二級建築士の合格率は低いの?試験の実際の難易度や一級建築士との違いについても解説
「二級建築士の難易度や合格率について知りたい!」
「二級建築士と一級建築士の違いは?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
二級建築士は不動産業界や建築業界で活躍できる資格であり、難易度はそこそこ高いです。
二級建築士は一級建築士よりも簡単ですが、独学で取得するのは簡単ではありません。
こちらの記事では、二級建築士の難易度や合格率、一級建築士との違いなどについて詳しく解説していきます!
二級建築士の難易度や特徴についてざっくり説明すると
- 合格率は20%程度で推移
- 科目ごとに合格点が設定されている
- 学科試験と製図試験で構成されている
- 合格するためには500~1000時間程度の勉強が必要
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二級建築士試験の合格率の変遷
二級建築士の合格率は近年、上昇傾向にあります。
しかし、学科試験と製図試験の両方を考慮すると、二級建築士の合格率は20%程度となるため超難関資格レベルではありません。
まず、直近8年間の二級建築士の「学科試験」と「設計製図試験」の受験者数・合格者数・合格率について見ていきましょう。
年 | 学科試験受験者数 | 学科試験合格者数 | 学科試験合格率 | 設計製図試験受験者数 | 設計製図試験合格者数 | 設計製図試験合格率 | 総合合格率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
令和4年度 | 18,893人 | 8,088人 | 42.8% | 10,797人 | 5,670人 | 52.5% | 25.0% |
令和3年度 | 19,596人 | 8,219人 | 41.9% | 11,450人 | 5,559人 | 48.6% | 23.6% |
令和2年度 | 18,258人 | 7,565人 | 41.4% | 11,253人 | 5,979人 | 53.1% | 26.4% |
令和元年度 | 19,389人 | 8,143人 | 42.0% | 10,884人 | 5,037人 | 46.3% | 22.2% |
平成30年度 | 19,557人 | 7,197人 | 37.7% | 10,920人 | 5,997人 | 54.9% | 25.5% |
平成29年度 | 19,649人 | 8,488人 | 36.6% | 10,837人 | 5,763人 | 53.2% | 24.3% |
平成28年度 | 20,057人 | 8,488人 | 42.3% | 11,159人 | 5,920人 | 53.1% | 25.4% |
平成27年度 | 19,940人 | 5,996人 | 30.1% | 9,456人 | 5,103人 | 51.4% | 21.5% |
このように、学科と製図だとそれぞれ50%近い合格率の回がありますが、総合合格率は20%台前半で推移しており、難しい試験であることが分かります。
勉強するにあたっては、まず「4~5人に1人程度しか合格できない試験」であることを念頭に置きましょう。
一級・木造建築士と比較した際の合格率
近年の一級建築士の合格率はおよそ10%程度で推移しており、二級建築士よりもかなり難易度が上がります。
一方で、木造建築士の近年の合格率は約30〜40%程度であるため、比較的難易度は落ちます。
現段階において過去の合格率が20%程度で推移している二級建築士の合格率は、「木造建築士以上一級建築士以下である」と言えるでしょう。
二級建築士試験の概要
二級建築士の具体的な難しさを理解するためには、まず試験の内容について知っておく必要があります。
そもそも、二級建築士とは比較的小規模な建物の建築・工事管理などに携わる国家資格であり、都道府県知事から免許が交付されます。
町中で見かける「二級建築士事務所」は一般的な戸建住宅の設計を行っています。
住宅の設計や実際の建築現場で管理や監督をすることが、建築士の仕事となります。
学科試験は4科目から出題される
二級建築士試験では4科目からの出題があり、具体的な出題範囲は以下の通りです。
- 学科Ⅰ(建築計画)
計画各論・建築史・環境工学・建築設備」の4分野から出題されます。
- 学科Ⅱ(建築法規)
8割ほどが「建築基準法」、残り2割で「建築士法・バリアフリー法」が出てきます。
また、法令に関する問題に加えて「換気・構造強度(木造)・容積率・高さの制限」の分野で計算問題が出題されます。
- 学科Ⅲ(建築構造)
建築構造は「構造力学・各部構造・材料」の3分野から出題されます。
- 学科Ⅳ(建築施工)
建築施工は「施工計画・各部工事・測量・積算・契約」の5分野から出題されます。
学科試験では過去問題と同じ傾向の問題が多く出題されるため、過去問題演習を多くこなすことが効果的な対策法となります。
出題傾向やどのような問題が出されているのかを把握し、徹底的に対策するようにしましょう。
二級建築士試験の合格率が比較的低い要因
こちらのトピックでは、二級建築士試験の合格率を下げている理由について解説していきます。
二級建築士試験の合格基準は厳しい
