日本語検定には種類がいっぱい?外国人向けの資格からビジネスでの活かし方まで解説!
「日本語検定ってたくさんあるけど、どれを受けたら良いの?」
と疑問をお持ちの方もいるでしょう。
日本語能力を測る試験は多数あります。
しかしそれらの多くは外国人向けで、日本人が日本語能力を試すにはどれを選べば良いか迷うこともあるでしょう。
今回は日本語検定の種類について、それぞれの特徴やレベルなどを詳しく解説します。
日本語検定の種類についてざっくり説明すると
- 外国人向けは日本語能力検定(JLPT)が定番
- 企業にはN3保持者の採用がおすすめ
- 日本人が日本語を学ぶには「日本語検定」
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日本語検定と呼ばれるものの種類はたくさんある
日本語検定やそれに準ずる名称で日本語能力の測定を行う試験は多数存在します。
今回紹介する分だけでも9つです。
それらの日本語試験の多くは、日本に来る外国人を対象にしています。
日本語以外を母国語とする日本語学習者が、日本で生活や就労するのに必要な日本語能力を測ることを目的とする試験が多いです。
中でも有名なのが、{primary}(日本語能力検定(JLPT)) になります。
日本語能力検定に合格することで、日本への入国や日本企業への就職、国家試験の受検などで様々な恩恵を受けることが可能です。
日本語能力検定にはN1〜N5までのレベルがありますが、他の日本語検定でも推定Nレベルが定められていることもあります。
それだけ日本語能力検定の影響力は大きいのです。
また外国人向けではなく、日本人に向けた日本語の試験もあります。それが「日本語検定」です。
これらの内容を以下で詳しく解説していきましょう。
実用日本語検定(J.TEST)
{primary}(実用日本語検定(J.TEST))は、外国人を対象にした試験です。日本語能力を客観的に測る目的で1991年から実施されています。
受検者層は会社員や留学生、日本語学校の生徒など様々で、年間5万人が受検する人気の検定です。
3種類のレベル分けがされた試験が年6回実施されます。
A-Cレベル試験は上級者向け、D-Eレベル試験は初級〜中級者向け、F-Gレベル試験は入門者向けです。
A-Cレベル試験では、成績によって特A〜C級までの判定分けがなされます。試験は1000点満点で600点以上が合格です。
また、D-Eレベルでは700点満点中350点以上、F-Gレベルは350点満点中180点以上で合格になります。
受検者には各自成績表が発行され、合格者には認定証が送られます。
ビジネス日本語能力テスト(BJT)
ビジネス日本語能力テスト(BJT)も外国人向けの検定になります。
BJTとは「Business Japanese Proficiency Test」の略で、文字通りビジネスシーンで必要な日本語能力を測る試験です。
この試験の特徴は試験が毎日実施されることになります。なお受検日の翌日も再び受検が可能です。
またBJTの結果は、外国人が日本に入国する際の在留資格認定書交付申請の審査で、日本語能力試験(JLPT)と同様の扱いがなされます。
さらに企業は、外国人を雇用するの採用基準の一つの目安としてBJTを活用することも可能です。
BJTを外国人の能力を測る目安にしておくことで、企業は雇用の透明性をアピールできます。
実用日本語運用能力試験(TopJ)
実用日本語運用能力試験(TopJ)は、日本語における語彙や文法、文型などの理解力を測定する試験です。
また日本に在住する外国人の生活や仕事などでのコミュニケーションにおける疑問点を解消し、日本社会及び日系企業の習慣と文化を理解できるような内容でもあります。
そのため、外国人はこの試験を通して、日本語能力と日本社会全体への適応能力を高めることが可能です。
実用日本語運用能力試験(TopJ)では、初級、中級、上級の3つの試験が実施されます。
ちなみに外国人が日本へ留学する際には、その申請にTopJの成績を証明として用いることが可能です。こちらも日本語能力試験と同様に扱われます。
TopJは、中国、台湾、ベトナム、ネパール、スリランカなどのアジア人がよく利用する試験です。
日本語NAT‐TEST
日本語NAT‐TESTは、日本語を母国語としない者を対象にした試験です。
日本語学習者の日本語能力を、「文字・語彙」、「聴解」、「読解」の3つの項目から測定します。
日本語NAT‐TESTの出題範囲や項目は、日本語能力検定(JLPT)とよく似た内容です。
日本語NAT‐TESTの5級と日本語能力検定のN5はほぼ同水準の難易度になります。
