建築士になるにはどんな大学にいくの?有名建築家の出身大学やおすすめ学部を解説

「建築士の資格を取るにはどうすればいいの?」

「建築士になるには学歴が必要なの?」

建築士に興味がある方の中には、このような疑問を持つ方が多いのではないでしょうか。

この記事では、建築士になるための方法、建築士になるための大学の選び方など、建築士になるために必要な情報をご紹介しています。

建築士について詳しく知り、興味を持った方はぜひ建築士を目指してみましょう!

建築士についてざっくり説明すると

  • 建築士は国家資格であり、一級建築士と二級建築士がある
  • 4年制大学を卒業して、2年以上の実務経験を積み試験を受けるのが一般的
  • 年収は一級建築士で大手企業勤務の場合500~900万円、二級建築士は300~700万円

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建築士になるには?

ノートとペン

建築士になるためには、どのような学歴が必要なのでしょうか。

例えば、有名建築家では、新国立競技場などを手掛けた隈研吾は東京大学建築学科大学院を修了しています。

また、ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館などを手掛けた谷口吉生は 慶應義塾大学工学部を経てハーバード大学建築学科大学院を修了しています。

建築士には学歴が必要なのか、建築士になるにはどうすればよいのか、について解説します。

建築士国家試験に受かる必要がある

建築士には一級建築士と二級建築士があります。一級建築士、二級建築士ともに、建築士国家試験に受からなければなることが出来ません。

一級建築士の取得の仕方としては二通りあります。

まずは、二級建築士を取得して、免許証登録年月日以降4年以上の実務経験を積む方法です。もう一つは、4年制大学に入学して指定科目を履修し、卒業後に2年以上の実務経験を積む方法です。

つまり、一級建築士の場合は試験に合格しても、学歴により差がありますが、最低でも2年以上の実務経験を積まなければ一級建築士になることができません。

一方、二級建築士の場合は、大学を卒業して所定の科目の単位を取得した人であれば、二級建築士試験に受かれば実務経験なしで二級建築士になることができます。

また、二級建築士は、高卒の場合でも、特定の科目を履修していれば二級建築士国家試験に合格後、2年以上実務経験を積むことで取得できます。

建築士国家試験の難易度は

建築士国家試験の難易度は高いと言えます。

建築士国家試験は年に1回行われます。試験は「学科の試験」と「設計製図の試験」という2種類があり、両方に合格しなければなりません。

合格率は、一級建築士の場合は10%、二級建築士の場合は約20%です。

難易度が高い試験であるため、予備校や通信講座を受講して試験対策を行う人も多くいます。

一級建築士と二級建築士の仕事の違いや年収は

一級建築士と二級建築士には仕事の幅や年収などに違いがあります。

一級建築士の場合は、設計を手掛けられる建物の大きさや用途などに制限がありません。つまり、国を代表する建物であるオリンピック会場などの設計も可能です。

一方、二級建築士は延べ面積が30㎡から300㎡までの鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造の建築物の設計・工事監理しかすることができません。

なお、木造建築士の場合は、木造1階または2階で、延べ面積300㎡以下の木造建築物の設計・工事監理ができます。

年収については、一級建築士の年収は大手の企業の場合500~900万円、二級建築士の年収は300~700万円程度です。

木造建築士とは

木造建築士とは、木造住宅などの木造の建築物を設計することが可能な資格です。

受験資格は二級建築士で求められる要件と同じで、四年制大学卒の人なら実務経験なしで木造建築士試験の受験が可能です。また、高卒の場合でも、実務経験が7年あれば受験することができます。

建築士になるための進路は

複数のドア

建築士になるためには、どのような大学に通わなければならないのでしょうか。ここからは、建築士になるための進路について解説します。

一級建築士になるための方法

一級建築士になるための方法は3種類あります。

高校卒業後に実務経験を積む

高卒で一級建築士になるためには、まず高校卒業後に実務経験を7年積み、二級建築士になる必要があります。

そして、その後実務経験を4年積めば一級建築士の受験資格を満たすことができるので、一級建築士試験を受験できます。

ただ、このルートでは最短でも11年間かかってしまうため、一般的な方法ではありません。

なお、建築関連の科目を履修できる工業高校を卒業した場合であれば、実務経験を3年積めば二級建築士を取得できます。そのため、このルートの場合は一級建築士になるまで最短で7年になります。

