建築士の就職先はどんなところ?職種や年収・就職活動のポイントを解説

「建築士の就職先にはどんなところがあるの?」

「建築士になるには建築学科を卒業してないとダメ?」

このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?

建築士は不動産業界や建設業界で活躍できる資格です。

就活を控えている高校生や大学生の中には、建築士になりたいと考えていながらも進路に迷っている人も多いのではないでしょうか?

こちらの記事では、建築士のなり方や具体的な就職先の候補などについて解説します!

建築士の就職先についてざっくり説明すると

  • 様々な企業で求人が出ている
  • 大手は年収ランキングも上位で、安定して稼げる
  • 自分の美的センスを生かせる職場もある
  • 自分のやりたいことや将来のキャリアを優先して進路を考えよう

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建築士の就職先にはどんなところがあるの?

良い雰囲気の職場

建築士が就職する就職先には、どのような業界や企業があるのでしょうか?

ゼネコンなどの建設会社の就職

ゼネコンは日本のインフラを支えており、大規模な建設や国家レベルの土木・建築工事を設計から建設まで一貫して請負っています。

場合によっては建設作業を下請けに任せることもありますが、ゼネコンでは多くの建築士が在籍して活躍しています。

ゼネコンでの建築士の仕事は自社案件を設計することが多いです。

建築する建物は、ゼネコンが入札で勝ち取ってきた民間の個人・法人企業・公共事業の案件など多岐にわたります。

ゼネコンはネームバリューもあり社会的な信用度も高いため、多くの案件を受注しています。

これらの設計では機能性を重視した建築が多いため、デザイン性に重点をおいた仕事を行う機会は多くありません。

採用においては、大学院卒などの学歴面の条件が設けられていることが多く、中途で実務経験を積んでからキャリアアップを目指してゼネコンへの転職を目指すルートもあります。

待遇や福利厚生は非常に手厚く、大手ゼネコンの平均年収は750~900万円と一般的な年収を大きく上回っており、年収のランキングを見てもかなり上位に位置しています。

具体的な企業は、竹中工務店・大林組・奥村組などが挙げられます。

建築施工管理技士の道も

建築士資格を生かして、大規模工事の施工を管理する建築施工管理技士として働く道もあります。

建築施工管理技士は施工管理のスペシャリストであり、設計のスペシャリストの一級建築士とは仕事の分離化がされていることが多いです。

特に、ゼネコンでは建築士よりも施工管理技士の方が多いケースがあるため、求人情報を見てみると良いでしょう。

インテリアデザイナーの道も

ゼネコンでは、設計士や建築施工管理技士の他にも様々な職種がありますが、インテリアデザイナーとして働く道もあります。

インテリアデザイナーは大規模なホテルや商業施設などのデザインを決定しており、高い美的センスが求められます。

大手の建設会社などでは、外資系高級ホテルなどの案件も設計段階から手掛けているところもあるため、非常に責任がありますがやりがいも大きい仕事と言えるでしょう。

設計事務所に就職

建築士の就職先で最もイメージしやすいのが設計事務所や建築事務所ではないでしょうか?

設計事務所にも様々あり、少ない人数のスタッフで運営している個人事務所から全国展開している大手の設計事務所まであります。

また、それぞれの事務所で得意としている建築領域が異なるため、自分の得意領域と照らし合わせて職場を選ぶと良いでしょう。

なお、設計事務所の求人では「大学または大学院卒」「2級建築士免許取得」などを応募条件をしているとことが少なくありません。

仕事は忙しく労働時間が長い傾向にありますが、給与としては600万円程度が相場です。

設計士になるなら設計事務所

設計士とは、建物の間取りを決めたり外観をデザインしたりする人のことです。

CADなどの技術を用いながら建物の頑丈さや構造を考えていく仕事で、設計士も建設業界では欠かせない存在です。

大手では、設計士として働きたくても設計部門に配属されない可能性もあるため、設計士の仕事がしたかったら個人事務所に就職することがオススメです。

なお、デザインや芸術性を重視した事務所は「アトリエ」と呼ばれています。

ハウスメーカーに就職

ハウスメーカーは、日本国内全域や広範囲の規模で展開する住宅建設会社です。

住友林業や飯田産業など、テレビCMでもよく見かける企業名が多いためイメージができやすい人もいるのではないでしょうか?