そのため、日本語能力検定の事前対策としてよく日本語NAT‐TESTが用いられるようです。
試験は日本以外にも以下の国々で行われています。
日本以外の試験開催国 |
---|
中国、ベトナム、ネパール、ミャンマー、インドネシア、スリランカ、モンゴル、カンボジア、バングラデシュ、フィリピン、インド、タイ、ウズベキスタン、ブータン、キルギス |
生活・職能日本語検定(J‐Cert)
生活・職能日本語検定(J‐Cert)も、日本語を母国語としない日本語学習者を対象にしています。
日本語学習者が海外から日本企業に就職するために必要となる日本語スキルを測る試験です。
この検定で試されるのは、単なる日本語能力だけではありません。日本の習慣や文化を理解し、日本で仕事・生活を行えるだけのコミュニケーション能力が求められます。
成績優秀者は表彰を受け、日本への招待など様々な特典が付与されるようです。
また、生活・職能日本語検定は、日本における職業能力証明となるジョブカードに記載することが可能な資格になります。
生活・職能日本語検定では、マスター級、Aコース(上級・準上級・中級)、Bコース(準中級・初級)がそれぞれ実施されます。
マスター級は日本語能力検定(JLPT)のN1を超えるレベルであり、難易度の高い試験だと言えるでしょう。
標準ビジネス日本語テスト STBJ
標準ビジネス日本語テストは、中国、ベトナム、スリランカで行われている日本語試験です。
2月、4月、6月、8月、10月、12月の年6回定期的に実施されます。
このテストは敬意表現やビジネスマナーの知識など、ビジネスシーンでの日本語使用を想定した内容です。
日本企業で働く上で必要な語彙や表現に対する知識があり、それを上手く活用する能力があるかが試されます。
特にビジネス活動において日本人が話す表現の「意図」を理解できるかという点が重視される試験です。
そのためこのテストを受けることで、ビジネスで有用な敬意表現とその運用能力の向上が期待されます。
また日本人特有の配慮表現や婉曲表現に関しても身に付けることが可能です。
さらに日本人とビジネス活動を共にするのに必要となるマナーや慣行なども学べます。
この試験に合格すれば、ビジネスにおける日本語能力のほとんどがマスターできると言っても過言ではありません。
ちなみにこのテストを日本国内で受けられるのは団体受検の場合のみです。
個人で受検したいなら中国、ベトナム、スリランカのいずれかで受ける必要があります。
実践日本語コミュニケーション検定 PJC
実践日本語コミュニケーション検定も、日本で就労する外国人を対象にした検定の一つです。
この検定でもビジネスシーンに特化した日本語能力やコミュニケーション能力が試されます。
上司や同僚との会話における日本語能力をはじめ、接客能力やビジネスマナーの知識などを総合的に判断される試験です・
また実践日本語コミュニケーション検定は合否がつく試験ではなく、スコアによって10段階のレベル分けがなされます。
テストの難易度としては、日本語能力試験(JLPT)のN1〜N2と同水準です。
そのため、日本語学習者の中でも比較的上級者を対象にした試験と言えるでしょう。
日本企業が外国人労働者に求める2大資質であるコミュニケーション能力と日本語能力に特化した内容です。
日本語能力検定(JLPT)
日本語能力検定(JLPT)は日本語学習者向けの試験では最も代表的な検定の一つです。
日本語を母国語としない者の日本語能力を、「読む」と「聞く」の2つの観点から測定します。
日本語の文字や語彙、文法に関する知識とその活用力試す問題で、課題遂行のための言語コミュニケーション能力を測るという内容です。
日本語能力検定では難易度ごとに5段階の試験があるため、自分の実力に応じた試験を受けることができます。
N1からN5までの難易度の差
日本語能力検定には、N1〜N5までの試験があります。最も難易度が高いのはN1です。
N1は日本人でも解けない問題が出題されることもあり、相当難しい内容だと言えます。
N1に合格すれば、一般的な日本語の会話はもちろん、ビジネス用語やスラングにも対応できる日本語能力を証明することが可能です。
N2になるとN1ほどではないにしろ、基本的な日本語のコミュニケーションには困らないレベルと言えます。
またN3は、仕事において一人でもある程度作業を任せられるレベルです。ただしビジネス会話の微妙なニュアンスや言葉のアクセントなどは理解できない場合があります。
N4は日本語の読み書きなら問題なくできるレベルです。簡単な日常会話はこなせるものの、スピーキング能力に関してはあまり期待できません。
N5になると、挨拶や基本的なフレーズを使える程度で、コミュニケーションは難しいと言えるでしょう。
尺度得点って何?