大学の建築学科を出て実務経験を積む

四年制大学の建築学科を卒業したあと、2年間実務経験を積むと一級建築士試験を受験することができます。

高卒の場合、一級建築士になるまで11年、7年という年数がかかりますが、このように大学の建築学科を卒業すると2年で一級建築士を取得できるため、これが最短のルートです。

短大や専門学校を出て実務経験を積む

短期大学の建築学科を卒業した場合は、3~4年の実務経験を積めば一級建築士試験の受験が可能です。

短期大学の場合は、3年制短期大学と2年制短期大学があるため、それぞれ実務経験の年数が変わることに注意する必要があります。

また、高等専門学校は2年制短期大学と同じ扱いになるため、実務経験は4年必要です。

どんな建築家になりたいかで選ぶ大学の学部・学科は異なる

建築士を目指すための学校としては、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、高校があります。また、学科によって建築のどのような分野を学ぶかも変わるため、学校選びだけではなく学科選びも重要なポイントです。

建築学科では、設計・製図の実習がメインとなり、建築史や都市計画なども学ぶことができます。一方、土木科では、道路、空港、ダムなど土木に特化した内容について、実験をしながら学んでいきます。

建物の「使いやすさ・住みやすさ」について学ぶ建築計画、工業的に安全な立て方について学ぶ建築工学については、建築系の学科で共通して学ぶことができる学問です。

二級建築士や木造建築士の資格試験を早く受けたいのであれば、卒業後に実務経験を積む必要なく試験を受けることができる建築学科を選ぶ方がよいでしょう。

建築学科はお金がかかる

建築士になるためには、大学などの建築学科を卒業するに越したことはありません。

しかし、その場合授業料については考慮しなくてはなりません。国立大学は年間約50万円、私立大学やであれば年間約200万円以上することも多いです。

入学前には、授業料を払えるのかしっかり考える必要があります。

建築士と設計士の違いは?

考える女性

建築士と似たような仕事に設計士というものがあります。名前だけを見ると「設計をする人」ということですから、建築士とどこが違うの?と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

そこで、設計士とはどのような仕事をする人のことなのか解説します。

設計士は資格名ではない

設計士は、建築士の資格がないけれども設計に携わる仕事をしている人のこを指します。

ですから、建築士の資格がない人の中で、建築事務所などで建築士の部下として設計の仕事をしている人や、建築メーカーで設計チームに所属している人は設計士ということになります。

建築士は国家資格があり、試験に合格し実務経験の要件を満たさないと建築士と名乗ることができません。

しかし、設計士は資格の名前ではないため、養成機関を卒業しなければならないとか、試験に合格しなければならないといったことは一切ありません。

そのため、設計に携わっていさえすれば、自身を設計士と名乗っても何も問題がないのです。

設計士は建築士のサポートをする仕事

設計士は、名前に「設計」と付いているため設計の仕事をする人という印象を受ける人もいるかもしれません。

しかし、実際には、設計士は建築士のサポートをする仕事です。建築法により、建築士の資格がないとできない設計の業務があるため、設計士はあくまでも建築士の補助として、できる範囲で建築士の仕事を手伝います。

また、建築法では、建築士の資格がなくとも100㎡未満の木造建築の設計をすることが可能です。ですから、設計士が自らこのような木造建築を設計することもあります。

しかし、あくまでも建築設計をする仕事のメインは建築士です。設計士は建物の設計ができるといっても100㎡未満の木造建築しか設計できませんので、設計の仕事がしたければ設計士で終わるのではなく、建築士を目指すべきでしょう。

