行政書士が司法試験に合格するには?各試験の難易度や受験資格の違いを解説!
「行政書士と司法試験って関係あるの?」
「司法試験の合格に向けて、予備試験受験者や行政書士合格者は有利?」
このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
行政書士は法律系資格の中では登竜門のような位置付けとなっており、司法試験や予備試験と比べると難易度は大きく落ちます。
そのため、弁護士や法曹を目指している方の中には、まずは行政書士の取得を目指す方も少なくありません。
今回は、司法試験と行政書士の関係や予備試験受験者や行政書士合格者は有利なのかについて、詳しく解説していきます!
行政書士と司法試験の関係についてざっくり説明すると
- まず司法試験の受験資格を取得することが必要
- 行政書士合格後に司法試験合格を目指すと良い
- 試験の難易度と業務の幅に大きな違いがある
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行政書士が弁護士になるには
行政書士は法律系難関国家資格の1つであり、合格率は例年概ね10%前後となっています。
一方で、弁護士や法曹になるためには行政書士よりも遥かに難易度が上がる司法試験を突破しなければなりません。
一般に、行政書士よりも弁護士の方が資格を取得するまでが大変で、かつ業務内容の幅も広く激務というイメージがあります。
そこで、以下では行政書士が弁護士になるためのルートである
- 予備試験に合格
- 法科大学院を卒業
の2つについて詳しく解説していきます。
予備試験に合格する
まず、予備試験ルートに関してですが、予備試験は短答式試験・論文式試験・口述式試験の3つの試験で構成されています。
全ての試験を合わせた総合的な合格率は3~4%程度となっており、非常に難易度の高い試験と言えるでしょう。
試験の範囲が膨大ですべての試験範囲を網羅するのが大変であるため、一般的に予備試験合格までに必要な勉強時間は1,000時間~5,000時間程度と言われています。
数年に渡る勉強が必須となるため、司法試験の挑戦権を得るのも一苦労なのです。
予備試験は受験資格がない
予備試験には受験資格が特に設けられていないため、誰でも受験することが可能できます。
わざわざ法科大学院などのに通う必要がないため、働きながらでも勉強しやすい点がメリットと言えるでしょう。
大学に通う費用や通学時間を省くことができるので、勉強時間をしっかりと確保できれば短期間で合格を狙えるでしょう。
法科大学院を卒業する
もう一つのルートとして、法科大学院を卒業することで、司法試験の受験資格を得ることができます。
法科大学院には、法律既修者を対象にした2年間のコースと初学者や未修者を対象にした3年間のコースがあります。
法科大学院に入るためには大学を卒業していることが原則となりますが、法学部などに3年以上在籍し優秀な成績を修めた学生でも入れるケースがあります。
法科大学院ルートの場合、予備試験という難関試験を回避して司法試験の挑戦権を得ることができ、実際に司法試験受験者の中で法科大学院ルートで受験している方は約8割です。
つまり、対策が難しい予備試験を受ける必要がない点はメリットと言えるでしょう。
他にも法科大学院に通うメリットとして、有名な教授に教わることができたり、目標を共有できる仲間を作ることができる点が挙げられます。
ただし、司法書士や行政書士として働きながら再び大学院に入り直すのは時間的にもきつく、現実的に難しいといえるでしょう。
予備試験・司法試験受験生が行政書士を狙う場合
予備試験や司法試験受験者が行政書士試験を受験することもおすすめです。
一見するとランクダウンの受験に見えますが、得られるメリットについて見てみましょう。
これまでの学習が生かせる
予備試験や司法試験受験者は、これまでの勉強で身に着けてきた法律知識があれば、難なく行政書士試験に合格できるでしょう。
行政書士で問われる法律は憲法・憲法・商法・行政法で、予備試験・司法試験と重複しており、出題レベルも予備試験・司法試験の方が圧倒的にレベルが高いので、合格に必要な学力を十分身に着けた状態で試験に挑めるのです。
また、行政書士試験では予備試験・司法試験と異なり、基礎法学と一般知識に関しても出題がありますが、基礎法学はそもそも配点のウェイトが低い上に、参考書を一読すれば対策は十分です。
また、一般知識は予備試験の一般教養と同じように特別な対策は不要で、過去の主題傾向を把握する程度で試験に臨んでも問題ありません。
精神安定剤になる
司法試験・予備試験は非常に難易度が高いため、なかなか学力が伸びなかったり結果が出ない期間がどうしても出てくるでしょう。
そのため、学習モチベーションを保つのが難しく、途中で挫折してしまう恐れがあるのが現実です。
そこで行政書士試験を活用することで、受験を通して自分の学力定着具合を把握するのに役立てることができます。
行政書士試験は受験手数料が7,000円で済み試験も1日で終わるため、金額面でも日程面でも受験しやすいのが大きな魅力です。
また、予備試験・司法試験対策をしてきた知識があれば十分に合格可能なので、実際に精神安定を求めて受験する方も一定数います。
ただし、完全に油断して全く対策をせず受験すると不合格となってしまう可能性があります。
合格して精神安定剤として活用することが大切なので、演習を中心に合格するための万全の対策を行ってから試験に挑むようにしましょう。
業務の幅は広がる?
