一級建築士の転職は可能?転職先や年収・求人の探し方を徹底解説!
「一級建築士の転職はどのような場所があるの?」
「建築士資格を生かして転職することは現実的なの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
建築士はその名の通り、建物の設計に携わる人で建物の建築や設計には欠かせない存在です。
一見、ハウスメーカーやゼネコンぐらいしか転職先がイメージできない建築士ですが、他に転職先はあるのでしょうか?
こちらの記事では、建築士の転職や収入のランキングについて解説していきます!
建築士の転職についてざっくり説明すると
- 建築士は人手不足の状況にあるため、売り手市場である
- 建築士に転職するメリットとデメリットを押さえよう
- 不動産業界や建設業界では重宝される
- 安定を求めて公務員という選択肢がある
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建築士の転職は可能?
一級建築士の資格を取得後に「これまでよりも大きな仕事にチャレンジしたい」「キャリアアップや収入アップを目指したい」などの理由から転職を目指す人は多くいます。
一方で、建築士業界は人手不足の影響もあり激務のところが多く、転職は難しいと言われています。
こちらの記事で、一級建築士の転職の可否や具体的な転職先について詳しく解説していきます。
建築士の転職は可能
建築士の転職に関しては「資格を生かした異なる業種への転職は非現実的である」「会社と合わなかったとしても、激務なので転職活動をする余裕がない」という暗い噂が目立ちます。
しかし、実際は建築士の転職は可能であるため、落ち込む必要はありません。
実際、転職を成功させた人の中には「スキルアップを目指して中小設計事務所から大手ハウスメーカーに転職した」という例もあれば「高収入を目指してコンサルタント会社に転職した」という事例もあります。
しかし、成功例はあるとはいえ建築士の転職には他の業種と異なって注意しなければならない点が多いことに注意しましょう。
建築士の転職の原因は年収と環境
建築士からの転職を試みる人の動機で多いのは「ハードワークな業界体質に嫌気がさし、ワークライフバランスが実現できない」「自分のやりたい業務をさせてもらえない」「激務の割に給与が低い」などが挙げられます。
業務内容に関することだと、クライアントの言いなりになってしまうことに嫌気が差し、「よりクリエイティブな仕事をしたい」と転職を目指す人が多いです。
建設業界は「こだわればどこまでもこだわることができる」「定められた期限ギリギリまで考えて良いアイデアを出す」という文化風土の業界です。
このような土壌もあり、建設業界では労働者を低賃金で長時間労働させる傾向にあるため、このような待遇面に不満を感じて転職を目指す人が多いのです。
建築士転職のメリット
建築士の転職におけるメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 同業界、異業種問わず転職による高収入を狙うことができる
- これまではなかなか休めなかった休日の確保や、職場環境の改善が期待できる
- これまではできなかった自分のやりたい業務に従事できる
特に、ワークライフバランスを重視している人にとっては転職のメリットは大きいでしょう。
建築士転職のデメリット
一方で、建築士の転職によるデメリットとしては、以下ようなものが挙げられます。
- 転職先を間違えると、年収がこれまでよりも下がってしまう可能性がある
- 会社環境によっては、これまでよりも激務の職場に転職してしまう可能性がある
- 元の職場の同僚との人間関係が悪化する場合がある
このような転職のデメリットがある点には注意が必要です。
建築士の転職先と年収
それでは、建築士の転職先としては具体的にどのような業界が考えられるでしょうか?
大手ハウスメーカー
ハウスメーカーは、日本国内全域または広範囲の規模で展開する住宅建設会社です。
住友林業や飯田産業など、よくテレビCMでも見かける企業が多いためイメージしやすい人もいるのではないでしょうか?
