建築士の年収・給与はどれくらい?1級建築士と2級建築士の違いや収入額を調査

「建築士ってどれだけお給料をもらえるの?」

「建築士免許の種類によって年収に差はある?」

仕事に就く上で気になるのが年収をはじめとしたお金の問題です。特に、建築士の様に取得が難しい国家資格の年収が気になるという方は、多いのではないでしょうか。

今回は建築士の年収がどれ位なのかをご紹介します。

免許の種類による違いについても解説していきますので、まだ建築士免許を持っていない方や、勉強中の方にも役立つ内容となっています。ぜひお役立て下さい。

建築士の年収についてざっくり説明すると

  • 建築士の年収は建築士免許によって差が出る
  • 所属している企業の規模や年齢、性別によっても年収は変化する
  • 年収だけでなく福利厚生も企業によって違うので注意する必要がある
  • 年収を増やしたければハードワークを覚悟しなくてはならない

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建築士の平均年収はどれくらい?

青いはてなマーク 建築士になるには長い道のりを進まなくてはなりません。その分得られるやりがいや信頼は大きいですが、もらえるお金はどれ位なのでしょうか。まずは建築士の平均年収について解説していきます。

1級建築士の平均年収は681万円

職業ごとの平均年収を知るには、賃金構造基本統計調査を活用します。最新のデータによれば、一級建築士の平均年収は41.59万円、ボーナス平均は182.27万円です。

ここから計算すると、一級建築士の平均年収は681万円となります。

ただ、この金額はあくまでも平均です。大手ゼネコンから中小建築事務所まで、様々な所に所属している一級建築士の年収を一緒にまとめて計算されています。

実際はこれよりもバラつきがあると考えておきましょう。

収入は性別によっても違いがある

日本は性別によって収入に差が生まれてしまう場合があります。一級建築士も例外ではありません。 以下の図は一級建築士の男女別平均収入をまとめた図です。

性別 月額給与平均額(万円) ボーナス平均金額(万円) 平均年収(万円)
男性 42.45 191.07 700.47
女性 33.86 103.07 509.36

金額を見ると男性の方が若干高めにもらっていることが分かります。

それでも、日本国民の平均年収は400万円台と言われていることを考えると、男女共に稼げる仕事の一つといえます。

1級建築士の初任給は約27万円

建築士に限らず、初人給は平均月収や年収に比べると低めの傾向にあります。

職業によっては、大幅に差が開いている場合もあるため、職業を選ぶ時は平均額だけでなく初任給もチェックすることが大切です。

では、一級建築士の初任給はどれ位かというと、27.6万円位です。同世代の平均初任給は20万円前後と言われていますから、初任給の時点でも他の職業に差を付けることが出来るのが分かります。

2級建築士の平均年収は480万円

次は2級建築士の平均年収です。二級建築士の場合、公的なデータが存在しないため、推計値となってしまいますが、大体480万円程度です。

一級建築士に比べると大幅に金額が下がりますが、それでも日本の平均年収よりも少し高い金額をもらえます。

建築士の仕事は給与面における不安はあまり気にしなくていいといえるでしょう。

建築士の手取り収入はどれくらい?

年収は社会保険料や厚生年金等を引かれる前の金額です。実際に自分の手元に入ってくる手取り収入は若干違います。この手取り収入も覚えておきましょう。

建築士の手取り収入は大体450~500万円程度となります。月額にすると34~36万円位です。

この金額も平均年収同様、あくまでも全体から導き出した平均額ですから、実際の金額はもう少し開きがあるとみておきましょう。

建築士の年齢別・就職先別の給料推移

グラフと女性 給料は年齢や就職先によっても推移します。これは建築士も例外ではありません。次の項目では、年齢や就職先の影響がどの様に推移していくのかについて解説していきます。

年齢別の給与推移

まずは年齢別の給与推移を見ていきましょう。以下の図は、建築士の月収と年収の推移を、年齢別でまとめた図です。

年齢 月給(万円) 年収(万円)
20~24 24.58 391.66
25~29 31.91 504.03
30~34 42.49 509.88
35~39 41.9 509.88
40~44 44.03 502.8
45~49 51.22 614.64
50~54 51.03 612.36
55~59 50.03 600.36
60~64 42.24 506.88
65~69 31.97 383.64
70~ 27.95 335.4

表を見ると、40代後半から50代前半で金額のピークを迎え、その後緩やかに下がっていることが分かります。

60代後半から金額が大きく下がっていますが、これは定年を迎えた方がいることが関係しています。

女性の賃金推移について

女性の場合、出産や育児等がある関係から、年齢の詳しい推移はほとんどありません。平均年齢とその月収と年収をまとめると、以下の様になります。

年齢 月収(万円) 年収(万円)
39.4 32.75 392.88

平均額なので実際はこれより多くもらっている人、少なくもらっている人がいるのですが、それでも月収は男性の20代後半、年収は20代前半の額位に収まっています。

女性で建築士として年収を上げたいと考えた場合は、ゼネコンや大手企業への就職や転職、独立開業等を選ぶことになります。

自分と企業、働き方の相性をよく見極めてキャリアプランを作成しましょう。

勤務先別の給与推移

給与は年齢だけでなく、勤務先によっても変化があります。また、多くの企業が免許の種類によって給与を区別しています。その違いをまとめると、以下の図の様になります。

建築士免許の種類 ゼネコン 建築会社 ハウスメーカー 設計事務所
一級建築士 650万円 640万円 660万円 600万円
二級建築士 500万円 480万円 470万円 480万円

