司法試験と東大の難易度はどっちが高い?合格率や勉強時間・予備試験との差も解説!
「司法試験と東大はどっちのほうが難しいの?」
「それぞれの合格率や勉強時間を知りたい!」
こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
司法試験と東大は、資格試験と大学それぞれにおいて最難関と言われています。しかしこの二つを比べた場合、どちらに合格するのがより難しいのかはあまり論じられていませんよね。
そこでこの記事では司法試験と東大の難易度について、それぞれの合格率や勉強時間などを比較しながら、どちらの難易度がより高いのかを比較していきます。
また、東大生におすすめの司法試験以外の進路についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
司法試験と東大の難易度についてざっくり説明すると
- 司法試験と東大は、どちらも非常に難しい試験である
- 偏差値や勉強時間で比較すると、司法試験のほうが若干難易度が上と言える
- 東大生が司法試験を目指した場合、一般よりも合格率が高い傾向がある
このページにはプロモーションが含まれています
司法試験と東大の試験概要は?
司法試験は、国家資格の中で最難関と言われています。国家資格以外の資格と比べても難易度が非常に高く、合格するためにはかなり多くの勉強時間を必要とすることで知られています。
一方の東京大学は、日本国内に存在する大学の中で最も偏差値が高い大学です。司法試験と同じように難易度はかなり高く、膨大な学習量を必要とします。
ここからは、司法試験と東大、それぞれの試験概要について解説していきましょう。
司法試験の試験科目と試験制度
司法試験は、一次の「短答式試験」と二次の「論述試験」とで構成されています。
短答試験は「憲法」「民法」「刑法」の知識が択一問題形式で出題されます。
一方の論述試験は「公法系科目」「民事系科目」「刑事系科目」「選択科目」に分かれています。
それぞれの科目は、さらに以下のような分野に分かれています。
- 公法系科目:憲法・行政法
- 民事系科目:民法・商法・民事訴訟法
- 刑事系科目:刑法・刑事訴訟法
- 選択科目:知的財産法・労働法・租税法・倒産法・経済法・国際関係法(公法系)・国際関係法(私法系)・環境法
上記から科目ごとにひとつの分野を選択し、「計4科目」が試験科目となります。
学習の範囲が膨大である
司法試験の出題内容は、上記で解説したように非常に広範囲に渡ります。
それぞれの学習ボリュームもかなり多く、特に民法の出題範囲は膨大な量の知識をインプットしなければならないことから、「司法試験は民法が合否を左右する」とも言われています。
あらゆる内容についてまんべんなく対策をしていく必要がありますので、司法試験にチャレンジする方はぜひしっかり心得ておきましょう。
予備試験・司法試験の受験資格
司法試験は、一般的には「法科大学院の卒業」が受験資格となります。
法科大学院は、法学部卒業者など法律の知識があると証明できる人を対象にした2年間のコースと、法律の素養がない人向けの3年間のコースに分かれています。
法科大学院は、大学卒業もしくは大学に3年以上在籍し、優秀な成績を収めている人に受験資格が与えられます。
一方、司法試験の受験資格には法科大学院の卒業以外に「予備試験の合格」というものもあります。
予備試験は受験資格がなく誰でも受験できる試験で、これに合格すればすぐにでも司法試験が受けられるという魅力があります。しかし予備試験の合格率は4%程度と非常に低いため、この点は留意する必要があるでしょう。
東大受験の試験科目と試験制度
次に、東京大学の入試について解説します。
東大の入試は、1次試験の「大学入学共通テスト」と、2次試験の「個別学力試験」という2段階の構成になっています。
共通テストの科目は文系と理系とで若干異なりますが、基本的には国語、英語、数学、理科、社会を受けることになります。
個別学力試験では、文系は「国語、地歴2科目、数I・A、数II・B、外国語」、理系は「国語、理科2科目、数I・A、数II・B、数Ⅲ、外国語」が受験科目です。
様々な教科で高いレベルが求められる
東大は日本の最高峰の大学ですから、多くの科目で高レベルの知識が求められます。
司法試験なら主に法律の知識だけで済むところを、東大を受験する場合は数学や英語など色々な教科の勉強をしなくてはなりません。
出来る限り苦手科目を減らして、全ての科目で高得点を得る必要がありますので、司法試験より東大の勉強のほうが大変だと思う方も多いでしょう。
偏差値・勉強時間・合格率で難易度比較