二級建築士学科試験には合格点が定められており、「4科目を13点以上、かつ総得点60点以上」をクリアする必要があります。
各科目で足切りが設けられていることから満遍なく勉強しなければならず、かなり難しいと言えます。
また、製図試験の合格基準も厳しく、採点の結果「ランクI」の評価を得ることができなければ合格できません。
学科試験も製図試験も共に難易度が高い試験で、また合格基準は年度によって変わる可能性がある点には注意が必要です。
4種類の学科試験と製図試験
二級建築士試験の合格率を下げる要因として、以下のような理由が挙げられます。
-
試験範囲が幅広い
-
試験時間が長いため、長時間に渡って集中力を維持しなければならない
-
学科試験に合格しなければならないこと
出題科目 | 出題数 |
---|---|
学科試験Ⅰ(建築計画) | 25問 |
学科試験Ⅱ(建築法規) | 25問 |
学科試験Ⅲ(建築構造) | 25問 |
学科試験Ⅳ(建築施工) | 25問 |
製図試験 | 1課題 |
科目ごとの主題数は以上の表のようになっています。
学科試験は各科目25問ずつ出題され、各科目で13問以上正解して合格点をクリアしなければなりません。
学科試験合格者のみが製図試験を受験出来る
二級建築士に合格するためには、まずは1次試験のような位置付けとなる学科試験に合格しなければなりません。
そのため、まずは学科試験に合格できなければ製図試験が受けられないことも難易度を高める理由と考えられいます。
なお、令和2年度以降の学科試験に合格した人であれば、その後の5年以内に3回まで製図試験を受けるチャンスがあり、バラバラに合格しても二級建築士になることができます。
つまり、学科試験に合格すれば集中的に製図試験対策を行うことができるのです。
学科試験は五肢択一方式
二級建築士の学科試験問題は五択の択一式問題です。
紛らわしい問題があるため正確な知識が要求されますが、過去問に多く取り組んで十分に対策を行っておけば問題ありません。
多くの過去問演習に取り組むことで問題に慣れることができ、合格できる学力を身に着けることができます。
また、二級建築士試験は過去問題の類似問題が多く出題される傾向にあるため、5年分くらいの過去問を3周ほどこなせば自然と本番でも対応できる学力が身に着くでしょう。
近年の合格率は増加傾向にある
二級建築士の合格率の推移を見ていくと、合格率は年々上昇している傾向にあります。
令和4年度の合格率は以前の二級建築士試験と比べて上昇しており、今後もこの傾向が続いていくと考えられています。
難易度と合格率に違いがある場合も
比較的難易度の高いとされる二級建築士ですが、今後受験者数が増えれば合格率は下がる可能性があります。
二級建築士には受験資格が設けられていますが、必ずしも全員が十分な勉強を積んでいるとは限りません。
試験問題は難易度が高く、受験者数が増えれば合格率は低くなることが考えられるため、難易度と合格率の数字に乖離が生じている点には留意しておきましょう。
二級建築士試験の実際の難易度
500〜1000時間の勉強時間が必要
ネットで「二級建築士 勉強時間」などのフレーズで検索すると、個人差はあるものの試験の合格のためには500〜1000時間程度の勉強をこなしている人が多く見られます。
勉強期間にすると半年~1年程度の期間となるため、二級建築士試験に合格するためには長期的な勉強計画を練る必要があります。
建築学科を卒業して予備知識がある方や、建築業界に勤めていて実務の中で法律を学んだ経験がある方は有利であると言えるでしょう。
二級建築士の受験資格は厳しい
二級建築士には受験資格が設けられており、かなり厳しい条件となっています。
建築に関する学歴又は資格等 | 実務経験年数 |
---|---|
大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、専修学校、職業訓練校等において、指定科目を修めて卒業した者 | 最短0年 |
建築設備士 | 0年 |
その他都道府県知事が特に認める者(外国大学を卒業した者等) | 所定の年数以上 |
建築に関する学歴が無い者 | 7年以上 |
このように、置かれている状況や学歴によってクリアするべき実務経験の長さに差があります。
なお、表中にある「指定科目」や「所定の年数以上」に関しては認められるものと認められないものがあるため、判断に迷うものがあれば試験の主催者に必ず確認するようにしてください。
このように、二級建築士の学科試験を受ける前に、そもそも受験資格を取得することが難しい点は押さえておきましょう。
他の国家資格と比較した難易度
二級建築士試験は都道府県知事により定められた国家資格で、信頼性は非常に高い資格です。
二級建築士の難易度を「偏差値」という観点で見ると、他の国家資格と比べて難易度は低いと言えます。
例えば、公認会計士や司法書士のような国家試験の偏差値がそれぞれ77・76であるのに対し、二級建築士の偏差値は56となっています。
難易度が近い資格だと宅建士が57、管理業務主任者が58となっていることから、「そこまで難しくないんじゃないか?」という印象を受ける方もいるでしょう。
ただ、あくまでの偏差値は一つの目安に過ぎず、高校受験のように「50₌平均」とは一概には言い切れません。
