XMLマスターってどんな資格?ベーシック・プロフェッショナルの難易度まで解説!
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「XMLマスターってどんな資格?」
「XMLマスターの難易度・勉強時間は?初心者でも取れる?」
XMLマスターはXMLの理解力や活用力が問われる試験です。ベンダーニュートラルな資格なので、客観的な技術力を証明できます。
ここではXMLマスターについて紹介します。XMLは多くの技術で使用されていますが、専門的な技術者の数は少なく、貴重な資格です。取得することで技術者としてスキルアップができ、仕事でも有利になるでしょう。
XMLマスターについてざっくり説明すると
- ベーシックとプロフェッショナル(アプリケーション・データベース)の3つに分かれている
- 得点率の合格ラインはベーシックで70%、プロフェッショナルで80%
- 合格率はおよそ60%
- CBT方式なので、いつでも気が向いたときに受験できる
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XMLマスターってどんな資格?
XMLマスターは1万人以上の取得者のいる注目の資格
XMLマスターとはXMLとその関連技術についての理解や技術力を測る認定制度です。民間資格ですが、特定の製品に依存しないベンダーニュートラルな資格です。
XMLマスター認定試験は受験者の技術力向上や技術者人口の維持・増加などを目的としています。XML技術者がより優れた技術を身に着けることで、XMLの満足度を高める狙いで作られました。
XMLマスターが発足したのは2001年10月のことです。この20年間で1万人以上の受験者がいる人気資格です。XMLはアプリケーションの開発などでも需要があるため、今後もさらに伸びていくことが予想されています。
主催団体はXML技術者推進委員会
XMLマスターはXML技術者推進委員会が主催しています。委員会はNECや日本IBM、富士通など複数の団体や法人によって運営されています。
XMLマスターには次のような3つの理念があります。
- 「常に時代が必要とする技術者認定」であり続けること
- 「実践的なSEの育成」に役立つこと
- 「真の実力の判定となる試験である」ことを理念としていること
このポリシーを守るために、委員会は複数の法人・団体から構成されているのです。そのため、単一の企業が実施している資格よりは客観性や公平性が担保されており、信頼性が高いと言えるでしょう。
そもそもXMLとは?
そもそもXMLとは「eXtensible Markup Language」の略称です。日本語に訳すと「拡張可能なマークアップ言語」となります。
XMLは特定の企業が提供している技術ではありません。W3C(World Wide Web Consortatium)という国際的な組織によって決定されているオープンな規格です。W3Cが提供しているその他の規格にはHTMLなどがあります。
XMLの主な役割はデータの保存や交換などです。XMLを利用することで異なるソフトウェア間の通信・情報交換が可能になります。また、様々な種類のデータを保存するためのファイルフォーマットなどの定義に使用されることもあります。
XMLマスターの難易度
XMLマスター試験には次の3つの区分があります。
- ベーシック試験
- プロフェッショナル試験(アプリケーション開発)
- プロフェッショナル試験(データベース)
ベーシック試験はIT資格としてはやや簡単な試験です。それに対してプロフェッショナル試験は難しめの資格と言われています。
ベーシックとプロフェッショナルの2段階なので、難易度も近いように思えます。しかし、実は難易度の差が大きいので受験する際には注意しましょう。
試験範囲と出題形式をチェックしよう
ベーシック試験
ベーシック試験は50問出題されます。合格基準は70%なので、35問以上の正解で合格となります。試験時間は60分です。1問あたり1分程度の時間で解答しなければならないので、時間との勝負となります。
試験範囲は次の6つです。ベーシックでは基礎的な内容しか出題されないので、高度な内容や応用までは必要ありません。定義や記述方法など中心に覚えておきましょう。
