TOEICの点数を英検に換算すると?役立つ場面から必要な英語力の違いまで徹底比較
「TOEICと英検ってどっちを受験すればいいの?」
「TOEICのスコアを英検の級に換算するとどのくらい?」
TOEICや英検といった英語の試験に興味がある方や、実際に受験をしている方は、このような疑問を持つのではないでしょうか。
この記事では、TOEICと英検を比較し、それぞれの違いをわかりやすく解説しています。
例えば「TOEICのスコアを英検に換算するとどのくらいの級に相当するのか」「それぞれの資格の役に立つ場面」など、英語学習者が気になるポイントをご紹介します。
TOEICを受験するか英検を受験するか迷っている方は、それぞれの特徴やメリットなどをよく比較して、自分に合った方を受験してみましょう!
TOEICと英検についてざっくり説明すると
- TOEICはビジネス英語がメインだが、英検は級によって日常会話からアカデミックな内容までさまざま出題される
- TOEICと英検を比較すると、TOEICの方が就職・転職活動に有利
- TOEICのスコアを英検に換算すると、正確には換算できないが、おおよそTOEICスコア880~960が英検1級相当になる
TOEICと英検を比較すると
TOEICと英検は、ともに日本でトップクラスの知名度・人気を誇る英語資格です。毎年非常に多くの人が受験しています。
しかし、それぞれの試験の特徴や、必要となる英語能力の違いについてくわしく把握している人は少ないのではないでしょうか。
そこで、TOEICと英検を比較しながら、それぞれの特徴や試験のレベルについて解説していきます。
TOEICと英検の基本情報を確認
TOEICは正式名称を「Test of English for International Communication」といいます。1979年から始まったテストで、スコア式により自分の英語力を測ることができます。
運営はアメリカで英語系資格の権威があるETSという民間団体です。しかし、TOEICが生まれた経緯としては、日本人がETSに作成を依頼して誕生したという背景があります。TOEICは純日本産の英語試験なのです。
一方、英検の正式名称は「実用英語技能検定」です。5級から1級までのレベルがあり、筆記試験である一次試験、面接がある二次試験をパスする必要があります。こちらはスコア式ではなく、合格か不合格かの試験です。
英検は非常に長い歴史があり、TOEFLと同じ1963年に始まりました。
TOEICのスコアを英検に換算すると
TOEIC L&Rテストの点数は英検に換算すると、どの級に相当するでしょうか。
TOEIC L&R | 英検 |
---|---|
880~960 | 1級 |
730~875 | 準1級 |
590~725 | 2級 |
445~495 | 準2級 |
270~310 | 3級 |
英検は級ごとに分かれているテストであり、級によって難易度がかなり違います。この表を見ると、3級、2級、1級に相当するTOEICのスコアはそれぞれ全く違うことがわかるでしょう。
英検とTOEICは性質が異なる試験であるため、TOEICと英検の点数をそれぞれ正確に換算することはできません。
例えば、英検の準1級合格レベルに相当するとされるTOEICの点数は730点~875点ですが、TOEICの730点と875点では必要となる英語力のレベルは全く違います。ですから、単純に英検とTOEICを比べて点数を換算することはできないのです。
そのため、こちらの表は参考程度に見るようにしてください。
英検1級取得者のTOEICスコア
少し古いデータではありますが、2001年9月23日に行われた第86回TOEIC公開テストの受験者で、英検1級を取得していた人の得点分布は以下のようになっていました。
- 総受験者数:157名
- 平均スコア:816
点数 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
895~ | 71人 | 45.2% |
845~ | 29人 | 18.5% |
795~ | 17人 | 10.8% |
745~ | 8人 | 5.1% |
695~ | 3人 | 1.9% |
645~ | 6人 | 3.8% |
595~ | 3人 | 1.9% |
545~ | 2人 | 1.3% |
495~ | 3人 | 1.9% |
445~ | 3人 | 1.9% |
395~ | 4人 | 2.5% |
345~ | 5人 | 3.2% |
295~ | 3人 | 1.9% |
このように、英検1級取得者の45%以上がTOEIC895点以上という非常に高いスコアを上げていました。英検1級の難易度が非常に高いことがわかります。
英検2級取得者のTOEICスコア
また、同様のデータでは、英検2級取得者のTOEIC得点分布は以下のようになっていました。
- 総受験者数:4,390名
- 平均スコア:517
