建築士の仕事内容は?一級建築士と設計士の違いや業務の種類まで全て解説!
「建築士ってどんな資格?」
「建築士のやりがいや将来性を知りたい」
建物を作る仕事の中でも、有名な仕事が建築士です。多くの人が耳にする職業の一つですが、資格や仕事について具体的な知識がある方は少ないです。興味はあるけど知識は無いという方は多いのではないでしょうか。
そこで、建築士の資格や職業についての知識をまとめました。建築士という仕事を知りたい方はもちろん、就職先等の具体的な知識が欲しい方にも役立つ内容となっています。ぜひご覧下さい。
建築士の仕事についてざっくり説明すると
- 建築士として仕事をするには、建築士試験に合格し免許を取らなくてはならない
- 建築士には給と区分があり、これによって建築できる建物に制限がある
- 建築士は就職先によって仕事内容が微妙に異なる
- 建築士は大変な仕事だが、その分やりがいも大きい
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建築士とはどんな資格?
まずは建築士という資格がどういった資格なのかを知っていきましょう。建築士と建築家の違いや、建築士という資格内にある違いについても解説します。
建築士とは
建築士は法律に基づいて建物の設計や工事監理をするのが仕事です。 建築士として働くには試験を受ける必要があり、その種類によって設計や管理できる建物のスケールに違いがあります。
建築士の種類は以下の3つです。一般的には、上にいくほど免許の順で難易度が高くなります。また、担当できる業務範囲も広くなってきます。
- 1級建築士
- 2級建築士
- 木造建築士
設計士や建築家と建築士の違いは
建築に関わる仕事の中で、建築士と同じ位耳にする職業が設計士と建築家です。この職業はそれぞれ違いがあります。
建築士と設計士の違い
まず、設計士ですが、大手建築会社等に所属している人が多く、建築物の図面を書くのが主な仕事 となります。対して建築士は、実際に免許を使って建物の設計や建築、工事監理を行います。
設計士を名乗るのに必要な資格や免許はありません。建築メーカーや設計事務所で設計関係の仕事に携われれば、誰でも名乗ることができます。
仕事をする上で、免許の有無が問われないのです。建築士は先程も触れた通り建築士の国家試験に合格し、免許を得ないと名乗れません。
建築士と建築家の違い
次に建築家ですが、建築に関わる生き方をしている方を指す言葉です。具体的に言うと、構造や設備よりもデザイン等の意匠面に力を入れた建築を得意とする方を指します。
建築家と呼ばれている方達は、設計士や建築士の中でも意匠面から注目を浴びた方が建築家と呼ばれている場合や、デザイン面に力を入れた仕事をしている設計士や建築士が自称している場合のどちらかです。
建築家は、職業というよりは仕事のスタイルによる名称と考えておきましょう。
一級建築士と二級建築士の仕事の違い
次に、建築士の中にある区分の違いについて解説していきます。
1級建築士は設計できる建物に制限がありません。 オリンピック会場等、大規模な建築物の設計も可能です。対して2級建築士ですが、こちらには設計・工事監理できる建物に制限があります。
2級建築士が設計・工事監理できる建物は、延べ面積が30~300㎡の鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木像の建造物だけです。
この免許の制限から、年収にも違いが生まれています。1級建築士の場合、大手で500~900万円が年収の目安となりますが、2級建築士の場合は 300~700万円となります。
1級建築士と2級建築士の受験資格について
建築士の試験は受験条件が決められています。条件は大きく分けると以下の2つです。
- 建築に関する学歴又は資格等(学歴要件)
- 建築実務の経験年数(実務勤務要件)
建築に関する学歴や資格があれば、実務経験が無くても全ての建築士試験に挑戦できます。 学歴による受験条件は学校に入学した年によって条件が違うため、注意が必要です。
学歴や免許が全く無い場合でも、 建築実務年数が 7年以上あれば2級建築士試験の受験条件を満たせます。
1級建築士試験の条件の中には2級建築士がありますから、2級建築士試験に合格できれば、学歴が無くても1級建築士の資格を取得可能です。
木造建築士とは
最後の木造建築士ですが、この資格は名前の通り木造住宅等の建築物が設計できる建築士免許です。 2級建築士同様、建築できる建造物に制限があります。木造建築士の制限は以下の通りです。
- 立てられる階層は3階まで
- 建物高さは13m、軒高9mを超える建物は設計不可
- 延べ面積1000㎡以上の建築物設計は不可
木造建築士の試験にも受験条件が決められています。 条件は2級建築士と同じなので、定められた学歴や資格を得るか、建築実務年数を7年以上積めば受験可能です。
