電卓技能検定ってどんな資格?正式名称や試験日程・難易度を全て解説!
「電卓技能検定ってどんな資格なの?」
と疑問をお持ちの方もいるでしょう。
電卓技能検定試験は、名前の通り電卓操作のスキルを測る検定試験になります。
1982年から実施される歴史ある検定ですが、一般の人にとっては不明な点も多いかもしれません。
今回は、電卓技能検定について、正式名称や試験日程、難易度などを解説します。
これを読めば、あなたも電卓技能検定に詳しくなること間違いなしです。
電卓技能検定についてざっくり説明すると
- 履歴書には「日本電卓技能検定協会主催電卓技能検定○級(段)合格」と書く
- 年5回の実施で日程は会場によって異なる
- 1級までは比較的合格しやすい試験
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電卓技能検定ってどんな資格?
まずは電卓技能検定の概要や主催団体について解説します。
電卓技能検定とは
電卓技能検定試験は、電卓操作の迅速性や正確性を判定する試験のことです。
1〜7級までの7等級に段位を合わせた様々なレベルに分かれています。
乗算や除算、見取算が共通して出題され、4級以上は伝票算の問題もある試験です。
上位になるにつれ、無名数問題や負数問題など難易度の高い問題が出題されます。
ちなみに電卓技能検定は、昭和57年に誕生した歴史ある検定試験です。
電卓技能検定の主催団体
電卓技能検定は、日本電卓技能検定協会の主催で行われています。
日本電卓技能検定協会の目的は、当検定を通して各人の計算事務に関する職務能力を向上させ、実社会に貢献できる人材にすることで、産業社会全体の振興を図ることです。
1977年に設立された当協会は電卓の普及活動に励み、1982年には第1回電卓技能検定協会を実施するまでになりました。
電卓技能検定の難易度
ここでは、電卓技能検定の難易度について、出題形式や合格率などを解説します。
電卓技能検定の試験範囲と出題形式
電卓技能検定の等級別の試験内容の詳細は以下の通りです。
段位・級 | 種目 | 制限時間 |
---|---|---|
段位 | 乗算の部(100問)・除算の部(100問)・見取算の部(60問)・伝票算の部(60問) | 40分 |
1・2級 | 乗算の部(50問)・除算の部(50問)・見取算の部(30問)・伝票算の部(30問) | 40分 |
3・4級 | 乗算の部(50問)・除算の部(50問)・見取算の部(30問)・伝票算の部(30問) | 40分 |
5・6・7級 | 乗算の部(50問)・除算の部(50問)・見取算の部(30問) | 30分 |
段位は初段に始まり、「名人」や「満点名人」まで続いていきます。
電卓技能検定のレベルごとの解説
電卓技能検定の各等級・段位の試験内容は以下の通りです。
段位・級 | 内容 |
---|---|
段位 | 各部とも一般計算、小計、合計、構成比率の算出。乗算・除算の一般計算は、無名数問題と名数問題。見取算に負数問題2問。 |
1・2級 | 各部とも一般計算、小計、合計、構成比率の算出。乗算・除算の一般計算は、無名数問題と名数問題。見取算に負数問題1問。 |
3・4級 | 各部とも一般計算、小計、合計、構成比率の算出。一般計算は、整数問題。 |
5・6・7級 | 各部とも一般計算、小計、合計、構成比率の算出。一般計算は整数問題。 |
電卓技能検定の合格率、合格ライン
電卓技能検定の各等級・段位(初段)の合格基準点および合格率は以下の通りです。
受験級 | 合格基準点 | 合格率 |
---|---|---|
段位(初段) | 1,000 | 30% |
1級 | 1,000 | 55% |
2級 | 800 | 50% |
3級 | 1,000 | 45% |
4級 | 800 | 70% |
5級 | 600 | 90% |
6級 | 500 | 75% |
7級 | 400 | 55% |
電卓技能検定は、1級までなら比較的合格しやすい試験だと言えます。ただし、初段以降はかなり難易度の高い内容です。
また5〜7級は子供でもチャレンジできる簡単なレベルなので、大人が初めて挑戦するなら3、4級をおすすめします。
ちなみに、電卓機能検定には各科目で最低基準点の設定があります。そのため全ての科目を満遍なく対策し、苦手科目を作らないことが重要です。
電卓技能検定を取ることをおすすめする人
金融業界で働く人や会計・経理などで日頃から計算を行う人にとっては、電卓技能検定は実用的な資格と言えるでしょう。
また電卓の扱いに慣れている人なら良い腕試しになります。もちろんこれからスキルアップしたいとう人にもおすすめです。
さらには、税理士試験や公認会計士試験、簿記試験などに挑戦する人にとっては、電卓操作の能力を高めることが試験対策に有効となるでしょう。
電卓技能検定の勉強法
電卓技能検定にはどのような勉強法が有効なのでしょうか。
電卓技能検定の勉強法は?独学は可能?