点数 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
895~ | 5人 | 0.1% |
845~ | 20人 | 0.5% |
795~ | 30人 | 0.7% |
745~ | 60人 | 1.4% |
695~ | 160人 | 3.6% |
645~ | 260人 | 5.9% |
595~ | 470人 | 10.7% |
545~ | 670人 | 15.3% |
495~ | 790人 | 18.0% |
445~ | 850人 | 19.4% |
395~ | 600人 | 13.7% |
345~ | 320人 | 7.3% |
295~ | 120人 | 2.7% |
245~ | 30人 | 0.7% |
195~ | 5人 | 0.1% |
英検2級合格者の場合、TOEICのスコアは445点~495点が最も大きなボリュームゾーンになっています。このスコアは中級者のレベルです。
英検1級取得者の場合、45%以上がTOEIC895点以上を取得していたことを考えると、英検2級、英検準1級、英検1級のそれぞれの難易度には大きな差があることがわかります。
TOEICと英検の試験内容の違い
TOEICと英検の試験内容について違いをまとめました。
- 試験科目
英検:筆記・リスニング・面接試験
TOEIC:リスニング・リーディング
- 制限時間
英検:筆記75分・リスニング25分・面接試験7分(2級)
TOEIC:リスニング45分・リーディング75分
- 問題数
英検:一次筆記試験
英検2級…75問 英検準1級…71問 英検1級…69問
TOEIC:200問
- 解答形式
英検:英検2級…マークシート 英検準1級、英検1級…マークシートと記述問題
TOEIC:マークシート
英検の場合、準1級から記述問題があり、難易度が高くなります。
一方、TOEICは2時間で200問を解くという厳しい時間設定であるという点で難易度が高くなっています。
この他にも、両者の試験内容にはさまざまな違いがあります。
レベル別に単語が出題されるか
TOEICは英検とは違い、レベル別に受験することができません。初心者から上級者まで同じ問題を解かなければならないため、ある程度の単語力がないと知らない単語ばかり出てくるため、手も足も出ない状態になってしまいます。
一方、英検は級ごとに試験があり、自分のレベルに合った問題を解くことができます。級に合った単語が多く出てくるため問題が非常に解きやすくなっています。
英検は初心者からステップアップしていく対策が立てやすい試験です。
文法問題が独立して存在するか
TOEICでは、Part5で文法問題が出題されるため、リスニング・リーディングのための文法学習だけではなく、Part5自体の文法対策もしなければなりません。
一方、英検では文法問題専門のセクション自体はありません。 このように、TOEICと英検では文法問題のセクションがあるかないかという違いもあります。
しかし、だからといって英検で文法対策をしなくてもよいというわけではなく、文法の知識がないと長文読解などの際に問題が解けなくなってしまいますので、英検を受ける方は文法もしっかり勉強しましょう。
必要となるリーディング能力が異なる
TOEICと英検では、必要となるリーディングの能力も異なります。
TOEICは2時間で200問を解くというハードな時間制限があります。そのため、長文の文章を素早く読む速読力や、答えのカギとなる部分を把握する情報処理能力が問われます。
英検もある程度は速読力が必要ですが、じっくり読んで文や問題の意味を理解する精読力の方がより求められます。
TOEICを受ける方は速読力、情報処理能力、英検を受ける方は精読力を伸ばしましょう。
リスニングの出題形式が違う
TOEICで出題されるリスニングは、日常生活でよくみられる場面が想定されています。例えば、会社での社員同士の会話、留守電のメッセージ、駅のアナウンスなどです。
一方、英検はさまざまな分野が出題されます。級によって、天気の話などの日常会話から環境問題などのアカデミックな話題まで、実に幅広い内容が出題されます。
TOEICは、ビジネスシーンや日常会話での英語力が問われるため、リスニングでは日常での会話がテーマになっています。一方、英検は級によって求められる英語レベルが違うため、英検2級や英検1級など上級になるとリスニングではアカデミックな内容になるのです。
英検にはスピーキングの試験も
TOEIC L&Rテストではスピーキングが含まれていません。スピーキングのテストは、TOEIC Speakingテスト、TOEIC S&Wテストという別のテストで行われています。
英検では、二次試験で英語での面接があり、その際に面接官からスピーキング能力を評価されます。 そのため、英検ではより実践的な英語能力が必要となります。