司法試験に合格して弁護士登録をすることにより、行政書士の業務範囲は全てカバーすることができます。
つまり、弁護士登録と行政書士登録を重複するのは完全に無駄です。
そのため、弁護士や法曹を目指している方は最終的な目標を司法試験に設定しておき、行政書士試験はあくまで通過点として捉えておきましょう。
これにより、もし長年司法試験に合格できなかった場合でも行政書士として法律に携わる仕事ができるというリスクヘッジになります。
このように、選択肢を増やしておくことで保険になり、安心して予備試験や司法試験の勉強に着手できるのです。
行政書士と弁護士の違いは?
行政書士と弁護士は、法律の専門家という点においては共通しています。
しかし、扱うことができる仕事内容など異なる点もいくつかあるため、こちらのトピックで解説していきます。
弁護士の方が難易度が高い
行政書士試験に合格するための必要な勉強時間は、一般的に約600時間が目安とされています。
一方で、司法試験に合格するために必要な勉強時間は、予備試験対策の勉強時間も合わせると一般的に8,000時間が目安とされています。
このように、行政書士は法律に関わる士業の中でも比較的取得しやすい資格とされており、通過点と捉えることもできます。
行政書士の取得をきっかけにして司法書士や司法試験などのステップアップを狙う方もいるため、取得のハードルはそこまで高くないと言えるでしょう。
行政書士の合格率は10%前後
行政書士試験の合格率は10%前後であるのに対して、司法試験の合格率は約30%です。
この数字だけを見ると「司法試験って案外簡単じゃないか!」と思わるかもしれませんが、司法試験にはそもそも受験資格があり、これをクリアするだけでも一苦労なのです。
司法試験の挑戦権を得るだけでも難しいため、トータルで見ると司法試験の方が圧倒的に難しいといえるでしょう。
弁護士の方が仕事の幅が広い
弁護士は法律に関する全ての業務と相談・交渉が可能であるので、まさしく法律のプロフェッショナルです。
「弁護士には扱うことができて行政書士では扱えない仕事」も多くあるため、活躍の幅が大きく広がるでしょう。
以下で、行政書士と弁護士の仕事内容について詳しく見てみましょう。
行政書士も作成できる契約書の幅は広い
行政書士は役所などに提出する書類の作成などを専門的に行っており、具体的にはお金の貸借契約書の原案作成などを行っています。
官公署に提出する書類・権利義務に関する書類・事実証明に関する書類の3種類の作成や提出代行は行政書士の独占業務であるため、法的にも守られているのです。
なお、弁護士が作成できる書類の範囲は行政書士よりも広く、様々な内容も取り扱っているため、その分仕事の幅も大きく広がります。
行政書士は示談交渉も可能
示談交渉の業務に関して見てみると、行政書士は和解書や合意書の作成を行うことができます。
ただし、相手と交渉することや意見書の作成まではできないため、注意しましょう。
一方で、弁護士は法律の専門家として書類作成から相手との交渉・裁判の相談まで行うことができるため、やはり業務の幅が広いことが分かります。
弁護士は相談が受けられる
行政書士は書類作成や提出代行は可能ですが、相談事を受けたり非弁行為を行うことはできません。
一方で、弁護士はすべての法律に関する相談を受けることができるため、多くの場面やトラブルで頼られる存在と言えます。
法律知識を駆使しながら解決方法を提示することができるのは弁護士の独占業務なので、活躍の場は非常に多いといえるでしょう。
行政書士から弁護士を目指すメリット
行政書士から弁護士を目指す場合、法律知識を備えていることから初学者の方よりもかなり有利に勉強を進めることができるでしょう。
こちらのトピックで、行政書士から弁護士を目指すメリットを紹介していきます。
