にしてください。
TOEICと英検準一級のレベル差についてざっくり説明すると
- 英検準一級はTOEIC740〜870点に相当
- TOEICは就職、英検は入試で役立つ
- リスニングとリーディングのみのTOEICの方が取り組みやすい
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TOEICと英検準一級の基本的な違い
まずはTOEICと英検準一級それぞれの概要を確認しましょう。
TOEIC | 英検準一級 | |
---|---|---|
実施団体 | 一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 | 公益財団法人 日本英語検定協会 |
実施頻度 | 年10回 | 年3回 |
受験料 | 6,490円 | 8,400円 |
上記より、実施頻度と受験料を考えると、TOEICの方がやや受験しやすい試験であると言えるでしょう。
ただし、英検も国内ではかなりメジャーな試験であり、TOEFLやIELTSよりも受験料が安いので、こちらも十分に受験しやすい試験ではあります。
英検準一級は一次・二次に分かれる
TOEIC L&R テストでは、リスニングとリーディングの試験を一気に受験します。
一方で英検準一級の方は、リスニング・リーディング・ライティングのテストが実施される一次試験をパスした者だけが、二次のスピーキングに進めるという方式です。
なお、英検の二次試験は合格率が高いため、一般的には一次試験に合格すれば取得できる試験と言って良いでしょう。
しかし、安心せずに二次試験にもきちんと対策を行うことで、より高いスコアを目指すことができます。
TOEICと英検準一級の難易度を比較
ここからはTOEICと英検準一級の難易度を比較してみましょう。
TOEICと英検のスコア換算表
非公式の情報ではありますが、TOEICのスコアを英検の等級に換算すると、以下のようになると言われています。
TOEIC | 英検 |
---|---|
870~990 | 1級 |
740~870 | 準1級 |
550~740 | 2級 |
450~550 | 準2級 |
290~450 | 3級 |
260~290 | 4級 |
100~260 | 5級 |
上記より、英検準一級はTOEICでいうと740〜870点に相当することがわかります。ただし、両者では試験形式が大きく異なるため、あくまで参考程度に留めてください。
CFERからスコアを比較すると
文部科学省が公表している「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」によると、英検準一級はCFERのB1〜B2に相当し、これは「自立した言語使用者」にあたります。
一方でTOEICの公式サイトの情報を参照すると、CFERのB1〜B2をTOEICのスコアに換算するなら、リスニングは275~490点、リーディングは275~455点という水準です。
ちなみにCFERとは、EU発祥の英語をはじめとするヨーロッパ言語の運用力を評価する国際的な指標のことを指します。
TOEFLと得点を比べると
TOEIC740〜870点と英検準一級をTOEFL iBTのスコアに換算するなら、60〜93点に相当します。
ただし、TOEFLの方がアカデミックな内容に関する出題が多く、TOEICとは違って4技能がバランスよく評価されるので、3つを単純比較することはできません。
GTECとスコアを換算
またTOEIC740〜870点と英検準一級をGTEC CBTに換算するなら、1400点満点中1190~1349点に相当します。
ちなみにGTECとは、ベネッセが実施する英語4技能に関する検定試験です。私立の中高一貫校では幅広く活用されており、英検同様、中学生・高校生の受験者が多いという特徴があります。
英検準一級の合格率は16%程度
2010〜2015年までの英検準一級の合格率は以下の通りです。なお、英検では2016年以降は合格率が公表されていません。
年度 | 合格率 |
---|---|
2015 | 16.0% |
2014 | 15.3% |
2013 | 15.3% |
2012 | 15.1% |
2011 | 14.5% |
2010 | 14.4% |
上記の通り、英検準一級の合格率は16%以下であるため、かなり低いと言えるでしょう。
大学生の英語力と比較すると
英検公式によると、英検準一級は大学中級レベルであるとされています。しかし、実際の大学生はそのレベルに達していないことが多いので、難易度はもう少し高いとも言えるでしょう。
その証拠に、TOEIC公式が公表している「DATA & ANALYSIS 2020」によると、大学生の平均スコアはリスニング256点、リーディング199点の合計455点です。
これは英検準一級に相当する740〜870点とはかなりの乖離があります。
また、大学生のTOEICスコアについては、以下の記事でより詳しく扱っているので、参考にしてください。
英検準一級とTOEICの相関関係
TOEIC公式が公表している「TOEICスコアと英検準1級取得者の関係」によると、英検準一級保持者の平均スコアは732点です。
また割合としては700点台が最も多く、全体の35〜40%程度を占めています。
TOEIC800点と英検準一級
また同データによると、英検準一級保持者の30%程度はTOEICで800点以上を取得しています。
よって英検準一級保持者の中でも英語が得意な部類に入る人なら、800点以上を取得できると言えるでしょう。
しかし、一般的には英検準一級はTOEIC700点台にとどまることが多いので、800点を突破しようと思えばもう一段階英語力をレベルアップさせる必要があります。
英検1級保持者のTOEICスコア
こちらもTOEIC公式が公表している「TOEICスコアと英検1級取得者の関係」によると、英検一級保持者のTOEICの平均スコアは816点です。
また全体の45%程度は895点以上であり、900点を突破する受験者も数多くいます。
よって英検一級の保持者なら、一級取得時点の英語力を維持した上でTOEIC対策をきちんと行えば、普通に900点以上は取得できるでしょう。
英検2級はTOEICで何点?