日本語能力試験では、試験の難易度を一定に保つために尺度得点というシステムが採用されているようです。
尺度得点は統計的テスト理論に基づいた方法で、正答か誤答かの解答パターンから数理的に算出されます。
各テスト問題の素点を基準とするのではなく、全てのテストを同じ尺度から点数化することで、試験結果を公平化することが可能です。
つまり受検者には、いつ受検したかに関わらず平等な評価がなされます。
日本語能力検定を受けるメリット
日本語能力試験に合格することによって、日本の出入国管理における優遇措置を受けるためのポイントを得ることができます。
またN1に合格すれば、日本で医師などの国家試験を受けることが可能です。
N2以上の合格者には、準看護師試験の受検資格が付与され、国語試験も免除となります。
さらに中学卒業程度認定試験でも国語試験の免除を受けることが可能です。
N3〜N5に合格すれば、EPA(経済連携協定)による看護師・介護福祉士の候補者に選ばれる可能性も発生します。
このように日本語能力試験は、外国人が日本で生活及び就労する際には様々なメリットがある試験です。
日常生活だけでなく、国際的なキャリアの幅を広げる一翼を担うことができます。
外国人をJLPTだけで判断してはいけない
先ほどから紹介してきたように、日本語能力検定以外にも数多くの日本語能力を測る試験が存在します。
それらの成績を元に推定のNレベルが履歴書に記載される場合もあるのです。
そのためNレベルは同じでも、実質的な日本語能力には差がある可能性もあります。
日本語能力試験の中では、尺度得点によって公平性が図られていますが、別の試験同士では難易度は様々です。
したがって、様々な試験の成績や実務でのコミュニケーション能力を総合的に考慮することが重要です。
N3保持者を採用することがおすすめ
企業で外国人労働者を雇用する場合は、1つの文書を1.5時間以内で作成できるレベルが目安となるでしょう。
そうした人材はN3保持者から採用するのがおすすめです。
N1やN2保持者の方が優秀ですが、コストの高さがネックになります。
またそれらの有能な外国人労働者は多くの企業との取り合いになるため、採用するのが難しいというのが現実です。
そのため、ある程度の日本語能力を有しているN3保持者を雇用し、自社で育成するのが良いでしょう。
日本語検定
日本語検定は、日本語を使う全ての人を対象のする検定試験です。
日本語検定は日本語学習者というよりもむしろ、日本人向けの内容になります。
我々日本人は普段から何気なく使っている日本には、たくさんの勘違いや思い違いが含まれています。
そうした現状を踏まえ、日本人が正しい日本語を使えるようになる手立てとなるのが日本語検定です。
日本語検定を受検することは、日本語の使い方を見直す良いきっかけになります。そのため、あらゆる立場の人におすすめの試験です。
例えば、小中高生が日本語検定を受ければ、国語力アップから総合的な学力向上が期待できるでしょう。
日本語が正しく使えることは面接や履歴書を書く上でも重要となるため、日本語検定は就活を行う大学生にもおすすめです。
また日本語検定を通して対話力を向上させれば、ビジネスシーンでも役に立つでしょう。
さらに老後や余暇の趣味として受検するのもおすすめです。
日本語検定の試験概要
以下では日本語検定における試験の基本情報をお伝えします。
試験日程・試験地・受検料
次の日本語検定は以下のような日程で実施予定です。
会場 | 日程 |
---|---|
一般会場 | 2023年11月11日(土) |
準会場 | 2023年11月10日(金)・11日(土) |
会場は各都道府県に設置されるため、全国から受検が可能です。
居住する地域から近い会場で受検しましょう。
また日本語検定の受検料は以下の通りです。
等級 | 受検料 |
---|---|
1級 | 6,800円 |
2級 | 5,800円 |
3級 | 4,300円 |
4級 | 3,000円 |
5級 | 2,300円 |
6・7級 | 2,200円 |
申し込み方法
日本語検定の申し込みの種類は、個人受検申込と団体受検申込の2つです。
個人受検申込の場合、申し込み方法はインターネット、店頭、郵送の3つがあります。自分に合った方法を選びましょう。
個人受検の場合も団体受検の場合も、試験日とともに申し込み期間をしっかりとチェックして、「申し込めなかった」と言うことの無いように気をつけましょう。
合否はいつわかる?
