日本語検定は日本人でも受けられる?試験内容や日本語能力試験との違いまで解説!
「日本語検定はどんな試験なの?」
「日本語検定を取得することで何かメリットがあるの?」
日本語検定に関してそんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。そこで、この記事では日本語検定の試験内容や検定を受けるメリットを紹介します。
この記事を読み終える頃には、日本語検定を受けるために勉強を始めたくなるかも知れません。
日本語検定についてざっくり説明すると
- 日本語検定は1級から7級まで階級がある
- 日本語検定の出題項目は敬語、文法、語彙、言葉の意味、表記、漢字の6つがある
- 日本語検定は約4万人が受検する
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日本語検定とは
日本語検定をご存知ですか?
日本語検定は、特定非営利活動法人日本語検定委員会により運営されている日本語の能力を測定するための試験です。
2007年から実施されており、現在では年間受検者数が7万人を超えています。
日本語検定というと、日本語を学ぶために外国人が受ける検定のように思えますが、日本語検定は日本語を母国としている人を対象にしている検定になっています。
日々使われている日本語の中には、間違った使われ方をしていることがあります。
例えば、敬語や謙譲語、丁寧語の場面に応じた使い分けは、ほとんどの方が感覚に頼っているのが現状なのではないでしょうか。
そのため日本語検定を受検すれば、曖昧だった日本語の使い方が是正され、正しい日本語を見直す良い機会になるでしょう。
日本語検定の試験概要
日本語検定の試験日や受検料など、試験の概要を紹介します。
試験日程
試験日は一般会場の場合、2020年11月11日(土)に開催されます。
日本語検定は条件を満たせば、準会場でも試験を受けることが可能です。
準会場は、5人以上の団体で受検する場合、学校や会社の施設を受検会場とすることができます。
準会場の試験日は、2020年は11月10日(金)と11日(土)の予定です。
試験地
日本語検定の試験会場は全国各地にあり、お住まいの地域の近くの受検会場で受検が可能です。
受検会場の場所は、日本語検定を主催している「日本語検定委員会」の公式ホームページから確認することができます。
試験に申し込む前に、一度自分がどの会場で受けることになるか確認してイメージを膨らませておくと良いでしょう。
日本語検定の受検料
続いては、日本語検定の受検料を階級別に表で紹介します。
階級 | 価格 |
---|---|
1級 | 6,800円 |
2級 | 5,800円 |
3級 | 4,300円 |
4級 | 3,000円 |
5級 | 2,300円 |
6・7級 | 2,200円 |
申し込み方法
日本語検定の申し込み方法は、インターネット、書店などの店頭、郵送の3種類あります。
インターネットで申し込む場合は、「日本語検定委員会」の公式ホームページから申し込みを行って下さい。
店頭で申し込む場合は、書店や商工会議所で受検案内を入手し、店頭で日本語検定の受検料を支払います。
そして、願書と書店払込証書、受検票送付用の切手を日本語検定委員会事務局へ郵送すると、受検日の1週間前に受検票が送られてきます。
郵便で申し込む場合は、「日本語検定委員会」の公式ホームページから、日本語検定願書のダウンロードを行い、必要事項を記入します。
そして、受検料を「日本語検定委員会」のホームページに記載されている支払い先に振り込みます。
更に願書と振込受領証、受検票送付用の切手を同封し、日本語検定委員会事務局へ郵送すると、受検日の1週間前に受検票が送られてきます。
合否はいつわかる?