電卓技能検定の合格に向けた勉強法は、とにかく毎日電卓を打ち続けることが基本になります。そのため独学が一般的です。
練習の際は、試験時間と同じ時間を測り、乗法、除法、見取算、伝票算の全てを毎日行うと良いでしょう。
電卓技能検定では、電卓操作に慣れていることが前提となります。練習を通じて自在に操れることを目指しましょう。
初めはゆっくりで構わないので、ホームポージションを守りながら指を動かす練習をするべきです。またGT機能とメモリ機能を使いこなせるように練習することも必要になります。
おすすめテキスト・問題集
電卓技能検定の勉強にテキストは必要ありません。販売自体はされていますが、とにかく手を動かすことを大事にしましょう。
一方で問題集は練習する際に必要なので、購入した方がよいでしょう。
おすすめの問題集は以下の2冊になります。
- 電卓技能検定試験問題集
日本電卓検定協会が編集する公式問題集になります。価格は628円で、大原出版より出されている書籍です。
これを使っても毎日問題演習を行いましょう。
- 電卓技能検定試験伝票算問題
こちらは公式問題集の伝票算編です。価格は524円、出版社は同じ大原出版になります。
伝票算だけは別売りになっているため、4級以上を受ける場合はこちらも購入して練習しましょう。
過去問も存在する
電卓技能検定の過去問は、日本電卓技能検定協会のホームページより閲覧可能です。
しかし、公式サイトではあくまで出題例が数問掲載されているだけなので、練習には上記の問題集が必要となります。
試験の内容を大まかに確認するには有効と言えるでしょう。
電卓技能検定を取得するメリット
電卓技能検定を取得すれば、以下のような恩恵を受けられます。
電卓技能検定を取ることで電卓の扱いが身に付く
電卓技能検定を受験すれば、電卓操作の技術は格段に向上するでしょう。
電卓はスマホやタブレットにも搭載されているため、現代人にとっても十分実用的なスキルだと言えます。
仕事においても、電卓を用いて素早く計算ができる能力は重宝されるでしょう。
電卓活用スキルはプライベートでも、自宅で家計簿をつける際などに役立てることができます。
電卓技能検定の取得は履歴書に書けて就職に役立つ
電卓操作のスキルは、銀行などの金融機関への就職・転職で役に立つでしょう。
金融機関以外にも、会計や経理の業務に有効です。
履歴書に書く際は、3級以上が目安となります。その場合は正式名称の「電卓技能検定試験」と表記するようにしましょう。
「日本電卓技能協会主催電卓技能検定○級(段)合格」が記載例です。
電卓スキルおよび計算能力は、あらゆる現場で活用できるため、履歴書に書けば一定のアピールになります。
電卓技能検定の試験日程・会場・申し込み方法
ここからは電卓技能検定の受験に必要となる情報をお伝えします。
電卓技能検定の基本情報
電卓技能検定の実施回数は、2月、5月、7月、9月、11月の年5回です。
実施会場は、東京、名古屋、大阪をはじめ、全国各地に設けられます。試験日程は会場によって異なるため、注意が必要です。
申込受付期間は、試験日の約1ヶ月前から1週間程ほどしかないため、受験する場合は忘れず申し込みを行いましょう。
合格発表が行われるのは、試験の2週間後あたりです。
ちなみに使用電卓機種は、速算用電卓(12桁)となります。
電卓技能検定に受験資格や受験料
電卓技能検定に受験資格はありません。学歴や年齢、国籍などに関わらず、誰でも受験が可能です。
そのため、いきなり段位に挑戦することもできます。
電卓技能検定の各等級・段位の受験料は以下の通りです。
級・段位 | 受験料 |
---|---|
段位 | 2,600円 |
1・2級 | 2,100円 |
3・4級 | 1,600円 |
5・6・7級 | 850円 |
電卓機能検定の申し込み方法
電卓技能検定の申し込み方法は、個人申込と団体申込の二つです。
また個人は申込には、「協会が受付の場合」と「各試験会場が受付の場合」の2通りがあります。以下ではこの2つに関して解説しましょう。
