1. 建築士
  2. 建築士の受験資格は変わったって本当?1級建築士と2級建築士の実務経験も解説

建築士の受験資格は変わったって本当?1級建築士と2級建築士の実務経験も解説

更新日時 2020/05/29

「建築士の受験資格をクリアするためにはどのようにすればいいの?」

「一級建築士と二級建築士で受験資格に差はあるの?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

建築士の試験を受験するためには受験資格をクリアする必要があります。

その中には実務経験も含まれているため、自分が建築士試験を受験できるか気になる人は多いでしょう。

そこで、ここでは建築士試験の受験資格や、必要な実務経験について解説していきます!

建築士の受験資格についてざっくり説明すると

  • 一級建築士にも二級建築士にも受験資格が定められている

  • 実務経験が求められるのケースもあり、学歴によって求められる年数は違う

  • 実務経験にあたるものは様々

  • 試験は学科試験と製図試験に分かれている

目次
  • 建築士の受験資格とは?

  • 合格後には実務経験が必要

  • 実務経験にあたるもの

  • 建築士法が改正された

  • 建築士国家試験の形式は

  • どこで実務経験を積むべきか?

  • 建築士の受験資格まとめ

建築士の受験資格とは?

ノートの画像

建築士は、建物の設計や建築に関する専門的な知識と技能を身に着けていることを証明する国家試験です。

一級建築士や二級建築士を受験するためには、定められている受験資格をクリアしなければなりません。

一級建築士の受験資格

一級建築士の受験資格は、改正建築士法第14条により以下のように定められています。

「一級建築士試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない。

  1. 学校教育法による大学若しくは高等専門学校、旧大学令による大学又は旧専門学校令による専門学校において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した者(当該科目を修めて同法による専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)

  2. 二級建築士

  3. 国土交通大臣が前2号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認める者」

これに該当する人を具体的に挙げると、以下の人があたります。

  1. 大学、高専、3年制短期大学、2年制短期大学の中で建築に関する指定科目を履修して卒業した人

  2. 二級建築士の資格を取得している人

  3. 二級建築士の資格を取得しているのと同じレベルの知識と経験を有すると国土交通大臣より認められた人

これらのどれか一つにでも該当すれば、一級建築士を受験することができます。

二級建築士や木造建築士の受験資格

二級建築士や木造建築士の受験資格は、改正建築士法第14条により以下のように定められています。

  1. 学校教育法による大学、高等専門学校、高等学校若しくは中等教育学校、旧大学令による大学、旧専門学校令による専門学校又は旧中等学校令による中等学校において、国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業した者(当該科目を修めて同法による専門職大学の前期課程を修了した者を含む。)

  2. 都道府県知事が前号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認める者

  3. 建築実務の経験を7年以上有する者

これらに該当する人を具体的に挙げると、以下のような人が挙げられます。

  1. 大学、高専、高校において建築に関する科目を修めて卒業したもの

  2. 都道府県知事が、1と同じレベルの知識と建築経験を持つと認めた人

  3. 建築実務経験が7年以上ある人

これらにのどれか一つにでも該当すれば、二級建築士試験を受験することができます。

合格後には実務経験が必要

道を歩く人

建築士法によると、建築士として登録するためには建築士試験に合格した後に実務経験を積む必要があると定められています。

一級建築士なら2年以上の実務経験が必要

一級建築士になるためには、試験合格後に必ず実務経験が必要になります。

なお、登録のために必要な実務経験の長さは学歴によって差があります。

  • 大学卒業者は2年
  • 短期大学(三年)卒業者は3年
  • 短期大学(二年)や高等専門学校卒業者は4年
  • 二級建築士として一級建築士試験合格した者は二級建築士として4年間
  • 国土交通省が特別に認定した者は定められた期間

このように、合格しただけでは建築士を名乗ることができない点には注意しましょう。

二級建築士なら実務経験なしでOKな場合も

二級建築士になるためにも、実務経験が必要となります。

必要な年数は以下の通りです。

  • 大学・短大・高専卒業者は実務経験不要
  • 高卒者は2年以上
  • 実務経験7年以上で合格した者は7年以上の実務経験
  • 都道府県知事が特別に認定した者は定められた期間だけ

このように、大学・短大・高専卒業者は実務経験を問われることなく二級建築士になることができます。

実務経験にあたるもの

職場の風景

ホームページによると、建築実務の経験として認められるものには以下のようなものが含まれます。

  • 建築物の設計(建築士法第21条に規定する設計をいう。)に関する実務

  • 建築物の工事監理に関する実務

  • 建築工事の指導監督に関する実務

  • 次に掲げる工事の施工の技術上の管理に関する実務

  • 大工工事(建設業法別表第一に掲げる大工工事をいう。)

