数学ができなくても簿記は取れる?計算が苦手な人でも簿記に挑戦できる理由を解説!

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簿記

公認会計士たぬ吉

「数学ができない人でも、簿記の資格は取れるのかな?」

「絶望的に計算力がないんだけど、やっぱり簿記はあきらめたほうがいいかな?」

このような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

多くの受験生がいて人気のある簿記資格ですが、「計算が苦手」「数学ができない」という理由で敬遠してしまう人も少なくありません。

しかし、実際のところ簿記に求められるのは数学の知識ではなく、会計の仕組みを理解することです。

算数や数学が苦手な方でも、全く問題なく簿記試験の合格を目指すことができます。

こちらの記事では、数学や計算が苦手な方でも簿記試験に合格できる理由や、簿記を学ぶメリットなどを解説していきます。

簿記試験に興味があるものの、数学や計算に苦手意識を持っている方に役立つ内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください!

簿記と数学の関係についてざっくり解説すると

  • 簿記の問題を解くために数学の知識は不要
  • 簿記で大切なのは「仕組みの理解」
  • 試験では電卓を使うため、計算が苦手な人でも大丈夫

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簿記資格に数学の知識は必要?

簿記の勉強では、電卓をたたきながら計算をする場面が多いです。

一見すると数学の知識が必要に思われますが、実際には高度な数学の知識は必要ありません。

簿記2級までは、四則計算ができれば問題なく勉強を進めることができるため、数学が苦手な方でも身構える必要はありません。

これから簿記の勉強を始めようとしている方は、簿記と数学を最初から結び付けず「簿記」という新しい分野を学ぶ意識を持ちましょう。

2級までは数学が向かない人でも取得可能

簿記2級までは四則計算ができれば問題を解くことができます。

むしろ、問題文の読解力や会計の仕組みを理解することの方が大事で、簿記は文系の側面が強いと言えるでしょう。

また、本試験では電卓が使えるため、計算が苦手な方でも大丈夫です。

関数やlogなどの高度な数学知識は求められないため、文系の方も安心して簿記の資格取得を目指しましょう。

小中学校の算数・数学の基礎が必要

簿記2級の問題までは四則計算ができればこなせるため、義務教育レベルの算数・数学の知識で突破できます。

ざっくりとした簿記のイメージとしては、

  • 簿記3級:小学校の算数レベル
  • 簿記2級:中学の数学レベル
  • 簿記1級:高校の数学レベル

上記のように考えると良いでしょう。

簿記1級レベルになると経理・会計のプロフェッショナルとなるため義務教育レベルでは対応できません。

しかし、簿記2級までは「しっかり勉強すれば誰でも合格できるレベル」と言えるでしょう。

数学と簿記の主な相違点

簿記の計算は電卓で行うため、計算力は問われません。

簿記は、むしろ微妙な文章の違いや問題文が問うている内容を理解し、

  • どのような計算を行えばいいのか
  • どの仕訳を行うのか

などを判断するため、国語力の方が重要です。

つまり、簿記の勉強は理系の人よりも文系の人の方が向いている可能性があると言えるでしょう。

計算ができない人でも簿記はできる

簿記の試験を受ける際にも、実査に就職して会計業務を行う際にも、基本的には電卓を使用します。

暗算を行う必要が無いため、「数学」と捉えずに「簿記」という新しいジャンルの勉強をしている意識を持つと良いでしょう。

「自分は数学が苦手だから」という先入観を持つと、簿記の勉強でつまずいたときに「やっぱり自分は向いていない」と考えがちです。

しかし、実際には数学よりも読解力や会計の仕組みを学ぶことが簿記の本質なので、数学が苦手だとしても気にする必要はありません。

会計のシステムの理解が簿記試験の得点に直結

簿記の問題を解くために必要なのは、暗記や数学的な知識ではなく「会計の仕組みの理解」です。

学校で習うような内容よりも、実務上における実践的な業務内容を理解する方が非常に重要です。

実際に、簿記で数学的な思考力が求められる機会はほとんどなく、会計のルールや取引の仕組みの理解度が本質的な理解に直結します。

簿記で求められる知識は数学ではなく、あくまでも「会計に関する知識」である点を意識してください。

簿記の資格を使って仕事をしている人には文系が多い

実際に、簿記の資格を取得している人や会計の仕事をしている人には文系が多い特徴があります。

簿記論や会計学は、経済学部や商学部などの文系学部で学ぶ範囲に該当するためです。

算数や数学が苦手な方でも、簿記の資格を取得して経理や会計の部門で活躍することが可能です。

簿記で出てくる数学の知識

簿記2級までは単純な四則計算ができれば、誰でも突破可能です。

会計の専門家である1級レベルになると、方程式などの難しい数学の知識が要求されます。

以下で、簿記の問題を解くために必要な数学の知識をレベルを解説していきます。

簿記3級の数学知識

簿記3級は、単純な四則計算ができれば誰でも合格できます。

数学知識が必要な問題は出てこない上に、試験においては計算はすべて電卓で行うことができます。

  • 足し算
  • 引き算
  • 掛け算
  • 割り算

上記の計算ができれば十分なので、文系理系は関係ないことがわかります。

簿記2級の数学知識

簿記2級になると、小学校高学年から中学校にかけて必要となる数学の知識が要求されます。

3級よりもレベルは上がるとはいえ、義務教育の範疇なのでやはり「ちゃんと勉強すれば誰でも合格できる」レベルです。

具体的には、

  • 損益算
  • 一次関数
  • 一次方程式

などに関連した問題が出てきますが、簿記の仕組みや問題文で聞いている内容を理解できれば解くことができます。

テキストや過去問を通じて対策すれば、数学が大の苦手な方でも問題なく対処できるでしょう。

簿記1級の数学知識

簿記1級になると高校での数学知識が要求されるため、2級よりも難易度が大きく引き上がります。

具体的には、

  • 数列
  • 原価率・利益率・マークアップ率で活用する「比率」
  • CVP分析や投資案の評価に伴う内部利益率計算の際に用いる「一次関数」
  • 減損会計・リース会計などで頻出の「割引計算」

など、2級よりも圧倒的に複雑かつ難解な内容が出てきます。

特に、数学に苦手な方にとって割引計算の概念は理解しづらく、つまずきやすいポイントです。

経理の専門家として市場価値を大きく高めたいと考えている方は、心して簿記1級の勉強に励みましょう。

数学が苦手な方が簿記を学習する際の注意点

数学に対して苦手意識を持っている方は、下記で解説する内容を踏まえて簿記の学習を進めましょう。

  • わからないことを誰かに聞ける環境を作る
  • 独学は厳しい
  • 大事なのは暗記ではなくやり方の理解
  • まずは実践、理解はそのあと
  • 簿記を数学だと思わない