このようなハウスメーカーは、設計や施工が部門ごとに分かれているところが多いので、一人当たりの業務量も過剰に多くなくワークライフバランスが実現しやすいでしょう。
また、求人が出る頻度も高く中途採用のハードルも低い点も魅力です。
勤務環境の悪い中小の設計事務所から、より良い年収とキャリアアップを求めて転職する例が多いです。
また、大手ハウスメーカーの平均年収は800万円程度と、日本の平均年収を大きく上回っています。
不動産会社
建築士は不動産会社でも活躍できます。
オリンピックに向けて競技場やホテル建設などが相次いでいる背景もあって、不動産業会は投資案件が急増しています。
不動産投資の際に建築士としての専門的なアドバイスを行うファシリティマネジメントとしての仕事や、設計事務所・施工会社の選定などプロジェクトを総合的に統括するコンストラクションマネジメント・プロジェクトマネジメントなどの職業が人気です。
大手不動産会社であれば、業績次第では年収1000~2000万円を稼ぐことも夢ではありません。
設計事務所
建築士資格を生かすための転職で、設計事務所は最も代表的と言えるでしょう。
一級建築士の資格を取得していない人でも組織設計事務所で働くことは可能であるため、比較的採用されやすいというメリットがあります。
個人事務所から中規模事務所までさまざまありますが、設計事務所の平均年収は600万円ほどとなっています。
大手ゼネコン・デベロッパー
ゼネコンは、建築士の有資格者を設計事務所より重要視する傾向にあります。
そのため、有資格者は中途採用枠を狙い転職することも可能です。
また、デベロッパーに関しては設計事務所やゼネコンでの経験を重視する傾向にあるため、実務経験がある人はデベロッパーを目指すのも一つの手でしょう。
大手ゼネコンの平均年収は750~900万円ほどで、デベロッパーの平均年収は800~900万円ほどとなっています。
一級建築士を歓迎する求人が多いため、二級建築士の人は一級建築士を取得してから転職を目指しましょう。
飲食店、販売会社
飲食店や販売会社でも建築士の募集がありますが、これら求人は社内の店舗開発や施設管理部門での募集が多いです。
特に、インテリアや内装にこだわるカフェや、女性受けを狙うアパレルメーカーなどに関して募集が多いです。
建築基準などを守りながら顧客の要望を取り入れることに加え、建物全体の構造的特性を考えた総合的な設計が求められるでしょう。
店舗や空間デザイナーの平均年収は500~700万円ほどとなっています。
住宅設備機器メーカー
住宅設備機器メーカーでも、建築士資格は生かせます。
建材などインテリア内装材・住宅設備機器を作るような会社に募集が多い特徴があります。
空調メーカーなどでは設備系が優遇される傾向にあり、二級建築士であっても建築の知識がある人材は優遇されるメリットがあります。
住宅設備メーカーの平均年収は600万円が目安で、業績が良い会社であれば900万円程度を狙えます。
コンサルディングファーム
店舗開発型の会社をクライアントとして抱える会社では、建築士を専門的なコンサルタントとして採用することがあります。
コンサルティングを依頼してくるのは資金力があり高い報酬を払うことができる大企業が多いので、必然的にそこで働くコンサルタントも年収も高くなります。
ただし、コンサルティング会社は裁量労働制を導入しているところが多いです。
そのため、成果にこだわりすぎてしまうと激務になってしまうことがあるので注意が必要です。
コンサルティングファームの年収は、ポストによって差がありますが900~1500万円ほどが目安となります。
公務員
多くの自治体では、専門職として建築士を採用しています。
自治体以外にも公共事業を行う建設系の官公庁や、その外郭団体などでも建築士の求人はあるため、公務員としての働き方に興味がある人は調べてみると良いでしょう。
土日祝日は休みである上に福利厚生は非常に手厚いため、紹介してきた候補の中では職場環境は非常に良いでしょう。
また、建築技師としての採用や指定確認検査機関の監査役などの仕事も出ていくことがあるため、近隣の自治体の採用情報などをチェックしてみると良いでしょう。
なお、公務員の平均年収は700~800万円ほどとなっています。
建築士が転職する際に気をつけること
次に、建築士の転職で気を付けるべき点について紹介していきます。
転職先に求める条件を決めておく
転職先を選ぶ際には、何が目的で転職するのかを明確にしてから転職先選びを行うようにしましょう。
「年収UP」「スキルUP」「勤務形態の改善」など目的を明確にしておくことで、漠然と転職先探しをするのではなく効率よく転職先を見つけることができます。
例えば「しっかりと休みが取りたい」という希望が強ければ大手企業や公務員の序列が上になり、「とにかく高年収を狙いたい」という希望があればコンサルティング会社を探すと良いでしょう。
エージェントを利用して準備する
転職を目指す場合は、一人で行うよりも求人先の情報を豊富に持っているエージェントを利用した方が魅力的な求人に出会える確率が高まります。
転職エージェントは業界や会社に関する内部事情を知っていたり、面接の対策・練習や履歴書の作成をサポートしてくれるので一人で転職をするのが不安だという人にとって非常にありがたい存在です。
特に、面接の対策や練習はなかなか一人ではできないので重宝するでしょう。
利用方法は難しくなく、転職サイトなどで登録するとエージェントを利用することができます。
面談を行い希望条件の聞き取りや現在の業界の転職事情についてのヒアリングをして、その後に希望を満たしている求人が案内される流れとなります。
