建築士の独立は難しい?設計事務所を開業するまでの流れや役立つ資格まで紹介!
「建築家として独立することは難しい?」
「独立するための具体的な流れは?」
一級建築士などの建築士を目指している人たちの中には、このような疑問を持っている人も多いかと思います。
そこで、今回の記事では、「建築士の独立は難しい?」と題して、設計事務所を開業するまでの流れや役立つ資格まで、様々な観点から紹介していきます。
建築士の独立についてざっくり説明すると
- 建築士として独立することで、自由な働き方や年収アップ、有名な建築家を目指すことができる
- まずは設計事務所や一般企業などで経験と実績を積むことが大切
- ダブルライセンスにより、業務の幅をさらに広げることが可能である
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建築士のフリーランスとしての働き方
ここでは、建築士が独立した場合の働き方について説明していきます。
建築士に限ったことではないですが、士業として独立した場合には、自分でどんな仕事を行うか自由に決めることが可能となります。
また、得意な専門分野に特化した独立が多い傾向にあります。
例えば、戸建住宅に特化した人や、特徴的なデザインを売りにして独立する人などがいます。
さらに、企業勤めではなかなか出来ない、自分の理想を目指して独自の凝った設計をすることも独立することで可能となります。
ただし、建築事務所を経営していく能力も同時に求められるようになりますので、建築家としての腕一本ではなかなかやっていくことは難しいでしょう。
独立・開業までの流れ
これも、建築士に限ったことではありませんが、実務経験を全く積まないままに、最初からいきなり独立することは難しいと言えるでしょう。
まずは何らかの勤務経験・実績を積むことが必要となります。
その場合、建設会社やハウスメーカーよりも、設計事務所からの方が独立しやすいと言えます。
理由は、設計事務所で建築のことはもちろんのこと、事務所経営のノウハウも同時に学ぶことができるためです。
このように、独立するにあたっては、まず建築士として十分な実績を積むことが重要となってきます。
独立・開業をするに至るきっかけとは
独立に至るきっかけについても人それぞれではありますが、主な独立に至るきっかけとしては2点ほどあります。
1点目は、「今勤めている会社が合わない」といった仕事上のことです。
2点目は「家族とかかわる時間を増やしたい」といったプライベート上のこととなります。
いずれの場合でも、「現状を変えたい、より良いものとしたい」という思いから、独立を考えるような傾向にあると言えます。
独立・開業のメリット・デメリット
メリット
建築士として独立することのメリット例として、以下に3つほど挙げています。
- 自由なスタイルで働けること
- 設計方針や業務内容など全て自分で意思決定できること
- 会社に勤めるより遥かに高給を得られる可能性があること
デメリット
建築士として独立することのデメリット例についても、以下に併せて記載します。
- 1人で納期に向けて取り組まなくてはいけないこと
- 独立間もないときは知名度や信頼性も十分でなく、安定して仕事がないこともあること
- 経営者としての役割・スキルも求められるようになること
独立後の年収・給料は?
企業勤めの建築士の場合では、平均して650万円ほどとされていますが、独立することで更なる給料アップを目指すことができます。
また、有名建築家にまで上り詰めることができれば、億単位の年収になることもあり得ることでしょう。
ただし、もし経営が上手くいかない場合には、年収が200~300万程度になってしまうこともあり得ます。
そのため、独立の決断は、安定とリスクを天秤にかけたうえで決断すべきであると言えるでしょう。
独立する際には、ビジネスプランの策定やクライアントとの信頼関係の構築など、建築の専門性だけでなく経営に関する知識とスキルも求められるため、事前にしっかりとした準備と計画が不可欠となります。
建築士として独立する際に必要な手続き
ここでは、建築士として独立するために必要な手続きについて紹介していきます。
建築士事務所への登録
建築士事務所を設立するにあたっては、建築士法第23条に従って事務所登録を行う必要があります。具体的には、各種必要書類を建築士事務所協会に提出するという手続きが必要となります。
なお、もし登録を怠った場合には、懲役もしくは罰金が課されることになりますので、くれぐれも注意してください。
事務所の種類は、取得している資格に応じて「一級建築士事務所」「二級建築士事務所」「木造建築士事務所」に分けられることとなっています。
有効期限は5年
事務所登録の有効期間は5年間であるため、5年ごとに更新手続きを行うことが必要となってきます。
いつまでに更新手続きをしなければならないかといえば、有効期限が満了する日の30日前までと定められていますので、これまでに更新手続きをしなければなりません。
もし、この更新手続きを行わなければ事務所登録が取り消されてしまうこととなってしまいますので、注意が必要です。
管理建築士の必要性
事務所には、常勤の管理建築士を1人以上置かなければいけないことになっていますので、開業にあたってはこの点も注意する必要があると言えます。
なお、この管理建築士になるためには、原則として、建築士事務所に所属する建築士として3年以上の設計など国交省が定める業務に従事した後、管理建築士講習を受ける必要があります。
