一級建築士試験の設計製図試験の対策法は?図面の描き方やチェックポイントを解説

一級建築士の試験を受験する際には、一番の難関となるのは何?

学科試験以外に注意しておくことは何?

一級建築士の受験を検討している人でこのような疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか?

一級建築士は学科試験と製図試験に分かれており、特に製図試験についての情報が不十分な人も多いはずです。

今回は一級建築士の製図試験の概要から対策方法まで徹底解説していきます。

一級建築士試験の設計製図試験の対策法についてざっくり説明すると

  • 一級建築士試験の二次試験であり、実技試験である
  • 実際にいくつかの条件を踏まえたうえで、製図を書きあげて提出する
  • 合格率は毎年ほぼ40%で推移している

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一級建築士の製図試験とは

ノートと鉛筆の画像 国土交通省が認定する国家資格である一級建築士の資格試験では、学科試験の後に、二次試験として製図を書く課題が設けられています。

制限時間内に製図を仕上げることになり、そこで一定基準の条件を満たして初めて合格となります。

ここでは、建築士の製図試験に限定して、その概要についてご紹介します。

建築士製図試験の内容

建築士製図試験とは、建築士の資格試験の中の二次試験として行われています。試験の制限時間は6時間30分と、とても長丁場の試験であり、その中で一つの課題にのみ集中していくことが求められます。

課題についての情報は、試験日の約3ヶ月前より公示をされます。よって事前に対策を入念に行ったうえで本番に臨むことになります。

建築士製図試験の採点方法としては、ランクⅠから始まりランクⅣという4段階評価がされます。

採点ランクの基準としては以下のとおりとなっています。

  • ランクⅠで「知識及び技能を有するもの」
  • ランクⅡにて「知識及び技能が不足しているもの」
  • ランクⅢで「知識及び技能が著しく不足しているもの」
  • ランクⅣにて「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」

一番上のランクⅠに達したら合格となり、製図試験での合格率は約40%です。

建築士製図試験の内容

建築士製図試験の内容は毎年お題が設定して出題され、令和元年度では「美術館の分館について条件を満たす設計をする」という内容が出題されました。

美術館の分館の製図を書く際の条件としては、1階平面図・配置図(縮尺1/200)、2階平面図(縮尺1/200)、3階平面図(縮尺1/200)、断面図(縮尺1/200)、面積表、計画の要点などを製図化するというものでした。

課題の細かい条件として以下のようなものがつけられています。

  • 既存の美術館本館の隣地に美術・工芸などの教育普及に準じた分館を作ることになったという設定で、製図を書く

  • 屋上には庭園のある建築物を計画する

  • 建築基準法令に適合した建築物として、建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設なども含む

その他の年度では「健康づくりのためのスポーツ施設(H30)」「小規模なリゾートホテル(H29)」「子ども・子育て支援センター(H28)」などの多様な種類の課題が出題されています。

建築士製図試験はブラックボックス?

建築士製図試験での採点方法についてはブラックボックスであるという指摘がされています。

その理由としては、毎年40%前後の合格率を維持していることが不自然であるからです。

よって、評価は相対評価ではないかと噂されており、課題との相性やその年の受験生のレベルによって合格の確実性がかなり変化することが懸念されています。

しかし、このような相対評価で基準があいまいな中でも、勉強方法や回答方法での、いくつか合格につなげるポイントが存在します。

その点につきましては、次の章にてご紹介します。

建築士製図試験の準備・対策法

時計の画像 どのような資格試験でも、前もって十分な準備や学習をすることが望ましいものです。事前にどれだけの準備や学習ができているかで合否の確率も変わっていきます。

ここでは、建築士製図試験への準備と対策のポイントをご紹介します。

図面の採点ポイントを意識する

製図を書く課題では、その条件を満たす内容で埋めることは言うまでもありません。製図の中に盛り込む内容に漏れがないかを意識することがポイントになります。

例えば数年前の試験から追加された基準としては、「延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設」などのチェックポイントがあります。

これらの基準を満たさないと不合格になってしまうので気を付ける必要があります。

書き上げた製図が基準を満たしているかどうかは、おそらくテスト本番の際のチェックや見直しによって発見できたり、訂正もできるはずです。

必ず見直しの時間を作ることが大切になってきます。

過去の模範解答から学ぶ

建築士製図試験は、公益財団法人建築技術教育普及センターのサイトにて、過去に出題された製図試験の模範回答が掲載されており、各試験内容をダウンロードできるようになっています。

過去問の数も豊富にありますので、これらを試験対策用に活用して、製図を書く技量を上げていくことがポイントです。

過去問を使ってしっかり注意しながら学んでおくことによって、動線や重要な居室を適切な位置に作れたのかが理解できます。

公開される総評確認すること

予備校では毎年の製図試験において、試験の難易度や内容について評価する総評を行っています。

その回の試験にて、どのような点がポイントとなっていたのか、どんなことを注意しておけばよかったのか、また、今後の対策についてなど、勉強するうえで知っておきたい情報が多く掲載されています。

過去問を解く際には総評も併せて確認することをおすすめします。

通信講座を活用しよう

製図試験は特に、難易度も高く独学では勉強の難しい箇所です。よって、対策を行う際には通信講座を活用していくことがおすすめです。

通信講座会社を選ぶ際には、基本の書き方や手順について詳しく解説してあるかどうかを基準に選ぶと、その後の学習がスムーズに進むでしょう。

この基準を踏まえた上で、資格Timesではスタディングの通信講座をおすすめします。

スタディングの通信講座は製図の手法がパターン化されており、基本の型や手順を詳しく学ぶことができます。

具体的には製図の作成手順を9つのステップに分解した解説がなされており、アニメーションも用いて具体的な処理手順が説明されています。

製図試験の対策に不安を抱えている方はぜひスタディングの通信講座を使って対策してみてはいかがでしょうか?

