トレース技能検定ってどんな資格?難易度・過去問・独学勉強法まで全て解説!

更新日時 2020/05/22

専門性のある仕事に就きたい人や、建築やデザインなどに興味がある人におすすめな資格の1つに、トレース技能検定があります。

今回は、トレース技能検定という資格について基本情報及び試験の概要、トレース技能検定に興味がある人におすすめな資格もご紹介します。

トレース技能検定についてざっくり説明すると

  • 文科省後援の公的資格
  • 受験級がありやや易しい
  • 建築関係、デザインが好きな人におすすめ

トレース技能検定ってどんな資格?

ペンと紙

トレース技能検定試験とはどのような資格であるか。ここではトレース技能検定について基本的情報をお届けします。

トレース技能検定とは

トレース技能検定とは、一般財団法人中央工学校生涯学習センターが主催の試験です。

トレース技能検定では、トレース技能審査基準に基づいてデザイナーなどの専門家が描いた図面を、正しく清書することができるかを判断する資格です。

このトレース技能検定は、文科省が後援をする公的資格のひとつです。試験は一年に一度10月に開催され、2020年には49回目の試験が開催される予定です。

つまり、トレース技能検定は50年近い歴史がある資格です。

主催の一般財団法人中央工学校生涯学習センターは、昭和35年から製図建築家・機械製図科・女子製図科を通信教育を教えている学校です。

現在は通建築関係の資格である測量士補、宅地建物取引主任者などの資格取得のための通信講座のほかに、通学で建築写真講座などを開講しています。

そもそもトレースとは

トレースとは、トレーシングペーパーなどの薄い紙を用い図面を書き写す作業のことです。トレースを行う人のことを、「トレーサー」と呼びます。

ただし、トレース技能検定におけるトレースは、単にトレーシングペーパーで図面を写すという単純な作業ではありません。

トレース技能検定におけるトレースは、製図版、T定規、三角定規、製図用鉛筆、製図用インク、トレース用紙などのトレース用具が必要となります。

トレース用具を用い、建築図形、図表、イラストなどを尺度、寸法記入、日本工業規格など基本的な知識を交えて正しくトレースするだけでなく、速さの技能もトレース技能検定でのトレースには要求されます。

また、トレース技能検定は受験級があり、級が上になるにつれてトレース技術も図面だけでなく図面用文字(数字・ローマ字・漢字・ひらがな・かたかな)を正確でかつ速くトレースするスキルが必要とされます。

トレース技能検定の難易度

パズル

トレース技能検定を受験したいけれど、合格率、難易度が気になるという人も多いでしょう。トレース技能検定の難易度を見ていきましょう。

トレース技能検定の試験範囲と出題形式

トレース技能検定の試験範囲と出題形式を見ていきましょう。

トレース技能検定は、1級から4級までの4つの受験級がある資格です。一番簡単なのが4級となります。

トレース技能検定は、どの受験級の試験も実技と理論試験の2つに分かれています。実技試験は2時間半、理論試験は30分となっています。

それではそれぞれの受験級ごとに試験範囲を見ていきましょう。

1級

1級の実技は下記の通りです。

  1. 図面用文字(数字・ローマ字・漢字・ひらがな・かたかな)

  2. 技術上熟練を要する複雑な図(図形・図表・イラスト)