協会が受付の場合
東京・愛知・大阪・名古屋で試験を受ける場合は、協会受付となります。5〜7級は受験できないため注意しましょう。
協会申込の場合は、資料請求によって申込書を取り寄せます。
その後、受験料を指定の講座に振り込み、申込書に必要事項を記入するという流れです。
以下の3点を指定の郵送先に郵送すれば、申し込み完了となります。
-
受験料の受領証またはご利用明細票(コピー可)
-
申込書(受験票)
-
希望会場記入用紙 (所定用紙に 〇 印)
インターネット申込はできないため、必ず郵送で申し込む必要があります。
各試験会場が受付の場合
上記4会場以外で受験する場合は、各会場受付になります。試験日の2ヶ月前に各会場に問合せ、申し込みを行いましょう。
この場合も5〜7級はできません。それらは団体のみとなります。
会場によって試験日や申込期間、申込方法などが異なるため注意が必要です。
電卓技能検定の段位について
電卓技能検定には、1級の上にも沢山の段位が存在します。
段位および認定段位、合格基準点の詳細は以下の通りです。
段位 | 認定段位 | 合格基準点 |
---|---|---|
名人 | 満点名人位 | 2,400 |
名人位 | 2,270 | |
範士 | 十段 | 2,120 |
九段 | 2,000 | |
教士 | 八段 | 1,870 |
七段 | 1,750 | |
正速士 | 六段 | 1,620 |
五段 | 1,500 | |
速士 | 四段 | 1,370 |
三段 | 1,250 | |
正士 | 二段 | 1,120 |
初段 | 1,000 |
ちなみに、正士から範士までは電卓士と言われます。
全日本電卓競技大会
電卓技能検定の段位を取れるレベルになれば、全日本電卓競技大会に挑戦するのも良いでしょう。
全日本電卓競技大会は、同じく日本電卓技能検定協会が、1998年から主催している大会です。
地方大会を勝ち進めば、全国大会に出場できます。地方大会は、北海道大会、東北大会、北陸・甲信越大会・東海大会・西日本大会・九州大会の6つです。
競技は、団体競技、個人総合競技、読上算競技の3つが実施されます。
高校生の部や小・中学生に対する特別賞もあるため、年齢に関係なく誰でもチャレンジすることが可能です。
電卓技能検定と合わせて取りたいおすすめ資格
電卓技能検定と合わせて以下の資格を取得するのも良いでしょう。
珠算検定
珠算とはそろばんを使った計算のことで、珠算検定はその能力を測る試験です。
珠算検定には「珠算能力検定試験」と「珠算検定試験」の2種類があります。
珠算能力検定試験の方は、日本珠算連盟および日本商工会議所が共同で主催する試験です。
1〜10級までが存在し、1級および4級〜6級は日商主催、準1級〜3級、7級〜10級は日珠連主催・日商後援の形で行われます。
一方で珠算検定試験は、全日本珠算教育連盟が主催する試験です。こちらでは準初段〜十段までの段位と1〜15級までの等級が存在します。
段位〜準6級は文部科学省の後援で実施される試験です。
どちらも検定においても3級までは比較的取得しやすいと言われています。
2級以上になると一気に難易度が上がる試験です。
日商簿記
簿記とは、一定のルールに従い日々の経営活動を記録・整理する技術のことです。
企業の財政状況や経営状況を把握するには必須のスキルになります。
日商簿記はそうした簿記の能力を証明する資格の一つです。日本商工会議所によって主催されています。
簿記試験は他にもありますが、就職や転職に活かせるのは日商簿記2級以上のみです。
日商簿記の合格率は、3級が40〜50%前後、2級が15〜30%前後、1級が10%前後と言われています。
3級までは合格しやすいといわれることもありますが、2級以上は比較的難易度の高い試験です。
ちなみに2級の試験内容は高校卒業レベルで、毎年多くの高校生が受験します。
日商簿記1級の合格は税理士試験の受験資格にもなるため、税理士を目指す人にはおすすめです。