スタディングの公式サイトはこちら

建築士製図試験当日のポイント

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試験会場に持ち込めるものを確認する

製図試験時には持ち込みできるものが数多くあり、受験前に何を持ち込めるか必ず確認する必要があります。

忘れてしまうと、普段の製図作業ができない恐れもあるので注意が必要です。

持ち込むものとしては、普段使い慣れている用具を持ち込めばよいでしょう。ただし、持ち込み禁止になっている道具もいくつかありますので、必ず注意事項を把握したうえで当日までに準備しておくようにしましょう。

また、持ち込み可能な用具は使用することで作業の効率を向上させることができますが、必要以上の持ち込みは逆に邪魔になることもあるため、必要最低限の選定と整理を心掛けると良いでしょう。

課題の趣旨を確実に読み取る

近年での建築士製図試験の傾向は、課題文そのものが長文化しているという点が伺えます。その長い文章のせいで混乱しないためには、押さえるべきポイントや趣旨を読み取る力を持つことにあります。

この製図を書くにあたって以下のような要求項目を想定する必要があります。

  • 要求されている部屋はどう機能するのか?
  • 人やモノの動線がどのように入るべきか?
  • ゾーニングはどう定義していくのか?
  • 周辺環境への配慮や採光はどのように考慮すべきか?

このような項目は予め問われてもおかしくありません。

まずは過去の問題を研究して、本番では、課題に必要な趣旨を想定しながら書くことを心がけていきましょう。

補足図は確実に書く

近年では、建築士製図試験にて、自分の解答の説明をわかりやすくするために補足する「補足図」を入れるのも必須となりました。

そのため、課題で要求される図面だけでは表現できない計画について、自分なりに丁寧な記述を心がける訓練も必要です。いざとなって本番で焦らないためにも、補足図を書くというトレーニングもしておきましょう。

補足図を使用する際には、図の内容が明確で、試験官が一目で理解できるようにすることが求められます。煩雑な図では意図が伝わらず逆効果になることもあるため、シンプルでわかりやすい表現を心掛けることが重要です。

チェックに時間をかける

製図試験の中でやるべきことはエスキス、製図、記述、そして最終チェックといった作業です。

学科試験の時と比べても実際にやることが多いため、試験本番での時間配分の方法や質によって合否が左右されるといってもよいでしょう。

中でも大切な作業となるのがチェックです。せっかく書き上げた製図なのに、万が一のミスや抜け誤りなどがあっては元も子もありません。

よって、チェックの時間は一定時間必ず確保する必要があります。

もし時間が足りなくなったと感じたら、ある程度はフリーハンドでも書いておくといった工夫をすることも必要となります。

このフリーハンドでの補完は、製図の基本スキルと柔軟な発想が求められる部分で、慌てずに素早く正確に描けるよう、日頃から訓練しておくことが効果的でしょう。

通信機器の取り扱いに注意

どのような資格試験にも言えることではありますが、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、電話機能及びメール送受信機能がある時計などの通信機器に関して、試験時間内での使用はもちろん禁止となっています。

これを無視して使用したら、万が一の場合、不正行為とみなされて処分の対象になりかねません。

また、試験室内に持ち込む場合には、注意事項等説明時に「無線通信機器入封筒」が配布されるので、電源を切った状態でその中に入れ、試験終了までは机の上に置き各自管理するという流れです。

アラームなどをあらかじめ恒常的にセットしている方は、必ず事前にオフ状態にしておかないと、急に鳴ってしまう恐れがありますので、通信機器の取り扱いには細心の注意を払いましょう。

一級建築士試験の設計製図試験の対策法についてまとめ

一級建築士試験の設計製図試験の対策法についてまとめ

  • 3か月前に課題情報が公開されるので、あらかじめチェックすることが必須
  • 図面の採点ポイントを意識した対策が重要
  • 製図を書く時間とチェックする時間などの時間配分は意識する

建築士の製図試験ということもあり、かなり難関な作業と思われています。しかし二次試験に関しては、ある程度のコツと、問題の解釈をいかに合理的にできるのかで、解答例に影響が出てきます。

また、決められた制限時間内でのやり取りの工夫が大切で、とくに最終的なチェックは怠らないようにしましょう。

提出する解答に関しては、フリーハンドで書き上げても構わず、実際にそれで合格されている方も多く存在します。きれいに書き上げることにばかり執着すると、時間に追いやられてしまい中途半端になってしまいます。

そうならないためには、フリーハンドでもいいので、与えられた課題を全部クリアできるかどうかに着目しながら試験に臨むことがポイントです。

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