試験科目が共通している
行政書士試験で出題される憲法・民法・行政法・商法などは司法試験でも出題される科目なので、行政書士取得者はスムーズに勉強に着手できるでしょう。
300点満点の行政士試験の内、約8割の内容が司法試験の内容と重複していることから、いきなり司法試験の勉強をする人よりも有利なのは間違いありません。
また「法律の勉強に慣れている点も」大きなアドバンテージとなるでしょう。
刑法などは1から学習する必要あり
司法試験のすべての科目が行政書士と重複しているわけではなく、民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法などは1から勉強しなければなりません。
これらの科目は馴染みが薄く難易度も高いため、しっかりと時間をかけて勉強する必要があります。
とはいえ、行政書士で勉強した内容がほとんど記憶に残っている方の場合であれば、これらの科目を集中的に勉強すれば良いでしょう。
仕事の幅が増える
前述したように、弁護士には扱えて行政書士では扱えないが業務が多くあるため、より高収入やステップアップを狙うためにも司法試験の合格を目指すべきです。
弁護士になれば社会的な信用が上がり、それに伴って仕事の幅を広げることができます。
顧客から受けた相談に対して、最初から解決するまで寄り添うワンストップでサービスを提供できる点が大きな強みと言えます。
年収アップも見込める
行政書士の年収は約600万円と言われていますが、弁護士の平均年収は約1,600万円と一気に跳ね上がります。
開業型や勤務型など、働き方や人によって大きく差がありますが、平均的な水準は弁護士の方が圧倒的に高いことが分かります。
つまり、弁護士を目指すことで年収アップも期待できるため、キャリアアップを目指すべきなのです。
弁護士を目指す際の学習方法
実際に、行政書士から弁護士にステップアップを果たした方はいます。
こちらのトピックで、弁護士を目指す際の学習方法について解説していきます。
独学での学習はかなり厳しい
司法試験・予備試験受験生がまず押さえておきたい大前提として、独学での学習はかなり厳しいという点です。
膨大な試験範囲や覚えるべき量が非常に多いことや、内容一つ一つの専門性が非常に高く、独学だと理解に膨大な時間を要することが一つの理由として挙げられます。
また、論文式問題は添削を通じて実力が向上しますが、独学だと添削の機会を作るのはかなり難しく、これも独学での挑戦が難しい理由の一つにあります。
これらの背景から、司法試験や予備試験に合格したい方は基本的には通信講座・予備校を活用して学習を進めることが鉄則です。
予備校・通信講座の利用がおすすめ
上記で述べた理由から、司法試験・予備試験の学習を進める際には、基本的には予備校や通信講座を利用することが基本です。
特に、アガルートの通信講座は、従来の司法試験対策予備校よりも圧倒的に費用を抑えて受講することが可能であるため、価格が高くて講座に手を出せずにいた方でも気軽に受講することができます。
通信講座であれば時間や場所を問わずに学習できる強みがあるため、確実に合格を目指す場合は通信講座を利用することも検討すると良いでしょう。
行政書士と司法試験の関係まとめ
行政書士と司法試験の関係まとめ
- 難易度に大きな違いがあり、司法試験はずば抜けて難しい
- 科目の重複があるため、行政書士合格後に予備試験や司法試験に臨むと有利
- 業務の幅は弁護士の方が広く、活躍の場も多い
同じ法律系の資格である行政書士と弁護士ですが、試験の難易度と仕事の幅に大きな差があります。
弁護士は法律系士業の最高峰なので、全ての法律事務に携わることができる強みがあります。
こちらの記事を、ぜひ行政書士や司法試験の合格に役立ててください!