E資格ってどんなもの?難易度や受験手順・取得メリットまで徹底解説!
「E資格ってどんな試験?」
「E資格の取得難易度や受験資格、取った場合のメリットが知りたい!」
E資格についてこのような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
E資格はディープラーニングに関する知識や技術が問われる、エンジニア向けの資格です。
ここではE資格の難易度や合格率といった基本的な情報から、取得に向けた勉強法やおすすめ書籍を紹介します。
読み終えるころにはどうすればE資格に合格できるか理解できているでしょう。
E資格についてざっくり説明すると
- ディープラーニング実装力が問われるエンジニア向け資格。
- 受験にはJDLAの認定プログラムを修了しなければならない。
- 受験料はプログラム参加費含め数十万円。
- 合格率は60%ほど。
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E資格とは
空前のAIブームの渦中である昨今では、AIという単語を毎日のように見かけますよね。
直近ではAIによるイラストやChat GPTなどの高性能なAIを用いたチャットボットの登場もあって、AIへの関心がさらに高まりつつあります。
そんな中、人気急上昇中の資格があります。それがE資格です。
ここではE資格がどのような資格なのかについて紹介していきます。
日本ディープラーニング協会が実施
E資格試験を主催しているのは日本ディープラーニング協会です。日本ディープラーニング協会はAI技術による日本の産業競争力の向上目指している団体で、AI人材の育成を目的としてE資格を作り上げました。
AIという言葉を聞くようになったとはいえ、AIそのものが世の中で十分に活躍できているわけではありません。大きな時代の変革を生み出せるような技術を活用していくためには、人材が必要です。
そのため、AI人材を目指す人たちの学習の目的の一つとして、E資格や姉妹資格であるG検定が生み出されたのです。E資格はエンジニア向け資格であり、G検定はAIについてより基礎的な内容を学ぶための資格です。
世界初のAIエンジニア資格として注目を集める
E資格はプログラミングができるエンジニアを対象にしています。実はエンジニアを対象としたAI資格がつくられたのは、E資格が世界で初めてなのです。
E資格が生み出された目的はディープラーニングの実装をリードできる人材を増やすことです。どのような成果を出せるのか、全世界が注目しているというわけですね。
AI(人工知能)の定義は?
これまでに何度か用いてきたAIという言葉ですが、皆さんどのようなイメージをお持ちでしょうか。
実は、AIには厳密な定義がありません。専門家の中でも意見が分かれていますが、よく言われるのが「知的な振る舞いを機械にさせたもの」という考え方です。
とはいえ、何が「知的な振る舞い」なのかはそれこそ解釈によって変わってきますよね。
つまり、単なるプログラムとAIの違いはあまり明確でないのです。
世間的には、これまで人間しかできなかった知的作業を達成できる機械のことを人工知能と呼ぶことが多いようです。AIというのは場面場面でどのような意味で用いているのか解釈が必要な、あいまいな言葉というわけです。
AIの発展の鍵がディープラーニング
現在はまさにAIブーム真っただ中ですが、実はこれまでもAIブームは2回ありました。それぞれ、第1次AIブーム・第2次AIブームと呼ばれています。
これまでのAIは、物理的な情報と判断が一対一にしか対応していなかったために単純なことしか行えませんでした。ところが、現在のAIブーム(第3次AIブーム)は違います。抽象度の高い処理が可能になったことで、AIにできることが爆発的に増えたのです。
このような処理を可能にした技術がディープラーニングです。ディープラーニングは現在のAI技術を支え、発展させている根幹となる技術なのです。
E資格の受験資格と受験手順
受験にはJDLA認定プログラムの修了が必要
E資格は誰でも受験できるような資格ではありません。E資格試験の受験資格は「JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること」です。
そのため、E資格試験を受けるためにはまずはJDLA認定プログラムに参加することからスタートします。
認定プログラムには初学者向けのものから既にある程度ディープラーニングの知識がある人向けのものまで様々な種類があります。価格差もかなり大きいので、自分に合ったものを選びましょう。
受験にはかなりの費用がかかる
JDLA認定プログラムは非常に高額です。最安値のものでも10万円以上、高いものだと70万円前後の費用が必要になってしまいます。
それに加えて受講料として33,000円(税込)が必要になるので、合計するとかなりの経済的コストを支払うことになります。
E資格を取得する道のりは、金銭的にも甘くはないということは覚えておくと良いでしょう。
E資格の難易度
E資格の取得難易度は非常に高く、簡単には合格できません。