  3. 技法上熟練を要する複雑な工業用図面

  4. 専門分野の印刷用原図

4番目の専門は選択制になっており、機械関係、電気及び電子関係、建築及び土木関係、地図及びイラストなど一般版下からどれか一つの課題を選んでトレースをします。

1級の理論試験の範囲は下記の通りです。

  1. トレース用具および用紙に関する専門的事項

  2. 用器画法に関する事項

  3. 日本工業規格(Z8310-Z8318)の応用的事項

  4. 版下作成に関する基本的事項

  5. 専門分野に関する一般的事項

  6. CADに関する一般的な知識

つや消し、つや付き、トレース用和紙、トレーシングフィルムなどの性質、用法の知識が問われたり、実技試験の専門分野のいずれかの専門用語に関する知識が問われます。

2級

実技試験の範囲は下記の通りです。

  1. 図面用文字

  2. 技術上熟練を要するかなり複雑な図

  3. 技術上熟練を要するかなり複雑な工業用図面

文字をゴシック、楷書体でトレースする技術が問われます。トレースに使うトレーシングペーパーはつや消しトレースです。

2級でトレースする文字は、1級同様に数字、ローマ字、漢字、ひらがな、かたかなです。

理論の試験範囲は下記の通りです。

  1. トレース用具および用紙に関する全般的事項

  2. 簡単な立体用器画法に関する事項

  3. 日本工業規格(Z8310~Z8318)の全般的事項

  4. 版下作成に関する基本的事項

  5. 図面用文字に関する事項

  6. 専門分野に関する基礎的事項

  7. CADに関する基本的な知識

立体容器画法は、透視図法、斜投影法などについて基本的なことを知っているかが問われます。

6番目の専門分野に関しては、機械関係、電気及び先史関係、建築及び土木関係、地図及びイラストなど一般版下のいずれかをの基礎知識が必要です。

3級

実技試験の範囲は下記の通りです。

  1. 製図用文字

  2. やや複雑な図

  3. 工業に関連するやや複雑な図面

3級の実技でトレースする文字は、数字とローマ字のみです。

理論試験の範囲は下記の通りです。

  1. トレース用具の整備調整を含む一般的事項

  2. 簡単な立体用器画法に関する事項

  3. 日本工業規格(Z8310~Z8318)の応用的事項

理論試験には、1級や2級で必要とされるCADに関する知識は不要です。

日本工業規格の応用的事項には、4級の理論試験で必要とされる正面図、側面図、平面図、下面図、補助投影に関する基礎知識、寸法記入などが含まれます。

4級

実技に関する試験範囲は下記の通りです。

  1. 線の基本

  2. 製図用文字

  3. 簡単な図

  4. 簡単な図面

製図用の文字は、数字のトレースです。

トレースする図面は、直線、円、円弧で描かれた簡単な図面です。

理論に関する試験範囲は下記の通りです。

  1. トレース用具に関する常識的な事項

  2. 図面表現に関する初歩的事項

レベルごとの解説

各受験級ごとに、トレース技能審査基準について解説をします。

  • 1級

トレース技能検定の最上級位である1級では、文字、図面を正確にトレースできるだけではなく、速さも必要です。

文字は、ひらがな・かたかなのほかに数字・ローマ字・漢字をテンプレート・レタリングセットなどを用いて美しく、速くゴシック体や楷書でインクがきを行えるかを審査されます。

また、トレースのスキルだけではなく、知識の上でも各専門分野の応用知識が必要とされます。

  • 2級

2級では1級までは行きませんが、複雑な図面、工業用図面をトレースできる技術力、それに付随した専門分野の基本的な知識が必要とされます。

図面用文字も、1級と同じくひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字・数字を精度よくトレースができるかの審査があります。

トレーシングペーパーの紙の種類などの知識を必要としますが、実技で使うのはつや消しトレースペーパーのみです。

  • 3級

やや複雑な図形、図表、イラストなどのトレース技術を審査されます。これらの図は直線、円などで描かれており標準的な製図用具、鉛筆、インクを使い写します。

  • 4級

トレース技能検定では最下位級で、トレースの基本知識を審査されます。実技のテストもあり、理論試験同様に、基本的なトレースのスキルを審査します。

トレース技能検定の合格率、合格ライン

トレース技能検定の合格率は公式サイトでは発表されていませんが、合格率は受験級ごとに下記の程度と言われています。

受験級率 合格率
1級 36.1%
2級 38.5%
3級 70%
4級 77.3%

合格率を見てもわかるように、4級と3級は合格がしやすいですが、2級と1級は合格率が30%台となっています。

2級と1級の試験では、専門的分野の応用知識、高度なトレース技術が必要とされるからです。

トレース技能検定を取ることをおすすめする人

トレース技能検定を取得するのにおすすめなのは、デザイン、建築など製図や設計などのクリエイティブなことに興味関心がある人です。

なかでも、建築・土木、デザイン事務所、住宅メーカー、電気・電子業などのほかにアパレルデザイン、トレース専門会社などに就職を希望している人におすすめです。

トレース技能検定は、機械化も進んでいる昨今ではCADを使うことも多いのですが、従来からあるトレース技能が現場では必要とされることもあり、スキルとしてアピールすることができます。

トレース技能検定の勉強法

ホワイトボード

トレース技能検定を受験するにあたり、トレースのスキルが必要となります。トレースのスキルはどのように勉強することができるのでしょうか。

勉強方法をご紹介します。

トレース技能検定の勉強法は?独学は可能?

トレース技能検定の勉強方法ですが、トレース技能検定試験を主催している一般財団法人 中央工学校生涯学習センターが販売している**「既出試験問題集」を使い独学**することができます。

この既出試験問題集は、1級、2級、3-4級の三冊があり、公式サイトより購入することができます。

問題集には実技の解答の他に指導書がついていますので、そちらを利用しつつトレースのスキルを独学で学んでいきます。

実技試験のための解答用紙として使用されるトレーシングペーパーも、公式サイトから購入が可能です。トレースの練習をし、試験に向けてスキルを磨きましょう。

おすすめテキスト・問題集

前述したように、公式ホームページより、問題集、受験ガイドを購入することができます。受験ガイドは理論試験の対策用です。

2020年度参考図書として紹介されているのは、下記の通りです。

書籍名 定価
過年度既出試験問題集1級 900円
過年度既出試験問題集2級 800円
過年度既出試験問題集3・4級 600円
受験ガイド1~4級 1300円

トレーシングペーパーは下記の3種類が販売しています。

  • 実技試験解答用紙 定価880円
  • トレーシングペーパー無地 A3サイズ200枚 3000円
  • トレーシングペーパー枠付き A3サイズ200枚 4000円