1級建築士だとメリットがたくさん
1級建築士資格は、建築士免許の最高難易度を誇ります。有資格者は 全国に6万人、合格率は 10%前後と狭き門です。
取得がかなり大変な免許ですが、1級建築士免許にはその大変さに見合うだけのメリットがあります。
まず、会社や事務所に所属した状態で1級建築士免許が取得できれば、 昇給が見込めます。企業によっては祝い金を出してくれる所もあります。就職や転職の際も、2級建築士や無資格者に比べてかなり有利に進められます。
開業する場合でも、1級建築士免許を通して最高難易度の国家資格を潜り抜けた実力をアピールできます。 得られる信頼度は、他の免許に比べてはるかに大きいです。
1級建築士としての経験を積めば上級資格への挑戦も可能
また、1級建築士として 5年経験を積めば 「構造設計一級建築士」「設備設計一級建築士」 という建築士の上にある上級資格への挑戦が可能になります。
この資格は2006年に新たに作られた資格で、 階数が3階以上かつ 床面積の合計が5000㎡強の建物を作る時に必要となります。つまり、大規模な建造物を作る際に必要になる資格です。
1級建築士として経験を積み、上級資格を取得できれば、より自由に設計や建築、工事監理ができるようになるのです。
この上級資格を取得するには、国が定めた研修に参加し、修了考査に合格しなくてはなりません。大変ですが、この上級資格合格を目指して1級建築士試験に挑戦する方もいます。
建築士の仕事
資格取得までの道のりがかなり大変な建築士ですが、実際の仕事はどの様に行っていくのでしょうか。次は建築士の仕事に就いて具体的に解説していきます。
建築士の業務は設計と施工
建築士の主な業務は、以下の2つで構成されています。
- 設計
- 施工
ただ単語だけを見てもいまいちピンとこない方も多いかと思います。それぞれの意味や具体的な仕事内容について解説していきます。
設計
お客様、つまり施主から依頼を受け、その依頼に沿って図面を描き、デザインしていく仕事です。建物のデザインや欲しい機能、予算等を施主からヒアリングし、それを元にCADを使って図面を作成していきます。
この時、設計士はただ施主の要望を形にする訳ではありません。法に則って、建築物を使用する方達が安心・安全に過ごせるように考えながら図面を作成していきます。
建物を建てる際は、建築法に沿った設計だけでなく、 建物を建てる土地の条例の調査や、 建築、道路の使用許可等の確認や申請を行わなくてはなりません。この手続きも、建築士が行う設計の仕事の一つです。
施工
設計図や予算の見積もりを完成させ、施主にOKをもらえたら施行を行います。職人さんと協力しながら建築物を建てていきます。
建築士は建築物を建てる際、各部門の責任者とコミュニケーションを取りながら作業をしていきます。工程が送れる等建築の際に問題があれば、修正を入れるのも建築士の仕事です。
この工事現場を監理する仕事を 「工事監理」と言います。工事監理は建築法において建築士の独占業務と定められています。工事監理は、建築士の重要な仕事の一つなのです。
建築士の一日
次に、実際に働く建築士の1日を紹介します。
建築士は会社や事務所に出勤した後、午前中は図面作成、午後は現場監督との打ち合わせや施主のヒアリングやクライアントとの会食等を行います。
夕方から夜にかけては、次の日の準備や工程表等を作成する作業をする時間です。
建物の模型等を作る時もあり、その様な場合は深夜まで作業が及ぶ場合もあります。神経を使って仕事をする場面が多い上に、体力も要求される場面があるのが、設計士の仕事なのです。
建築士の就職先
建築士はその仕事内容から、就職先がある程度決められています。就職先によって仕事内容に微妙な違いがあるため、就職活動を成功させるにはその違いを理解しておく必要があります。
建築士の就職先が持つ特徴を紹介していきますので、自分に合っている就職先はどれか考えながらご覧下さい。
ゼネコンでの仕事
ゼネコンは主に自社の案件を設計することが多いです。設計する建物は、ゼネコンが入札で勝ち取ってきた民間や個人、法人の案件等実に様々です。
設計する建造物は機能性を重視して設計されることが多く、デザイン性に重点を置いた建造物はあまり作れません。
様々な建築物に関わりたい方や、デザイン性よりも機能面を重視した建物を設計したい方に向いている就職先です。
設計事務所での仕事
設計事務所は、全国展開している大手設計事務所から個人、又は少人数で運営している個人事務所まで実に様々な規模があります。
就職の際は設計事務所が出している求人募集に応募するのですが、多くの設計事務所が条件を設けています。多い条件としては、以下の条件があります。
- 大学、又は大学院卒
- 2級建築士免許取得
求人に応募する際は、自分が条件を満たしているかどうかを必ず確認しましょう。また、事務所によって得意としている建造物が違います。求人を出している事務所ではどんな設計ができるかも合わせて確認して下さい。