  • 建築設備(建築基準法第2条第三号に規定する建築設備をいう。)の設置工事

  • 建築基準法第18条の3第1項に規定する確認審査等に関する実務

  • 消防長又は消防署長が建築基準法第93条第1項の規定によって同意を求められた場合に行う審査に関する実務

  • 建築物の耐震診断(建築物の耐震改修の促進に関する法律第2条第1項に規定する耐震診断をいう。)に関する実務

  • 大学院の課程(建築に関するものに限る。)において、建築物の設計又は工事監理に係る実践的な能力を培うことを目的として建築士事務所等で行う実務実習(インターンシップ)及びインターンシップに関連して必要となる科目の単位を所定の単位数(30単位以上又は15単位以上)修得した場合に実務の経験とみなされる2年又は1年の実務

以上のような業務が実務経験として認められますが、単に建築労務者としての実務(土工、設計事務所で写図のみに従事していた場合)は実務経験にあたらないため注意しましょう。

建築士法が改正された

ぬいぐるみの画像

改正される前の建築士法では、試験の受験資格自体に実務経験が含まれていました。

つまり、定められた実務経験がなければ大学や大学院卒業者でも試験を受けることすらできなかったのです。

そこで、「受験のハードルが高すぎる」ということで、建築士法が改正されました。

旧試験では2年以上の実務経験が必須

旧建築士試験では、指定科目を履修して大学を卒業した場合であっても、2年間以上の実務経験を積んでいなければ試験を受けることができませんでした。

しかし、法改正が行われたことにより、実務要件が緩和されました。

受験要件が緩和された結果、一級建築士試験の場合は大卒以上、二級建築士試験の場合は高卒以上の学歴があれば、実務経験の有無を問わずに無条件で受験可能になりました。

この法改正が行われた背景には、「建築業はただではさえハードワークな業界なのに、実際に実務経験を積みながら試験の勉強をするのはハードルが高すぎるよ!」という意見が多かったという事情があります。

このような意見や建築士のニーズなどを加味して、法改正が行われたのです。

また、受験前に実務経験を積んでいた場合は、合格した後に「合計の実務経験期間が2年になるように積めばOK」という要件に緩和されました。

学科試験の免除年数も拡大

これまでは、建築士国家試験の学科の免除年数は3年間でしたが、今回の建築士法の改正を受けて学科の免除年数が学科試験合格から5年に変更になりました。

つまり、学科試験の免除年数を伸ばすことで合格者の増加を狙っているのです。

しかし、製図試験を受ける際に学科試験が免除されるのは、その5年間の内3回までです。

受験できる回数は変わっていないため、しっかりと製図試験の勉強をして完成度を高めていかなければなりません。

実務経験の対象が拡大

また、法改正の影響は実務経験の範囲にも及んでいます。

これまでは対象外だった「施工管理」「行政業務」「研究開発」「調査評価」の分野で、実務経験の対象として追加が行われました。

具体的には、施工管理では独自に施工図を作成する必要がある工事で構造や設備などに密接に関係している工事が追加されました。

行政業務では、審査・検査・指導・解釈・運用・認定・判定業務が追加されました。

研究開発では、大学院での研究論文の執筆が追加されました。

また、既存建築物の調査・検査、定期調査・報告、劣化状況の報告業務も追加されました。

これらの追加を完結に言うと、建築物を建てるだけでなく建築物を評価する業務も実務経験範囲となりました。

建築士に求められる役割の変遷を反映するために、この実務経験対象の追加が行われたのです。

建築士国家試験の形式は

女性の疑問

次にら建築士試験の概要について解説します。

一級建築士の試験範囲と合格基準

試験は学科試験と製図試験の2つが行われます。

それぞれの試験の情報は以下のようになっています。

  • 学科試験

四肢選択問題が125問出題され、試験時間は6時間30分。

出題範囲は以下の通りです。

範囲 出題内容 出題数
学科I(計画分野) 建築計画や建築積算等 20問
学科II(環境・設備分野) 環境工学や建築設備、設備機器の概要など 20問
学科III(法規分野) 建築法規等 30問
学科IV(構造分野) 構造力学や建築一般構造、建築材料等 30問
学科V(施工分野) 建築施工等 25問
  • 設計製図

製図に関する課題が一つ出題され、試験時間は6時間30分。

事前の課題は公示され、与えられた課題を基に設計製図を行っていきます。

一級建築士の合格基準と合格率

一級建築士試験の合格ラインは、学科ⅠからⅤまでのそれぞれの科目に対して基準が設けられています。

その基準を下回ってしまうと不合格となるため、苦手を作らないような勉強を意識しましょう。

また、試験の合計で85~97点以上取得することが合格ラインとなります。

製図は、一級建築士として備えておくべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」を有することを試す試験です。

