文書情報管理士ってどんな資格?2級は難しい?難易度や使い所まで全て解説!
「文書情報管理士ってどんな資格なの?」
「資格を取得するのは難しいの?」
このような疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?
今や文章のほとんどはデジタル化されてきています。それに伴って、オフィスで扱う文章類をコンピュータの画面で見られるようにする技術を持っている人が必要になってきました。そこで今注目を集めているのが「文書情報管理士」です。
文章情報管理士を取得すれば、さまざまな文章を適切にスキャンして、書類を保存できる技術を持っていると証明できます。
この記事では、文書情報管理士とは具体的にどのような資格なのかや取得方法、効率的な学習方法、取得するメリット、難易度などを詳しく解説していきます。
興味をお持ちの人はぜひこの記事を参考にしてください。試験に合格するための情報が詰まっているので、資格取得の近道になります。
文書情報管理士についてざっくり説明すると
- 文書を適切かつ効率的に管理できる技術を持っている人
- デジタル化が進んでいる現代では重宝される資格の1つ
- 2級は取得しやすいので挑戦しやすい
このページにはプロモーションが含まれています
文書情報管理士ってどんな資格?
文書情報管理士とは、文書管理のエキスパートであることを示す資格です。
ただ単に、文書を適切に保存するだけでなく、文書に関する法律や規格なども学んでいきます。
ここでは、文書情報管理士とはどんな資格なのか、具体的に説明していきます。
文書情報管理士とは
文書情報管理士は、文書類や帳票類、伝票類、図面などの紙情報をスキャンなどしてコンピュータ上で見られるようにしたり、大量の書類を電子情報として、長期的に保存したりする方法を理解するために作られた資格です。
またそのために、マイクロフィルムを活用するための技術や関連する法律や規格などの知識を学んでいきます。それらを通じて、文書の大切さを伝えることも担っています。
2001年から実施される民間資格で、機密書類のペーパーレス化が進んでいるので、さまざまな会社や組織と関りのある資格でもあるといえるでしょう。
つまり、取得して意味がないということは決してないので、興味がある人は挑戦してみてはいかがでしょうか。
文書情報管理士の主催団体
文書情報管理士は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が主催している資格です。
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)という団体は、文書情報マネジメントに関連した各種セミナーやサービスを開催したり、日本工業標準規格の原案を作成したりしています。
また、文書情報マネジメントに関する法的な規制の緩和を推進することで、文書情報マネジメントの普及や啓発に努めています。
さらに、資格をはじめとして、参考書やテキストの編集発行などを通して、人材の育成にも力を注いでいます。ちなみに、現在までに約14,000人以上の人が文書情報管理士の資格を取得しています。
文書情報管理士の難易度
文書情報管理士になりたいと感じた人の中には、「情報」や「管理士」といった難しそうな文字が並ぶので、難易度に不安を持った人は多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは試験範囲や出題形式、合格率などを具体的に説明し、難易度について解説していきます。
また、取得することをおすすめする人も紹介するので、ぜひ読んでみてください。
文書情報管理士の試験範囲と出題形式
文書情報管理士には3つの級があり、それぞれに求められる知識や能力のレベルは違います。
例えば、2級は電子化文書やマイクロ写真を取り扱うための基本的な知識や技術について問われます。主に、テキストや参考書などに出てくる内容が試験範囲です。そして、1級はそれよりもより高度で専門的な内容となります。