ここでは、E資格試験ではどのような内容が問われ、どれくらい難しいのか解説していきます。
試験範囲と出題形式
E資格は多肢選択式で行われる試験です。120分の試験時間に対し、100問もの問題数が出題されます。おおよそ1問あたり1分くらいのペースで解けば解き終わる計算ですね。
試験の出題範囲は以下の通りです。試験問題のレベルはJDLAの認定プログラム修了レベルとされています。基本的にはディープラーニング技術の実装レベルの力が求められると言ってよいでしょう。
簡単な出題範囲一覧は次のようになっています。
- 応用数学
- 機械学習
- 深層学習
- 開発・運用環境
E資格の合格率
次の表を見てください。直近3回のE資格試験の受験者数や合格者数、合格率をまとめたものです。
この表を見る限り、E資格試験の合格率は65%から75%ほどです。受験者の半数以上が合格しているので、合格率だけから判断すると合格しやすい試験と言えそうです。
しかし、E資格の受験者はある程度の知識や技術を持っている人がほとんどです。さらに、受験に必要なプログラムであらかじめ対策しているはずです。結局のところ、実際の競争率は数字以上に激しいと考えられるでしょう。
開催回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2018年(9月) | 337人 | 234人 | 69.44 % |
2019年(2月) | 387人 | 245人 | 63.31 % |
2019年(8月) | 696人 | 472人 | 67.82 % |
2020年(2月) | 1042人 | 709人 | 68.04 % |
2021年(2月) | 1688人 | 1324人 | 78.44 % |
2021年(8月) | 1170人 | 872人 | 74.53 % |
2022年(2月) | 1327人 | 982人 | 74.00 % |
2022年(8月) | 897人 | 644人 | 71.79 % |
合格ラインは非公開
E資格では合格に必要な点数、合格点は公表されていません。公式webページでも非公表としている旨が記載されています。姉妹資格であるG検定も同様です。
ただし、受験した人たちの声によると合格ラインはおよそ60~70%の間ではないかと予想されています。合格には最低限このくらいの点数は必要と考えておきましょう。
必要な勉強時間
E資格の勉強時間は受験資格となっているJDLA認定プログラムにも長い時間が必要になるため、人によって差があります。事前知識にもよりますが、おおむね半年もあれば十分合格レベルに達することができるでしょう。
JDLA認定プログラムの期間は短いものでも1ヶ月、長いものだと半年程度です。比較的拘束期間の短いプログラムに参加すればそれだけ早く受験資格を満たせるので、勉強時間も短く済みます。
しかし、もしディープラーニングに関する知識に乏しい場合には別です。プログラムの中で勉強していきたいのならより長期的なプログラムに参加することになるでしょう。ある程度独学で知識をつけるにしても勉強時間はある程度必要です。
E資格の勉強法
独学という選択肢はない
E資格の試験対策では独学という選択肢はありません。先ほど確認したように、JDLA認定プログラムを修了することがE資格試験の受験資格です。
つまり、E資格の受験者は全員が講座を受講して勉強することになるのです。認定プログラムに参加せずに受験することができない以上、独学だけで受験することはできないつくりになっています。
そのため、素直に講座の内容に従って勉強すればよいのです。自分であれこれと工夫しなくても効率よく学習を進められるでしょう。
講座はAidemyがおすすめ
JDLA認定プログラムの中でも資格Timesおすすめの講座は、Aidemyの「E資格対策コース」です。
Aidemyの講座は、業界唯一の合格保証制度を備えており安心して学習を進められる点が大きな魅力といえます。
数学やプログラミングの事前経験も不要で、初心者も基礎から手厚く学べる講座であることから、対策内容も充実している点も安心できる要素であるといえるでしょう。
また、新しく専門実践教育訓練の給付金にも選ばれ、条件次第で最大70%を負担してもらえるサポート体制も整えているため、受講の際の費用負担についても安心できるといえるでしょう。
E資格受講を検討している人は、ぜひ一度以下のサイトで詳細を確かめてみてください!
過去問は出回っていない
資格試験の対策として王道なのが過去問を使った勉強法です。国家試験などの難関資格をはじめ、多くの資格試験の対策法として採用されていますね。
過去問を使った演習は試験傾向を把握する手段として極めて有効です。試験形式に慣れるためにも有効ですね。
ところが、E資格では過去問を使った対策ができません。公式で過去問が公表されていない上に、市販の過去問集も販売されていないのです。
とはいえ、JDLA認定プログラムでは試験問題の類題を何度も扱うことになります。そこまで心配しなくても問題演習の機会は十分にあるでしょう。
E資格に落ちた場合は?