工務店での仕事
工務店はいわゆる地域密着型の小規模な建築会社です。 お客様から直接依頼を受けて設計や施工するのが主な仕事内容ですが、時にはゼネコンの案件を地域に寄り添いながら行う場合もあります。
工務店の仕事が持つ特徴として、地域に密着しながら仕事ができる点があります。人との関わりを重視しながら仕事がしたい場合は、工務店の就職がおすすめです。
ハウスメーカーでの仕事
ハウスメーカーは日本全国、又は広範囲の規模で展開する住宅建築会社です。 設計や施工が部門ごとに分かれている場合が多く、仕事内容は部門によって微妙な違いがあります。
特徴としては、就職のハードルが他の就職先よりも低い所が多いです。また、当たり前ですが携われる建造物は、住宅やそれに関係した建物が中心になります。
独立して事務所を構える
建築士は企業や設計事務所に所属するだけが仕事をする方法ではありません。独立して自分で事務所を構えて仕事をしている方もいます。
個人の設計事務所では、デザインから構造設計、設備設計等の建造物を作る一連の設計を全て自分だけで行います。
施主の要望を取り込まないといけないので、完全に自由に設計できるという訳ではありませんが、企業や事務所に所属するよりも仕事の自由度は高くなります。
建築士のやりがいと将来性
建築士の就職先とその仕事内容を知ると、建築士という仕事を具体的に想像できるようになります。これに加えて、実際に建築士として働く方々の声や、仕事の将来性を知ると、自分が実際に働く姿を想像できるようになります。
次の項目では、実際に建築士として働く方々の声を参考に、建築士のやりがいや仕事の辛い部分、将来性等を紹介していきます。
建築士のやりがい
建築士として働く方々にやりがいについて聞くと、共通してあげるのが 「自分がイメージしたものが形になること」です。
自分の感性で創造したものが形になり、人の役に立っているのを見ると、やりがいを感じられるという方が多いです。
また、建築士免許を取り開業すれば一生仕事を続けられます。将来の安定性という意味でもやりがいを感じている方は多いです。 長く続けていった結果、ベテラン設計士として認めてもらえた時にやりがいを感じた方もいました。
この他、お客様からとのやり取りや建物を完成させた時の感謝をやりがいに上げている方もいます。
自分が作ったものが形になる喜びや、 一生仕事を続けられる安定性、 人との関わりや信頼、感謝にやりがいを感じる方は、設計士の仕事に向いていると言えるでしょう。
建築士のつらいところ
では次は建築士の仕事にあるつらい部分を紹介していきます。
よく語られるのが、 勤務時間の長さです。建築物の建造には〆切が決められています。この〆切に間に合うように仕事をこなすため、時には夜遅くまで設計や模型作り等に取り掛からなくてはならない場合もあります。
夜遅くまで残業するだけでなく、仕事の状態によっては土日や休日に出勤する場合もあるため、プライベートの時間が取りにくいという意見がありました。
特に下積み時代は給料も低いため、勤務時間の長さを特に辛く感じる方が多いです。
建築物の建造は天候が悪ければ仕事が出来ないため、それを辛い点としてあげる方もいました。また、経済情勢も依頼の数に影響を与えるため、それを辛いと感じている方もいます。
この他の意見では、プロジェクトによっては数年単位かかるため、忍耐が必要な点を挙げる方もいました。依頼を取ってくる営業や施主のわがままによって仕事が滞るのがつらいと語る方もいます。
建築士の将来性
やりがいもつらい所もある建築士ですが、将来性はどうでしょうか。
現在、都市部は再開発を、地方は地域の活性化をそれぞれ目標として、建物の建築が進んでいます。しばらくの間、建築の需要が続くと見られています。
また、建築業界は高齢化が進んでいます。業界を維持するには若い人材が必要です。建築そのものの需要が高い今は、若い人材も同じ様に求められています。就職や転職における心配は少ないです。
建築物に対する需要と業界の状態を見ると、建築士の将来は明るいです。 独立すれば一生働き続けることも可能ですから、建築士は手に職を付けて長い間働き続けたい方におすすめの職業といえます。
建築士の仕事まとめ
建築士の仕事まとめ
- 建築士になるには建築士免許の取得が必要
- 建築士免許には級と区分が設けられており、受験資格もそれぞれ違う
- 建築士の仕事は就職先によって仕事内容が異なる
- 建築士は大変なことも多い仕事だが、その分やりがいや将来性もある
建築士は、仕事はもちろん、免許を取るまでも大変な仕事です。一人前になるまでかなりの時間と努力が必要ですが、その分感じられるやりがいも大きくなります。
自分の作った物が形になり、それが人の役に立つ姿を見られるのは、建築士ならではの喜びです。
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