一級建築士合格後の免許申請はどうする?資格取得後に必要な登録手続きを徹底解説!

更新

「一級建築士として仕事をするにはどうすれば良いの?」

「一級建築士の試験に合格した後の流れが知りたい!」

一級建築士を目指している人で、このようなお悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?

一級建築士の資格は試験に合格するだけでは認められません。合格後、一級建築士の登録を行うことで初めて一級建築士としての仕事を行うことが可能になるのです。

そこで今回は、一級建築士の試験に合格した後の免許申請の流れや必要な書類について詳しく解説していきます。

この記事を読めば一級建築士の登録について正しく理解することができるでしょう。

一級建築士登録の申請についてざっくり説明すると

  • 一級建築士として働くためには試験に合格した後、一級建築士登録の申請が必要
  • 申請してから免許が発行されるまでには時間がかかる為できるだけ早めに申請する
  • 一級建築士になると設計できる規模に制限がない

このページにはプロモーションが含まれています

一級建築士試験に合格したら

交渉成立

一級建築士になるためには、試験に合格するほかに実務経験や一級建築士登録などが必要です。

一級建築士には実務経験と試験の合格が必要

一級建築士は二級建築士資格の一つ上のランクに位置付けられています。そんな一級建築士として仕事をするために必要な資格や条件などについて具体的に解説していきます。

実務経験

まず、受験資格を得る為に必要な実務経験についてです。一級建築士の資格を取得するためのルートには大きく分けて次の二つのパターンがあります。

  • 学歴と実務経験
  • 資格と実務経験

どちらのルートを選択しても必ず一定年数の実務経験が必要となります。それぞれのルートについて具体的にまとめていきましょう。

まず一つ目の「学歴と実務経験」についてです。これは国土交通省が指定する建築科目の単位を取得して学校を卒業する方法です。

在学時の取得単位数により卒業後に必要な実務年数が変わります。

学歴 実務年数
4年生大学で指定科目を修めて卒業 2年以上
3年生短期大学で指定科目を修めて卒業 3年以上
2年生短期大学で指定科目を修めて卒業 4年以上

上にまとめたように取得単位数が少ない場合でも、その後実務経験を長く積むことにより一級建築士の受験資格が得られるようになります。なお認定された学校については建築技術教育普及センターのHPで確認しておきましょう。

二つ目の「資格と実務経験」ですが、これは二級建築士や建築整備士の資格を取得後に実務経験を経て一級建築士資格を取得する方法です。

この場合、4年の実務経験を必要とします。2級建築士の資格には7年の実務経験があれば、建築に関する学歴がなくても受験することが可能です。したがって一級建築士になるために、必ず建築関連の学歴を持っていなければならないということはないのです。

上で紹介した二つのルートのどちらを選択しても実務経験が必ず必要であるということを理解しておきましょう。またこれまでは実務年数は受験時までに必要とされていましたが、建築士法改正(令和2年3月1日改正)により実務年数は免許登録時までに必要年数をクリアしておけば、受験資格を得られるようになりました。

高難度試験

一級建築士の合格率は10%前後です。いくら受験資格をクリアしていても難易度の高い試験に合格しなければ一級建築士の資格は得ることができません。

しかし、資格によっては合格率が10%に満たない難易度のものも存在しています。そのため計画を立てて学習を進めることにより、合格を目指せない難易度ではないと言えるでしょう。

試験合格後は登録をする

受験資格を満たし、高難易度の試験を突破することができた人は一級建築士登録を行わなければなりません。

試験に合格後、一級建築士登録を行うことで初めて一級建築士として働くことが可能になるのです。後程詳しく説明しますが、一級建築士登録は申請から交付までに時間がかかるため、試験合格後は速やかに登録を完了させることをおすすめします。

登録の手順については次の見出しから具体的に解説していきます。

一級建築士登録のやり方

スマホをいじる女性

前述したように、一級建築士として仕事をするためには一級建築士登録が必要となります。ここでは申請に必要な書類や登録の手順などについて具体的にまとめていきます。

登録に必要な書類

まずは登録の申請に必要な書類に関してです。この書類に不備が生じてしまうと何度も再提出を行う手間が発生してしまいます。そうなると無駄に時間がかかってしまうため、提出する前に入念にチェックを行いましょう。