日本語検定の合否は試験日から、30日後に自宅に郵送される書類で通知されます。
また、「日本語検定委員会」の公式ホームページの合否発表ページからも合否の確認をすることが可能です。
確認の際には、受検番号とパスワードが必要になります。
日本語検定は併願することも可能
日本語検定は併願することも可能です。併願できる階級の組み合わせを表で紹介します。
お時間やお金に余裕がある場合は、是非併願も検討してみてください。
階級 | ||
---|---|---|
1級+2級 | 1級+4級 | 1級+6級 |
2級+3級 | 2級+5級 | 2級+7級 |
3級+4級 | 3級+6級 | 4級+5級 |
4級+7級 | 5級+6級 | 6級+7級 |
日本語検定の試験内容
日本語検定の試験内容を紹介します。日本語検定は、1級から7級に階級が分かれています。
しかし、問題の正解率によっては、準認定となってしまうので、1級から7級の倍である14階級に分けられます。
日本語検定の試験時間は、1級から3級が60分、4級から7級が50分となっています。
出題項目
日本語検定の出題項目は敬語、文法、語彙、言葉の意味、表記、漢字の6つになっています。
この6つに加えて、読解問題、図やグラフを使った総合問題が出題されます。
基本的に日本語を母語とする方であれば難しくないような問題が多いですが、日常生活では触れることのないような語彙や漢字についてはしっかりと勉強しておくことをおすすめします。
合格基準
日本語検定の合格基準を表で紹介します。
階級 | 総合得点率 | 領域別得点率 |
---|---|---|
1級 | 80%程度以上 | 50%以上 |
準1級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
2級 | 75%程度以上 | 50%以上 |
準2級 | 65%程度以上 | 50%以上 |
3級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
準3級 | 60%程度以上 | 50%以上 |
4級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
準4級 | 60%程度以上 | 50%以上 |
5級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
準5級 | 60%程度以上 | 50%以上 |
6級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
準6級 | 60%程度以上 | 50%以上 |
7級 | 70%程度以上 | 領域なし |
準7級 | 60%程度以上 | 領域なし |
日本語検定の準6級以上は、敬語、文法、語彙などの全ての項目で50%以上の正答率がなければ、合格することができません。
例えば、6つ中5つの項目で90%の正答率があっても、1つの項目が30%なら認定を受けることができません。
日本語検定は、全ての項目において点数を取る必要があり、偏りの無いように勉強することが大切です。
日本語検定2級の例題
日本語検定では、どのような問題が出題されるのでしょうか?日本語検定2級の敬語分野の問題を例題として紹介します。
まず1つ目の例題は、久々に訪れた上役の家を辞去する際に、上役にバス停まで送ろうと言われたときの返答の仕方です。
「お気遣いありがとうございます。道は覚えておりますので、お見送りには( )ません。」
上の返答の( )の部分を正しい言葉で埋める問題です。因みに( )に入る言葉は、動詞で「わざわざそうする必要がない」ということを表す言葉が入ります。
続いて2つ目の例題は、司会者が講師を紹介する際の発言です。
「本日の講演会には、テレビなどでもおなじみの教育評論家、○○先生が講師として( )ました。」
上の発言の( )の部分を正しい言葉で埋める問題です。因みに( )には、動詞「越す」を用い、敬語を使って「来てくれた」ということを表します。
例題の解答
上記で紹介した例題の解答を紹介します。
まず、一つ目の例題の解説をします。一つ目の例題の答えは「及び」です。
「お気遣いありがとうございます。道は覚えておりますので、お見送りには(及び)ません。」となります。
「及ぶ」は、「~には及ばない/~には及びません」という形で、「わざわざそうする必要がない」という意味を表します。
「及びません」は、相手の申し出などを丁寧に断るときに用いられる言葉です。
続いて2つ目の例題を解説します。2つ目の例題の答えは「お越しください」です。
「本日の講演会には、テレビなどでもおなじみの教育評論家、○○先生が講師として(お越しください)ました。」となります。
「来てくれた」を尊敬表現である「お~くださる」の形を用いると、「お越しくださいました/お越しくださりました」という形になります。
また、「お~になる」の形を用いると、「お越しになってくださいました/お越しになってくださりました」という形になり、こちらも正解となります。
日本人でも難しい?