いくらE資格の合格率が高いとはいっても、全員が合格できるわけではありません。受験したけれど残念ながら不合格だったという人も中にはいるでしょう。
もちろん落ちてしまうのは残念なことです。けれど、E資格の設立目的はディープラーニングの学習における目標の一つであり、AI人材の育成が最終目的です。ディープラーニングの知識は学ぶことそのものに非常に価値があるのです。
またE資格試験は年に複数回行われます(現状では年2回)。次回のチャンスもそう遠くはないでしょう。
ただし、注意点が2つあります。ひとつはE資格試験の受験料は30,000円と高額であること。もう一つは受験資格が認定プログラムを2年以内に修了した人となっていることです。
何度も受験するとなるとかなりの出費になるでしょう。また、受験資格の有効期限が切れてしまうことも考えられます。時間制限と経済的コストを考えると、できる限りの準備をして一発合格を狙うのがおすすめです。
AI・ディープラーニングを学べるおすすめ書籍
ゼロから作るDeep-learning
「ゼロから作るDeep-learning」はオライリージャパンのシリーズです。エンジニアにとってはおなじみのシリーズですね。2冊に分かれていて、それぞれ「理論と実装」「自然言語処理」とテーマが決まっています。
非エンジニアにもわかりやすいと定評があり、ディープラーニングについて学ぶには定番の入門書です。
実装に主眼を置いているのもE資格と共通しており、相性が良いと言えますね。ディープラーニングについて初めて学ぶならぜひおすすめです。
深層学習
「深層学習」はディープラーニングについて研究者が解説している機械学習プロフェッショナルシリーズの一冊です。基礎から高度な内容まで人酉取り扱っています。
この本の特徴は数式や具体的なプログラムがあまり使われていないところです。数式を読み流していても内容を追えるという点が評価されています。
上手くまとまっているので、雰囲気をつかみたい人や全体像を理解したい人には適しています。実装を重視した本ではないため、実装力を求める人はオライリーの方が良いでしょう。
人工知能は人間を超えるか
「人工知能は人間を超えるか」はAI研究者の第一人者であり、日本ディープラーニング協会の理事長でもある松尾豊教授が著した書籍です。AIの現状や歴史、そして今後の展望について書かれています。
この本は上記2冊のような教科書とは異なり、いわゆる読み物的な書籍です。取り扱っている内容もニュースになったトピックが多く、エンジニア・非エンジニア問わず読みやすいものとなっています。
ディープラーニングの仕組みや概要をとりあえず知るには最適の一冊と言えるでしょう。より技術的な内容を求める人は上記2冊の方が良いかもしれません。
E資格を受験するメリット
E資格を受験することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?経済的・時間的コストに適したメリットかどうか、考えてみましょう。
ディープラーニングを実装レベルまで学べる
E資格の目的はAI人材の育成です。AIおよびその中心的技術であるディープラーニングは今のIT業界で最もホットな話題と言って間違いありません。後述するように、必要とされている場が多い一方で人材が足りていないのです。
しかしながらAIやディープラーニングについて学ぶ機会は乏しく、独学で知識や技術を身につけるのは容易ではありません。実際、E資格が世界初の認定資格です。
そのため、ディープラーニングの知識が実装レベルまで学べるというのは非常に有用です。これこそがE資格の最大のメリットと言えるでしょう。
就職や転職で有利になる
AI人材の重要性は世界中で叫ばれており、その中でも日本のAI人材の不足は深刻です。
実際、IT企業を中心にAI人材を極めて高く評価する動きが広まりつつあります。
中でも貴重な存在として最重要視されているのがディープラーニングを実装できるAIエンジニアです。そもそも日本にはAI人材自体が少ないことも相まって、特に高く評価されています。
このままAIブームが続いていけば、今後もその価値はますます高まっていくことでしょう。
E資格を持っておけば就職や転職で有利になることは疑いようもないと言えます。
JDLAのコミュニティに参加できる
E資格試験に合格した人は、JDLAの主催している各種コミュニティに参加できます。
例えば合格者の会であるCDLE(Community of Deep Learning Evangelist、シードル)などは当然ながらE資格やG検定の合格者しか参加できません。
これらのコミュニティはディープラーニングの勉強はもちろん、人脈作りにも効果的です。参加者全員がディープラーニングに精通した専門家なので、AI技術者としてのキャリアにも役に立つでしょう。
