簿記・公認会計士のおすすめ勉強法は?公認会計士YouTuberたぬ吉様に取材しました!
三大国家資格の一つと言われている公認会計士資格ですが、合格を目指して勉強に励んでいる学生や社会人の方は沢山いるでしょう。
また、現在簿記の勉強をしていて、公認会計士に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、現役公認会計士YouTuberとして日商簿記の資格取得のための役立つ楽しい授業を配信されている「たぬ吉」様にインタビューさせていただきました!
日商簿記の勉強法や取得メリット、公認会計士試験合格のポイントなどについてお聞きしました。
大学在学中に簿記3,2,1級の取得と公認会計士試験の現役合格をされたたぬ吉様から、簿記や公認会計士の勉強法や、公認会計士へのステップアップについて聞くことができました!
現在簿記の勉強をしている人、公認会計士を目指そうか迷っている人、現在公認会計士資格の勉強をしている人は必読です!
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簿記の勉強法
本日はお忙しい中、インタビューに応じていただきありがとうございます。資格Timesを運営しております、株式会社ベンドの加藤と申します。
本日はどうぞよろしくお願いします。
現役公認会計士としてYouTubeで簿記講義や公認会計士情報を配信しております、たぬ吉と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
簿記の勉強法
たぬ吉様は、大学在学中に日商簿記の3,2,1級を取得されたとのことですが、簿記の勉強法のポイントについてお聞かせください。
簿記の勉強で大切なことは、常になぜそうなるのかを考えることです。
例えば、「売掛金は資産だ」と漠然と暗記するのではなく、「売掛金は後に代金を回収できる『権利』だから資産になる」と論理的に覚えることが大切です。
これは簿記の級に限らず意識するべきことです。
なぜそうなるかを理解すれば記憶にも定着しやすいですね。
次に具体的な勉強法ですが、テキストや問題集は必ず何周もしましょう。目安としては5、6周です。
テキストは何周もするうちにどんどん早く読めるようになってくるので、5、6周目を試験の直近にもってきて、それまでに4周目までを終わらせます。5、6周目では忘れているところをなくすことを意識しましょう。
テキストは3周目くらいまでは覚えられなくても大丈夫です。 そう思えば勉強も苦になりません。
問題集は何回も解くうちに覚えます。初めは分からなくてもいいので1周目をとにかく早く終わらせましょう。答えを見ても構いません。
ここで大切なのは、間違えた問題には必ずチェックをすることです。テキストを何周もするうえで、このチェックが3,4回連続でついている問題は自分の弱点範囲なので、それをピックアップして洗い出しましょう。
逆に3回連続で正解した問題は、4周目からは軽く読み飛ばす、もしくは解かなくてもいいくらいです。
3,2級でおすすめの勉強法
日商簿記3、2級の勉強法について教えてください。
3、2級では、問題集でチェックマークが3・4個ついている問題は自分の苦手範囲なので、そこを試験日前の3日間で一気に復習しましょう。
ラスト3日間で一気に復習すると、かなり記憶に残っている状態で試験に挑むことができます。この3日間で苦手なところを一気に潰しましょう。
3、2級に関しては、私も、私が今まで教えてきた人たちもこの復習で一気に成績が上がったので、良い方法だと確信しています。
直前に苦手範囲だけ総復習することが大切なんですね。
たぬ吉様のYouTubeでは3級・2級の学習に役立つ学習コンテンツが盛りだくさんです!
実際にたぬ吉様の日商簿記3級、2級の動画をご覧になりたい方はこちら!