一人ではなかなか対策をすることが難しいため、必ず他の誰かに添削をしてもらうようにしましょう。

年度によって合格基準点は変化しますが、合格率は10%前後で推移しています。

二級建築士の試験範囲と合格基準

二級建築士試験も、一級と同じように学科試験と製図試験に分けられています。

  • 学科

五肢選択問題が100問出題され、試験時間は6時間。

出題範囲は以下の通りです。

範囲 出題内容 出題数
学科I 建築計画に関する問題 25問
学科II 建築法規に関する問題 25問
学科III 法規に関する問題 25問
学科IV 建築構造に関する問題 25問
  • 設計製図

設計に関する課題が一つ課せられ、試験時間は5時間です。

事前に課題は公示され、その内容を踏まえつつ設計製図を行う試験となっています。

二級建築士の合格基準と合格率

二級建築士に合格するためには、100満点中およそ6割にあたる58~60点以上の正答が必要になります。

また、科目別に基準点が13点あるため、この基準を下回らないように気をつけましょう。

製図は、二級建築士として備えておくべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」を有することを試す試験です。

年度によって合格基準点は変化しますが、合格率は例年20%前後で推移しています。

木造建築士試験に合格するためには、100満点中およそ60点以上の正答が必要となります。

二級建築士よりも難易度は低く、木造建築士として備えておくべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」を有すること試す試験です。

建築士国家試験の受験日程や受験料

建築士時間の受験日程や受験料などの、基本的な情報は以下の通りです。

試験の申し込みは全て四月初旬か三月下旬の1週間程度しかなく、期間が短いので注意しましょう。

  • 一級建築士

学科試験は7月中旬に実施され、9月上旬頃に合格発表が行われます。

設計製図試験は10月中旬に実施され、12月下旬頃に合格発表が行われます。

  • 二級建築士

学科試験は7月上旬頃に実施され、合格発表は8月下旬頃に行われます。

設計製図試験は9月中旬頃に実施され、12月上旬頃に合格発表が行われます。

  • 木造建築士

学科試験は7月中旬に実施され、9月上旬頃に合格発表が行われます。

設計製図試験は10月中旬に実施され、合格発表は12月上旬頃に行われます。

なお、受験料は一級建築士試験は17,000円、二級建築士・木造建築士試験は17,700円です。

国家資格の試験ではかなり高額な受験料なので、一発合格を目指しましょう。

どこで実務経験を積むべきか?

働く風景

実務経験を積むことができる会社は幅広くあり、設計事務所やハウスメーカー、ゼネコンなどが代表的です。

どの業界で実務経験を積むべきかは、「将来自分がどのような仕事をしたいか」「建設業界でどのような役割を果たしていきたいか」により変わってきます。

建物の管理や、スケールの大きい仕事をしたい場合はゼネコンを選び、様々な建築に携わりたいと考えている場合は設計事務所を選ぶと良いでしょう。

特に、設計事務所は戸建住宅を専門にしている事務所や、オフィスビルや大型建築者を多く受注しているところとあります。

事務所ごとに特徴や得意分野が分かれているため、多くの求人に目を通して自分がやりたいこととマッチするかを確認すると良いでしょう。

将来性も意識しよう

自分のやりたいことを仕事にすることも大切ですが、併せて将来性に関しても意識しましょう。

建設業界は人手不足で建築士の需要は大きいとはいえ、人口減少や高齢化の影響もあり、今後建設業界の中でも将来性がある分野と厳しい分野が分かれていくと予想されます。

例えば、環境に配慮したエコ住宅や高齢者向けのバリアフリー住宅は、今後ますます需要が高まっていくと考えられます。

このようなバリアフリー建築や設計の知識を蓄えておき、専門的な技能を身に着けておくことで、晴れて建築士になれたときに大きな強みとなるでしょう。

実務経験を積む際は、ただ漫然と仕事をこなすのではなく、建築士を取得したあとにどのように生かしていけるかを意識すると良いでしょう。

建築士の受験資格まとめ

建築士受験資格まとめ

  • 定められた受験資格をクリアしなければ受験できないため、よく確認しておこう

  • 建築士になった後の仕事も意識して実務経験を積もう

  • どこで実務経験を積んでおくと良いかはよく考えよう

  • 受験料はかなり高いため、一発合格を目指そう

建設業界における建築士の人手不足はかなり深刻な状況にあり、建築士資格保有者は様々な企業で重宝されます。

建設業界で活躍していくためにも、ぜひ建築士資格を目指しましょう。

目指すにあたっては、本記事で解説した受験資格や実務経験要件が定められているため、自分が受験できるかどうかはよく確認しましょう。

また、実務経験を積む際には自分のやりたいことや将来性を意識すると良いでしょう。

取得メリットが大きく、今後もますます需要が高まる魅力的な資格なので、ぜひ建築士の合格を目指してみてください!

人気記事
資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1
  1. 建築士
  2. 建築士の受験資格は変わったって本当?1級建築士と2級建築士の実務経験も解説