このようなハウスメーカーでは設計や施工が部門ごとに分かれているところが多く、採用のハードルも低いのが魅力です。

一般のお客さんは土日祝日が休みの人が多いため、ハウスメーカーに勤めていると打ち合わせのために土日も出勤することが多くなります。

ただし、火曜や水曜といった平日が休みになるため、週休二日制は実現できます。

小さなハウスメーカーだと営業の仕事も建設の仕事も建築士が兼務することが多く、自然と業務量が増えてしまうでしょう。

ちなみに、大手ハウスメーカーの平均年収は800万円程度となっています。

官公庁の公務員

意外にも、建築士資格を生かして公務員として働くこともできます。

具体的には市役所や、県庁の都市開発部門や技術職として働くという選択肢があります。

多くの自治体でこのような専門職採用を行っているため、気になる自治体があれば調べてみると良いでしょう。

なお、公務員として働く場合は建物を建てるというよりも、自治体の持つ建物をメンテナンスしたり新しく建てられる建物を審査する仕事がメインとなります。

公務員なだけあって福利厚生は非常に手厚く、ワークライフバランスの実現はしやすいでしょう。

なお、公務員の平均年収は700~800万円ほどとなっています。

住宅関連設備メーカー

住宅に関連した設備を扱う企業に就職する選択肢もあります。

特に、建材などインテリア内装材・住宅設備機器を作るような会社で建築士の歓迎する求人が出ています。

空調メーカーなどでは設備系が優遇され、二級建築士でも建築の知識があるだけで貴重な人材として評価してもらえます。

このようなメーカーでの仕事は、熱環境や音環境などの知識を利用して仕事をしたい人に向いていると言えるでしょう。

なお、住宅設備メーカーの平均年収は600万円で業績が良いところだと900万円程度となります。

インテリアコーディネーターになるなら

インテリアデザイナーに似ていますが、インテリアコーディネーターとして働くこともできます。

店舗の内装やデザインを決定するのがインテリアコーディネーターであり、顧客の要望を実現するために不可欠な存在です。

大手の建設会社や、内装専門の住宅関連工事会社のハウスメーカーなどでも一定の需要があるため、一つの選択肢として考えておくと良いでしょう。

不動産会社

オリンピックの影響でホテルの建設や空き地の有効活用などが盛んにおこなわれるようになり、不動産業界では投資案件が急増しています。

このような不動産会社では、不動産投資の際に建築士としての専門的なアドバイスを行うファシリティマネジメントや、設計事務所・施工会社の選定などプロジェクトを総合的に統括するコンストラクションマネジメント・プロジェクトマネジメントなどの職業が人気です。

成果主義の企業が多いですが、大手の不動産会社なら年収1000~2000万円も狙うことができ、年収ランキングでも上位に位置できます。

不動産営業マンになるなら

不動産営業マンは、建物や土地の売買のみならず土地の買い上げや賃貸物件の取り扱いに関わる機会が多いです。

不動産会社には土地取引に特化した営業マンもいれば、投資用不動産の販売に特化した営業マンなど、業務は多岐にわたります。

クライアントから土地や建物について質問されたときに、建築士の知識がないと対応できないこともあるため、建築士資格を生かして不動産営業を行う選択肢もアリでしょう。

なお、不動産営業を行いたい場合は宅建士の資格を持っておくと有利です。

建設関連のコンサルタント

道路やダムなどの建築計画や設計を行う企業では、慢性的な渋滞が発生している道路の改善策を考案しています。

曖昧な部分が多いものの、国土交通省に認定登録されている企業がコンサルタントとして活動しています。

都市計画やダム・橋梁など仕事は多岐にわたるため業務量が多く激務な企業が多いです。

なお、年収は600万円程度となっています。

建築士の就職先を選ぶときのポイント

ぼんやりと女性

こちらのトピックで、建築士の就職先を選ぶ際のポイントをお伝えしていきます。

どんな建築をやりたいか

自分自身がどんな建築をやりたいのか、建設業界にどのような貢献をしていきたいのかによって、選ぶべき就職先は変わってきます。

インテリアをやりたいのか、外装のデザインをしたいのか、または巨大なビル群を建てたいのかによって就職先を選ぶべきです。

また、自分が理想としている働き方も加味すると良いでしょう。

「給料はそこそこでいいからワークライフバランスを実現したい」「バリバリ働いて年収ランキング上位の会社で働きたい」など、人によって希望は違うためこのような点も考慮して決めましょう。