これもあくまで平均です。企業の規模や方針、所属する部署によっても給与は変わります。それでも全体的に日本の平均給与よりも高い金額をもらっていることが分かります。

ゼネコンの年収と福利厚生

給料をもらう際、給料金額だけでなく福利厚生もチェックしましょう。

どんなに高い給料をもらっても、福利厚生の内容によって自分と職業の相性は変わります。企業ごとの年収と福利厚生を解説していきます。

まずはゼネコンです。ゼネコンに勤める建築士の給料は、一級建築士で年収500~1000万円位です。二級建築士の場合は、大卒で322~336万円と手当、大学院卒なら350~364万円と手当となります。

福利厚生について

ゼネコンは国家レベルの大きな案件も担当するため、年収が高めですがその分重い責任感とハードな残業をこなしていく必要があります。

ただ、ゼネコンは大企業ですから、住宅手当や休日出勤手当、有休制度等の福利厚生はしっかりしています。

ただ、ゼネコンは残業や休日出勤が、他の企業や事務所に比べて多くなります。働き方によっては、有休制度等が使いにくい可能性もあることを覚えておきましょう。

建築会社の年収や福利厚生について

建築会社は企業の規模によって年収も福利厚生も変化します。

一般的には、年収は500万円〜700万円前後ですが他の企業同様、大きな企業であればある程、年収は高くなる傾向にあります。

また、福利厚生に関しても会社規模に比例して充実する傾向が見られます。

就職や転職の際は、年収や福利厚生の部分をよく調べておきましょう。

設計事務所の年収と福利厚生

設計事務所で働く場合、一級建築士で年収400~550万円前後が相場です。二級建築士の場合は、大卒で年収308~350万円に手当、大学院卒で年収378~420万円に手当が相場になります。

設計事務所は事務所によって得意とする案件が違います。建築士の仕事は取り扱う案件の規模によって得られる収入が違うため、事務所の規模だけでなく取り扱い案件によっても年収に差が出るのです。

設計事務所への就職や転職を考える際は、事務所の規模だけでなく、事務所が主に取り扱っている案件も忘れずにチェックしましょう。

オフィス等の大規模建築を扱う所は、一般建築を主に扱う所に比べると年収が多くなる傾向にあります。

福利厚生について

福利厚生ですが、設計事務所は少人数運営の所が多く、人手に余裕が無いため中々有休や産休、育休を取得しにくい現状があります。

また、事務所の方針によっては必要最低限の福利厚生しか用意していない所もあれば、手当や福利厚生に力を入れている所もあります。事務所は経営する人の方針によって福利厚生をはじめとした社内規定も様々です。

福利厚生は事務所によって考え方や内容が違うことや、事務所の状況や方針次第で使いやすさにも差が出ることを覚えておきましょう。

ハウスメーカーの年収と福利厚生

ハウスメーカーも建築会社や設計事務所同様、企業の規模によって年収等に差が生まれます。

一級建築士の場合、CM等で目にする大手ハウスメーカーなら年収600~700万円前後、中堅クラスのハウスメーカーの場合は年収500~600万円前後が相場になります。

二級建築士の場合は大手なら大卒で年収280~294万円に手当、大学院卒なら294~332万円に手当といった形です。

ハウスメーカーは部署ごとで仕事が違います。収入に大きく変化があるのは、このためです。同じ企業に所属し、同じ免許を持っている人同士でも、所属する部署が違えば給料に大きく差が生まれている場合もあります。

ハウスメーカの福利厚生について

ハウスメーカーの分業化は給料格差を生み出していますが、悪い点だけではありません。分業化している分、仕事自体の負担が他の企業や事務所に比べて軽い傾向にあります。その分、有休等の制度も使いやすいです。

給料面よりも福利厚生やその使いやすさにこだわりたい方は、ハウスメーカーへの就職や転職をおすすめします。

勤務先の規模別給与

先程から何度か触れていますが、建築士の給与は所属する企業や事務所の規模によっても変化します。以下の図は規模による月収や賞与、年収の違いをまとめた図です。

規模 月給(万円) 賞与(万円) 年収(万円)
1,000人以上 54.50 357.99 1011.99
100人以上999人以下 43.34 175.30 695.08
10人以上99人以下 40.70 95.18 583.58