そのため、実際の過去問題などをしっかり分析して本試験で対応できる学力を身に着けることをまずは意識しましょう。
二級建築士資格の独学での勉強方法
二級建築士試験の難易度は高いため、確実に合格を目指すのであれば予備校や通信講座の利用がおすすめです。
しかし、専門学校や職業訓練校に通うにあたって費用の面で不安がある方は、独学で勉強する方法も十分にアリです。
二級建築士の試験は簡単ではありませんが、基礎的知識をしっかりと押さえて過去問などでアウトプットをこなす勉強をしておけば、合格することは十分に可能です。
過去問での勉強が必須
二級建築士の勉強では、過去問演習をこなすことは非常に重要です。
学科試験の内容は、過去の問題と出題傾向とあまり変わりがありません。
そのため、基本的には過去問題集を何周もこなして答えを覚えてしまうくらいやりこむことを意識すると良いでしょう。
また、つまずく人が多いと言われている「法規」の科目も、法令集と過去問に繰り返し取り組むことで徐々に完成度が高まっていきます。
しっかりやりこめば得点源にすることもできるため、「過去問演習が大切」ということを常に意識するようにしてください。
製図試験では設計・製図能力が必要
製図試験は学科試験とはまた違った難しさがあり、「テーマに沿った設計図を、制限時間内に、見る人に要旨が伝わるよう分かりやすい書く」能力が試されています。
そのため、日頃の演習からその点を意識して設計図を書くことが大切です。
製図試験に関しても、「製図に書き慣れる」「素早く製図できるようにする」という観点から多くの過去問題に触れることが重要です。
演習量が足りていないと本番の試験で慌ててしまったりつまらないミスをしてしまう恐れがあるので、「本番のつもり」で演習することを心がけましょう。
公式サイトで問題傾向を分析する
勉強する際には、公式サイトや資格講座会社が公開している「学科試験合格発表」の合格基準点や総評に目を通すのも参考になります。
実際の問題傾向を掴んだり、実際の問題のレベルを見て「今の自分の実力だったら合格点を取れそうだろうか?」などイメージすると、学習の助けとなる可能性があります。
総評では試験全体のレベルや「落としてはいけない問題」などを示してくれるため、ぜひ参考にしてみてください。
モチベーションの維持が大切
二級建築士試験は難易度が高く、試験科目数も多いため勉強期間は長期に及びます。
試験勉強を続けるためにはモチベーションの維持も重要となるため、メリハリをつけた勉強をしてうまくモチベーションを保つ工夫をしましょう。
具体的には、
-
合格後に活躍している自分をイメージする
-
勉強かマンネリ化してきたら予想問題など初見の問題に取り組んでみる
-
仕事で疲れた日などは30分程度で切り上げる
このような工夫をして、モチベーションの低下を防いでいきましょう。
一級建築士試験の準備段階と捉え学習する
二級建築士を取得した後に、ステップアップを目指して一級建築士の取得を目指す方も多くいます。
二級建築士と違って、一級建築士は建築設計することができる建物の種類や規模に制限が無いため、需要は非常に高いです。
二級建築士試験で問われる内容は一級建築士試験の基礎的な内容であるため、二級建築士合格後に間を開けずに一級建築士の勉強に着手するとスムーズです。
一級建築士の合格率は学科・製図試験の総合でおよそ10%程度と非常に難易度が高いですが、ステップアップの足掛かりとして二級建築士を受験するのもおすすめです。
また、金銭面でも二級建築士と一級建築士には差があり、二級建築士の平均年収はおよそ480万円程度と言われています。
一方で、一級建築士の平均年収は680万円程度と言われており、かなり差があることが分かります。
このように、金銭的なメリットもあるためぜひ積極的に一級建築士を目指すと良いでしょう。
建築士講座の紹介
ここで、建築士試験の対策講座を開講している予備校や通信講座を紹介します。
それぞれの講座にメリットやデメリット、特徴があるためしっかり調べたうえで自分に合った講座を選択するようにしましょう。
- TAC
- 総合資格学院
- 日建学院
- 全日本建築士会
- スタディング
これらの他にも多くの学校で講座を開講しているため、調べてみると良いでしょう。
なお、以上で紹介した中で「スタディング」は他の講座よりも圧倒的に安く、オンラインで勉強することができます。
隙間時間を有効活用して勉強したい方や、重い教材を持ち運ぶのは嫌だと考えている方にとっては、スタディングの講座はピッタリです。
二級建築士の難易度や特徴まとめ
二級建築士の難易度や特徴まとめ
- 合格基準がかなり厳しいため、入念な対策が必要
- 難易度を偏差値で表すと56だが、体感としてそれ以上に難しい
- 独学でも合格を狙うことはできるが、確実に合格を目指すなら通信講座などの利用がおススメ
- ただ量をこなすだけでなく、モチベーションの維持にも気を付けよう
二級建築士は難易度の高い国家資格であるため、質の高い勉強と入念な勉強計画が欠かせません。
勉強の質もしっかりと意識し、うまくモチベーションを維持することで着実に合格へ近づけるでしょう。
二級建築士試験の対策講座を扱っている学校も多くあるため、興味がある方は資料請求をしてみてください。
建築業界で活躍でき、独立開業も狙える魅力的な資格なので、二級建築士資格の取得を狙って頑張ってください!