働く全ての人の心を豊かに| 社労士の深尾裕香様に直接取材しました!
難関資格として知られる社労士。社労士資格の取得を目指して勉強に励んでいる学生や社会人の方も多いことでしょう。
今回は、RavoRico社会保険労務士事務所の代表である深尾 裕香様にインタビューさせていただきました。
YouTubeやTiktokなどでもご活躍されている深尾様の社労士試験合格までの勉強法や独立・開業後の業務やこれからのビジョンについて語っていただきました。
社会保険労務士を目指された経緯
本日はお忙しい中、インタビューに応じていただきありがとうございます。
資格Timesを運営しております、株式会社ベンドの北川と申します。
本日はどうぞよろしくお願いします。
RavoRico社会保険労務士事務所で所長を務めております、社会保険労務士の深尾です。
よろしくお願いします。
早速ですが、質問に移らせていただきます。
深尾様のこれまでのご経歴を拝見したところ、社会保険労務士の資格を取得される以前には大手のIT企業を含め民間企業でご活躍されていたとお聞きしました。
そこから社労士資格の取得に挑戦するまでの経緯について教えていただきたいです。
新卒で30人くらいの小規模の会社に就職しましたが、経営状況の悪化によりやむを得なく大手IT企業に転職しました。
転職先では比較的自由な働き方をすることができましたが、そのような環境でも仕事と子育てを両立することの難しさを痛感しました。
このような経験から、同じ会社で働く人が自分と同じように子育てに苦労したり、仕事と子育てのどちらかを諦めざるを得なかったりする状況を変えたいと思い、自社の中に託児所を作る取り組みを始めました。
託児所では、子どもと親が一緒に昼食や夕食を食べられるようにしたり、着替えや荷物をもっていかなくても良いようにしたりするなどして、利用者に負担がないような仕組みを作りました。
深尾様ご自身で働きやすい環境を作っていかれたのですね。
託児所の開設にあたって大変苦労されたと思いますが、周囲の方の反応はいかがだったのでしょうか。
ありがたいことに多くの方に関心を持っていただき、沢山の企業様に視察に来ていただきました。
その中で、ある中小企業の経営者様から「取り組み自体はとても素晴らしいけれど、大手の企業だからできること。中小企業で同じような取り組みをするのは難しい」というご意見をもらうことがありました。
日本の企業の働き方を変えていくためには、比較的余裕がある大手の企業が取り組みを先導することも重要です。しかし、それだけでは大手企業と中小企業の差が開くだけで、日本の企業全体の働き方を変えることにはならないことを痛感しました。
その後中小企業に転職されたと伺いました。その経緯を教えていただけますでしょうか。
先ほどお話しした経験から中小企業の働き方を少しでも変えていきたいと強く考えるようになり、中小企業へ転職しました。
転職後すぐに、コロナ禍が始まりました。大手の企業であれば在宅ワークの導入などが比較的スムーズに行われたと思いますが、中小企業では導入が難しい側面もありました。
中小企業でも働きやすい環境を作るために、自分自身で何かスキルや資格を身につけたいと感じていた時に、社会保険労務士という資格の存在を知りました。
資格を取得して社会保険労務士として働くことで、自分の目標が実現できると確信し、受験勉強を始めました。
社会保険労務士合格までの勉強法
背水の陣で挑戦した2年目に合格
社労士資格を取得されるまでにはおおよそどの程度の期間準備されたのでしょうか。
結果的に2年目で試験に合格することができました。社労士試験の勉強を始めた1年目は1年まるごと勉強する期間を取ることはできませんでしたが、2年目は勉強する時間をしっかり確保することができました。
1年目の受験を経験し、「これ以上資格勉強で家族に負担をかけることはできない」と感じ、「2年目で絶対合格する」という強い意志を持って勉強していました。
試験までの期間が長い資格勉強はモチベーションを継続して一定に保つのが難しいですが、合格しなくてはならないという強い意志をもって日々の勉強をされ、合格を掴み取られたのですね。
スキマ時間を有効活用
フルタイムのお仕事・育児をされながらの受験挑戦にあたり、苦労された点・学習時に工夫された点などございましたら教えていただきたいです。
とにかく勉強する時間を決めて、習慣化させるように意識をしました。
やると決めた夜の勉強時間を確保するためには、土日のうちに平日分のご飯を作りだめする等の工夫もしていました。平日はそれらをレンジでチンだけです(笑)
また、隙間時間の有効活用という意味では、通勤時間の20分でもテキストを見て勉強したり
お風呂に入っている間も条文を唱えたりもしました。お風呂でブツブツ言っているのを聞いた家族から、「大丈夫か?」と心配されました(笑)」
家事などにかけている日々の時間からいかに勉強時間を捻出するかや、スキマ時間を有効活用できるかどうかが大事だということですね。
その他に勉強時間に関して気をつけていた点はありますでしょうか。
あえて勉強する時間だけでなく、勉強しない時間を設けることも意識していました。
具体的には、朝の4時から勉強する日と、6時から勉強する日を交互にし、朝早くから勉強する日の前日の夜は1時間程度で勉強を切り上げていました。
やはり、無理ばかりしていていも勉強を継続することはできないので、あえて勉強しない時間を設けることで精神的に追い込まれすぎないようにしていました。
多くの範囲を同時に勉強する秘訣
社労士試験の学習範囲は非常に広範なものとなりますが、このような広い学習範囲を学ぶ上で意識していたポイントを教えていただきたいです。
1日の中で複数の科目を勉強していました。苦労して覚えたとしても、忘れてしまっては意味がありません。ですので、朝に労働関連の勉強をしたら、夜は年金関連の勉強をするようにして、それぞれの科目に触れない期間を短くすることを意識していました。