1級でおすすめの勉強法
次に1級の勉強法について教えてください。
簿記1級は3、2級と比較してかなり問題数が多いです。そのため、3、2級のようにラスト3日間で総復習するのはかなり難しいです。
そこで、1級では計算科目で「間違いノート」を作ることをおすすめしています。
この間違いノートには、3回連続で間違えた計算問題をコピーして、はさみで切ってノートの見開きに貼り付けます。そして、その横に自分で解説を書いていきます。解説を書くことで頭の中が整理されます。
そして、3、2級の時と同様にラスト3日間でこの間違いノートを確認しましょう。
1級では問題数が多い分、間違いノートでまとめて苦手分野を復習できるのですね。
はい。この方法は私が公認会計士試験の勉強をしていた時にも行っていました。
一度間違いノートにまとめるだけで解き直す必要がなくなり、今後はそれを見直すだけでよくなります。
ただ、間違いノートにまとめるのは3回以上連続で間違えたものだけにしましょう。1回目の不正解でこの作業をすると、時間がかなりかかってしまいます。
問題量が多い試験に対して有効な勉強法なのですね。
また、これは小技なのですが、A4用紙に覚えたい勘定科目などを太ペンで大きく書いて、それを洗面台の横やテレビの上、トイレの壁などに貼っていく方法もおすすめです。これは私が公認会計士の経営学の勉強でも行った方法です。
工業簿記の勉強法のポイント
簿記2級以上で工業簿記を学習するに際して、商業簿記と違って気を付けるべきポイントについてお伺いしたいです。
まず、工業簿記も商業簿記と同じように理解重視です。理解せずに暗記すると応用に対応することが難しくなります。
工業簿記は原価計算を扱います。ポイントはいくつかあり、まず勘定連絡図で原価計算の流れを一通り把握すること、また、勘定連絡図の中で今自分がどこを勉強しているかを意識することが大切です。
工業簿記には個別原価計算と総合原価計算があります。個別原価計算はオーダーメイド製品の生産、総合原価計算は大量生産です。まずこの二つのイメージをつかむことが大切です。
原価計算に関して特に注意するべきポイントを教えてください。
総合原価計算ではボックス図を書きますが、自分の型を持つようにしましょう。また、問題文をボックス図に機械的に落とし込めるまで勉強することも大切です。
また、総合原価計算ではひっかけポイントが決まっています。例えば、仕損・減損の処理、材料の追加投入の論点などです。このひっかけポイントを知っておきましょう。
また原価計算全体に通ずるポイントとして、各論点で問われやすいところを知っておくことが大切です。
例えば、総合原価計算では工程別・組別・等級別の三つに分かれていてそれぞれのポイントを理解すること、標準原価計算では差異分析が問われるといったところになります。
簿記資格取得のメリット
たぬ吉様が簿記資格を取得して実際にどのようなメリットを感じられたのかお伺いしたいです。
私は簿記3級の勉強を始める時点で公認会計士になろうと考えていました。そのため、簿記の勉強は公認会計士にステップアップするための一つの方法でした。
私が享受したメリットとしては、
-
公認会計士の勉強にスムーズに入ることができたこと
-
大学で単位がもらえたこと
-
現在簿記で学んだことを生かせる仕事に就けたこと
があります。
また、簿記3級レベルはもはや一般知識になりつつあります。簿記3級自体が一般教養になるので、知っておくといいでしょう。
簿記3級は社会で働くうえでは必須の知識になるのですね!
簿記の資格は就活でどれほど役に立ちますか?
はい。簿記の資格は就活で役立ち、上場企業でも評価されています。
3年前ほどに簿記2級の試験範囲がガラッと変わり、いままでは1級の範囲だった一部が2級に含まれました。
それにより難易度が上がり評価が高くなったため、今簿記2級を取得するメリットは大きいと言えます。
簿記から公認会計士のステップアップ
たぬ吉様は大学在学中に簿記3~1級を取得して公認会計士試験勉強に進まれましたが、どのような人が簿記→公認会計士という風に進むべきでしょうか?
まず、勉強時間が沢山確保できる大学生にはおすすめです。実際、会計士講座を取っている人には大学生が多いです。
他にも、日商簿記2、3級を勉強して興味がわき、もっと勉強してみたいと思った人にも公認会計士の勉強をお勧めします。
私は単純に難しい資格に挑戦してみたい、会計の最高峰の資格ってどんなものなんだろうとという興味から、簿記の勉強をしながら公認会計士を目指しました。
具体的にはどのタイミングで簿記から公認会計士の学習に切り替えるべきでしょうか?
簿記から公認会計士の勉強に切り替えるのは、日商簿記2級を取得した後が良いです。2級を取得した後に大手予備校で公認会計士の勉強を始めると、およそ1.5年コースになります。3級を取得した後に始めると、2年コースになります。
私自身、2級を取得した後に公認会計士の勉強を始めたので2級取得後をお勧めしますが、3級取得後というのも一つの手だと思います。
1級を取得した後に公認会計士を目指すのはタイミングとしては遅いのでしょうか?
そうですね、簿記1級をとるのに半年から1年かかります。そのため、初めから公認会計士を目指すと決めているのであれば、その時間を公認会計士の勉強のためにあてた方が良いですね。
日商簿記1級を取得した後に公認会計士を志した方は、かなりのアドバンテージがあるので、是非とも公認会計士試験に挑戦することをオススメします!
公認会計士資格の勉強時間・勉強法
勉強時間はどれくらいかかる?
まず、公認会計士試験に合格するまでにどれくらいの時間がかかったかを教えていただきたいです。
私の場合、期間としては約3年間かかりました。
大学1年生の12月から関西大学の公認会計士入門講座をとり、2年生の4月から資格の大原でダブルスクールを始めました。
2年生の12月に初めての短答式試験を受けたのですが落ちてしまい、3年生の5月の短答式試験で受かりました。
その3か月後の8月に論文式試験を受けたのですが落ちてしまい、1年後の4年生の8月に論文式試験に合格しました。
次に一日の勉強時間については教えていただきたいです。
はじめの10か月は一日4、5時間程度でした。大学の単位取得とダブルスクールの影響で時間があまりとれなかったためです。また、私は周りの環境に影響されたのですが、はじめの頃は周りもそこまで本腰を入れて勉強している人があまりいなかったので一日4、5時間ほど勉強していました。
短答式試験の3カ月前ほどからは一日7、8時間勉強していました。しかしそこでは落ちてしまい、2年生の1月から私も周りの人も本腰を入れました。
朝9時に大原に向かい夜21時に帰宅していました。実際に勉強していたのは9時間ほどで、集中していたのは6時間ほどでしたが、休んだ日はほぼありませんでした。これが約2年間続きました。
全体の勉強時間としてはどのくらいになりますか?
