宅建は過去問だけで合格できる?過去問が有効な理由やおすすめの活用法まで解説!

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この記事は専門家に監修されています

宅建士

関口秀人

「宅建士試験の過去問の活用法が知りたい!」

「過去問だけで合格できるって本当?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

宅建試験に合格するためには過去問の攻略が不可欠です。

一方で過去問は大事と分かってはいても、具体的にどのように過去問を勉強に活かして良いのかよく分かっていない方も多いです

そこでここでは、宅建の学習における効果的な過去問活用法や、勉強しやすい過去問の形式まで分かりやすく解説します!

宅建の過去問についてざっくり説明すると

  • 過去問は短期合格に必須の教材
  • 過去問は試験前の仕上げとしてではなく、普段の勉強から使用する
  • 「過去問だけで受かる」は拡大解釈なので注意
  • 過去問題集にも用途別で様々な種類が存在する

宅建試験で過去問を軽視すると失敗する

鉛筆の画像

宅建士の勉強をする上で、過去問は最も重要なツールです。

しかし、過去問を使っての勉強を直前までスルーしてしまう人や、過去問にほとんど触れずテキストと問題集だけで勉強を進める人が多いです。

このような人は、過去問が大事と分かっていながら、活用法がよく分からずに本番を迎えてしまうようで、非常にもったいないです。

やりがちな間違った過去問勉強法

メリハリをつけずにとりあえず解くだけ

「過去問は大事らしいからとりあえず解いておこう」という感じで集中せずに解くと、せっかく取り組んでも知識として定着しません。

過去問は、過去にどのような問題が、どのような文面で出題されていたかが分かるとても重要なデータでもあります。

過去問に取り組んでいるときは、試験本番と同じように集中した環境で取り組むようにしてください。

「練習は本番のつもりで、本番は練習のつもりで」日頃から問題をこなしていくよう、心がけてみてください。

学習の仕上げとして過去問を解く

過去問を本番試験問題の腕試しだと勘違いしている人も多いですが、過去問演習は勉強の仕上げではありません

確かにそういった使い方でも合格できるかもしれませんが、過去問の良さがほとんど活かせておらず、非効率です。

過去問は試験直前に解くものではなく、テキストを読んだ後に解いて知識として定着させるものです。

そして実際に解いてみて間違えたらテキストに戻って確認する、という地道な作業が重要なのです。

失敗から学ぶ正しい過去問の使い方

過去問には、過去のデータを分析した頻出度を掲載していることが多いです。

頻出論点を把握して、集中的に取り組むことによってより効果的な学習となります。

また、実際の試験問題では毎年5問程度難問が出題されますが、過去問演習で慣れておけば当日に慌てることもありません。

過去問を通じて難問・奇問を経験しておくことで、本番までに目指すべき本当のレベルを把握することもできるでしょう。

頻出論点の把握と目標到達水準の把握。過去問演習を通じてこの2つを理解することを意識するのが大切です。

宅建試験で過去問演習が有効な理由

眼鏡と本

まずは、過去問が大切な理由を正しく知ることが大切です。

過去問が大切な理由を知らずに勉強を進めると、過去問に取り組むのを後回しにしてしまい、合格を遠ざけてしまう大きな原因となってしまいます。

過去問ほど優れた教材は存在しない

過去問は直前期に解くものではなく、普段の勉強に取り入れてテキストと並行して進めるべきツールです。

過去問を使うことで頻出論点を把握したり、出題傾向のクセがわかったり、本番試験の出題スタイルなどをつかむことができます。

また、本試験と同じレベルの難易度の問題を解けるため、非常に実践的な学習ができると言えるでしょう。

本番試験では過去問と全く同じ問題が出ることは基本的にありません。しかし、文章の一部を変えただけであったり、角度を少しだけ変えただけの実質同じ出題がされることが多々あります。