簿記試験では試験中に電卓を使用するため、電卓技能検定のスキルが活かせるでしょう。
電卓計算能力検定
電卓計算能力検定は、経理事務担当者に必要な電卓スキルを測る試験です。
電卓技能検定と似ていますが、こちらの方がよりビジネス向きと言えます。
主催団体は公益財団法人・全国経理教育協会で、昭和62年に始まったこちらも歴史のある検定です。
段位と1〜4級までの試験が年に5回実施される点も、電卓技能検定に似ています。
試験科目は、乗算、除算、見取算、複合算、伝票算の5つです。
2019年試験における段位および各等級の合格率は以下の通りになります。
段位・級 | 合格率 |
---|---|
段位 | 32.68% |
1級 | 50.39% |
2級 | 56.72% |
3級 | 70.35% |
4級 | 47.09% |
合格率を見る限りでは、1級までは比較的合格しやすい試験だと言えます。
電卓を使う国家試験
国家試験の中には試験に電卓を持ち込んで問題を解くものもあります。
その場合は、電卓技能検定で身に付けたスキルを活かせるでしょう。
税理士試験
税理士は税務に関する業務独占資格です。
税理士は、個人や法人の税金の申告を代理します。また税務署へ提出する書類を作成することも税理士の仕事です。
さらに節税対策や税金の計算方法など、個人や法人の税金に関する相談に応じることも、税理士には求められます。
上記の内容が税理士の独占業務です。
税理士試験の合格率は12%〜17%前後と言われています。難関試験であるため、電卓操作のスキルを持っておくことで、試験におけるアドバンテージを得ることが可能です。
ちなみに税理士試験では以下のような条件を満たす電卓を持ち込むことができます。
-
乾電池および太陽電池で作動する電源内蔵式のタイプ
-
演算機能のみを有するもの
-
数値を表示する部分がおおむね水平であるもの
-
外径寸法がおおむね26センチメートル×18センチメートル以下のもの
公認会計士試験
公認会計士は国家試験を有する会計士のことを指します。
経理や会計のエキスパートで、難易度が高いことから、弁護士や医師と並び三大国家資格の一つに数えられる資格で、経済系資格の最高峰を言えるでしょう。
公認会計士の主な業務は、企業が作成する財務諸表に不正や不備がないかチェックすることです。
公認会計士試験の合格率は10%前後と言われており、難易度はかなり高いと言えます。
電卓操作に長けていた方が試験を有利に進められるため、電卓技能検定が役に立つでしょう。
持ち込める電卓に関しては税理士試験の規定とほぼ同じです。関数電卓や紙に記録する機能がついたものなどは使えません。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、中小企業の経営に関するコンサルティングの専門家です。
独占業務はありませんが、各業界からの信頼は厚い資格になります。
日本企業のほとんどは中小企業であり、需要および将来性は十分な資格です。
中小企業診断士試験の難易度は、1次試験・2次試験共に20%前後であり、こちらも難易度の高い試験と言えます。
そのため、電卓操作のスキルは有用となるでしょう。
ちなみに中小企業診断士では、2次試験で電卓を使用します。持ち込める電卓の規定については、上記の2つとほぼ同じです。
電卓技能検定についてまとめ
電卓技能検定についてまとめ
- 正式名称は「電卓技能検定試験」
- 年5回の実施だが試験日程は会場次第
- 1級までは難しくないが段位となると難しい
今回は電卓技能検定について、詳しく解説しました。
履歴書に書く際は、正式名称で「日本電卓技能検定協会主催電卓技能検定○級(段)」と書きましょう。
電卓技能検定は、主要都市4会場および全国各地で年5回実施されます。
試験日程などは会場によって違うため、特に地方会場での受験の際は注意しましょう。
1級までは比較的合格しやすい難易度のため、積極的に受験すると良いでしょう。
電卓操作に自信のある人は、ぜひ段位にも挑戦してみてください。