ITコーディネータは役に立たない資格?難易度や合格率・費用の実態まで徹底解説!

「ITコーディネーターの資格は将来役に立つの?」

「ITコーディネーターの資格は意味がない聞くけれど本当なの?」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ITコーディネーターの資格は役に立たないという噂が一部で広がっています。資格取得を目指す人にとっては不安になる噂と言えます。

そこで、ITコーディネーター資格の現状について解説します。役に立たないと言われる理由や魅力についても紹介しますので、参考にしてください。

ITコーディネータについてざっくり説明すると

  • 役に立たないと言われる理由は独占業務ではないから
  • 資格の難易度はそれなりに高く、合格率もあまり高くない
  • 資格のメリットは豊富にある

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ITコーディネータ資格は役に立たない?

黒板に書かれたはてなマーク

ITコーディネーターは経営に役立つITを活用するための知識を持った人たちです。ITにおける専門的な知識をフルに活かし、経営者の立場に立ったアドバイスや支援を行うことができます。

ITコーディネータは、経済産業省(以前は通商産業省)が、国家プロジェクトの一環として設けた資格制度です。コンピュータが主流となりつつある中で、ITに関する専門的な知識を持った人材を育成することを目的としています。

試験は年1回実施され、毎回250名程度が受験します。合格率は50~70%です。低い時は合格率が50%を切ることもあります。合格率にはかなりの差がありますが、平均して150名程度が合格するというのが現状です。

合格率は年度によって開きがありますが、難易度はそれなりに高い試験です。軽い気持ちで受験しても、合格できないということもあるので、しっかりした試験対策が必要です。

現在、6500名ほどのITコーディネータがさまざまな業界で活躍しています。毎年150名程度の合格者が出ているわりに、活躍している人の人数は少ないと感じるかもしれません。

これは、一部でITコーディネータの資格は役に立たないと言われているからでしょう。なぜそのような噂が流れているのでしょうか。その原因について解説します。

独占業務はない

ITコーディネータは、独占業務を持たない資格です。税理士や宅建士のような他の国家資格は独占業務となっているため、資格がなければその仕事に従事することは不可能です。

ITコーディネータの仕事は独占業務がありません。言い換えるなら、ITコーディネータの資格がなくても、その仕事に従事することができるということです。

資格がなくても従事することができるのなら、多くの人がITコーディネータの仕事を行うことになります。当然、競争率は高くなり、仕事の取り合いになることは容易に予想できます。そのため、役に立たないと言われるのです。

しかし、実際にはITの専門的な知識がなければ、仕事に活用することはできません。また、ITコーディネータはITの知識だけではなく、経営者としての知識も有しています。この二つの知識がある人材は決して多くありません。

IT経営のコンサルティング業務は、独占業務ではありません。ただ、実際の現場ではITコーディネータとしての知識がなければアドバイスできないことが多いため、知識を得るという点で資格は必要になります。

資格があっても職を得にくい

ITコーディネータの資格が役に立たないと言われる理由として、独立しにくいという点が挙げられます。多くの資格は独立開業した場合、資格そのものが強みになります。

ITコーディネータの資格の場合は、それだけではお金にならないことが多いというのが現状です。独立開業を目指すのなら、他に強みとなる資格を取得した方が良いということです。

例えば、中小企業診断士の資格を併せ持っている人が多くいます。中小企業診断士は、コンサルタントとして活躍する場合、大きな強みとなる資格です。

ITコーディネータと一緒に持っておくことで、中小企業診断士の資格をメインにして仕事をすることが可能です。ITの専門的な知識も駆使しながら、多くの経営者にアドバイスを行うことができるでしょう。

SEとの違いはあるの?

