建築士の将来性は?需要のなくならない理由から仕事内容・やりがいまで徹底解説!
「建築士って将来性のある資格なの?」
「建築士の仕事の需要はあるの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
建築士は建物の建築や設計など、不動産の世界では欠かすことのできない専門的な仕事です。
今後の建築士の将来性や今後の需要の見通しなど気になりますよね。
こちらの記事では、建築士の将来性や仕事内容ややりがいについて解説していきます!
建築士の将来性についてざっくり説明すると
- 建設業界の人手不足は深刻で、将来性は抜群
- 特に若い年齢の建築士不足が顕著
- 建築士の有効求人倍率は高く、活躍できるフィールドは広い
- AIとの共存も可能
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建築士の将来性
こちらのトピックで、建築士の将来性について解説します。
建築士の少子高齢化
国土交通省によると、令和5年4月1日現在の建築士の登録者数は以下のようになっています。
資格 | 登録者数 |
---|---|
一級建築士 | 378,337人 |
二級建築士 | 790,388人 |
木造建築士 | 18,793人 |
なお、年代ごとの一級建築士の登録人数は以下の表の通りです。
年代 | 一級建築士の登録人数 |
---|---|
20代 | 約2,000人 |
30代 | 約47.000人 |
40代 | 約66,000人 |
50代 | 約101,000人 |
60代 | 約106,000人 |
なお、一級建築士の平均年齢は56.2歳となっています。
50代以上が半数を超え30代は15%程度しかおらず、20代に至っては1%にも満たないのです。
今後も高齢化が進んでいくため、さらに建築士の高齢化が進行することが想定されています。
このような背景もあり、若い年齢の建築士は貴重な人材で、多くの企業から求められているのです。
建築士の人数は減少傾向?
ヒューマンリソシアが発表した「一般職業紹介状況」によると、2022年の建設技術者の有効求人倍率は、6.53倍に達しています。
この数値は、現在の職業分類で統計の集計の最高値となっており、建設技術者は明らかに供給不足であることがわかります。
建築士の数が減っていることから、ますますこの状況は悪化していくと考えられています。
建物老朽化に伴う建築士需要
かつて日本で起こった建設ラッシュの影響もあり、現在多くの建物の老朽化が進んでいて、建て替えなどの必要性が生じています。
老朽化した建物の解体や、空いた場所に新しく建物を建てるためには建築士の知識と技能が必須です。
そこで不動産を有効活用していくためにも建築士の需要は高いのです。
良好なまちづくりのためにも、建築士は必須の存在であると言えるでしょう。
解体工事に伴う建築士需要
建築士の仕事は家を造る際の設計だけではなく、解体工事の現場でも活躍します。
建物を解体する際にも、安全に建物を解体できるようにサポートしています。
解体工事をする際には周辺環境などにも配慮する必要があるため、専門的な知識を有している建築士の存在が不可欠なのです。
新規の建設に伴う建築士需要
新たな建設やインフラの整備をする際には、建築士が求められます。
オリンピックの影響やタワーマンションブームなどの影響もあり、現在建築ラッシュが続いています。
このような建設作業を行う際に、安全に効率よく作業を行うためにも建築士の存在は非常に大切です。
多様なスキルが必要に
時代の変化に合わせて、建築士も徐々に求められる能力に変化が生まれてきています。
今後も必要なスキルが多様化していくと予想されており、競合の建築士とうまく差別化するためにも自分なりの強みを持つことが重要となります。
例えば、バリアフリー」構造の家の建築や、エネルギーの循環などができ地球環境に配慮した「エコハウス」の建築は今後ますます需要が高まっていきます。
そのような特定の分野に特化したスキルを持つことで、その分野での受注が期待できるようになります。
多様な活躍の場所
建築士が活躍できるフィールドは不動産業界がメインになります。
具体的にはハウスメーカー・設計事務所・工務店・ゼネコンなどが挙げられ、働き方も多様です。
ハウスメーカーにも様々な規模があり、大手企業から地元密着型の企業まで色々です。
設計事務所も同様に、少人数で運営している個人事務所や全国展開している大手の設計事務所まで規模は様々です。
自分に合った働き方も可能なので、ぜひ様々な求人に目を通してみてください。
AIの登場で建築士需要はどうなる?
近年はAIの発達が著しいですが、建築士はAI化が進んでも需要が高い資格です。
つまり、将来性は非常に高く取得するメリットは大きいです。
AIの代替可能性のある仕事
建設や建築業界でも、AI化の影響を受ける仕事はあります。
例えば、敷地調査などの調査業務はAIの得意分野なので、人間が取って代わられる可能性が高いです。
また、基本設計のプランニングや実施図面作成、見積もりなどの業務もAIが代替可能なので、人間が取って代わられる可能性があります。
このように、様々な仕事がAIに奪われる可能性がありますが、AIは人間の感情の面まで介入することはできません。
収集した情報を分析した上で、顧客にとって最適な提案をする作業はAIには不可能で、人間にしかできない作業と言えるでしょう。
AI登場後も建築士の需要はある!