簿記では「数字」を使うため、数字を見ると委縮してしまう方は、効率よく勉強するためにも「着実に学べる環境」で勉強することが大切です。

わからないことを誰かに聞ける環境を作る

簿記を初めて学ぶ方はもちろんですが、以前に簿記の試験に落ちた経験がある方も不明点や疑問点を放置しないことが大切です。

わからない箇所があると「やっぱり自分には簿記は向いていない」とネガティブになりがちです。

また、ひとりで理解しようとすると非効率な勉強になってしまいがちなので、わからないことを誰かに聞ける環境を作りましょう。

すぐに質問できる環境に身を置くことで、ストレスなく勉強を継続できます。

「理解できた!」という実感があれば勉強のモチベーションを高く保つやすいため、勉強する環境を軽視するべきではありません。

独学は厳しい

簿記を初めて取り組む人にとっては、新しいジャンルの学習には様々な不安が伴います。

独学だと、教材選びや勉強の進め方などを自分で決めなければならず、勉強を始める前に疲弊してしまう可能性もあります。

また、独学だと講師によるわかりやすい講義や質問対応などのサポートが受けられないため、圧倒的に不利な環境です。

数学に対して苦手意識を持っている方は、自分に合った予備校や通信講座を探して、プロの講師から学ぶことをおすすめします。

結果的に、独学よりもスクールなどで学ぶ方がコスパも理解までのスピードも早いため、自己投資を惜しむべきではありません。

大事なのは暗記ではなくやり方の理解

簿記試験において大切なのは、仕訳方法や勘定の暗記ではなく「やり方の理解」です。

前提となる知識を暗記することも必要ですが、簿記の本質は「状況に応じて正しく記帳すること」です。

「状況」を正しく理解するためには、会計のやり方を理解し、理解した内容を実践的な内容に落とし込むことが大切です。

やり方の理解を軽視して暗記に頼ってしまうと、本試験で応用が利かずに得点が伸びなくなってしまいます。

合格に近づくためにも、暗記よりも「やり方の理解」に神経を使い、応用力を鍛える訓練を多くこなしましょう。

まずは実践、理解はそのあと

簿記の理解を深めるためには、テキストを読み込むインプットよりも、実際に手を動かすアウトプットが重要です。

数学のように、

  1. 公式を暗記する
  2. 公式の内容を理解する
  3. 公式を使って解く

上記のようなやり方だと、理解するまでに時間がかかってしまい非効率です。

また、理解するのに時間がかかってしまうと、モチベーション失って挫折する事態にもなりかねません。

簿記の内容を理解するためには、理解することに時間をかけすぎず練習問題を通じて「手を動かしてみる」ことが大切です。

すぐに理解できなくても、ひたすら問題を解いて解説の内容を書き写すことで、次第に理解できるようになります。

簿記を数学だと思わない

繰り返しになりますが、数学と簿記は全くの別物です。

簿記を数学の一環と思わず、「簿記」という新しい分野の勉強を行うイメージを持ちましょう。

簿記2級の工業簿記になると、数学のような雰囲気の問題が出てくることもありますが、根本となるのは「会計の仕組み」を理解することです。

簿記の勉強を進める過程で

  • ちょっと理解できない
  • やっぱり数学な苦手だと厳しいかも
  • 数字がたくさん出てきて嫌

と感じる場面も出てきても、数学と思わず「簿記」という新しい分野の勉強であることを意識してください。

自分が感じている数学への苦手意識に引っ張られてしまうと、モチベーションを失ってしまう可能性もあるため要注意です。