司法試験と東大入試は、資格試験と大学入試という異なる分野の試験ですので、「どっちが難しい」という単純比較は難しい側面もあります。
ただ、それぞれの試験内容を数値化すればある程度の比較はできます。
この段落では司法試験と東大入試を偏差値などの数値で表して、比較していくことにしましょう。
偏差値はやや司法試験の方が高い
東京大学の入試偏差値は、集計する予備校によって多少の差はありますが、概ね67.5~72.5とされています。
この偏差値は国内の大学では最も高く、特に東大の「理科Ⅲ類」は最も合格が難しい科類です。
一方、司法試験の難易度を偏差値で表すと、75程度とされています。
偏差値の高さで単純に比較した場合、東大入試よりも司法試験の方が若干難易度が高いと言えるでしょう。
勉強時間は司法試験の方が多い
東京大学に合格するために必要な学習時間は、約3,000時間と言われています。これは高校の授業時間とは別に、家庭学習や自習で必要な時間の合計となります
一方、司法試験の合格に必要な勉強時間は、3,000時間~8,000時間程度と言われています。
数値にかなり幅がありますが、3,000時間というのは法科大学院に入らず予備試験に合格した場合の勉強時間です。そのため、大多数の方は3,000時間の勉強量では司法試験に合格することはできないでしょう。
もちろん、人によって学習の進捗は異なりますので、勉強時間はあくまでも目安です。しかし万全を期すには、あらかじめ多くて8,000時間程度の勉強量を確保するつもりで準備をしなければなりません。
しかし、これだけの時間の勉強量を確保するには数年を要します。勉強量で考えても司法試験のほうが難易度が高いと言えるでしょう。
合格率は司法試験の方が低い
東京大学の2022年度の志願者は9,507名で、合格者は2,996名でした。ここから合格率を計算すると、約32%です。
一方で、2022年度の司法試験の受験者数は3,082名で、合格者は1,403名でした。合格率は45.5%です。
数値だけ見ると司法試験の合格率のほうが高いですが、司法試験は受験資格を取得する条件が厳しいため、受験資格を得られない志願者も含めて考えた場合、志望者総数に対する合格率は司法試験のほうが低いと考えられます。
特に司法試験の「予備試験」の合格率は約4%と非常に低いため、予備試験に合格した上で司法試験にも合格するのは、かなりの難関であると言えるでしょう。
そもそも、資格試験と大学入試では受験者の年齢層や学力の分布が異なります。単純に「どちらが難しいか」を比較することは難しいですが、ひとつの指標として合格率を参考にしてください。
司法試験受験以外の進路と比較
東大を志望する人の中には、同じく難関資格である司法試験を目指す学生も多くいます。特に東大法学部の学生は、進路のひとつとして司法試験を目指すケースが多いことでしょう。
しかし司法試験と並んで、外資系企業や日系の大手企業、国家公務員なども進路の候補として人気があります。
ここでは、東大生の司法試験以外の進路についてもそれぞれ比較していくことにしましょう。
国家公務員との比較
国歌公務員の中でも、中央官庁の総合職は東大法学部の学生の進路として人気があります。
中央官庁などの試験も簡単ではありませんが、予備試験や司法試験ほどは時間をかけずに対策が可能です。
司法試験か国家公務員の総合職かを迷っている方は、まず司法試験の勉強を先に開始し、その知識を生かして国家公務員の総合職を「法律区分」で受験するようにすると、勉強の両立ができるでしょう。
ただ、国家公務員の志願者は近年減少傾向にあります。その原因としては、大手法律事務所や民間の大手企業で働いた場合より給与が安いということが考えられます。
単純に「どっちの難易度が高いか」だけでなく、どういった仕事がしたいかを思い描くかによっても進路選択を考える必要があるでしょう。
外資系・日系企業との比較
外資系や日系の大手企業も、東大生の希望進路として王道です。
外資系と日系企業を比べると、外資系のほうが就活時期が早いです。民間企業を志望する学生はまず外資系から受け始め、その後で日系企業にチャレンジするという順番にすると良いでしょう。
ただ、外資系企業でも大学2年の1~2月くらいから選抜コミュニティの選考を始めるという流れになりますので、1、2年生のうちはそこまで焦らなくても間に合います。
こうした就職活動の対策も楽ではありませんが、予備試験や司法試験に比べると格段に少ない労力で済みます。司法試験の受験か民間企業かを迷っている学生は、まず司法試験対策を開始した上で、民間企業の就活情報もしておきましょう。
司法試験合格者の初任給は?