一方で同じくTOEIC公式が公表する「TOEICスコアと英検2級取得者の関係」を参照すると、英検二級保持者のTOEICの平均スコアは517点です。
英検二級保持者の場合は、400点台と500点台が最も多く、それぞれ全体の30〜35%程度を占めています。それに対し、600点台は全体の15%程度しかいません。
そのため、英検二級保持者がTOEICで600点以上の取得を目指す場合は、TOEICに向けて十分に英語力を伸ばす必要があるでしょう。
英検準2級はどのくらいのレベル?
TOEIC公式が公表する「TOEICスコアと英検準2級取得者の関係」では、英検準2級保持者のTOEICの平均スコアは392点という結果が出ています。
英検準2級保持者の場合は、大半が300点台から500点台までに収まっており、600点以上の取得者は5%未満です。
よって英検準2級の保持者が、TOEICで600点以上を目指す場合は、かなり大掛かりな対策をしなければならないでしょう。
TOEICと英検準一級の試験内容を分析
続いてはTOEICと英検準一級の試験内容の違いを分析していきましょう。
出題される単語の違い
英検準一級のリーディングでは、41問中25問が「短文の語句・空所補充」で、そこでは語彙力がストレートに試されます。
一方でTOEICのリーディングセクションにも、100問中30問の「短文穴埋め問題(パート5)」がありますが、英検ほど直接的に語彙力が試されるわけではありません。
必要語彙数にも違いがある
公式の情報ではありませんが、TOEICと英検それぞれに必要な語彙数は以下の通りです。
単語数 | TOEIC | 英検 |
---|---|---|
13,000 | 1級 | |
10,000 | 900点 | |
8,500 | 800点 | 準1級 |
7,500 | 700点 | |
5,000 | 600点 | 2級 |
4,000 | 500点 | |
3,500 | 400点 | 準2級 |
2,000 | 3級 | |
1,000 | 4級 | |
600 | 5級 |
単語は英検のほうが専門的
TOEICでは日常会話や初歩的なビジネスシーンの会話に関する出題がなされる一方で、英検準一級では科学をはじめとするアカデミックな内容の出題も多いです。
よって登場する英単語の難易度に関しては、TOEICよりも英検準一級の方がやや専門的で難しいと言えるでしょう。
TOEICでは文法が直接問われる
英検準一級には直接的な文法問題はありません。一方でTOEICのパート5では文法知識がストレートに問われます。
パート5は文法事項を知ってさえすれば解けるので、得点源にするべきであり、TOEICを受験する場合は文法問題の重点的な対策が必要です。
しかし、英検準一級でも読解問題やライティングなどでは文法知識が必要なので、いずれにせよ文法の勉強はしなければなりません。
リーディングは解き方が違う
英文を読解する際のスキルとして、スキャニングとスキミングというものがあります。
前者はキーワードなどの重要な言葉を中心に英文を拾い読みすることで、後者は英文をざっと読んで大体の文意を素早く把握することです。
TOEICと英検では、どちらも英文を素早く正確に読解する力が求められますが、TOEICではスキャニングが、英検準一級ではスキミングが特に重要になります。
TOEICでは必要な情報をピンポイントで抜き出すような読解が求められる一方、英検準一級ではパラグラフごとの内容を正確に理解することが必要になるからです。
各リーディングの構成を確認
TOEICと英検準一級のリーディングの構成はそれぞれ以下の通りです。
<TOEIC>
Part・問題 | 出題数 | 形式 | 内容 |
---|---|---|---|
Part5・短文穴埋め問題 | 30問 | 4肢択一 | 不完全な短文を完成させる |
Part6・長文穴埋め問題 | 16問 | 4肢択一 | 不完全な長文を完成させる |
Part7・長文読解問題 | 1つの文書:29問 複数の文書:25問 | 4肢択一 | 様々な文書を読んでそれに関する問題に答える |
※試験時間は75分・問題数は100問
<英検準一級>
形式・課題 | 出題数 | 形式 | 内容 |
---|---|---|---|
短文の語句・空所補充 | 25問 | 4肢選択 | 短文や会話文の文脈に適切な語句を選ぶ |
長文の語句・空所補充 | 6問 | 4肢選択 | 説明文や評論文などのパッセージの内容に適切な語句を選ぶ |