E資格は名刺にかける
E資格試験に合格すると、名刺にE資格のロゴを入れることができます。自分がAIエンジニアであるという証明になりますね。
AIブームの真っただ中である近年では、簡単な技術でもとりあえず「AI」という言葉を付ければ流行るという傾向もあります。AIという言葉の定義があいまいなため、こうした状況が生まれやすくなっているとも言えます。
E資格は一般社団法人である日本ディープラーニング協会主催の、専門性を評価するための資格です。この資格をもつことで、こうした負の流れに負けない「専門性の確固たる証明」が可能になるのです。
E資格の需要と将来性
AI人材は圧倒的に足りていない
E資格の需要と将来性を語る上で外せないのがAI人材の世界的な不足です。現在、AI人材は世界で70万人も不足していると言われています。
特に日本のAI人材不足はかなり深刻です。現状ではアメリカや中国といってAI先進国に大きな遅れをとっています。
逆に言えば、今日本でAI人材はこの上なく貴重な存在と言えます。絶大に求められている人材であるのは間違いありません。
将来性の高さは凄まじい
現在ではAI人材はまだまだ過小評価されていますが、その将来性は凄まじいものがあります。まだ世の中の大多数の人がAIの影響力に気が付いていないだけなのです。
20年前のインターネットもそうでした。誕生したての時はその影響力の大きさに誰も気が付いていなかったのです。現代ではインターネットはインフラの一部にまでなっています。
AIもインターネットと同じく時代を変えていく技術です。これまでやりたかったことが技術的にどんどん実現できる社会になってきています。
そしてそれを担っていくのが、ディープラーニングの知識を備えた人材です。これからの世の中を見据えれば、E資格の将来性は高すぎるくらいであると言えるでしょう。
E資格試験の申し込み方法と試験日程
申し込み方法と試験日
E資格試験を受験するには日本ディープラーニング協会の公式webページから申し込みましょう。団体および個人のどちらでもで受験できます。
試験は毎年複数回実施されることになっています。例年2月と8月に試験が実施され、試験日は2日間または3日間です(選択可)。
E資格の試験会場
E資格試験は全国各地の会場で開催されています。受験者はその中から選んで受験する形式です。会場に用意されたコンピュータ上で解答する、いわゆるCBT方式で実施されるます。
少ない県でも2か所、北海道や東京などでは10か所以上も会場があります。近くに会場がないために受験できないということはおそらくないでしょう。
その他ディープラーニングの関連資格
G検定
G検定はE資格と同じく日本ディープラーニング協会が主催している検定試験です。エンジニアの実装力に特化したE資格に対して、どんな業界でも生きる一般的(ジェネラル)な知識を学べる資格です。
実際にプログラミングなどでAIを作ったりすることに携わらない人でも挑戦しやすい資格と言えます。ディープラーニングの基礎を学びたい人や実装以外の部分に興味がある人向けです。
難易度はE資格よりも低めです。合格率は60~70%ほどで、合格には2ヶ月程度の勉強が必要と言われています。
Pythonエンジニア認定試験
Pythonエンジニア認定試験はデータサイエンスの領域でよく用いられるプログラミング言語の一種であるpython3(パイソン)の知識や技術力を評価するための試験です。
基礎試験とデータ分析試験の2種類が存在します。現在行われているのは基礎試験のみで、データ分析の試験は策定中です。合格率、合格ライン共に70%ほどです。
画像処理エンジニア検定
画像処理エンジニア検定とはシステムやソフトウェアの開発能力がある人を対象にしている試験です。画像処理技術に関する開発・設計のスキルが求められます。
試験はベーシックとエキスパートの2種類に分かれており、全てマーク式の選択問題で出題されます。合格率はベーシックで70%、エキスパートで30%ほどです。高度なディープラーニングまでは必要ありません。
E資格についてまとめ
E資格まとめ
- 世界初のAI資格として、世界的に注目されている。
- 取得することで就職や転職でも生きる。
- 将来性は極めて高く、今後の需要も期待できる。
- エンジニアがディープラーニング実装を学ぶには最適の資格。
ここではE資格について紹介してきました。
E資格を取得するには時間的・経済的コストが大きくかかるので、気軽に受験できる試験ではありません。
しかし、その取得メリットや将来性には非常に大きなものがあります。
もしAIについて学びたい、AIエンジニアとして活躍したいと思っているのであれば、チャレンジされることを強くお勧めします。