ITコーディネータと混同される資格にSEが挙げられます。SEとはシステムエンジニアのことですが、ITコーディネータと具体的にどのように異なるのかわからない、という人は一定数存在します。

SEは簡単に言えば、情報システムの開発や運営を行う技術者のことです。ITコーディネータがアドバイスだけに留まるのに対し、SEは具体的なシステム構築なども行います。

SEは技術者ですが、実際にはクライアントとの話し合いも行います。クライアントがどのようなシステムを求めているのかわからなければ、システム構築はできないからです。

しかし、SEのすべてがシステム構築の作業に携わっているとは限りません。一部のプログラム設計だけに関与する人もいます。ただ、この場合もクライアントと打ち合わせをした上で作業を行うのが前提です。

SEはプログラミングができるのに対し、ITコーディネータは知識はあるけれど実際のプログラミングはできないという人も多く存在します。これが大きな違いです。

同じ相談をするのなら、アドバイスと並行してプログラミングの構築もお願いしたいという人は一定数存在します。

すると、SEを頼る人が多くなるので、ITコーディネータ資格は役に立たないと言われるのです。

資格としての地位が確立していない

ITコーディネータは、年間受験者が300名前後で、資格取得者もあまり多くはありません。

そのため認知度が低く、ITコンサルタントやITエンジニアと混同されることも多いでしょう。

また、ITコーディネータ試験は、ITコンサルタントやシステム企画業務向けの知識を問う資格試験ですが、同様の業務を扱う、情報処理技術者試験のITストラテジスト資格があります。

こうした要因も、ITコーディネータが役に立たないという印象を受ける理由の一つです。

実際のITコーディネータのメリットはある?

握手をする二人

ITコーディネータが役に立たないと言われる理由について紹介してきました。これだけ見ると、ITコーディネータ資格にメリットはないのかと思う人もいるでしょう。

しかし、ITコーディネータの資格にも取得しておくとメリットがあります。だから現在も受験者数がいるのです。具体的なメリットについて解説します。

戦略的に考えることができる

ITコーディネータは資格を取得しただけでは認められません。ITコーディネータ協会が主催する研修を受講後、ITコーディネータとして認められます。

ITコーディネータ協会が主催する研修の主な内容は、戦略的思考です。経営を行う上で重要なのは、目標やターゲットを定めることです。ターゲティングの行い方を重点的に研修で学びます。

ITコーディネータの役割はITの知識を活用しながら、経営戦略も同時に提案していくことです。この二つをつなげる架け橋としての役割を担っています。同時に二つのことを学ぶことができるのは大きなメリットと言えるでしょう。

実践的な知識を学べる

ITコーディネータでは、経営コンサルタントとしてのビジネススキルや知識を学ぶことが可能です。具体的な内容としては、販売やマーケティング、会計や財務などが挙げられます。

経営を行っていく上で、マーケティングも財務関連もどちらも外すことができない知識です。これらの二つがなければ、経営は成り立たないと言っても過言ではありません。

ITコーディネータの顧客ターゲットは経営者です。ITの知識だけではなく、経営者として重要なビジネススキルや知識も必要不可欠になります。

経営者として必要不可欠な知識やスキルは、自分自身の仕事でも大いに役立ちます。学んだ知識を自分自身の仕事に活かすことができるのです。自分で経験したことは、クライアントにアドバイスとして活用できます。

実体験に基づいたアドバイスほど、経営者にとってありがたいものはないでしょう。さらにそこにITの知識というものも加わることで、現代社会に根付いた経営戦略の提案ができるのも大きなメリットと言えます。

自分自身のビジネスにも直結した知識やスキルが得られるという点は、クライアント獲得の大きな強みにもなります。その経験をクライアント向けへの提案に変換することで、幅広い年代や業界で活躍できるでしょう。

AI社会でも需要はある?

近年、AI社会の発展が注目されています。多くの事務作業はAI化され、人が携わる仕事の量や範囲は狭まっていくかもしれない、という不安を抱えている業界も数多く存在します。

ITコーディネータの仕事は事務作業ではありません。クライアントと話し合い、必要としているアドバイスや提案を行っていく必要があります。この作業の中では、通り一遍では解決できない問題も数多く含まれます。

AIは一人ひとりに対したきめ細やかな提案を行うということは、まだまだ難しいというのが現状です。個人が抱えている悩みや問題に対応するには、やはり人間の力が必要なのです。

ITコーディネータは、経営者の抱えるさまざまな問題や悩みと向き合い、ITの知識を取り入れながら解決策を模索して提案します。相手の感情や意図を汲み取ることも必要なので、AI化が進んでも仕事が奪われることはないでしょう。

むしろ、AI化が進めばITの知識はより一層必要とされます。経営にITを取り入れるということは、一筋縄ではいきません。むしろAI化が進めばITコーディネータの仕事は増えるかもしれません。

デメリットは?