AIにより奪われる仕事はありますが、逆に計算や分析処理などをAIに任せることにより、建築士の業務の負担は軽くなります。
建築士の仕事は減ると予想されていますが、AIに面倒な作業を任せることにより、建築士がよりクリエイティブな仕事に専念できるようになるでしょう。
以前よりも独創的なデザインや独自のアイデアを生み出すことで、よりよい相乗効果が期待できる面もあるのです。
また、建物の建て直しや最新技術の投入の際には建築士が活躍するため、建築士は非常に将来性が高く魅力的な職業と言えるでしょう。
BIMの導入
近年は、作業を効率化するためにBIMを導入する企業が増えています。
BIMとは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称です。
BIMを活用することで、コンピューター上に作成した3次元の建物モデルにコストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加した建築物のデータベースを作成することができます。
建築ビジネスの業務を効率化できるこのシステムを導入することにより、設計に関わるプロセスを円滑に進めることが期待されています。
ただし、この便利なBIMを扱うのはAIに任せるべきなのか、人間が行うべきなのかは、未だ議論されている段階です。
しかし、建築士の業界においてはAIが積極的に導入されたとしても人間の必要性は高いとされています。
建築士の仕事
こちらのトピックで、建築士の仕事内容について見ていきましょう。
建築士の仕事内容
建築士の仕事内容は、建築物の設計や工事の管理などが主です。
建物を実際に立てるためのヒアリング業務や、設計ソフトなどを使った図面の作成を行います。
特に、ヒアリングの際には顧客の細かい要望に対応していく必要があります。
「窓が多い家」「風通しが良い家」など顧客により要望は様々なので、建築基準法などのルールと照らし合わせながら仕事を行っていきます。
そもそも建築士とは?
そもそも建築士とは、顧客から提案された建物を実際に設計、工事の管理などを行う人です。
建築に関して非常に高い専門的な知識を持っているため、建物を建築するにあたっては必須の存在です。
工事の管理も行い、遅れが出ないようにするのも建築士の仕事です。
一日の働き方
働いている企業や建築士としての働き方によって、一日のスケジュールは異なります。
具体的な仕事の流れは以下の通りです。
-
朝はメールのチェックを行う
-
現場で打ち合わせ、図面の作成、進捗の確認、顧客との会食などを行う
以上の流れはあくまでも一例であり、建築士に毎日繰り返し行うルーティンワークは少ないです。
様々な現場を飛び回る人も多く、日によってやるべき業務が多様で流動的と言えるでしょう。
建築士に関連する仕事
建築士に似ている仕事に、設計士や建築家が挙げられます。
設計士と建築家は国家資格ではなく、建築家は建築士よりも芸術的・意匠的な要素が強い点が特徴です。
一方で、設計士は建築士のフォローなど、無資格でも取り組める範囲の設計業務を行っていることが多いです。
簡単に言うと「建築士のサポート」のようなイメージです。
建築士の魅力・やりがいについて
日本の不動産業界は、多くの問題を抱えています。
高齢化の進展による空き家の増加、頻繁に発生する自然災害への備えなどが代表的です。
建築士の資格を取得することで、これらのような社会問題の解決に貢献できるスキルを身に着けることができます。
また、建築士はクリエイティブな要素が強く「自分がアイデアを出して設計したものが形となって残っていく」という、非常に大きなやりがいや喜びを感じることができる仕事です。
また、就職先の選択肢も幅広く建設業界ではいくらでもつぶしが利く資格です。
残業は多い傾向にありますが、非常にやりがいが大きく魅力的な仕事であると言えるでしょう。
AIと建築士の関係はどうなる?
これまでの建設業界では、CADが使われてきました。
CADとは手書きの図面をデジタルデータに起こすもので、前述したBIMの前時代的なものです。
近年登場したBIMを活用することにより、線を引くことなく初めから壁やドアなどを配置していくことで図面を作ることが可能です。
また、BIMは設計から施行まで一元的な管理をすることができるため、以前よりも大幅な効率化が期待できます。
つまり、今後の建設業界ではBIMなどのテクノロジ―を扱える人材が求められていくでしょう。
このようにAIの導入により奪われる仕事がある一方で、人間でなければできない仕事もあります。
建築物は大量生産される性質のものではなく、街の景観や街づくりなどを踏まえて多面的な視点に基づいて設計する必要があります。
このような人間の「考えや思い」を実現するためには、人間による仕事が不可欠です。
つまり、AIに仕事を奪われるというより「AIが建築士の仕事を支援する」という言い方が適切でしょう。
AIに取られない建築士の業務範囲
ヒアリング業務など、密接に人と関わる業務に関してはAIによる代替の可能性は低く、人間が重宝されるはずです。
単に利便性が高いだけでなく、人の想いや考え、街の哲学を汲んだクリエイティビティのある設計はAIには不可能であり、人間にしか出来ません。
このような感情が関連する業務はAIには任せられない範囲と言えます。
建築士が生き残るために絶対必要なスキルは?