デザイン(意匠設計)をしたいなら

意匠設計は、建築物の芸術性や美術学的な美しさを追求していく学問です。

大学のこういった講義を好き好んで受けていた人は美的センスがある人が多いため、設計事務所やインテリアコーディネーターとしての働き方がおすすめです。

構造設計をしたいなら

構造設計は、建築に使う材料などに着目して耐久度や頑強な作りを考える学問です。

大学のこういった講義を受けていた人であれば、建築資材メーカーなどの就職先がおすすめです。

また、頑丈な建物を作るための知識は様々な企業で役立つため「自分の知識を生かせそうなポジションで働けるか」を重視すると良いでしょう。

環境設備設計をしたいなら

環境設備設計とは、建物を使う人の快適な生活を考えて採光の具合や空調の調節システムなどを考える学問です。

住環境に関す講義や学問が好きな人は、設備メーカーなどの就職先がおすすめです。

住環境は住む人にとって非常に重要な要素となるため、この点の知識がある人は活躍できるフィールドが非常に広いでしょう。

職場環境や待遇も考慮して

基本的に、建設業界は人手不足の影響もありかなり業務量が多い現場と言われています。

そのため、「今の職場がハードだから転職したい」と考えている建築士が多いのが現実です。

自分自身の中でワークライフバランスを優先するのか、やりたい仕事を優先するのか、収入を優先するのかはしっかりと考えておきましょう。

しっかりと自分の希望と職場の風土をマッチングさせておかないと、短期間で離職してしまうことになります。

特に、女性の場合は結婚や子育てのときに復職しやすい環境かどうか、短時間勤務することができるのかなどを考えておくと良いでしょう。

なお、職場環境の良さで有名な企業を紹介すると、新日鉄住金エンジニアリングは非常に評判が良いです。

また、土日の確保やノー残業デーなど勤務に関してワークライフバランスを推進しているのは建設技術研究所などで、賃金待遇が良いことでで有名なのはゼネコンと千代田化工建設が代表的です。

気になるようであれば、ぜひホームページや転職サイトなどで求人内容を見てみると良いでしょう。

独立を検討するなら

建築士資格を生かして独立開業することも可能です。

独立を考えている人であれば、独立後のためのスキルや人脈を得られるような職場を選んでおくと、独立後の業務がスムーズに進みます。

特に、小さな設計事務所では人手に余裕が無いため、営業から計画・顧客への説明などを全て自分でこなさなければならず、幅広い業務スキルを身に着けることができるメリットがあります。

つまり、小規模の設計事務所に勤めて幅広い業務に携わることで、独立開業後のノウハウを得ることができるのです。

建築士の就職活動をするときのポイント

楽しそうな皆さん

建築士の就職活動はどのように行っていけば良いのでしょうか?

学校や求人サイトを有効活用

建築士を目指して就活する場合、求人や就職先の探し方は「学校推薦」と「求人サイト」の二通りがあります。

「学校推薦」は学校に直接求人がくるので、使いたい場合は学校の進路指導室などに問い合わせて確認してみましょう。

「求人サイト」では建築業界に限らず、中小企業を含めた様々な会社からの求人を見ることができます。

その中から自分のやりたい仕事が行えるかどうかを吟味して仕事探しを行うと良いでしょう。

いずれにせよ、建築に関して高い専門性を持つ建築士は引く手数多であり、就職で困ることはほぼ無いでしょう。

面接の志望動機は入念に

面接の備えとしては、志望動機や自分のやりたいことを整理しておきましょう。

面接の前に「自分がなぜそこの企業に入りたいのか」「自分のやりたいこと何なのか」「このようなキャリアパスを想定している」などを考慮しながら、想定される質問への答えを考えましょう。

ちょっと意地悪な質問として「どんな建物が好きか」を問われることなどもあるため、回答を準備しておくと安心です。

院進して選択肢を広げるのもアリ

学士で卒業するとすぐに収入が得ることができ、また現場での経験を重視するハウスメーカーや建築施工職、建材メーカーなどに就職しやすいメリットがあります。

一方で、院進すると高い学費がかかってしまうデメリットがあるものの、高い専門性が必要なアトリエや設計事務所、大手ゼネコンの設計、研究開発などへの就職が見込めます。

まだ自分のやりたいことが確定しておらず、とりあえず自分の選択肢を広げたいと考えている人は院進することも考えておくと良いでしょう。

建築関連の資格の取り方

合格した人

建築士や施工管理技士などの建築系の資格は、どのようにして取得すれば良いのでしょうか?