ただし、英検3級レベルでは「二次試験ではほとんど落ちない」ともされています。二次試験は、大きな関門となるケースは少ないと言えるでしょう。ただし、英検2級くらいから二次試験で落ちてしまったという方が出てきてしまうため、二次試験対策が全く必要ないということではありません。
TOEICと英検の対象受験者の違い
TOEICと英検では試験に出題される内容が大きく異なります。そのため、試験の対象者や、求められる英語能力にも大きな違いがあります。
TOEICは社会人・大学生が対象者
TOEICは、公式サイトに記載があるように、グローバルビジネスにおける英語の活用を目標としています。そのため、リスニングやリーディングの題材ではビジネスがテーマになっていることがよくあり、ビジネスに関する英単語が頻出することが特徴です。
ビジネスにおける英語活用能力を測るテストであるため、TOEICスコアを採用選考時の重要な要素としている企業は多くなっています。また、昇進や海外への出向などで適切な人材を選ぶ際にも、TOEICスコアを参考にする企業は増えています。
そのため、TOEICを受ける主な受験者は、現在ビジネスシーンで活躍している会社員や、就職活動でTOEICスコアを活かしたいと考えている大学生となっています。
英検の対象者は多岐にわたる
英検は、英語の4技能「聞く」「読む」「話す」「書く」の能力を測る試験となっています。英検はこの4技能の能力をそれぞれの級で中学生レベルから大学生レベルまで測ることができる試験です。
TOEICの場合はビジネス英語がメインであるため、対象者は社会人や大学生です。
しかし、英検の場合は中学生レベルの級からあるため、実際に小学生も受験しています。小学生から大人まで幅広い方が受けられる試験で、TOEICよりも対象者が広い試験であると言えます。
TOEICと英検の試験対策方法の違い
TOEICと英検は求められる英語能力が違うため、試験の対策方法も異なります。
ここからは、TOEICと英検ではそれぞれどのような勉強法が効果的なのかご紹介します。
TOEICはビジネス英語の対策が必要
TOEICは英検とは違い、ビジネスシーンの英語に特化しているため、ビジネスに関する単語やフレーズを中心に暗記する必要があります。
このように、TOEICではビジネス英語がメインになっていることから、テストに出てくる単語・文法・フレーズはTOEIC特有の傾向が出やすくなっています。
そのため、TOEIC対策をするときには、一般の英単語帳や英文法の本ではなく、TOEIC対策専用のテキストや英単語帳などを利用するのがおすすめです。
英検は日常的な英語の対策が中心
英検の対策としては、日常的な英語を学ぶのが中心ですが、級によってはある分野に特化したアカデミックな内容についても出題されます。
そのため、出題される単語全てを網羅するのは不可能であり、出題されるであろう全ての単語を暗記しようとすることは諦めた方がよいと思われます。
英検の場合は、単語を暗記するのではなく、単語の意味を推測する練習に力を入れた方がよいでしょう。
一方で、TOEICでビジネス英語に特化した勉強をしなければならないのとは違い、英検ではある分野のみが出題されるわけではないことから、比較的一般的な英語が使用されています。そのため、大学入学用のテキスト、英単語帳でもある程度の対策は行えます。
TOEICと英検はどっちを受験すべき?
TOEICと英検は異なる特徴がある試験ですが、どっちを優先的に受験するべきなのでしょうか。それぞれの試験に合格するメリットとともに解説をしていきます。
TOEICはより権威がある
先に述べたように、TOEICは英語検定に関して高い権威を誇っているETSが行っている試験であるため、権威に関してはTOEICの方が英検よりも圧倒的にあります。
英検もTOEIC同様、上級者の場合は非常に高い英語力を身に付けられますが、英検は公益財団法人 日本英語検定協会が主催している日本独自の資格であることから、海外では全く通用しないというデメリットがあります。
そのため、外資系企業に就職・転職をしたいときには、英検を取得していてもあまり効果がありません。
TOEICと英検の有効期限
英検は試験に合格することで取得できる資格であるため、有効期限はありません。取得すると生涯有効になります。
しかし、例えば大学入試に利用する際には「取得してから2年以内」など条件が設けられている場合もあります。
また、留学の出願時に英語力の証明として英検を使いたいときも、期限は合格証明書が発行されてから2年になっていますので注意が必要です。
TOEICの場合、スコアに有効期限はありません。ただし、就職活動などでスコアの提出が求められる場合、取得時期の指定がある場合があります。
また、公開テスト(個人受験)の場合、公式認定証の再発行は試験日から2年以内という決まりになっています。
IPテスト(団体受験)のスコアレポートの再発行は、受験した年の翌年度の4月1日から2年間です。
実際に英語が使えるようになるのはどっち?