一級建築士免許申請書

登録の目的であるのがこの一級建築士免許申請書です。以前は手書きでの記入が必要でしたがPCでの入力も可能になりました。

日本建築士会のHPに書式があるのでダウンロードして使用しましょう。

記入内容は住所・氏名・生年月日などの免許発行に必要な基本事項についてです。

一級建築士住所等の届出

次に一級建築士住所等の届出用紙です。こちらも日本建築士会のHPから書式をダウンロードして使用します。

住所や氏名などに使用されている漢字の字体は一級建築士免許申請書に記入したものと統一するように注意しましょう。

証明写真(2枚)

「免許申請書」と「住所等の届出」の書類に貼付する証明写真が2枚必要です。どちらも同じ写真を用意します。

写真に関する注意点は次の通りです。

  • 縦45mm×横35mm
  • 無帽・無背景・正面上3分身
  • 6ヵ月以内に撮影

窓口へ申請に行く場合は万が一に備えて予備を持っておくと安心です。

申請手数料の払込受付証明書

  • 手数料19,200円

一級建築士免許証を発行する為に必要なのが申請手数料の払込受付証明書です。必ず申請者名で払い込みを行いましょう。

登録申請書に払込受付証明書の原本を貼付します。紛失に注意して申請書を提出するまで大切に保管しておきましょう。

登録免許税納付書の領収書

  • 手数料60,000円

先ほどの払込受付証明書は免許発行に必要ですが、一級建築士として登録する際に必要なのが登録免許税納付書の領収書です。こちらも先ほど同様必ず申請者名で納付を行いましょう。

登録申請書に納付書の原本を貼付します。紛失しないように注意しましょう。

戸籍謄本(原本)

戸籍謄本の原本を本籍地の市町村で入手しましょう。その場合、次の2点に注意してください。

  • マイナンバーに関する記載のないもの
  • 発効から6ヵ月以内のもの

戸籍謄本は郵送により取り寄せることも可能です。方法や手数料に関しては各市町村のHPを参考にしてください。

合格証明書

試験に合格すると合格通知書が送付されます。一級建築士の試験に合格したことを証明する合格証明書(製図試験の合格通知書)を申請時に提出しましょう。

本人確認のできる身分証明書

本人確認のできる身分証明書を提出しましょう。1点で本人確認が可能なものとしては次のものが挙げられます。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • マイナンバーカード
  • 写真付き住民基本台帳カード
  • 宅地建物取引士証 など

物により扱いが異なるため、必ず詳細はHPにて確認しておく必要があります。

申請・登録までの手順

登録に必要な書類の準備が完了したら次は申請を行いましょう。申請方法は必要書類を建築士会に提出するだけです。

書類の受理が終われば、その後は免許証の交付を待つのみとなります。免許証の交付には通常申請から約2ヶ月ほどの期間を要します。

発行されたら直接受け取りに行くほか、申請時に送料400円を払っておくことで送付してもらうことも可能です。

登録にかかる費用

登録の際には免許税や手数料など、合計して80,000円ほどの登録料が必要になります。

加えて証明写真代や戸籍謄本の発行料や免許送付料などが必要になることもありますので登録料以上に余裕を持って準備をしておくようにしましょう。

一級建築士登録は早めに行おう

一級建築士の登録は試験合格後できるだけ迅速に行いましょう。通常、免許は申請してから交付されるまでに2ヶ月程度の期間を要します

試験に合格しても免許を受け取るまでは一級建築士として働くことができません。せっかく合格しても免許を手に入れなければ使えない資格ですので、早めに一級建築士登録をすませてしまうことをおすすめします。

無免許営業は違法

登録申請に必要な書類にて解説したように、免許の取得には相当の時間と登録料を必要とするため、多少の手間がかかってしまいます。しかし、無免許のまま一級建築士と名乗ること、そして一級建築士として仕事をすることは違法です。

法律に触れないためにも、試験に合格したからと言って一級建築士と名乗るようなことはしないように注意しましょう。そして繰り返しになりますが、なるべく早く免許の申請を行いましょう。