また、同じ論点を違う角度から問う問題(例えば、民法で債務者と債権者の立場を変えただけの問題)も多いです。

そのため、過去問で出題された論点をしっかりと押さえて勉強することで、本試験のほとんどの問題に対応できるようになるのです。

特に民法などは試験範囲が広く、苦手意識を持つ受験生が多いです。

そこで、このような過去問を通じて勉強するべき範囲を絞らなければ、勉強にとても時間がかかってしまいます

さらに、当日の試験日は当然緊張しているため、過去問を通じて試験形式に慣れておくことも重要になってきます。

試験問題に見たことが無い問題が出ると面食らいますが、日頃から過去問で対応力を磨いておくと冷静に対処できるようになるでしょう。

過去問で苦手科目を見つけられる

例年、宅建試験の合格率は15%程度ですが、宅建の士業への格上げに伴い近年では試験の合格ラインが上がってきています。

そのため、勉強を進める中で苦手科目は出てくると思いますが、苦手科目をそのまま放置し、捨てるのは危険です。

特に30点台中盤の得点者は集中するため、1点が合否を分けます。1点足りなかっただけで不合格となり、また一年間勉強を続けるのは苦痛ですよね。

確実に合格点を超えるためには、苦手科目であっても他の受験者が解けるような比較的簡単な問題は最低限解けるようになっている必要があります。

まずは過去問を通じて、自分の苦手科目は何なのかを知ることが大事です。

過去問では各分野で似たような論点の問題が繰り返し出題されています。

何度も間違える論点や、2周目に入っても同じ間違いをしてしまう問題などは苦手科目といえます。

自分の苦手科目が分かったら、繰り返し繰り返し丁寧に反復をして、苦手を潰していきましょう。

やり方としては過去問とテキストで同じ問題を繰り返し解いて知識の定着を重点的に測ることのがおすすめです。

宅建試験は過去問だけで合格できる?

宅建試験における過去問の有用性は上述の通り極めて高いです。

一方で、この事実を拡大解釈した「宅建は過去問だけやっておけば受かる」という言説が巷では溢れています。この意見は正しいのでしょうか。

結論から言えば、文字通り「過去問だけ」で宅建試験に合格するのはほとんど不可能です。

過去問の解答解説だけで宅建試験で求められる知識を全てインプットするなんて、冷静に考えて非効率極まりないですし、知識と知識を体系立てて繋げることが非常に難しくなります。

一方で、「テキストや講義でインプットを行い、アウトプットは過去問演習のみ」ということであれば、合格は可能です。

あくまで過去問は超有用な問題集という位置付けに過ぎないので、合格を約束する「魔法の杖」のように盲信するのは危険です。

アウトプット教材が如何に良くてもインプット教材が悪ければ実力をつけるのは難しいので、良い教材・講義のもとで学習を進めるようにしましょう。

宅建の過去問の解き方のポイント3つ

資格を勝ち取る

過去問の解き方のポイントは、以下の3点です。

  • 体系別の過去問を使う
  • 一問一答形式の過去問が使いやすい
  • 過去問は10年分は解いておく

これら3つのポイントを意識するか否かで、合格までにかかる勉強時間が大きく変わってくると言えるでしょう。

体系別の過去問を使う

過去問題集選びの際には、体系別に問題が収録されているものがオススメです。

宅建士の場合、論点別に特徴をよく理解し、その特徴の解説がわかりやすく記載されている過去問を活用していくことが大切になってきます。

特に他の問題集にこだわる理由がなければ論点別の過去問題集を活用しましょう。

過去問が論点別に収録されているので、各分野ごとに集中して勉強することができ、苦手潰しにも活用しやすいです。

体系別のものを使うメリットは他にもあります。

  • 論点ごとの知識を定着させることができる。
  • 論点ごとの出題傾向やパターンがつかめる。
  • 自分の苦手分野がわかり、対応できるようになる。

特に出題傾向やパターンについてクセを掴むのは重要です。

1周目は「こんな切り口で出題してくるんだな」程度に取り組み、2周目以降、知識が定着してからは本番のつもりで取り組むと効果的です。

このように論点別の過去問を活用することで、他の形式の過去問(例えば年代別になっているもの、頻出頻度順になっているもの)に取り組むよりも効率よく合格を目指せるのです。

一問一答形式の過去問がおすすめ

特に初学者の方は、いきなり本番と同じ4択の択一式の問題に取り組むのではなく、一問一答形式のものを選ぶと良いでしょう。

いきなり知識が定着しきっていない状態で4択問題を解いていくのは難しく、場合によっては自信の喪失につながってしまうためです。

その一つの問題の正誤について集中的に考えることができるため、知識の定着につながります。

また、4択問題に取り組むと、1問あたりにかける時間が長くなってしまい、隙間時間を活用したい方には向きません。

このように、一問一答形式の過去問を活用することで1つ1つの問題をより深く理解することができます。

一問一答形式の問題がほぼ完璧に仕上がってから、本試験問題同様の択一式の過去問に着手すると良いでしょう。

過去問は10年分は解いておく

宅建士試験は過去問の焼き直しが多いため、量をこなせばこなすほど本番での対応力が磨かれます。

そのため、あくまで目安ですが10年分の過去問は解くようにしましょう。

10年分を解くことで多種多様な問題に向き合うことができるため、その分試験当日に「見たことがない問題」が減ります。

他にも過去問を多く解くことで、頻出問題を繰り返し解くことができるというメリットもあります。何度も見かけた問題であれば、本番試験でも一瞬で解答することができるでしょう。