さらに、上級は2・1級の知識と能力を持っていることを前提に、文書情報に関するありとあらゆる分野で、最適な文書情報の管理能力が求められます。最新の知識や技術、法律なども試験範囲です。
単なる知識や技術だけでなく、セキュリティや環境問題、コスト面などから分析して本質的に問題を捉える資質が要求されます。
出題形式としては、すべての級においてCBT方式(Computer Based Testing)で実施されます。
CBT方式とは、従来の紙による試験ではなく、コンピュータの画面に映し出された問題文を読んで、マウスやキーボードを使って解いていく形式です。
1級と上級は、全問80問で、多肢選択式です。2級も問題数は80問で1級や上級と同じですが、問題形式が択一選択になります。試験時間はどの級も90分です。
レベルごとの解説
レベルごとにどのような知識が必要となるのか解説していきます。
- 2級
-
電子化文書関連
-
マイクロ写真関連の基礎知識および実技能力
-
文書情報マネジメントに関わるハードウェア
-
ソフトウェア
-
ネットワーク 関連の基礎知識
-
文書情報マネジメントに関する日本特有の法令
-
標準規格の基礎知識
2級は文書情報管理の入門、基礎的な知識を問われるといえます。
- 1級
-
2級の能力に加えその専門知識および実技応用能力
-
文書情報マネジメントの作業に従事する作業者に対する指導力
1級では、2級の知識を有していることを前提として、より専門的で高度な知識や技術が求められます。
- 上級
-
1級の能力に加え以下の能力
-
顧客の問題点や課題の本質を明確化できる課題分析能力と、システム構築能力
-
保存性、原本性など文書情報管理の専門的知識および提案能力
-
高い費用対効果を発揮できるコスト意識および能力
上級を取得しようとすると、ただ単に知識や技術を持っているだけでは合格できません。
最新の知識と技術を持ち、かつそれらの情報を分析して本質を捉える能力が求められます。そして、何よりも最適な文書情報管理システムを構築・提案できる力が求められるのです。
文書情報管理士の合格率、合格ライン
文書情報管理士の合格ラインは、どの級も70%です。どの級も80問の試験ですので、合格するためには56問以上の正答が求められます。
そして、最も気になるのは合格率かと思います。実は、文書情報管理士の合格率は比較的高く、難易度は決して高いものではありません。
級 | 合格率 |
---|---|
上級 | 56.8% |
1級 | 62.6% |
2級 | 78.9% |
以上のように、どの級も受験者数の半数以上の人が合格できます。2級に合格するために必要な学習期間は、1日に2時間学習するとすれば、1~2ヶ月程度あれば多くの人が十分に合格できると考えられます。
ただし、上級に関しては、難易度は決して高くないですが、それなりの対策をしないと合格はできません。高い合格率に惑わされずに、しっかりと時間をかけて準備をするようにしましょう。
文書情報管理士を取ることをおすすめする人
文書情報管理士の資格は、電子保存が一般化している現代人ならだれにでもおすすめできます。
その中でも、会社や組織で機密情報を扱う立場にある人なら特におすすめです。適切に文書情報をマネジメントできるようになるので、取得することで会社や組織からの信頼を勝ち取ることができます。
もちろん、機密情報や重要情報に直接触れないような人でも、扱いについて学びたいと思っている人にもおすすめです。
資格を取ることで、機密情報を扱うような重要なポストを任される可能性が生まれやすくなるでしょう。
文書情報管理士の勉強法
文書情報管理士は決して難易度が高い資格ではありません。しかし、合格するためには、正しい勉強法を知っておくことが必要です。
そこで、ここでは合格できる勉強法やおすすめのテキストなどを紹介していきます。
文書情報管理士の勉強法は?独学は可能?