およそ5,000時間だと思います。一般的な勉強時間は3,000から4,000時間と言われていますが、短答式試験と論文式試験に一度ずつおちてしまったため、少し時間がかかってしまったのだと思います。
勉強法
まず、公認会計士の勉強に際して特に注意されたポイントについてお聞かせください。
公認会計士講座には、財務会計の計算と管理会計の計算があるのですが、まず計算から固めることが大切です。
初めの半年間程は計算を重点的に行うのですが、そこで計算に苦手意識を持ち、それを引きずって資格合格を諦めてしまう人が多いです。
計算をこなせばその後の企業法や監査論などの理論科目がかなり楽になります。そのため、計算科目で分からない所や苦手なところがあれば、すぐ質問に行って苦手をなくすことが大切です。
計算から実力を固めるのは会計士試験の王道なのですね!
会計士試験では、短答式と論文式の2種類の試験がありますが、それぞれで特に意識すべき点を教えてください。
短答と論文では勉強法ががらっと変わります。
それぞれ
- 短答式は広く浅く
- 論文式は狭く深く
を意識して学習することが大切です。
具体的には、短答式試験は問われる範囲が膨大かつ細かな論点も多く問われます。
ただ、選択式なので言葉自体の暗記は要りません。暗記というよりは問われた時にしっかりとその文章の正誤判断ができることが大切です。
そのため、テキストや一問一答を何回もすること、その形式の問題に慣れることが大切です。
一方、論文式試験は記述試験で難易度の高い分、問われる範囲は短答式試験と比べると限定的となります。
問われた問題に対して論理的になぜそうなるのかをしっかり理解したうえで記述をすることが求められます。
頻出論点はおおよそ決まっているので、その部分に対しての理解を深めて自分の言葉でしっかりと記述をする勉強法が要求されるのです。
各試験の性質を踏まえたうえで、勉強法の方向性を見定めていくことが非常に重要なのですね。
たぬ吉様が会計士試験を学習する中で独自に工夫されたポイントなどありましたら教えていただきたいです。
私がやってよかった勉強法は、お風呂で論文の企業法を勉強することです。
40問ほどの問題が載ったテキストをコピーしてファイルに入れ、毎日一問お風呂で解いていました。一問解くのに15〜20分かかるのでちょうどいい時間になります。
一日目に第1問を解いたら、二日目は第1問をさらっと見てから第2問を解き、三日目以降も同様に勉強します。そうすれば40日後には2周できている状態です。
私は、問題演習を除けば企業法はお風呂でしか勉強していなかったと言っても過言ではないので、その分他の勉強をするための時間をつくれました。
この勉強法は私の後輩にも教えて、やって良かったと言われたのでおすすめです。
勉強モチベーション維持のポイント
公認会計士試験はかなり時間のかかる試験ですが、どのように勉強のモチベーションを維持されていましたか?
私の場合、周りの環境にかなり影響されました。私同様に、関西大学と大原のダブルスクールをしていた人が後輩も併せて周りに30人ほどいました。
中には朝7時に来て夜23時に帰宅している人もいて、一日12時間の勉強が普通だと思っていました。そのような人たちを見て、自分はむしろ勉強していない方なのでは、とも思いました。
このような環境に身を置くをことはモチベーション維持につながるのではないかと思います。
また、私の場合3年生で論文式試験に落ちた時に、4年生でも落ちたら人生が終わるくらいに考えていました。後がないと考えることは大事です。
周りの頑張るライバルの存在は、学習の大きな起爆剤となるのですね!
周りに同じような境遇の人が少なく、環境を作るのが難しい人はどうすればよいでしょうか?
確かに地方の人や同じ境遇の友達が少ない人は環境づくりが難しいですね。そういう人は、SNSを使いましょう。
Twitterなどで同じ時期に合格を目指している人などを見つけてやり取りをしたり、同じ目標を持つ人を探すと良いと思います。
受験生に向けたアドバイス・メッセージ
最後に受験生の方に向けたアドバイスやメッセージをお願いしたいです。
私はYouTubeで簿記や会計士の学習に関する動画を配信しており、見てくださっている方から分かりやすいと評判を受けています。
ですので、簿記や会計士受験生の方はぜひ学習のおともに私のチャンネルをご活用していただきたいです!
また、簿記3、2級を実際に受けてみて高得点で合格できた人は是非公認会計士、税理士を目指していただきたいです。
簿記学習の素養がある可能性が高いので、より応用的な会計知識を得て自分のキャリアの大きく変化させるきっかけをぜひ作ってみてください!
本日は貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございました。
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