サンプル問題が公式webページで公開されています。興味のある人はあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
- XML概要
- XML文書の作成
- DTD
- XML schema
- XSLT, XPath
- 名前空間
プロフェッショナル(アプリケーション開発)試験
アプリケーション開発分野のプロフェッショナル試験では40問出題されます。合格基準はベーシックより高く、80%となっています。単純計算で32問以上の正解が必要と言えます。試験時間は90分あります。1問に2分はかけられます。
試験範囲は以下の6つです。XMLデータを処理するためのアプリケーション開発やシステム構築などの問題が中心です。
- DOM/SAX
- DOM/SAXプログラミング
- XSLT
- XML schema
- XML処理システム構築技法
- XML要素技術の活用
プロフェッショナル(データベース)試験
データベース分野のプロフェッショナル試験では30問程度出題されます。30問程度とされているので、ある程度の増減が予想されます。合格基準点はアプリケーション開発と同じく80%です。試験時間も90分で共通しています。
試験範囲は以下の4つに分かれています。XMLデータをリレーショナル・データベースやXMLネイティブデータベースに格納したり管理・操作したりする技術が問われます。
- XMLデータのDB化に関する概要
- XQuery、Xpath式
- XMLDBの操作
- XMLデータ構造の設計
ベーシックの合格率は60%前後と推定
XMLマスターの合格率は公表されていません。受験者の報告などからある程度の予想はされています。ベーシック試験でおおよそ55から65%、プロフェッショナル試験では50%を下回ると言われています。
また、プロフェッショナル試験はそもそも難易度の高い試験です。合格率に関わらず、しっかりと対策することが望ましいでしょう。
合格ラインは7割以上の得点
ベーシック試験の合格基準点は70%以上です。そして、プロフェッショナル試験の合格基準点はアプリケーション開発・データベースどちらも80%以上の得点とされています。
ベーシック試験は問題数が多いので多少間違えても合格できる可能性がありますが、プロフェッショナル試験は問題数が少ないので一問のミスが命取りです。正確な解答を心がけましょう。
プロフェッショナル合格に必要な勉強時間は100時間以上が目安
XMLマスターではXMLの実用的な知識と能力が問われます。そのため、合格までに必要な勉強時間も実務経験や学習量によって変わってきます。
ベーシック試験では40時間から60時間程度の勉強が必要であると言われています。毎日平均2時間程度の勉強なら早い人で2週間程度、じっくりやっても1か月あれば手が届く計算です。
また、プロフェッショナルではさらに100時間以上の勉強が必要です。同じようなペースで勉強したとしても、3ヶ月ほどかかってしまうことを覚悟しておきましょう。
難易度を偏差値で表すとベーシック45・プロフェッショナル65
XMLマスター試験の難易度を偏差値で表すと、ベーシック試験は45前後、プロフェッショナル試験はアプリケーション開発試験・データベース試験ともに65前後と言われています。
参考までに偏差値の近いIT資格を紹介すると、ベーシックはITパスポート、Javaプログラミング能力認定試験2級と同じくらいです。プロフェッショナル程度の資格には応用情報技術者、オラクルマスターGoldなどがあります。
このように、XMLマスターはレベルに大きな差がある試験です。プロフェッショナルを受検する際には注意しましょう。また、プロフェッショナル試験はこのような難関なので、合格した際には高く評価されます。
XMLマスターを取得することが特におすすめの人は?
XMLマスターはベンダーニュートラルな資格なので、XMLを習得したい人や利用している人におすすめの資格です。
ベーシックの難易度の低さやCBT方式という受験のしやすさから、XMLを勉強したいならとりあえず受験してみると良いでしょう。
また、プロフェッショナル試験は難易度が高い分、専門家として高い評価を受けられます。SEとしての強みを持ちたい人やXMLの専門知識が欲しい人には特におすすめです。
XMLマスターの勉強法
独学での対策も可能?