建築士として生き残るために必要なな能力は、以下の5つが挙げられます。
顧客が真に求めるものを引き出す能力
建物を作るにあたって、必ず顧客は様々な要望を出してきます。
しかし、法律上の縛りなどの影響もあるため、顧客の願望の全てを叶えることはできません。
法律を遵守しながら願望の優先順位を見極めつつ、顧客が気付いてない課題を見つけ出すことは建築士として必要不可欠なスキルです。
人脈構築能力
コミュニケーション能力に優れ、周囲と良好な関係を築けることは建築士の仕事では欠かせません。
人脈が広いことによって仕事や情報を獲得しやすくなり、仕事に良い影響を与えることができます。
与えられた仕事に対して真摯に取り組み、最大限努力することで人脈は生まれます。
そのため、小さな仕事でも手を抜かずに、丁寧に取り組むようにしましょう。
学び続ける向上心
建設業界でも技術の革新やBIMなど、新しいシステムに対応できるITリテラシ―が求められつつあります。
このような最新の技術に対して拒否反応を起こすことなく、学び続ける向上心は非常に大切です。
変化し続ける環境に適応するために自分のアンテナを広げて、幅広い知識を学び続けるようにしましょう。
コミュニケーション能力
建築士の仕事は様々な人とつながりができるため、仕事を円滑に回すためにコミュニケーション能力は必須です。
AIが登場する中で、これまで以上に顧客が建築物に込めたい想いを引き出す力が求められるでしょう。
ちょっとした会話の中から相手のニーズを引き出すことも大事なコミュニケーションスキルです。
営業力
仕事を勝ち取るためには、自分自身の能力を高めつつ営業力も身に着ける必要があります。
また、信頼を得るためにも目の前の仕事を全力でこなし、コツコツと実績を作ることも重要です。
このように信頼を重ねることでさらなる仕事を呼び込めるようになり、まさに好循環が生まれるのです。
建築士を目指す選択肢はアリか
建築士の年収
最新の賃金構造統計基本調査によると、建築士の月額給与平均は41.59万円、ボーナス平均は182.27万円でした。
これらを総合的に見ると、一級建築士の平均年収は681万という結果でした。
ただし、この統計には大手ゼネコンや中小建築事務所に勤務する人の年収も一緒に含まれているため、実際には差が大きいと考えられています。
また収入は男性と女性の違いによってもばらつきがあります。
男性の場合は平均月収が42.45万円、ボーナス平均は191.07万円で平均年収は700.47万円であるのに対し、女性の場合は平均月収が33.86万円、ボーナス平均は103.07万円で平均年収は509.36万円という結果になりました。
つまり、男性の方が女性に比べて少し給与の面では高い水準であることがわかります。
日本国民の平均年収は400万円台と言われているので、この平均値と比べると建築士は稼げる仕事であることが分かります。
建築士としてのキャリアの道
一級建築士になると独立も視野に入れることができます。
設計事務所・ゼネコン・ハウスメーカーなど勤め先によって仕事の内容は違いますが、大手ゼネコンに勤めれば年収1000万円も実現可能です。
自分が建設業界でどのような仕事をしたいのかなどを勘案して、自分のキャリアを考えていきましょう。
やりたいことを見据えた将来設計を
個人経営の設計事務所や大手のゼネコンなど、建築士が活躍する企業は多くあります。
勤務先によって取り扱う建築物の種類が変わってくるため、自分のやりたいことと任される仕事がマッチするかを考えて将来設計をする必要があります。
活躍できるフィールドが広い上に建物の建築に関する知識はどの時代でも必要不可欠なものなので、建築士は非常に将来性が高い資格です。
「どの分野で活躍したいか」「どのようなキャリアプランを考えているか」など、冷静に分析しながら自分のキャリアを築いていきましょう。
建築士に向く人
設計や図面の作成などが得意な理系の人や、美的センスがある人は建築士に向いています。
建築士は、顧客の要望を聞きつつ建物の外装や内装、色合いなどを決めていきます。
法令を守りながら建物全体を顧客の要望を通りに設計するには、高い美的センスが求められるのです。
そのため、不器用な人や美的センスが乏しい人は建築士として向かないでしょう。
また、設計に関しては図面の作成や地盤の調査など、理系の知識が多く求められます。
様々な図面を作成するには数学的な知識が求められ、顧客が快適に過ごしていくためにはカビなどの生物知識も必要です。
このように、理系の科目が得意だった人や空間把握などのスキルに自身がある人は建築士に向いています。
建築士の将来性まとめ
建築士の将来性まとめ
- 現在の建築士の平均年齢は高く、高齢化が深刻
- 特に若い建築士の将来では抜群に高く、キャリアアップが期待できる
- 建物に関する様々な場面で活用できるため、非常に有益な資格
- AIが発達しても仕事が完全に奪われることはない
建築士の人手不足、高齢化はとても深刻な状況にあります。
そこで、若い人の建築士が早急に求められており、もし建築士の資格を取得できれば多くの企業から高く評価されるでしょう。
また、AIと共存することで自分の仕事の質を上げることができるため、非常に将来性は高いです。
このように魅力がたくさんある資格なので、ぜひ建設業界や不動産に興味がある人は建築士の取得を目指してみてください!