具体的な独立までの準備と注意点
ここでは、建築士としての具体的な独立までの準備と注意点について解説していきます。
経験と実績を積んでおくこと
まず必要なこととしては、企業に勤めて実務経験を積むということが挙げられます。
独立してやっていけるほどの専門性・技術を得るためには、少なくとも5年間は下積みを行っているケースが多い傾向にあります。
また、この期間の中で経験や実績を積むことはもちろんですが、人脈を多く作っておくことで、開業後仕事を獲得しやすくなるかもしれません。
人脈を築くことは、信頼関係を構築し、将来的に独立やビジネス拡大の際にお互いに協力し合える関係を作る重要なステップです。この期間に培った人間関係は、開業後の成功に大いに寄与することが期待されるため、積極的なコミュニケーションが求められます。
独立資金を貯める
次に、独立するための資金を貯めるということが挙げられます。
初めから安定して仕事がくる可能性は低いことから、その間をしのぐためにある程度の貯金は必須となります。
開業するにあたっては、オフィス賃料や機材にかかる費用、人を雇う場合は人件費などがかかる場合もありますので、当分の生活費を貯金しておくだけでは足りないこともあり得るでしょう。
実際に開業する際の具体的な費用を事前に計画し、それに基づいて資金を積み立てるとともに、必要に応じて金融機関からの融資も検討するなど、資金面での慎重な準備が求められます。
ダブルライセンスでさらに高収入も
建築士の業界は高齢化の傾向にあるため、早くに資格を持つことで多くのチャンスを得られることでしょう。
しかしながら、AIの登場などもあって、建築士もより多様なスキルを身に付ける必要性があります。
その取り組みの1つとして、他の資格と組み合わせるダブルライセンスによって、業務の幅が広がり、独立後も生き残る可能性を高めることができるでしょう。
以下では、仕事上有利となり、年収増加も見込めるダブルライセンスに活用できる資格について紹介していきます。
インテリアコーディネーター
1つ目の資格は、インテリアコーディネーターです。
インテリアコーディネーターは、インテリアと住まいのスペシャリストであることを証明する資格となっています。
この資格を持っていることで、家具や住宅設備をより適切に選択・配置することを通じて、より生活空間を顧客に寄り添った形でデザインできるようになることでしょう。
また、生活空間全体について顧客に提案できる知識は、差別化を図るうえでも重要な要素であると言えるでしょう。
宅地建物取引士
2つ目の資格は、宅地建物取引士です。宅地建物取引士は、不動産に関する税金・法律まわりの総合的な知識が得られる資格となっています。
建築士試験でも扱われている「建築基準法」などの知識も問われることから、既に建築士資格を取得している人は取り組みやすい内容であると言えます。
建築と法律という2つの面でプロフェッショナルになることで、仕事の幅がさらに広がり、独立に際しても有利に働くことでしょう。
宅建士の需要は非常に高く、給料も高いことから、宅建とのダブルライセンスはおすすめであると言えます。
1級建築施工管理技士
3つ目の資格は、1級建築施工管理技士です。
1級建築施工管理技士は、施工過程における施工計画、工程管理、品質管理、安全管理を担うための資格となっています。
一級建築士と混同しやすい名称ですが、一級建築士は設計監理のスペシャリストであることに対して、1級建築施工管理技士は、施工管理のスペシャリストであると言えます。
施工管理のスペシャリストとして、重宝される人材になることができます。
この1級建築施工管理技士についても、高齢化の影響で人材不足となってきており、また、一級建築士の資格だけでは担当出来ない現場でも活躍できることから、活躍の機会を増やすには有効な資格であると言えるでしょう。
建築士のフリーランスとしての働き方のコツ
フリーランスの場合は雇用と違い、企業とフリーランスとの間で契約で交わされ、業務や報酬が規定されることになります。また、報酬以外の規定も業務委託契約書で定める必要があります。
業務委託契約書は、労働基準法が最低限の水準を守ってくれている雇用契約書とは異なり、当事者間の契約ですべてが決まってしまいます。
そのため、同じ設計事務所を営む先輩や、弁護士などの法律の専門家にお願いして、事前のリーガルチェックにより契約のリスクを洗い出しておく必要があります。
また、フリーランスには企業勤めの人以上に、自身のスケジュール管理やマルチタスク管理など、時間管理のテクニックも必要となってきます。
このマルチタスクというものは、もともと人間の脳は同時に複数のことをこなすようにはできていないこともありますので、自分自身で工夫する必要があると言えるでしょう。
建築士の独立についてのまとめ
建築士の独立についてのまとめ
- 建築士として独立することで、自由な働き方や年収アップを見込めたり、有名な建築家になるといった夢を目指すことができる
- 独立する前には、まず設計事務所や一般企業などで経験と実績を積む必要がある
- 建築士に関連した資格とのダブルライセンスにより、業務の幅をさらに広げることができる
今回は、「建築士の独立は難しい?」と題して、設計事務所を開業するまでの流れや役立つ資格まで、様々な観点から紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回の記事が、建築士に興味がある、あるいは建築士を目指している人たちにとっての参考情報となれば幸いです。