建築家になるための大学選び

ボードと文字

建築士になりたい方は、大学で建築について専門的に学びたいという方が多いのではないでしょうか。

しかし、建築系の大学は多くあるため、どの大学を選べばよいか迷ってしまうという方もいるでしょう。そこで、建築家になるにはどのような大学を選べばよいのか解説します。

建築系の大学の選び方

それぞれの大学では力を入れている建築領域が異なります。そのため、どのような設計について勉強できるかも変わってくるのです。

建築系の大学を選ぶときには、自分がどんな分野を学びたいのか考え、学びたいものをしっかり勉強できる大学かどうかを重視するようにしましょう。

意匠設計

意匠設計とは、人間の動線や美を活かしたデザインのことです。

意匠設計を行うには、クライアントの希望や建物のコンセプトをしっかりとデザインの中に取り入れながら建築することが必要です。

おすすめの大学は、ランキング形式で上位から順に東京大学工学部建築学科、東京藝術大学美術学部建築科、東京工業大学工学院建築学科です。

構造設計

構造設計とは、ビル、公共建築物、住宅などの建築物の構造がどれくらい強いかについて専門的に学ぶ学問です。

おすすめの大学は、東京大学工学部建築学科、京都大学工学部建築学科、東京工業大学工学部建築学科です。

環境設計

環境設計とは、外から入ってくる日光、風、その土地の気候などを活かしながら、足りない部分については空調などの電気設備を用いることで快適な環境を設計することです。

おすすめの大学は、ランキング形式で上位から順に東京大学工学部建築学科、京都大学工学部建築学科、名古屋工業大学工学部社会工学科です。

材料科学

材料科学とは、建築に使われる材料について学ぶ学問です。材料は性質を理解し、建築物に適切なものを使うことが重要です。材料科学では材料を物理や化学などの見地から研究します。

おすすめの大学は、ランキング形式で上位から順に東京大学、横浜国立大学、東京工業大学などです。

都市計画・造成

都市計画は、都市の造成と公共建築や宅地造成について学ぶことができます。

都市計画を学べる学科は、理系の建築学系ではなく、文系学科に分類されている場合もあるため、都市計画を学ぶ学科を調べる際には注意が必要です。

おすすめの大学は、ランキング形式で上位から順に東京大学、京都大学、早稲田大学などです。

建築士に合格しやすい大学ランキング

一級建築士の試験に合格しやすい大学は存在するのでしょうか。

以下に、2021年度版の一級建築士の出身校別ランキングを10位までご紹介します。

大学 合格者数
日本大学 153名
東京理科大学 128名
芝浦工業大学 96名
近畿大学 87名
早稲田大学 79名
明治大学 70名
千葉大学 68名
工学院大学 63名
京都工芸繊維大学 57名
京都大学 56名

先ほど、建築について学べるおすすめの大学についていくつかご紹介しました。

ただ、このように一級建築士試験の合格者数で言えば、日本大学や芝浦工業大学などがよいと言えます。

大学を選ぶ際には、学びたい分野に強い大学を選ぶことも大切ですが、一級建築士の合格者数が多い大学かどうかも重視したい方は参考にしてみてください。

建築家に向いている人

考えている男性

建築家にはどのような人が向いているのでしょうか。

意匠に拘れる人

建築家は、まずデザイン性に敏感でなければなりません。

過去の建築家が設計したデザインを参照しつつ、流行も取り込み、なおかつ独創性がある建築をすることが大切です。

もちろん、独創性が強すぎてデザイン性がおろそかになってしまうとよくありません。過去のデザイン、流行、自身の独創性などの要素のバランスが取れている人が優れていると言えます。

空間把握能力のある人

建築家は、3次元の立体的なイメージをすることができなければ設計をすることは難しくなってしまいます。

そのため、設計時に立体的なイメージを容易に思い浮かべることができる空間把握能力が必要です。

特に、デザインする家や施設などの建物を利用する人の気持ちになり、空間の利便性をイメージできる人が建築家に向いていると言えます。

建築士についてまとめ

建築士についてまとめ

  • 高卒でも、二級建築士を取得後実務経験を積めば一級建築士の試験を受けることができる
  • 大学・学科で勉強できる内容が違うため、どのような建築士になりたいかで大学選びをすることが大切
  • 建築家に向いている人は、意匠にこだわることができ、空間把握能力に優れている人

建築士になるためにはどのような方法があるのか、建築士になるための大学選びなど、建築士の資格を取得するために必要な情報について解説しました。

建築士になるためにはいくつか方法がありますが、大学の建築学科を卒業することが最短で建築士国家試験を受験できる方法です。

短大卒や高卒などでも二級建築士を取得後実務経験を長く積めば一級建築士試験の受験ができますので、建築士志望の方はご自身の状況に合わせて進路を考えてみてください。

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