タイミングを見定める
転職はタイミングやめぐりあわせなど、運の要素も絡んできます。
転職市場は景気変動の影響を受けやすいので、売り手市場になったり買い手市場になったり、変動が激しいのです。
オリンピックの延期やコロナウィルスの流行の影響で日本経済は大きな打撃を受けているため、現在は求人数がかなり減っているのが実情です。
しかし、コロナウィルスが収束して経済も徐々に上向いていけば、求人数も増えていくと予測されています。
自分の実力にあった会社を選ぶ
転職を目指す際に方向性や指針を決めることは重要ですが、自分の実力や身の程をわきまえないといけません。
見栄を張って自分の実力よりも上のレベルの会社を選んでしまうと、求められるレベルについていけず仕事が任せられなくなり、その結果年収が下がってしまうというリスクを孕んでいます。
場合によっては転職して1年も経たない内に別の会社への転職を検討することになってしまうため、注意が必要です。
今の自分の実力と適正年収をしっかりと把握し、「長く安心して働くことができる」転職先を選ぶようにしましょう。
退職の手続きをする
転職先が決まり現在の職場を退職する際には、引継ぎなどしっかり行いできるだけ綺麗に去るようにしましょう。
職場の同僚などには予め退職を伝えておくと、後に禍根を残さずに済みます。
また、早い段階で上司に退職する旨を伝えておくべきです。
転職先からは「源泉徴収票」「雇用保険被保険者証」「年金手帳」などの提出を求められるため、あらかじめ現在の会社に伝えてスムーズに入手できるようにしておきましょう。
また、まだ正式に転職先が決まっておらず失業保険を申請する場合は離職票が必要になるため、併せて会社にお願いしておくと良いでしょう。
未経験から建築士への転職は可能?
これまで建築士の有資格者を対象に転職事情をお伝えしてきましたが、逆に未経験の人が建築士に転職するのは可能なのでしょうか?
まずは建築士の資格を取ろう
未経験者が建築士を目指すのは現実的ではありません。
そのため、まずは仕事の概要を掴むためにも建築士試験の勉強をしましょう。
建築士は法律に基づいて様々な建物を設計する専門家であり、国家試験を受けなければ建築士になることはできません。
また、建築士になるためには建築士試験に合格して実務経験を積む必要があります。
試験のレベルにより一級建築士・二級建築士・木造建築士に分けられています。
法律に基づいて様々な建築物の設計や工事の監理をすることが建築士の主な業務ですが、設計・管理できる建物の規模が持っている資格のレベルによって異なります。
建築士には受験資格がある
一級建築士試験を受験するためには、建築に関する授業の履修や二級建築士の取得といった受験資格が設けられています。
そのため、まずは二級建築士を取得して建築に関する知識を身に着けてから一級建築士を目指すのがおすすめです。
二級建築士を取得して実務経験を積んでいくことで、転職の可能性も広がっていきます。
学校に通いながら建築士を目指そう
建築士資格を取得してしまえば、設計事務所やハウスメーカーなどから採用してもらえる可能性が大きく広がります。
二級建築士の平均年収は480万円と、一級建築士よりも低くなってしまいますが、徐々に信頼を重ねて自分の技能を向上させていくことで更なるステップアップを目指せるようになります。
別の仕事をしていて勉強の時間が確保できない人であれば、夜間の建築士学校に通いながら試験の試験対策をするのがオススメです。
建築士の年収ランキングは?
2017年に厚生労働省が発表した調査では、一級建築士の平均年収は643万円となっています。
なお、職種別の年収ランキングでは建築士は129職種中14位という結果でした。
一級建築士の年収は非常に高い水準にり、金銭的な魅力が大きいことが分かります。
なお、建築士の資格には一級建築士・二級建築士・木造建築士の3種類がありますが、当然最も格の高い一級建築士の年収が最も高いです。
未経験で建設業界で働きたいと考えている人は、まずは二級建築士を取得して一級建築士を目指すようにしましょう。
また、年収は資格の格だけでなく自分の能力や会社の規模・業績にも左右されます。
そのため、自分の仕事に責任と誇りを持ち、着実に信頼を重ねていきましょう。
コツコツと頑張ることで、自分のスキルアップにも会社の業績アップにもつながるのです。
建築士の転職まとめ
建築士の転職まとめ
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転職を目指す理由を明確にしておき、ふさわしい転職先を選ぼう
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無闇に待遇がいい求人を探すのではなく、自分のスキルに合っている仕事を選ぼう
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未経験者でも建築士を目指すことは可能
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キャリアアップを目指す人や収入アップを目指す人の転職成功例があるため、参考にしてみよう
建築士は人手不足の状況にあるため、どの企業でも重宝される資格です。
不動産業界や建設業界以外にも、コンサルティング会社や公務員としての働き方も可能であり、取得することでキャリアの選択肢が大きく広がります。
まずは自分が転職を目指す理由を明確にして、自分にとってベストな転職先を選びましょう!