技術士の口頭試験の内容は?合格率・合格基準から面接対策まで徹底解説!
「技術士の口頭試験はどんな内容?」
「合格基準や合格率などを知ってから面接を受けたい!」
このようにお考えの方も多いのではないでしょうか?
面接対策はどの資格試験でも大切ですよね。特に技術士のような珍しい資格の場合、どのように対策をすれば良いかわかりづらいことでしょう。
そこでこの記事では技術士の口頭試験の内容を中心に、合格基準や合格率、面接対策など役立つ情報を網羅してまとめました。
読み終わる頃には技術士口頭試験への不安はなくなっているはずですよ。ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
技術士口頭試験の内容についてざっくり説明すると
- 技術士の口頭試験は、2次試験の筆記に合格した人のみ受けられる
- 口頭試験の内容は、主に筆記の答案や業務経歴票に関する質疑応答
- 全ての項目の合格基準を満たさないと合格できない
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技術士の口頭試験の概要
まずは、技術士の口頭試験の概要を見ていきましょう。
試験内容と配点
技術士の口頭試験は、2次試験の筆記に合格した人のみ受けることができます。1人の受験者に試験官が2人程度ついて試験を実施する形式です。
試験は「総合技術監理部門を除く技術部門」と「総合技術監理部門」に分かれており、それぞれの試験内容や配点、時間などは以下の通りです。
<「総合技術監理部門を除く技術部門」の口頭試験内容>
試験内容 | 配点 |
---|---|
技術士としての実務能力 (コミュニケーション、リーダーシップ ) | 30点 |
技術士としての実務能力 (評価、マネジメント ) | 30点 |
技術士としての適格性 (技術者倫理) | 20点 |
技術士としての適格性 (継続研さん) | 20点 |
試験時間:20分(10分程度延長の場合あり)
<「総合技術監理部門」の口頭試験内容>
Ⅰ 必須科目
試験内容 | 配点 |
---|---|
技術士として必要な専門知識及び応用能力(体系的専門知識 ) | 40点 |
技術士として必要な専門知識及び応用能力(経歴及び応用能力 ) | 60点 |
試験時間:20分(10分程度延長の場合あり)
Ⅱ 選択科目
試験内容 | 配点 |
---|---|
技術士としての実務能力 (コミュニケーション、リーダーシップ ) | 30点 |
技術士としての実務能力 (評価、マネジメント ) | 30点 |
技術士としての適格性 (技術者倫理) | 20点 |
技術士としての適格性 (継続研さん) | 20点 |
試験時間:20分(10分程度延長の場合あり)
なお「総合技術監理部門」では、選択科目が免除される場合「Ⅰ」の必須科目のみの受験となります。
採点で見られるポイントは?
技術士2次試験の口頭試験では、主にコミュニケーション・リーダーシップ・評価・マネジメント能力の4項目が重要視されます。
技術的な面ももちろん重要ですが、業務を円滑に行えるかどうかを特に見られますので、知識をただ披露するのではなく、試験官が納得できるような受け答えを意識してください。
合格基準突破には6割以上の得点が必要!