また、1年目には試験範囲のインプットが一通り完了したので、2年目からはインプットはスキマ時間で終わらせ、過去問などを用いた知識のアウトプットに時間をかけていました。
モチベーション維持の秘訣は
学習のモチベーションを維持する上での秘訣などございましたら教えていただきたいです。
勉強を始める時にはその都度、社労士になりたいと思った理由を思い出していました。
社内の託児所を立ち上げた際に、周囲の人からとても感謝されたことを思い起こし、社労士の仕事を通して同じように人に感謝されている自分を想像していました。
長期間にわたる試験勉強では、当初の目標を見失ってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、資格取得後の未来を具体的に想像することでモチベーションを維持されていたのですね。
独立開業について
試験合格後から独立開業に至るまでの経緯を教えていただきたいです。
社労士の試験に合格するまではすぐに独立するかどうかも迷っていました。
ただ、資格取得のための実務経験を満たすために事務指定講習を受けている期間中に独立することを決心しました。
8月ごろに事務指定講習を修了した後に当時勤めていた会社を11月4日に退社し、その3日後には自分の社労士事務所を開所しました。
ものすごいスピード感ですね。退職される以前から新規事務所の開所に向けて動いていらっしゃたのでしょうか。
オフィスの物件の契約などは行っていましたが、開業にあたりきちんと整備しきれていない部分はありました。
開業した後に、事務所の体制は整えていきました。
事業会社での勤務経験が強みに
資格取得以前に勤務されていた企業でのご経験は、独立後の業務においてどのように役立っていますでしょうか
小規模から大企業までの幅広い規模の事業会社で働いてきた経験は仕事にとても役立っていると思います。
やはり、会社の規模によっても課題となる点や考え方等がまったくが違うことを身をもって体験しているので、顧客の企業様のお話を聞く上で、その背景となる状況を想像することができていると思います。
会社を内部から見てこられた深尾様のこれまでのご経験が非常に役立ってるということですね。
現在の事務所のお仕事について
現在の事務所でメインに据えている業務内容を詳細に教えていただきたいです。
中小企業の中でも特に規模の小さな企業様の人事労務問題の解決に携わっています。
具体的には、従業員数が10人を超えて、就業規則を作成する必要が生まれた企業様であったり、初めて人を採用する企業様であったり、これから大きく成長しようとしている段階の企業様の支援をしています。
規模の比較的小さな、中小企業様の人事労務支援をされているとのことですが、その理由はあるのでしょうか。
規模が小さい企業様こそ、人事労務の専門家を必要としていると考えているからです。
規模の小さい企業様ですと、労務管理についてまだまだ整備されておらず、人事労務の専門の人もいない状況であることがよくあります。
そして、経営者の方で元人事総務だった、人事労務について勉強してきたという方はほとんどいません。会社員時代に別の分野で活躍された人が殆どですから。
それを社労士の勉強をしていない・労働関係法令等を勉強していない経営者だけで法律を完璧に守るというのはある意味無理があるとも思っています。私だって、社労士の勉強をしてから初めて知ったことばかりでした位ですから。
それこそ、社労士の出番なんです。
実際に経営者の方とお話していても、ほとんどの方が「現状が良くない状況であることはわかっているが、どのように解決すればいいのかわからない」ということでご相談にいらっしゃいます。
そのような状況を解決するお手伝いをすることで、従業員の方々と経営者の方を含めた会社全体の状況を改善ができることに魅力を感じています。
お客様とのコミュニケーションについて
お客様とコミュニケーションをとる上で意識・気をつけられていることを教えていただきたいです。
たとえ労務管理などの状況が十分に整備されていなくても、その現状を否定するのではなくてまずは受け入れることを意識しています。
先程も述べたように、経営者の方も悪気があるわけではなくて、誰かに指摘される機会がないまま、もしくは現状が良くないことは認識しているの中でも変化させることができずに結果的に良くない状況になっています。
そのことを一度受け止めて、これからどのように変えていけばいいのかをお話しするようにしています。
また、お客様が仰られたことの背景を聞くことを意識しています。背景を聞かなければ的外れなアドバイスをしてしまうこともあります。
他にも、質問を受けた箇所に付随する情報や他社事例についてもお答えするように心がけています。
自社の労務管理の状況だけしか知らなければ、他社と比較してその状況の良し悪しを判断することは難しくなってしまうこともあります。
深尾様のように、労務管理の専門家から客観的にアドバイスをいただけるのは経営者の方にとっても心強いですよね。
社会保険労務士のやりがいとは
中小企業の労務問題解決の支援の苦労する点や、やりがいについて教えていただきたいです
経営者の意向だけでなく、従業員の方々、そして会社の成長を現在から未来にわたって見通して考えなくてはならない点はとても難しいと感じています。
それと同時に、お仕事をしている企業様と一緒に成長していることを実感できること、従業員の方の雇用環境を改善できることには大きなやりがいを感じています。
最後に、社会保険労務士としての深尾様の今後の展望について教えていただきたいです。
一つでも労働問題を解決したり、一緒に成長できるようなお客様を増やしていきたいと考えています。大企業でなくて中小企業であっても働くことが楽しいと感じて、心が豊かになる人を増やしていきたいと考えています。
本日は貴重なお話をいただき誠にありがとうございました!
深尾様の社会保険労務士事務所はこちらをチェック!