1級建築士

一級建築士は、国土交通大臣が免許を公布する国家資格です。

一級建築士は、二級建築士や木造建築士と違って建築する建物の規模に関する制限がありません。

そのため、大規模ビルやオリンピックスタジアムなど、大規模な国家的プロジェクトの建造物の建設に携わることができます。

スケールの大きい仕事がしたいと考えている人は一級建築士を目指すと良いでしょう。

なお、受験資格は以下のような条件が設けられており、学歴に応じて実務経験が必要となっています。

  • 大学、高専、3年制短期大学、2年制短期大学の中で建築に関する指定科目を履修して卒業した人
  • 二級建築士の資格を取得している人
  • 二級建築士の資格を取得しているのと同じレベルの知識と経験を有すると国土交通大臣より認められた人

2級建築士

2級建築士は、国土交通大臣ではなく都道府県知事が免許を公布しています。

1級とは違って、2級建築士が建築できる建物の規模には上限があります。

延べ面積が30㎡から300㎡までの鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造の建築物の設計・工事監理が2級建築士が扱うメインの建築物となります。

なお、木造建築士の場合は3階建てまでが基本であり、建物高さ13m・軒高9mを超える建物は設計できません。

また、建築物の延べ面積も制限があり1000㎡以上の建築物設計はできないため、住宅規模の建物の建築がメインとなります。

なお、受験資格は以下の条件が設けられており、大卒の人は実務経験が不要ですが高卒以下だと実務経験が必要になります。

  • 大学、高専、高校において建築に関する科目を修めて卒業したもの
  • 都道府県知事が、大学、高専、高校において建築に関する科目を修めて卒業したものと同じレベルの知識と建築経験を持つと認めた人
  • 建築実務経験が7年以上ある人

施工管理技士

施工管理技士は施工のプロフェッショナルであり、建築先般の知識と高い倫理観が求められる資格です。

建設業者には建設業法により営業所ごとに「専任の技術者」を配置することが義務付けられているため、どの建設業者にとっても施工管理技士は貴重な人材と言えるでしょう。

また、試験は学科試験と実地試験が行われ、合格率は20%を切る難関試験であるためしっかりと対策をしておかないと合格できません。

建築士になるための進路

進路で悩む人

一級建築士になるための進路は2ルートあります。

  1. 大学で建築科目を履修する

一つ目は、大学で建築に関する専門的な科目を履修して卒業し、一級建築士試験を受験するというものです。

このルートでは、建築学部のあるような総合大学や国立大学に通って取得する方が大半ですが、高専や短期大学で建築に関する授業を受けて試験を受験する方も一定数いらっしゃいます。

大学や高専の学費が負担になってしまうのがネックですが、最も確実に一級建築士を取得することができる方法になります。

  1. 二級建築士を取得する

二級建築士免許を取得すると一級建築士試験の受験資格を満たすことができます。

学歴にもよりますが二級建築士試験合格後は、ある程度実務経験を積まなければならないため、忙しい中で試験対策を進めなければならない困難があります。

そのため、仕事を休職したり通信制の大学に通って「大学で建築科目を履修する」の要件を満たして一級建築士を受験される方も少なくありません。

しかし一方で二級建築士から一級建築士を目指すルートでは、二級建築士の試験で建築の基礎を一定勉強している分、一級建築士試験の勉強は楽になるでしょう。

実務経験を積んでいるため、専門用語や概念いついてのイメージがつきやすいこともあって、周りより効率的に試験対策を行うことができるのがメリットといえます。

建築士の就職先まとめ

建築士の就職先まとめ

  • 建築士の働けるフィールドは広く、需要も高い
  • 一般的な年収は高く、企業によっては年収ランキング上位のところもある
  • 大学に進む場合は建築学科を選ぶと就職してから即戦力になれる
  • 自分がやりたい仕事や関わりたい建設関連の仕事をしっかり考えておこう

建築士は不動産業界や建設業界で活用しやすい資格なので、建築学科に在籍している人は積極的に資格の取得を検討するべきです。

ハウスメーカーやインテリアコーディネーター、建築事務所などが代表的ですが公務員としての働き口もあるため、非常に広いフィールドで活躍できます。

将来性も高く魅力もたっぷりある資格なので、興味がある人はぜひ取得を目指してみてください!

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