数多く過去問を解くことにより、自分はこれだけの量の過去問を解いてきたという自信にもなるので、10年分の量をこなすことを目標に頑張っていきましょう。

過去問は暗記が勉強の基本

勉強する子供

宅建試験は暗記の割合が高い

宅建士試験は、権利関係(民法)・宅建業法・法令上の制限・税その他の4科目に大別されます。

宅建で学ぶことの多くは暗記が求められるため、暗記が苦手な方は自分なりに工夫して整理しておく必要があります。覚えられない箇所は繰り返し読み込んで覚えるようにしてください。

当然、理解が大切になる科目もありますが、勉強を進める上での中心は暗記となり、覚えているだけで正解できる問題も非常に多いです。

暗記科目は勉強時間と得点が比例しやすいので、勉強のモチベーションも保ちやすいといえます。過去問を解き進めて知識を定着させ、自信をつけていってください。

暗記がメインの科目

宅建士試験の中で、宅建業法、法令上の制限、税・その他は暗記が基本の科目となります。

  • 宅建業法

ほぼ暗記で本試験でも得点をすることができるため、勉強をすればするほど得点が伸びる科目といえます。

その分、多くの受験生がこの科目を得点源にします。そのため、宅建業法での取りこぼしがないようにしましょう。ここでは、ほぼ全問の正解が欲しいところです。

単純な知識問題が多いので、数字などは細かい箇所まで暗記するように心掛けてください。コツコツと知識を積み上げることが重要です。

  • 法令上の制限

法律上の制限においては、試験に出題される法律の種類が多く、勉強を進める中で「今、この法律について学習している」ということを常に意識しましょう。

扱う法律の数が多いため、問題と向き合ったときに「これは何の法律の規定だっけ?」となってしまう恐れがあります。 このような迷子状態になると、理解も進まず効率の悪い勉強となってしまいます。

勉強法としては、テキストの読み込みよりも過去問のやり込みがおすすめです。

ただ、闇雲に暗記するのではなく、その法律の本来の目的などを一緒に考えることでより印象に残ります。

法令上の制限の勉強をする際には、規制の対象、内容、理由を横断的に学習するのが良いでしょう。

  • 税、その他

この科目では、税率や税金の額など数字を覚えないといけません。

正確に覚えていれば一目で正誤が判断でき、それだけで得点できる問題が出てきます。

引っ掛け問題が少なく、シンプルな問題が多いため、暗記さえしてしまえば解ける問題が多いです。

特に統計情報や税法の分野は、暗記をしていれば得点源にすることができますので、丁寧に取り組むようにしましょう。

民法だけは暗記が通用しない

民法は暗記だけでは得点することが難しく、条文の理解が重要となります。条文を理解する際には、法律の目的や趣旨にも注目しましょう。

法律の第一条に、たいてい制定された趣旨が記載されていますので、是非目を通してみてください。

また、条文を理解するためには用語の理解も必要となるため、意味の分からない用語が出てきたら面倒ですが逐一調べることをオススメします。

繰り返しにはなりますが、民法の学習範囲は膨大なので、過去問を使って範囲を絞るのはほぼ必須です。頻出頻度の低い論点はり深入りしないように注意しましょう。

民法の出題では、不動産取引の問題に代表されるように、事例問題が多いです。

事例問題の対策としては図を書くことがおすすめです。債権者はA、債務者はB、連帯保証人はCとDなど、丁寧に図に表すとわかりなすくなります。

過去問を通じてこのような事例問題に慣れていくようにしましょう。ある程度出題パターンは決まっているので、しっかりと条文を理解した上で過去問演習をすれば、自然と解けるようになります。

民法は苦手という受験生は多いため、民法で得点ができれば周りと差が付きやすく、合格に一気に近づきます。

宅建試験の過去問を使った対策まとめ

宅建の過去問活用法まとめ

  • 過去問を軽視していると非効率な勉強を続けてしまう
  • 体型別の過去問を解いて頻出論点を押さえる
  • 過去問を通じて苦手科目を把握し、しっかりと対策することが合格ラインを超えるために必要
  • 宅建の過去問学習は暗記がメインである

過去問演習だけで30点近くの点数が取れるほど、過去問は優秀な教材です。

過去問を日々の学習に取り入れているか否かで、勉強の効率は全く異なってくるでしょう。

この記事を通じて、皆さんが宅建試験合格に一歩でも近づけたなら幸いです。

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