英検では英作文を書く問題が出題されます。また、先に述べたように、英検はTOEICとは違い、二次試験で英語のみの面接が行われ、スピーキング能力が問われます。そのため、英検合格者の方が、実際に英語を用いる能力は高くなると考えられます。
一方、TOEICは「ビジネスシーンでの日常的な会話」に特化した問題が多く出題されるため、TOEICを受けることによってビジネス英語が身に付きます。
そのため、ビジネスシーンでの英語の利用の場合、両者で得られる英語力には大きな違いはないと言えるでしょう。
就職・転職活動にはTOEICが有利
TOEICは権威があり、英検よりも企業にアピールしやすい点がメリットです。就職・転職活動の前に受験をすることがおすすめできます。
ただし、就職・転職において英語力が評価されるのは、スコアが600点以上の場合です。600点以下である場合、逆に英語力がないとみなされ、マイナスの評価をされてしまう可能性があります。
TOEIC初心者の方は、まずは600点を超えることを目標にして勉強しましょう。
大学受験対策なら英検がおすすめ
英検のメリット・デメリットをまとめると、権威はありませんが失効期限はないということが言えます。
英検の問題の出題形式は大学の入試と似ている部分があるため、英検は大学受験を見据えて受験することがおすすめです。
さらに、私立大学を中心に、入試の際に英検を利用することもできます。取得している級に応じて英語の点数が加算されたり、英語の試験が免除されたりするなどのメリットがあるため、特に高校生は英検を取得しておくことがおすすめです。
TOEICや英検以外にも英語資格は多数
TOEICと英検以外にも英語検定試験は複数あります。ここでは、TOEICと英検以外の代表的な英語検定試験である「TOEFL」と「IELTS」について、試験の特徴や得られるメリットなどを解説します。
TOEFLはアカデミックで難易度が高い
TOEFL(トーフル)は英語圏の大学や大学院に留学するための英語力を判定する試験です。リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4技能の能力が試されます。
TOEFLのスコアは、特にアメリカの大学・大学院で留学を希望する場合、出願時に提出する必要があります。
試験はパソコンとマイクが付いたヘッドセットを使って受験します。スピーキングはマイクに向かって話し、ライティングなどの解答はタイピングをして画面に入力する形式です。
出題される内容は、海外の大学の講義で使用されるようなアカデミックな内容が多いため、難易度が高いという特徴があります。
IELTSは留学・移住で有効な英語資格
IELTS(アイエルツ)は、海外移住や留学ができる英語力を証明するための試験です。TOEFLと同じく、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4技能の能力が試されます。
特にイギリスではIELTSは重要視されており、移住を希望する際には受験が必須です。また、オーストラリア、カナダなどに移住する際にもスコアを利用することができます。
また、留学する際にもIELTSのスコアはさまざまな国で通用します。特に、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドに留学する際はIELTSの受験が必須です。IELTSは、TOEFLと同じように、海外の大学・大学院への進学には重要な試験なのです。
TOEICと英検についてまとめ
TOEICと英検についてまとめ
- TOEICで受験者が多いTOEIC L&Rテストではスピーキングがないが、英検では二次試験で英語の面接があり、スピーキング能力が試される
- TOEICは社会人・大学生が対象だが、英検は受験対象者が子供から大人まで幅広い
- TOEICは権威があり外資系企業でも通用するが、英検は日本の資格であるため海外では知られていない
TOEICはビジネスで使われる英語力を測る試験であり、就職や転職で英語力をアピールできる試験です。
英検も英語力を測る試験ですが、日常会話からアカデミックな内容までさまざまな内容が出題されます。また、どちらかというと大学入試に利用するなど、大学受験対策におすすめの試験です。
英語力を伸ばすためには両方の試験が有効です。どのような英語力を伸ばしたいかで、受ける試験を決めましょう。