規模が大きくなればなるほど、もらえる給与も高くなっています。しかし、ゼネコンの所で説明した通り、大きくなればその分大きな案件を扱うようになります。

また、設計事務所は事務所に所属する設計士や建築家、建築デザイナーの人気、取り扱う案件によって得ている収入が違います。

所属人数が少ない設計事務所でも人気の設計士や建築家、建築デザイナーがいる場合は、1,000人以上規模の企業よりも得ている年収が大きい場合もあることを覚えておきましょう。

就職先や転職先は給与や福利厚生だけでは選び切れない

案件が大きくなればなるほど、働く時間や責任感も大きくなります。仕事以外の時間も大事にしたい方や、のびのびと仕事をしたいという方は、大企業よりも設計事務所やハウスメーカーの方が働きやすい可能性もあるのです。

仕事はお金や福利厚生だけでは見極められません。自分の目指すライフスタイルと企業の働き方が合っているかが重要です。

給与や福利厚生の良さだけでなく、自分と企業の相性も見極めながら就職先や転職先を選ぶようにしましょう。

建築士が収入UPを狙うには

札束の入ったジュラルミンケース 仕事との相性があるとはいえ、出来るだけ高い給料をもらいたいと考えるのは自然なことです。建築士として収入アップを狙うには、どうしたらいいのでしょうか。高い給料をもらうためのテクニックや考え方をご紹介します。

建築士の給料は40代で最高値となる

建築士の年齢別の給与の部分でも触れましたが、建築士の給料は40代前後で最高値を迎え、50代から減少していきます。そのため、実際の生涯賃金は他のサラリーマンと比較してもあまり変わりません。

建築士の給料の推移は、年齢だけが影響を与える訳ではありません。企業の規模や取り扱う案件の内容も深く関係しています。

ゼネコン等の大企業や、オフィス等を主に取り扱う建築会社であれば、年齢の推移があっても小さい規模の企業よりは高い給料をもらえます。

建築士としての就職や転職を考える際は、年齢の推移をはじめとした給料に関するデータを考慮しながら選ぶようにしましょう。

高収入には開業が一番

収入を手っ取り早くあげる方法としては、 独立開業があります。 独立すれば取ってきた案件でもらえる報酬は全て自分の収入になりますから、うまくいけば企業や設計事務所に所属していた時よりも稼げる可能性があります。

売れっ子建築家となれば給料は青天井です。年収1億越えも夢ではありません。しかし、独立するということは、案件の確保や事務所経営を全て自分で行わなくてはならないということでもあります。

案件を得るために必要な人脈を得られなければ、仕事になりません。仕事として運営できても、経営者としての手腕が足りなければ、収入が勤務時代よりも低くなることはもちろん、廃業の可能性もあります。

独立開業は手っ取り早い方法ではありますが、その分リスクがあることを忘れないようにしましょう。

施工管理技士やインテリアコーディネーターも

地道な方法としては、施工管理技士やインテリアコーディネーター等の資格を取り、ダブルライセンス保持者として働く方法があります。 仕事が出来る範囲が広がれば、その分年収アップのチャンスも多くなります。

ダブルライセンスは就職や転職の際にも役立ちますから、今よりも大きな企業に所属することでも収入アップにつなげられます。独立開業のリスクが気になる方は、ダブルライセンスの取得を検討してみて下さい。

ゼネコンへの転職も視野に

中小企業にいる場合、ゼネコン等の大企業への転職も視野に入れましょう。データを見ても分かる通り、大きな企業であればある程、建築士の年収は大きくなります。

企業が大きくなればその分扱う仕事内容も大きく、大変になりますが、年収や福利厚生の質を確実に上げられます。年収アップを一番の目標に上げるなら、ゼネコンや大手企業への転職を検討してみて下さい。

ハードワークを覚悟しよう

どの選択肢を取るにしろ、建築士が高収入を得る方法は2つです。数多くの案件をこなして収入を得る機会を増やすか、規模の大きい案件をこなして多額の報酬を得るかのどちらかになります。

多くの案件をこなせるような建築士になれば、その分処理する案件も増得ます。その分、打ち合わせや現場監督を行う機械も増えます。プライベートの時間はほとんど取れないと思っていいでしょう。

収入アップにだけ気を取られていると、プライベートの時間を犠牲にしてしまう可能性もあります。収入アップを狙う際は、プライベートの時間をどれだけ残すかも考慮しながら活動しましょう。

建築士の年収まとめ

建築士の年収まとめ

  • 建築士の年収は建築士免許によって差が出る
  • 建築士の年収は所属する企業や取り扱う案件によって違う
  • 建築士の年収ピークは40代前後
  • 年収を上げたければある程度のハードワークは覚悟しなくてはならない

建築士は日本の平均年収よりも高い年収を得られる仕事です。一級建築士となれば、金銭的に余裕のある生活ができます。

しかし、建築士の年収は企業の規模や年齢、性別等の影響を受けるため、必ず平均額の年収をもらえるわけではありません。

大変なことの多い建築士ですが、年収をはじめとした魅力的な特徴が多い職業です。建築士の仕事に興味を持たれた方は、建築士試験の通信講座を検討してみて下さい。

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