日本語検定は、日本語が話せる日本人でも上の階級になると合格が難しい試験になります。
日本語検定の2級は大学卒業レベルから社会人中級レベル、3級は高校卒業レベルから社会人基礎レベルとなっており、普通の日本人であれば、2級又は3級のレベルの日本語力が身についていると考えられます。
しかし、日本語検定の2級又は3級のレベル以下でも「ら抜き言葉」など、対策が必要となる箇所もあります。
日本語検定の1級は社会人上級レベルになっており、1級や2級になると日常会話で日本語を話している日本人でも勉強が必要になり、合格することが難しい試験になっています。
日本語検定の受検者と合格率・難易度
日本語検定を受ける人はどれくらいいるのでしょうか?
日本語検定の受検者数と合わせて、日本語検定の合格率と難易度を紹介します。
まず、令和5年度第1回‐通算第33回‐日本語検定の階級別の受検者数と全受検者数に占める割合を表で紹介します。
階級 | 受検者数 | 割合 |
---|---|---|
1級 | 535人 | 3.7% |
2級 | 2,114人 | 14.6% |
3級 | 7,819人 | 54.0% |
4級 | 2,213人 | 15.3% |
5級 | 977人 | 6.7% |
6級 | 438人 | 3.0% |
7級 | 394人 | 2.7% |
参照:日本語検定-検定データ
上の表から分かるように、日本語検定は毎回約1.5万人が受検しており、その内、約半分は3級を受検します。
そして日本語検定を受ける8割以上は学生になっています。
続いて、日本語検定の各階級別に合格率を表で紹介します。
階級 | 合格率 |
---|---|
1級 | 6.0% |
準1級 | 24.0% |
2級 | 10.2% |
準2級 | 19.4% |
3級 | 41.4% |
準3級 | 21.7% |
4級 | 79.8% |
準4級 | 11.8% |
5級 | 80.5% |
準5級 | 6.3% |
6級 | 76.7% |
準6級 | 4.2% |
7級 | 80.0% |
準7級 | 6.5% |
参照:日本語検定-検定データ
表から見て分かるように、日本語検定の合格率は2級以上の階級では低くなっていて、2級以上の試験の難易度が高いことが分かります。
逆に、4級以下は合格率が70%以上になっていて、4級以下の試験の難易度が低いことが分かります。
4級以下の準認定の合格率が低いのは、試験で高い得点を取り、各階級で合格する人が多いからと考えられます。
日本語能力試験(JLPT)との違いは何?
日本語の能力を測る検定は、日本語検定と日本語能力試験(JLPT)の2種類があります。
この2つの検定は、主に検定を受検する対象者が違います。
日本語検定は、日本語を母国としている人を対象にしているのに対し、日本語能力試験は日本語以外を母国語としている人つまり外国人を対象としています。
日本語能力試験の受検者数は年々増えてきて、近年では60万人以上が受検しています。
日本語能力試験は外国でも受検でき、現在は80以上の国と地域で試験を受けられます。
日本語能力試験は外国人を対象にしていることから、国内よりも国外の受検者の方が受検者数が多くなっています。
日本語能力試験は、N1、N2、N3、N4、N5の5つの階級に分かれています。
N1が一番難しく、N2、N3と数字が大きくなるにつれ、難易度が低い階級になっています。
N2を取得できれば、日常的な場面で使われる日本語を理解できるレベルに達していることになります。
日本人が日本語検定を持っているメリット
続いては、日本語検定の資格を日本人が取得するメリットを紹介します。
1部の企業や大学で有利に
まだ数は少ないですが、大企業の一部では日本語検定を持っていることで、就職の際に有利に働くこがあります。
しかし、日本語検定は日本人が日本語の能力を高める趣味のような検定なので、就活などで評価されることは少ないでしょう。
趣味のような検定と言っても、日本語検定を取得していることで、入学試験の際に優遇措置を取っている大学もあります。
日本語検定を保持していることを就活などで評価されたい場合は、少なくとも3級以上を取得したいところです。
更に日本語検定1級を取得することで、更なる高い評価を得ることができるでしょう。
出版業など、言葉を扱う仕事は、日本語検定を取得することで、就職の際に優遇されることが多いです。