XMLマスターは独学でも合格できる試験です。ベーシックは難易度が低いので未経験でも問題ありません。
XMLはHTMLと似ているので、HTML等のマークアップ言語を扱った経験のある人なら学習は容易です。独学でも合格できたという声はよく聞かれます。
XMLマスターの主な勉強法はテキストを読み、問題を解くことです。XMLマスター試験対策用のテキストや問題集が市販されているので、読み込んで知識を仕入れ、過去問などの問題で確認しましょう。
独学に役立つおすすめテキストを紹介
XMLマスターのおすすめテキストは「XMLマスター教科書ベーシック/プロフェッショナル」です。緑本と呼ばれるXMLマスター対策の定番テキストです。
ベーシック版とプロフェッショナル版に分かれているので、間違えずに自分が受験する方を購入しましょう。
IT関連書籍で定評のある翔泳社が出版している参考書であり、試験分析とわかりやすい説明で多くの人に利用されてきました。仕事の現場でも使えることも意識して執筆されているため、仕事でも役立ちます。
過去問やサンプル問題も有効活用しよう
一部サイトではXMLマスターの過去問が公開されています。また、公式サイトにはサンプル問題も掲載されています。受験前にあらかじめ確認しておきましょう。
XMLマスター試験では問題数当たりの制限時間が短めです。問題演習で時間配分などの戦略を立てておくのも有効です。また、出題形式や出題分野などの傾向も併せてつかんでおきましょう。
紙の本ではインプレス社の「徹底攻略XMLマスター ベーシック問題集 V2試験対応」が定番です。緑本に対して、こちらは黒本と呼ばれています。176問掲載されています。
通信講座は存在しないが専用対策講座はチェックしてみよう
XMLマスターには通信講座はありません。これは、XMLマスターが専門的な試験であること、他のIT資格に比べると受験者数が多くはないという事情に由来します。
ただし、雑誌やブログなどで「XMLマスター実践講座」のような特集連載記事が組まれることもあります。試験で役に立つ知識やテクニックが紹介されていることも多いので、見かけたら試験対策に役立てると良いでしょう。
XMLの勉強をするメリット
XMLを身につけてエンジニアとして突き抜けよう
XMLはBtoB、WEBサービス、.NETなど近年注目されている技術の中で当たり前のように利用されています。特にWEBに関わるエンジニアにとって、XMLは避けては通れない言語です。
一方で、「XMLをマスターした」という声はエンジニア界隈においてもなかなか聞かれないため、XMLを習得できればエンジニアとしても強みになります。XMLをメインとするニッチな案件にも適切な対応が可能になるでしょう。
しかし、XMLは本やコードをただ読んだだけで習得できるものではありません。表面的な理解はできても実用的なレベルにはならないでしょう。
そこで、XMLマスター試験が役立ちます。試験対策のために、問題演習やXML文書の作成などを行います。その過程でXMLを基礎から着実に学ぶことができるのです。
就職・転職に活きフリーランスとしての活躍の幅も広がる
C言語やJAava、Python、HTMLなどのコーディングができるエンジニアは大勢います。ところが、XMLを高いレベルで実装できるエンジニアはまだ少数です。
つまり、XMLを実用的なレベルで使いこなせるエンジニアは貴重な存在なのです。もちろん、就職や転職でも有利になることが多いでしょう。
また、フリーランスのエンジニアにとっても役立ちます。XMLのコーディングができることで仕事の範囲が広がり、より高単価な案件も受注できるようになるでしょう。資格を持つことで技術力をアピールすることもできます。
失効しない技術資格を取得できる
XMLは策定されてから大きな変更が行われていません。この傾向は今後も続くと思われるので、一度習得すれば知識を長期にわたって使用できるでしょう。
そしてXMLマスター試験もそれに対応して認定失効のない資格となっています。IT系の資格の中には有効期限があるものも多く、うっかり有効期限が切れていたということもあります。
XMLマスターのような失効期限のない資格は一生涯有効なので、IT業界で 仕事をするのなら役に立つことも多いでしょう。
試験日程・会場・申し込み方法など試験の基本事項
試験日・試験会場ともには好きな日時・場所に設定できる
XMLマスターはCBT方式で行われます。自分で受験する日付や時刻を設定できるので、曜日や時間帯を問わず好きなタイミングで受験できます。
また、試験会場のプロメトリック公認テストセンター(APTC)は全国100か所以上あります。地方在住者でも試験のために長距離移動する必要がありません。
このように、XMLマスターは非常に融通が効く試験です。随時受験できるためチャンスも多く、繰り返し受験できるため合格しやすい試験であると言えるでしょう。
申し込みはオンラインから可能
申し込み方法は2種類あります。ホームページからのオンライン予約、あるいは電話による予約申し込みです。
ただし、申し込む事のできる試験日は3営業日(土曜・日曜の場合は4営業日)先から2ヶ月以内に限られます。例として4月1日に申請した場合、申し込めるのは6月30日までの2か月間に限られます。