長文の内容・一致選択 | 10問 | 4肢選択 | 説明文や評論文などの内容に関する質問に答える |
※試験時間は90分(ライティング込み)・問題数は41問
リスニングは形式が似ている
リスニングに関しては、TOEICと英検準一級のどちらも選択式で、英文を聞いて質問に答えるという流れも共通しているので、形式としてはよく似ていると言えるでしょう。
しかし、出題内容は若干異なります。TOEICでは日常会話やビジネスシーンでの会話を想定した内容が多いですが、英検準一級では日常生活からアカデミックな話題まで、幅広い出題がなされます。
そのため、英検準一級の対策には多岐にわたるトピックに慣れる必要があり、日常のニュースや文学を英語で読むこともおすすめです。
各リスニングの構成をチェック
TOEICと英検準一級のリスニングの構成はそれぞれ以下の通りです。
<TOEIC>
Part・問題 | 出題数 | 形式 | 内容 |
---|---|---|---|
Part1・写真描写問題 | 6問 | 4肢択一 | 写真の特徴を最も的確に描写する説明文を選ぶ |
Part2・応答問題 | 25問 | 3肢択一 | 質問や文章にふさわしい答えを選ぶ |
Part3・会話問題 | 39問 | 4肢択一 | 2〜3人の会話に関する設問に答える |
Part4・説明文問題 | 30問 | 4肢択一 | ミニトーク(アナウンスやナレーションなど)に関する設問に答える |
※試験時間は約45分・問題数は100問
<英検準一級>
形式・課題 | 出題数 | 形式 | 内容 |
---|---|---|---|
会話の内容・一致選択 | 12問 | 4肢選択 | 会話文の内容についての質問に答える |
文の内容・一致選択 | 12問 | 4肢選択 | 説明文などの内容についての質問に答える |
Real-Life形式の内容・一致選択 | 5問 | 4肢選択 | アナウンスなどの放送内容についての質問に答える |
※試験時間は約30分・問題数は29問
ライティング・スピーキングの存在
英検準一級では一次試験でライティング、二次試験でスピーキングのテストがあるため、合格するには4技能全てのスキルがバランスよく備わってなければなりません。
一方で就活などで活用される最もメジャーなTOEIC L&Rテストでは、テストが実施されるのはリスニングとリーディングのみです。
一般的に日本人はライティングとスピーキングに慣れていないことが多いので、TOEICの方が取り組みやすいと言えるでしょう。
TOEICと英検準一級はどちらを受験すべき?
TOEICと英検準一級はどちらも国内では強い存在感を持ちますが、TOEICは就職・転職で、英検は高校受験・大学受験で活用されることが多いです。
TOEICを受験するメリット
TOEICは企業が新卒採用の際に、英語力を判断する指標として積極活用する試験なので、就職時のアピール材料としては非常に有用だと言えます。
最も一般的なTOEIC L&Rテストはリスニングとリーディングだけであり、日本人にとっては比較的点数を伸ばしやすいという点でも受験はおすすめです。
ちなみにTOEICを主催する国際ビジネスコミュケーション協会が2019年に実施した「英語活用実態調査」によると、49.1%の企業が新卒採用時にTOEICのスコアを要件もしくは参考にしています。
またTOEICを要件・参考にする企業が求める平均スコアは545点です。
英検準一級取得を目指す動機
日本国内においては、英検は非常に強い影響力を持っています。
中学や高校の一般入試では、英検の上位級を取得していることによって試験での加点や英語試験の免除などの優遇が受けられるので、特に受験生にとってはかなり有用です。
また大学入試においても広く活用されており、例えば人気の早稲田大学商学部では、英検もしくはTOEFL iBTの級・スコアが出願要件・加点要件となる一般入試の方式が存在します。
ただし、このように国内では役に立つものの、海外ではほとんど通用しないので注意しましょう。
TOEICと英検準一級の勉強法
ここからはTOEICと英検準一級の勉強法について解説します。
必要な勉強時間を比較
TOEICのスコアを100点を上げるには、200〜300時間の勉強が必要だと言われています。
一方で英検では、英検二級レベルの英語力で準一級の合格を目指すなら、こちらも300時間程度の勉強が必要です。