日本語検定の結果返却は、検定日の約35日後に郵送で通知されます。
成績優秀者には表彰もあります。表彰は個人表彰と団体表彰の2種類です。
それぞれで文部科学大臣賞や読売新聞社賞、日本商工会議所会頭賞などが送られます。
せっかく受検するならば表彰をモチベーションにして、勉強を頑張ってみるのも良いのではないでしょうか。
日本語検定は併願受検もできる
日本語検定は、複数級の併願受検も可能です。具体的には以下のような併願パターンで受検することができます。
併願のパターン |
---|
1級+2級 |
1級+4級 |
1級+6級 |
2級+3級 |
3級+4級 |
4級+5級 |
5級+6級 |
2級+5級 |
3級+6級 |
2級+7級 |
4級+7級 |
6級+7級 |
日本語検定の試験内容
日本語検定には1〜7級までの等級が存在します。ただし正解率によって準認定になる場合があるため、数としては14等級あります。
試験時間は1〜3級が60分、4〜7級が50分です。
出題項目
日本語検定では、6項目に総合問題を加えた7つの範囲から問題が出題されます。
各項目及び総合問題の詳細は以下の通りです。
出題項目 | 内容 |
---|---|
漢字 | 漢字や熟語の読み方や意味の理解・使い分け |
表記 | 漢字・仮名遣い・送り仮名の文脈に応じた使い分け |
敬語 | 場面や相手に応じた尊敬語や謙譲語の使い分け |
言葉の意味 | 慣用句を含めた言葉の意味・用法の把握 |
語彙 | 様々な言葉の正確な理解及び使用 |
文法 | 規範的な文法に従った語と語の連接 |
総合問題 | 読解問題・長文問題/グラフや表・イラストマップを使った問題 |
合格基準
日本語検定における合格基準が以下の通りです。
認定級 | 総合得点率 | 領域別得点率 |
---|---|---|
1級 | 80%程度以上 | 50%以上 |
準1級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
2級 | 75%程度以上 | 50%以上 |
準2級 | 65%程度以上 | 50%以上 |
3級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
準3級 | 60%程度以上 | 50%以上 |
4級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
準4級 | 60%程度以上 | 50%以上 |
5級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
準5級 | 60%程度以上 | 50%以上 |
6級 | 70%程度以上 | 50%以上 |
準6級 | 60%程度以上 | 50%以上 |
7級 | 70%程度以上 | 領域なし |
準7級 | 60%程度以上 | 領域なし |
上記の通り、準6級以上では各領域で50%以上の正答率が求められます。
日本語能力試験(JLPT)との違いは何?
日本語検定と日本語能力試験(JLPT)はどちらも日本語能力を測る試験ですが、両者では性質が異なる試験です。
二つの主な違いは、試験の対象者になります。
日本語検定は、日本人が正しい日本語を使えるようになるための試験です。
一方で日本語能力試験(JLPT)は、日本語以外を母国語としている外国人の日本語能力を測ることが目的になります。
また両者では主催団体も違います。
日本語検定の主催団体は特定非営利活動法人・日本語検定委員会です。文部科学省後援事業の一つでもあります。
一方で日本語能力試験(JLPT)の方は、国際交流基金及び財団法人日本国際教育支援協会が運営する試験です。
そのため、日本語能力試験(JLPT)の方は国際的な資格だと言えます。
日本語検定を外国人が受けることも可能ですが、日本語能力試験(JLPT)のように日本への入国や就労に直接的な恩恵があるわけではありません。
日本人が日本で生活するには日本語検定を受けなくても問題ないですが、外国人が日本で生活するには日本語能力試験(JLPT)を受けるべきです。
それが両者の決定的な違いでしょう。
日本語検定の種類まとめ
日本語検定の種類まとめ
- JLPTを中心に外国人向けの日本語試験は多数存在
- N3保持者を採用して自社で育成するのが良い
- 「日本語検定」は日本人が正しい日本語を身に付けられる試験
今回は、日本語検定の種類について詳しく解説しました。
日本語能力を測る試験の多くは外国人向けで、その代表的なものが日本語能力検定(JLPT)です。
企業はJLPTを採用基準にすることで、雇用の透明性をアピールできます。その場合はN3保持者を採用することがおすすめです。
また「日本語検定」は日本人向けの試験で、正しい日本語の使い方が学べます。日本語能力の向上におすすめです。