トレース技能検定の勉強をするメリット

スマイル それではここから、トレース技能検定を勉強することで、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

トレース技能検定を取ることで図面のトレーススキルがつく

トレース技能検定を取得するために勉強することのメリットとは何でしょうか。

一番のメリットは、複雑な設計図、図面をなどをきれいにトレースすることができるようになることです。

デザインを学んでいる人、電気・電子などで設計図を描くことが多い人などにとっては、高度で精度の良いトレーススキルを持つことは仕事の面でもメリットになります。

もちろん、趣味としてもおすすめな資格です。

トレース技能検定は就職に役立つ

IT化が進む中で、CADなどコンピューターを使用することが多いですが、建築・土木などでは今でもトレース技能を持つ人材は必要とされています。

特に、速く美しく高度な図形をトレースすることができる2級以上の資格者は就職の時にも履歴書などに書いて自己PRに役立てることができます。

トレース技術はCAD技術と併用し、フリーランスで働くことができます。

そのため、技術を身に着けたあとは、主婦・主夫などにおすすめの副業と言えます。

トレースが上手ければ表彰されることも

優れた技術をもったトレーサーには文部科学大臣から大臣賞が授与されます。それはこのトレース技能検定が文部科学省後援の資格だからです。

トレース技能審査基準によりトレーサーのスキルは審査されます。

理論面、技術面ともに優秀な成績を修めぜひ文部科学省大臣賞を受け取ることができるよう、トレースのスキルを磨いていきましょう。

資格取得のモチベーションにもなるでしょう。

トレース技能検定の試験日程・会場・申し込み方法

子どもと学習

トレース技能検定を受験するにはどのようにすればいいのでしょうか。試験の日程、会場および受験の申し込み方法を説明します。

トレース技能検定の基本情報

トレース技能検定は年間どのぐらいの頻度で受験することができるのか、気になるところですね。

試験は年に1回、例年10月頃に実施されています。

現在2020年度の試験日程は下記の通りになっています。

  • 午前の試験 2級と4級 9:15~12:30
  • 午後の試験 1級と3級 13:30~16:45

試験会場は、下記の通りです。

  • 本試験会場 東京都・石川県・愛知県・大阪府・兵庫県・香川県・その他応募会場(準会場)

トレース技能検定を受験する場合は、2020年7月1日が試験実施日の公示日となっていますので、確認をするようにしましょう。

現在の予定では願書の申込日は下記の通りです。

  • 願書受付 :2020年 7月 1日(水曜日)~9月11日(金曜日)

トレース技能検定に受験資格や受験料は?

トレース技能検定は、受験資格は制限がないので年齢、性別、学歴など関係なく誰もが受験をすることができます。

また、受験級は4つにわかれていますがどの級からも受験でき、併願も可能です。

トレース技能検定の受験級ごとの受験料は、下記の通りです。

  • 1級:5,500円
  • 2級:4,500円
  • 3級:3,500円
  • 4級:2,500円

上記の受験料は全て税込み価格となっています。試験は午前と午後に分かれています。

トレース技能検定は併願して受験できますが、1級と4級の併願受験はできません

トレース技能検定と合わせて取りたいおすすめ資格

パソコン

トレース技能検定に関心がある人におすすめの資格があります。それぞれの資格について簡単に概要と難易度をご紹介します。

技術士補

技術士補は、国家資格の1つである技術士資格の一次試験のみ合格もしくは指定の教育課程修了者である人材のことを指します。

その後、第二次試験に合格し登録することで科学技術分野の最高権威の資格である技術士となることができます。

受験科目によって難易度にばらつきがありますが全体的に難易度が高い資格です。試験は公益社団法人日本技術士会によって実施されます。

技術士補になるには受験資格条件があります。詳しくは、公式サイトで確認をしましょう。

電卓技能検定

技能を問われる試験で日本電卓技能検定試験というのがあり、一般財団法人日本電卓技能検定協会によって実施されている民間資格です。

この試験は受験資格がなく、1~7級の受験級があります。試験では、電卓操作を迅速、正確におこなうことができるかを審査します。

級が上になるにつれて、種目、問題数も増えます。5~7級に関しては比較的優しく子供でも挑戦できるレベルです。

トレース技能検定についてまとめ

トレース技能検定についてまとめ

  • 受験制限がない
  • 一年に一回の試験
  • フリーランスで働くことも可能

トレース技能検定は、建築・土木関係の業界に就職を希望している人にとっては取得をしておくことで、履歴書にも記入でき自分のスキルをアピールするのに大変役立つ資格です。

受験には年齢、性別、学歴などの制限がないため学生のうちからチャレンジができる資格の1つです。試験は年に一度しかないので、受験申込時期を逃さずにライフプランを立てながら受験するようにしましょう。

とくに2級以上の高度なトレース技術をもつことでフリーランスとしても働くことができます。

建築、デザイン、設計などクリエイティブなことが好きな人は、将来、自由な働き方もできる資格ですので、前向きに検討してみてはいかがでしょう。