文書情報管理士を目指す人の主な勉強法は、公式の参考書を買って熟読することです。
もちろん、文書情報マネジメントに関わる人なら、会社の上司に教えてもらうこともできるでしょう。テキストや上司などから学んでいくのが一般的な勉強方法です。
また、公式の受験セミナーもおすすめ。セミナーは定期的に行われているので、独学に不安を感じている人は受講してみてください。
受講することで試験範囲が正確に理解でき、さらに自身の知識も確認できます。十分な試験対策になるので、受講することでより合格しやすくなります。
セミナーは2日間連続で実施されますが、高得点を取りやすくなるので、「何としても合格したい」と考えている人はぜひ受講を考えてみてください。
おすすめテキスト・問題集
文書情報管理士の資格におすすめのテキストがありますので、4つ紹介していきます。
1つ目は、『文書情報マネジメント概論 第1版』です。この本をオススメする理由は、この本からたくさん出題されるからです。
パソコンなどで保存・利用する電子文書や、メール、slack、LINE、スマートフォンの写真などの、データの管理方法が載っています。試験勉強する際には、必ず購入するようにしましょう。
なお、第9章は上級試験のみ試験範囲です。2・1級を受験する人は、読む必要なありません。
2つ目は、『デジタル時代のマイクロフィルム入門』です。電子データのうちで、マイクロフィルムに特化した内容が書かれています。
また、写真的特性から作業過程までを詳しく説明しています。さらに、最新技術についても紹介されているのが特徴です。
3つ目は、『Document Management 標準化ガイドブック2017』です。文書情報マネジメントの用語集ですので、テキストと一緒に使うと理解を深められます。
4つ目は、『効率とコンプライアンスを高める e-文書法 電子化早わかり 第2版』です。最新のスキャナ保存の方法が書かれているので、学習だけでなく実用書としても有効な一冊です。
過去問は存在する
文書情報管理士の試験にも過去問が存在し、公式HPに模擬問題が掲載されています。
過去問は試験の傾向や特徴を把握するのに欠かせないものですので、試験までに活用するようにしましょう。
ただし、あくまで模擬問題であり、量が少ないため学習用ではありません。学習をする時は、参考書を買って学習を行うようにしてください。
文書情報管理検定の勉強をするメリット
文書情報管理士検定を勉強するといくつかメリットがあります。
そこで、ここでは、勉強して資格を取得するメリットについて詳しく解説していきます。
文書情報管理士を取ることで入札に参加できる
文書情報管理士の資格を取るメリットの1つは、全国の都道府県や市町村、中央官庁、独立行政法人などが行う入札に参加できることです。
電子化業務の入札参加要件に文書情報管理士の資格が条件になっている場合があるので、入札を行う会社に勤めていれば重宝されます。
企業にとって文書情報管理士は、単に保有する文書情報を守るだけでなく、仕事を得るための武器にもなるのです。
文書情報管理士を取得して機密情報管理を
文書情報管理士は文書の正しい管理方法について熟知しています。そのため、機密情報の管理を正しく行えるのです。つまり、書類紛失や情報漏洩などのリスクを低減させられるのです。
文書情報は会社にとって資産の一部ですので、正しく情報を扱える文書情報管理士なら、重要文書を取り扱えるポジションに出世しやすくなるかもしれません。
文書情報管理士の試験日程・会場・申し込み方法
文書情報管理士の勉強も大切ですが、試験日程や会場、申し込み方法もしっかりと理解しておかなければなりません。そこで、ここでは会場や日程などを説明していきます。
文書情報管理士の基本情報
文書情報管理士の試験は、夏の7月中旬~8月下旬頃と冬の12月中旬~翌年1月上旬頃の年に2回実施されています。自分の都合のよい方を選んで勉強プランを立てるようにしましょう。
会場は全国のCBTS認定試験会場にて受験可能です。全国に約260か所あるので、身近な会場とアクセスを調べてください。
申込期間は、夏の試験なら6月中旬~8月中旬頃まで。冬の試験なら11月中旬~翌年1月下旬頃までです。勉強に集中して忘れてしまわないように注意しましょう。
ちなみに、合否判定は試験が終わればすぐにわかります。しっかりと試験が終われば確認して帰るようにしてください。
文書情報管理士に受験資格はある?