更に、アサヒ飲料、NTTドコモ、東京ガス、三井住友海上火災保険などの会社では日本語検定を保持していることが採用の際に考慮されます。
このような業種に就職を希望する場合は、日本語検定の取得に挑戦しましょう。
業界や職種ごとの要求に合わせて、戦略的に取得を目指すことで、自身の競争力を高めることが大切です。
正しい日本語を話せる日本人になろう
日本語検定を取得することで、就職や大学で考慮される他にもたくさんのメリットがあります。
日常生活やビジネスシーンなどで、知らず知らずのうちに間違った日本語を使っている可能性があります。
しかし、日本語検定を取得するために、敬語や文法など日本語について幅広く勉強することで、正しい日本語を習得することができます。
特に敬語に関しては、尊敬語や謙譲語、丁寧語があり、自分の立場やシーンによって正しく使い分ける必要があります。
日本人にとって、敬語はビジネスシーンで特に大切になってきます。
もし、誤った敬語を上司や取引先の方などに使ってしまうと、失礼になるだけでなく、受け取り方によっては信頼も失ってしまう場合もあります。
日本語検定を取得することで、正しい日本語を習得し、相手やシーンによって正しい日本語を使い分けられるようになります。
更に、日本語検定を取得し、正しい日本語が使えていると実感することで、恥をかく心配がなくなり、話すことに自信を持つことができます。
正しい日本語が話せているという自信を持つことで、誰にでも気負いなく自然に話すことができ、コミュニケーション能力が高まり、人間関係も良好になるでしょう。
日本語検定は物理的なメリットより、取得した人の内面的な部分でたくさんのメリットがある検定です。
言語力は人間関係や個人の価値観に深い影響を与えるため、日本語検定は人生全般にわたってプラスの影響をもたらすでしょう。
おすすめのテキスト・参考書・通信講座
このトピックでは、日本語検定を取得するために使う、おすすめのテキストと参考書、通信講座を紹介します。
おすすめ参考書・問題集
まず最初に紹介するテキストは「日本語検定公式テキスト・例題集 「日本語」中級」です。
東京書籍から出版されているテキストで、1,100円で購入することができます。
このテキストは日本語検定委員会の唯一の公式テキストになっていて、日本語検定の試験範囲である6つの各項目を、各級毎に学習することができます。
続いて紹介する問題集は「日本語検定公式練習問題集 3訂版 3級」です。
この問題集は日本語検定委員会の公式の問題集になっていて、990円で購入することができます。
この問題集は、要点がまとめられているため、学習効率が高い内容になっていますが、内容量が少ないため、この問題集だけで勉強するより他のテキストと併用して使うことをおすすめします。
更に問題集を使うだけでなく、日常生活で新聞や書籍にを読み、正しい日本語に触れることも大切な日本語検定の勉強になります。
続いて紹介する問題集は、「日本語検定公式過去問題集3級: 平成30年度版」です。
こちらの問題集は968円で購入することができます。
この問題集は、日本語検定委員会の公式の問題集になっていて、日本語検定の前年度に出題された2回分の問題が載っています。
通信講座も存在する
独学で勉強するのが不安な場合は、通信講座を受けることも可能です。
資格Timesがおすすめする「ユーキャンの日本語検定受検対策講座」では、日本語検定2級や3級の範囲について、検定委員会の監修したわかりやすいテキストを用いてじっくり学ぶことができます。
必修単語集やWebテストなど、隙間時間で勉強できる教材もたくさん揃っているので、忙しくて勉強時間が取れない方や初めて日本語検定を受検される方は是非チェックしてみてください。
日本語検定についてまとめ
日本語検定についてまとめ
- 日本語検定は、日本語を母国としている人を対象にしている
- 大企業の一部では日本語検定を持っていることで、就職の際に有利になることがある
- 日本語検定の2級以上は難易度が高い
日本語検定を取得することで、一部の企業で就職の際に優遇されます。更に正しい日本語を習得することで、話すことに自信を持つことができます。
毎日使う日本語だからこそ、日本語検定を取得することで、日常生活の様々なシーンで役立てることができます。
正しい日本語を使えるようになるために、日本語検定の取得に挑戦してみましょう。