東大在学中に司法試験に合格した場合、ファーストキャリアとしては四大法律事務所で働くケースが多いです。この場合初任給は1,200万円ほどの年収になるとされています。
この額は外資系投資銀行の750~1,000万円や外資系コンサルティングファームの600万円という初任給相場よりも高い額になっています。
このように単純に高額の初任給を手にすることを目指すなら司法試験に合格し4大法律事務所への就職を目指すのが一番ですが、どういった仕事をしたいかも重要なポイントですので、よく検討してください。
東大・司法試験どちらも難易度が高い
偏差値や勉強時間などの数値で比較してきましたが、単純に数字だけを見ると「司法試験のほうが難易度が高い」という結論になります。
ただ、こうした数字はあくまでも指標のひとつに過ぎません。学習量に対する知識の習得状況は人によって異なりますから、単純に「どっちのほうが難しい」と言い切ることはできないでしょう。
東大も司法試験も、どちらも難易度が高い試験であることには変わりありません。合格するまでには、両方ともかなりの努力を必要とします。
東大生でも司法試験に落ちる
2013年~2019年に取られた統計において、東大生の予備試験合格率は15.1%でした。
受検者全体から見る予備試験の合格率は4%ほどですので、東大生の予備試験合格率はかなり高いことがわかります。
しかしその反面、東大生であっても8割以上の学生が予備試験に落ちています。つまり、東大生でも司法試験に受からない可能性は高いということです。
司法試験の受験者全体で見れば、東大生の地頭がいいことは間違いありません。しかし、専門的な法律知識なくしては他の大学の学生に必ず勝てるというわけではないのです。
ぜひ東大生であるからと言って油断せず、大学在学中に予備試験や司法試験に合格できるように準備を進めていきましょう。
とは言え、司法試験は「試験」ですから、これまでに確立された正攻法の対策というものが存在します。
東大に合格できる学力がある人であれば学習に正しく取り組むことができることでしょう。司法試験に合格できるポテンシャルは必ずありますから、自信を持って取り組んでください。
東大の弱点とは?
日本の最難関大学である東京大学には、やはり優秀な人材が集まってきます。特に文科一類・法学部の学生は、東大生の中でもかなり優秀な存在です。
とは言え東大法学部の学生にも、司法試験を目指すにあたっての弱点があります。そのひとつが「進振り制度」です。
東大は多くの大学とは異なり、一部の推薦入学者などを除き入学時に学部が確定しません。1年生~2年生の途中までの成績を元に学部の振り分けが行われるため、法律の専門的な学習を開始するのがどうしても他大学の法学部よりも遅くなります。
進振り制度にも良い面はありますが、司法試験を目指すことを考えた場合にマイナスになるのは避けられません。
東大生だからと油断は禁物
東大生の多くは、大学受験の激戦を勝ち抜いて入学しています。晴れて東大生となった直後は達成感でいっぱいになり、すぐに司法試験に向けての厳しい勉強に向き合える学生はそう多くないでしょう。
しかし、将来法曹を目指すなら、早慶など他の大学の学生とも競争する必要があります。
早慶の学生は内部進学者も多く、進振り制度もありません。大学入試前から司法試験の対策を始めている学生もおり、大学1~2年生はすでに法律の専門的な授業が始まっています。
大学に入った直後は司法試験受験以外の進路も考えて、色々な体験をすることももちろん大切です。しかし他大学の学生が司法試験に向けて動き出していることも念頭に置いて、早めに対策を始めてください。
東大生がとるべき司法試験攻略法
東大に入るとどうしても法律の授業の開始時期が遅くなってしまいます。この弱点を解消するには、司法試験対策予備校や通信講座を活用すると良いでしょう。
司法試験向けに通信講座では「アガルート」や「資格スクエア」が人気で、合格実績も高く、おすすめできます。
通信講座なら、予備校よりも費用が安く済みますし、勉強時間も自由に設定できます。時間や費用を抑えて司法試験に合格したい方は、ぜひ通信講座を上手に使って専門知識を身に付けていってください。
司法試験と東大の難易度まとめ
司法試験と東大の難易度まとめ
- 司法試験は東大よりも若干難易度が高いと言えるが、どちらも難関であることには変わりがない
- 東大は法学部での専門科目が始まるのが遅いため、司法試験を目指すなら独自の対策が必要
- 東大に合格したからと言って司法試験に合格できるわけではないので油断は禁物
東大と司法試験においては、単純比較が難しいものの、司法試験のほうが若干難易度が高いという結果になりました。
しかし、両方とも難関であることには変わりありませんし、東大生だからと言って司法試験に簡単に合格できるわけではないです。むしろ東大ならではの弱点もありますので、それをどう克服するかが鍵になるでしょう。
東大から司法試験を目指す方は、司法試験に向けた通信講座も活用しながら、目標に向けて早めに準備を始めていきましょう。
みなさんが晴れて司法試験に合格し、法曹界で活躍することを祈っています。