文書情報管理士になるとさまざまなメリットがあるので、すぐに受験したくなるかもしれません。
しかし、文書情報管理士には級によっては受験資格があるので、注意してください。文書情報管理士の受験資格は以下の通りです。
- 上級 1級資格を有する方
- 1級 2級資格を有する方
- 2級 誰でも受験できます
このため、1級や上級を目指す人でも、まずは2級から1つずつ合格して上を目指していくようにしましょう。
文書情報管理士の受験料
文書情報管理士の受験料は、基本的にどの級も11,000円(税込)です。ただし、団体割引や学生割引があるので、詳しく解説していきます。
団体割引については、1事業所20名以上での申し込みが対象です。その場合、8,800円(税込)で受験できます。団体で申し込みをする際は、この制度を使うようにしましょう。
また、学生割引の場合は、7,150円(税込)で受験可能です。
資格取得後は更新も
文書情報管理士の特徴は、資格取得後5年ごとに資格の更新が必要になることです。
文書情報はITの急激な進化によって、常に新しい技術が開発されています。それに伴って、法律や規格も変化していきます。
この変化に対応するために、資格取得をした後も更新手続きをしなければなりません。もし、有効期限までに更新手続きをしないと、資格は失効するので注意してください。
なお、更新手続きは、手数料の3,190円(税込)と課題をオンライン上で提出することでできます。
文書情報管理士と合わせて取りたいおすすめ資格
文書情報管理士と合わせて取得するとよい資格がありますので、3つ紹介します。気になる資格があれば、挑戦してみてはいかがでしょうか。
マイクロソフト認定トレーナー
マイクロソフト認定トレーナー(MCT)とは、世界最大のソフトフェア会社である、マイクロソフト社の製品や技術に関して、高い能力を有すると認められた人のことです。
マイクロソフト認定トレーナーはマイクロソフトの製品である「Office」に精通しているので、他者を指導することができます。
日本はもちろん世界に流通しているビジネス製品についてのスキルが高ければ、より適切な文書情報の保存ができると考えられます。
ちなみに、マイクロソフト認定トレーナーは試験を受けて取得するものではありません。認定されるためには、マイクロソフト認定プログラム(MCP)あるいは、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)を取得する必要があります。
いずれも、マイクロソフト製品に対する知識の高さを認定するものですので、興味のある人は挑戦してみてください。
文書処理能力検定
文書処理能力検定とは、ワープロや表計算を正確さとスピードを試す検定です。つまり、この検定を取得すれば、文書情報を性格かつ迅速に処理できる能力が証明できるのです。
ビジネスの世界ではワープロや表計算などのスキルは求められています。文書情報を管理する上でも、欠かせない能力です。
文書情報管理士の資格と合わせて持つことで、文書の保管、廃棄はもちろん、作成も今まで以上に正確にできるようになります。そのため、情報を扱う重要な立場につきやすくなるといえるでしょう。
文書処理能力検定は、ワープロ部門と表計算部門の2つに分かれています。自分にとって必要性が高いものから始めてみてください。
また、4級から1級まであるので、基礎からしっかりと極めやすいように作られています。
電子ファイリング検定
電子ファイリング検定とは電子化された情報の専門家で、情報を適切に管理して廃棄できる能力を有することを証明する資格です。
電子化された文書は1種類だけではなく、さまざまな種類があります。例えば、イメージファイルやTHML、SGMLなどです。種類が異なれば、適切な保存方法や処理の仕方は違います。
電子ファイリング検定の資格を取得すれば、いくつもある電子化された文書を正しく保存できるようになります。
電子ファイリング検定と文書情報管理士は、まったく別の資格です。しかし、ペーパーレス化を進めていく上で、どちらも有効な知識や技術が得られます。
両方の知識と技術を持つことで、複眼的に状況を見極め効率的に業務を進めやすくなります。
文書情報管理士についてのまとめ
文書情報管理士についてのまとめ
- 文書情報管理士はスキャンしたりマイクロフィルムにして文書を保存したりする知識や技術を身につける資格
- 文書情報を正しく管理できるようになるので、情報を扱う部署で出世できる可能性がある
- 電子化業務の入札参加要件に参加できるようになる
- 資格を取得するためには、テキストや参考書を読むのが一般的
現代はペーパーレス化が進められています。そのためには、文書をスキャンしたりマイクロフィルムに保存したりしなければなりません。
文書情報管理士の資格を取れば、文書をパソコン上で見られるようにして、保存管理できるようになります。
また、文書情報を正しく適切に保存管理できるようになれば、情報漏洩などのリスクを抑えられるようになります。そのため、機密情報を扱うような重要な部署の責任者を任せられやすくなる可能性が生まれるでしょう。
ちなみに、都道府県や市町村などが行う電子化業務の入札には文書情報管理士が要件になっている場合があります。そんな入札にも文書情報管理士の資格を取得すれば参加できるようになるもの魅力です。
文書情報管理士になるためには、資格試験を受けなければなりません。試験は決して難しいものではなく、2級なら約70%もの人が合格できます。
テキストや参考書を熟読すれば合格できるので、挑戦してみてはいかがでしょうか。