よってTOEICと英検準一級、どちらを受験する場合でも、それなりの時間は勉強しなければならないということになります。
ちなみに300時間とは、1日3時間勉強したとしても3ヶ月以上かかる計算です。
どちらもアウトプットが大切
TOEICと英検準一級のどちらを受験する場合でも、インプットとアウトプットをバランスよく行う必要があります。
英語学習では単語を覚えたり、文法を学んだりとインプット重視の勉強になりがちですが、英語試験で成功を収めるにはアウトプットも十分に行わなくてはなりません。
よって単語や文法の知識を身に付けた後は、しっかりと問題演習を行って、知識の定着具合を確認しつつ、問題形式も慣れていきましょう。
また問題演習をした後は、間違えた問題やあやふやな箇所を中心によく復習をするべきです。復習によって知識を補強することが得点力アップに直結するので、復習は入念に行いましょう。
短期間で集中して対策しよう
純粋な英語力を高めるための学習なら、じっくりと十分な時間を設けて知識を深めていくべきですが、試験対策に関しては短期間で集中的に行うのがおすすめです。
過去問演習など試験に特化した学習の場合は、試験のためにしか使わない知識やスキル等もたくさんあるので、だらだらと長く続けるのは非効率だと言えます。
そのため、予めきちんと計画を立て、効率よく得点力を磨けるような学習を心がけましょう。
さらに、定期的な自己評価や模擬試験を行うことで、自身の弱点を明確にし、効果的な対策を立てることが可能となります。
英検は過去問が公開されている
英検では公式サイトで過去問が公開されており、英検準一級なら過去3回分の一次試験の過去問と解答をダウンロードすることができます。
また二次のスピーキングに関しても、「問題と解答のサンプル」や「英検バーチャル二次試験 準1級」が利用可能です。
一方でTOEICに関しては、公式サイトでサンプル問題が閲覧できるものの、過去問は公開されていません。
非公式なら過去問や予想問題を閲覧できるサイトもありますが、あまり使い勝手は良くないと言えるでしょう。
知識の習熟度を軽く確認する程度には使えますが、模試形式でシミュレーションを行うには不便です。
TOEICは公式問題集を活用するのがおすすめ
TOEICの公式問題集には、本番の試験を開発しているETSが作った問題が収録されているので、出題傾向を把握したり、問題形式に慣れる上では最適の教材だと言えます。
よってこちらを過去問代わりに活用するのが良いでしょう。
ちなみに最新版は「公式TOEIC Listening & Reading 問題集 6」ですが、こちらにはテスト2回分に相当する計400問が収録されています。
必要に応じて旧版の1〜5も活用すれば、公式問題集だけでも十分なアウトプットができるはずです。
通信講座の利用もおすすめ
特にTOEICの場合、プロの講師から指導を受けられる通信講座が数多く用意されており、そちらを利用することもおすすめです。
通信講座は独学に比べて費用がかかってしまう一方で、効率的にTOEIC対策を行うことができるため、よりスコアアップを狙うことができます。
特に、ベルリッツのTOEICプログラムは、受講者が目指す各スコアレベル(550、650、750点)に応じて、三つの異なるコースを用意しておりおすすめです。
そのため、個々の英語の能力にぴったり合ったクラスを選ぶことが可能になり、過剰に難しい内容や、すでに習得済みの内容を再度勉強することを回避可能です。
このように通信講座を利用して実力にあった教材や学習方法を使用することは、目標スコアを実現するための最も効率的な近道になるでしょう。
TOEICと英検準一級のレベル差まとめ
TOEICと英検準一級のレベル差まとめ
- 準一級保持者のTOEIC平均点は732点
- 単語は英検の方が専門的
- TOEICではストレートに文法知識が問われる
TOEICと英検準一級のレベルの違いについて解説しました。
英検準一級はTOEIC740〜870点に相当すると言われています。また英検準一級保持者のTOEICの平均スコアは732点です。
よって英検準一級はかなりレベルが高いと言えるでしょう。
ただし、英検準一級は主に入試で活用される試験なので、就職や転職に役立てたいならTOEICでのハイスコアを目指すべきです。
なお、TOEICはリスニングとリーディングのテストだけなので、4技能全ての対策が必要な英検準一級よりも取り組みやすいでしょう。
以上を参考に、TOEICと英検準一級のうち、ご自身に合った方を受験してみてください。