一級建築士登録が終了すると

手を合わせる男性

試験に合格し、一級建築士登録が完了することにより無事に一級建築士として名乗ることが可能です。

一級建築士になることでどのような変化があるのでしょうか。また、一級建築士としてやるべきこととは何でしょうか。

この見出しで詳しく見ていきましょう。

より大規模な建築が可能に

一級建築士になることにより、これまで以上に大規模な建築が可能になります。

一級建築士と二級建築士での最大の違いは、設計可能な建物の規模にあります。二級建築士資格では設計可能な建物や規模に制限があります。対して一級建築士には設計する建物に対する制限が設けられていません。

二級建築士は戸建て住宅規模を対象としており、3mを超える建物を設計することはできません。さらに学校や病院、集会場などの施設の建設に対しても制限が設けられています。

一級建築士

前述したように、一級建築士は設計できる建物に制限が無いのが特徴です。高さや敷地面積における制限が無い為、二級建築士では設計できないようなマンションやアパートメント、大規模なショッピングセンターを設計することが可能です。

さらにはオリンピックに使用する競技場の設計まで行うことが可能です。

一級建築士資格を活かそう

一級建築士は難易度が高い資格とされていますが、その分取得する価値のあるものだと言えるでしょう。

設計できる建物に制限がないだけではなく、様々な場面で資格を活かすことが可能なのです。

幅広い講義内容を現場で活かす

一級建築士の資格を取得するために学ぶ講義の内容は非常に幅が広く、二級建築士とは比較にならないほど多岐に渡ります。その中には建設現場以外にも活かせる知識がたくさん存在しています。

難易度の高い一級建築士に合格するほど豊富な知識量があれば、これまでよりも円滑に現場を回すことが可能になるでしょう。

図面を速く書く

図面を速く書くことができるというのもメリットの一つです。

一級建築士の資格に合格するためには、試験内容である図面の作成を何度も繰り返し練習します。そうすることで資格取得後にはそれまでより格段に作図スピードが速くなっていることでしょう。

内容に関しても成長しているはずですので、作図スキルを活かしていくと良いでしょう。

法的な問題に対応する

一級試験において結果に大きく反映されるのは、法規に関する内容です。その内容をしっかりと理解できていることでその知識が実践で活かせるようになります。

法的な問題は設計を行う上でも非常に繊細な部分となっています。正しい知識を身に付けていることで顧客との話し合いがスムーズに行え、トラブル回避にも繋がるでしょう。

一級建築士として成長するために

一級建築士の合格率は10%前後と高難易度の資格です。さらに受験には実務年推を必要とします。このことからも分かる様に、一級建築士というのは簡単になれるものではありません。

必然的に一級建築士の資格を有する人は価値が高いと考えられ重宝されるケースが多いです。

ここで大切なのは、一級建築士という資格がすごいのではないということです。資格そのものがすごいのではなく資格を取得するために得た知識や情報量に価値があるのです。

したがって資格を得たからと満足するのではなく、一度身につけた知識や情報量をどのように活かせるかが重要になってくるのです。

人間の脳は使わない情報を整理する様に作られています。せっかく努力して蓄えた知識でも、使わずに放置してしまうと全くもって意味がありません。

日頃から一級建築士としての知識や技術を活用することで得た知識を失わない様に気をつけてください。そのことを意識しておけば、建設で頼られる存在となる日も近いでしょう。

一級建築士登録の申請についてまとめ

一級建築士登録の申請についてまとめ

  • 試験に合格しても、一級建築士登録に申請して免許が発行されるまでは一級建築士と名乗ることができない
  • 登録料として80,000円程度の費用が必要
  • 申請から免許の交付までに2ヶ月程度かかる

いかがでしたか?今回は一級建築士の試験合格後の流れや免許の申請方法などについて解説しました。

一級建築士になる為には、試験に合格した後に一級建築士登録の申請をしなければなりません。せっかく手にした資格を無駄にしないよう、登録は正しい手順で迅速に行いましょう

資格の取得に悩む方、そして試験に合格した方、是非一級建築士になって大規模な設計に携わる夢をかなえてください!

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1