簿記で役立つ電卓の使い方

簿記の試験では電卓を用いて計算を行うため、電卓の使い方をマスターすることも大切です。

せっかく理解が合っていても、電卓の操作ミスや計算ミスで失点してしまうのは非常にもったいないです。

複雑な計算をするシーンでは電卓のMボタン(メモリー)の機能が活躍するため、Mボタンの操作に慣れておくといいでしょう。

  • M+:直前の数値や計算結果を足すときに使う
  • M-:直前の数値や計算結果を引くときに使う
  • MR:計算結果を求めるときに使う

例えば「(1000×500)+(20×515)-(150×47)」という計算式を解く際には、下記の操作を行えば、いちいち過程をメモする必要が無くなります。

  1. 1000×500(M+)
  2. 20×515(M+)
  3. 150×47(M-)
  4. MR

上記の4ステップを踏めば、複雑な計算式もスムーズに処理できます。

電卓は簿記試験に臨むうえで必須なので、電卓の効果的な使い方を知っておくといいでしょう。

簿記ができることによるメリット

簿記の内容を理解し、会計や経理ができると様々なメリットを享受できます。

家計簿をつける際や転職先を決める際など、普段生活する中で役に立つシーンがあるため、簿記を学ぶメリットは非常に大きいです。

お金に強くなれる

簿記を学ぶことで、会計の仕組みを理解できるため自然と数字に強くなります。

資産と負債の意味や概念し、会社のお金はもちろん家計の管理も容易にできるようになるでしょう。

また、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表が読めようになるため、就職・転職先を選ぶ際に企業の財務健全度を知ることができます。

副業や独立で自分のビジネスを始める際に、資金繰り計画を立てる際にも簿記の知識は役立ちます。

生きていくうえでお金は切っても切り離せない関係にある以上、簿記を学んでお金に強くなるメリットは非常に大きいです。

数学が苦手な方こそ簿記を学び、お金周りの知識を習得することは非常に有意義と言えるでしょう。

数字への苦手意識がなくなる

簿記では数学の知識は求められませんが、数字は必ず出てきます。

簿記が理解できるようになると、徐々に数字への苦手意識が無くなっていきます。

簿記が理解できるということは、帳簿の付け方や財務諸表が分かることを意味するため、勝手に数字に強くなっていくのです。

数字は生活のあらゆる場面で使われるため、自身の生活を守るためにも数字に強くなるメリットは大きいです。

簿記資格に興味がある方は、文系や理系という壁に捉われることなく簿記の取得を目指してみてください。

簿記と数学の関係まとめ

簿記と数学の関係まとめ

  • 会計のシステムを理解できれば、簿記の合格は十分に狙える
  • 数学が苦手な人は、独学を避けてわからないことを誰かに聞ける環境で勉強しよう
  • 簿記が理解できれば、自然と数字に強くなる

数学や計算が苦手な方でも、簿記資格の取得を目指すことは可能です。

簿記は数字が多く出てくるため、「自分は数学が苦手だから無理」と考えてしまう気持ちはわかります。

しかし、本記事で解説したように、数学が苦手な方でも会計の仕組みやルールを理解できれば誰でも簿記試験に合格できます。

簿記資格に興味がある方は、数学の得意不得意に振り回されることなく、着実に取得を目指してみてはいかがでしょうか?

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