ベーシックは受験資格は不問
XMLマスターベーシック試験の受験には制限がありません。実務経験なども問われないので、誰でも気軽に受験できます。
プロフェッショナル試験はベーシック試験合格者のみ受験できます。受験するには、あらかじめXMLマスターベーシック試験に合格しておきましょう。
受験料は15,750円
XMLマスターの受験料は、ベーシック・プロフェッショナルともに15,750円(税込)です。
支払い方法は複数あるので、好きなものを選びましょう。例として一部を紹介します。
- クレジットカード
- 受験チケットの購入
- コンビニエンスストアでの支払い
- Pay-easy払い
XMLマスターと合わせて取りたいおすすめ資格
上述のように、XMLマスターはベーシック試験の偏差値が45、プロフェッショナル試験が65程度です。このレベルの資格は多く、合わせて狙える資格の選択肢も複数あります。その中から一部を紹介しましょう。
オラクルマスターを取得して重要技術の両刀使いになろう
オラクルマスター試験とは日本オラクル社が提供しているデータベース「Oracle Database」を扱う技術力を認定する試験です。
難易度はブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナという4つに分かれています。このうち、上から2番目のオラクルマスターゴールドはXMLマスタープロフェッショナルと同程度の難易度と言われています。
オラクルマスターはブロンズから順番に受験しなければならず、ゴールド受験のためにはシルバーとブロンズに合格している必要があります。ゴールドに必要な勉強時間は、シルバー取得者で40時間程度と言われています。
オラクルマスターではリレーショナルデータベース(RDB)、Structured Query Language(SQL)の基礎知識などを習得できます。SQLとはリレーショナルデータベース(RDB)を操作するための言語です。
データベース関連の知識はXMLと相性がよく、合わせて取得することでより貴重な人材となることができます。
過去問や問題集などもweb上に公開されているので、独学でも勉強しやすいでしょう。ブロンズやシルバー程度のデータベースの知識は一般のエンジニアでも役立つので、興味があるなら受験してみましょう。
Javaプログラミング能力認定試験でJavaも習得
Javaプログラミング能力認定試験はJavaによるプログラミング能力が試される資格です。株式会社サーティファイが運営しています。
試験は1級から3級があり、2級はXMLマスターベーシックとほぼ同程度の難易度の試験といわれています。勉強時間の目安は30時間です。
XMLは使用できる人材が貴重な反面、必要不可欠な技術ではありません。エンジニアとしてのプラスアルファの資格です。
それに対して、Javaは非常にメジャーな言語なので、コーディングできる人材が数多く存在します。言い換えると、Javaができないことが弱点となることもあります。メジャーなJavaとマイナーなXMLを両立するとバランスが取れます。
Javaはテキスト類も多く、Javaプログラミング能力が認定試験は過去問も市販されています。独学でも容易に合格できるでしょう。気になる人は過去問をのぞいてみてください。
XMLとJSON
XMLはデータの保存や交換に役立つデータ形式です。策定以来20年以上も活用されてきました。しかし、現在ではデータ交換にはXMLよりもJSONの方が使われているので、XMLは古いのではないかという意見もあります。
JSONとは「JavaScript Object Notation」の略称で、javascriptと親和性が高いのでWEB関連で好まれます。データサイズが少ないことも特徴の一つです。
XMLとJSONにはそれぞれ得意分野があるので、JSONがあるからXMLは直ちに不要とはなりません。
例えば、WEBサイトの運営に欠かせないサイトマップは原則的にXML形式で書くことが定められています。
一方で、JavaScriptのコーディングやWEBサイトのAPIなどを設計する時はJSON形式で書くことがほとんどです。
XMLとJSONには互換性もないので、XMLがJSONに比べて時代遅れで学ぶ価値がないとは言えないでしょう。
どちらが良いかということはなく、XMLにせよJSONにせよ、その場で要求されている適切なマークアップを自由に選択できるようにしておくべきでしょう。
XMLマスターについてまとめ
XMLマスターについてまとめ
- ベーシックとプロフェッショナルは難易度が離れている。
- テキストや問題集が市販されており独学でも合格できる。
- 受験資格に制限はなく、受験料も安価なので誰でも受験できる。
今回はXMLマスターについてご紹介しました。XMLマスターの試験概要や難易度、勉強法などおわかりいただけたでしょうか?
XMLマスターはマークアップ言語の一つ、XMLの技術力が試される試験です。利用されている範囲が広く、技術者が少ないので就職や転職、フリーランスでの仕事などで役に立つでしょう。
XMLマスターは受験料が安く、受験資格に制限もありません。そのため、初めての受験者にとって優しい試験です。
興味を持った人はぜひチャレンジしてみてください!