悲しそうな表情の犬

ITコーディネータ資格のメリットについて解説してきました。どのようなことでも言えますが、メリットがあれば当然デメリットも存在します。それは、ITコーディネータも同様です。

次に、ITコーディネータのデメリットについて紹介します。詳しい内容などについても解説しますので、資格取得の際の参考にしてください。

研修含め費用が高い

ITコーディネータ資格の最大のデメリットは、研修を含めた費用が大変高いという点です。ITコーディネータは、国家プロジェクトの一環として開始された資格です。しかし、資格そのものは民間資格であり、費用がかなり掛かります。

ITコーディネータの資格は取得したら、すぐにITコーディネータとして認められるというわけではありません。ITコーディネータ協会が主催する研修を受講する必要があります。

ITコーディネータ協会が主催する研修費用は20万円かかります。また、その後に修了試験を受験することになるのですが、その試験の費用は1回2万円ほど必要です。

ITコーディネータ協会が主催する研修を受け、試験に合格すれば晴れてITコーディネータとして認められます。しかし、資格認定は永遠ではありません。研修を受講し、試験に合格した後にも更なる研修が待っています。

資格認定後に受講する研修はフォローアップ研修と呼ばれており、ITコーディネータ協会が主催しています。このフォローアップ研修は資格認定後3年以内に受講することが義務付けられています。

なお、フォローアップ研修にかかる費用は1回3万円となっています。さらに研修は合計3回受講する必要があるため、費用は合計9万円かかる計算です。

ITコーディネータにかかる費用はこれだけではありません。ITコーディネータ協会に所属し、毎年資格更新として2万円の費用を支払います

ITコーディネータの資格は取得だけではなく、認定や維持にも多くの費用が必要です。仕事で資格を活かせていない場合、損だと感じることもあるでしょう。

それなりの難易度だが就職に役立たない

ITコーディネータ資格の合格率は、毎年50~70%ほどと言われています。合格率にはかなり開きがありますが、簡単に得られる資格と言うわけではありません。合格するには、しっかりした準備が必要です。

しかし、ITコーディネータとして採用する会社はあまり多くありません。ほとんどないと言っても過言ではないでしょう。就職や転職をする際、ITコーディネータ資格だけを武器にすることは難しいと言わざるを得ません。

ITコーディネータの資格取得を狙うのなら、社会人になってからがおすすめです。ある程度仕事を覚えて経験を積んだ後、スキルアップのつもりで取得を目指すと良いでしょう。

ただし、スキルアップとしてITコーディネータの資格を取得しても、それだけで武器になることはほぼありません。他の資格も併用して取得することをおすすめします。

食えないと言われているけど実際は?

星を指さす人

ITコーディネータの資格保持者の中にも「取得しても意味がない」という人は一定数存在します。ただ実際には、仕事での業績アップや知識を活かした移動などの経験を得ていることもあります。

ITコーディネータは独占業務ではないため、独立する人は大変少ないというのが現状です。仮に独立したとしても、ITコーディネータ資格だけを武器にして仕事を獲得するのは難しいでしょう。

しかし、IT化が進んでいる現代社会において、ITコーディネータ資格がまったく役に立たない資格であるとは言えません。現実には、ITコーディネータの知識やスキルを活かして活躍している人たちも存在します。

ITコーディネータの資格が役に立たないと言われるのは、資格そのものが目立たないからです。実際にはさまざまな業界で活躍している人います。どちらかと言うと縁の下の力持ち的な資格と言えるでしょう。

ITコーディネータについてまとめ

ITコーディネータについてまとめ

  • ITコーディネータ資格だけを武器にすることは難しい
  • 資格の認定や維持には多くの費用がかかる
  • ITコーディネータは縁の下の力持ちのような資格

ITコーディネータについて解説してきました。ITコーディネータが役に立たないと言われるのは、資格そのものが目立たないからです。実際には、さまざまな業界や現場で知識やスキルが役に立っています。

活躍がわかりにくい資格ではありますが、IT化が進む現代においては必要不可欠な知識やスキルです。今後、仕事がなくなるという心配もないと考えられますから、ぜひ取得を目指してみてください。

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