技術士の口頭試験では、評価項目全てにおいて60%以上を満たさなくては合格できません。
60%以下の項目がひとつでもあると不合格になりますから、全ての質問にしっかり答えられるように準備をしておきましょう。
採点の手順としては、試験官が質問をし、それに対する答えが60点以上になれば次の質問に移ると言われています。もしくは「これ以上質問しても60点以上の答えは無い」と判断された場合も、次の項目に移るようです。
「聞かれた内容に対し、迅速に簡潔に答える」練習をしておくことが、技術士口頭試験突破のカギと言えるでしょう。
試験日程
技術士口頭試験は、2次試験の筆記の合格発表から1~3ヵ月の間に行われます。
どの時期に当たるかは通知されてみないとわかりませんが、最短で筆記の合格発表から1ヵ月後には口頭試験、となる可能性もあります。
準備期間がそれほど長く取れるわけではありませんので、それを考慮した上であらかじめ心積もりをしておいてください。
口頭試験の合格率はばらつきがある
技術士口頭試験の合格率を表にしました。まずはこちらをご覧ください。
<令和3年度 技術士部門別口頭試験合格率>
部門 | 合格率 |
---|---|
機械 | 69.5% |
船舶・海洋 | 75.0% |
航空・宇宙 | 83.0% |
電気電子 | 90.0% |
化学 | 96.0% |
繊維 | 100% |
金属 | 100% |
資源工学 | 75.0% |
建設 | 94.0% |
上下水道 | 92.5% |
衛生工学 | 91.1% |
農業 | 98.8% |
森林 | 96.7% |
水産 | 91.7% |
経営工学 | 100% |
情報工学 | 90.6% |
応用理学 | 91.1% |
生物工学 | 71.4% |
環境 | 85.7% |
原子力・放射線 | 100% |
総合技術監理 | 94.8% |
一般部門合計 | 91.8% |
全部門合計 | 92.2% |
上記の表を見ますと、技術士の口頭試験では基本的に9~10割、つまりほとんどの人が合格できていることがわかります。
筆記に合格した時点で技術士としての知識量は十分ですし、口頭試験は最後の確認レベルですので自信を持って臨んで構いません。とは言え、それ相応の準備は必要であることを覚えておきましょう。
口頭試験の面接対策方法
技術士の口頭試験では、主に「業務経歴票」「筆記試験の答案」「技術者倫理」についてが問われます。
これらの内容に対してどのように答えるかを想定しながら、面接対策をしていきましょう。
以下はそれぞれの項目の具体的な対策法です。
業務経歴票を作り上げる
業務経歴表に関する口頭試験では、実際の業務経歴表を見ながら「業務内容欄」「業務内容の詳細欄」について面接官から質問されます。
また、経歴や業務詳細についてのプレゼンを5分間で行わなくてはなりません。
上記の中では特に「業務内容の詳細欄」が重要となりますので、技術士としてふさわしい内容になっているかを意識して作成してください。
受け答えはしっかりと
技術士の口頭試験は、「問題点を抽出する能力」「解決案を立案し試行する能力」「実行を踏まれて改善案を考えることが出来る能力」が問われます。
受け答えの内容は技術士らしく高度な内容で、なおかつコミュニケーションやリーダーシップも発揮できることをアピールしなければなりません。経歴についても口頭でしっかり説明できるように準備してください。
業務経歴表の内容が分かりやすく作成できていない場合は、口頭試験で面接官から厳しい指摘が飛ぶことになります。あらかじめ面接を想定して明瞭に作成しておきましょう。
業務詳細についてを説明する際は、経歴表に書いた内容に補足を追加し、わかりやすく伝えるようにすると高評価につながります。
自分の筆記試験の解答を振り返っておく
口頭試験では2次試験の筆記の答案についても質問があります。
筆記の合格発表から口頭試験までは、最低でも1ヵ月の準備期間があります。自身の答案を見直しながら、わからなかった点やミスなどをしっかり確認しておいてください。
受け答えの際、適切な訂正や補足ができないと応用能力なしと見なされます。技術研鑽の気概があることをアピールするのは口頭試験の場しかありませんので、それを念頭に置いてしっかり準備を行ってください。
技術士の口頭試験は、筆記試験に合格している人しか受けられません。筆記に通っているということは技術士としての土台は整っています。自信を持って対応していきましょう。
技術士倫理・継続研鑽(CPD)を確認しておく
技術士の口頭試験では、時間・点数ともに半分が「技術士倫理」「技術士制度の認識」の内容になります。義務・責務・継続研鑽(CPD)といった内容について、自分なりの答えを用意しておくようにしてください。
上記の分野で聞かれることは、概ね一般的な内容です。想定問題集で準備しておけば合格ラインに達する受け答えができますから、セオリーに従って対策を進めましょう。
よくある質問に万全の対策をとる
技術士は、口頭試験において「よくある質問」が大体決まっています。
特に「技術士倫理」などは想定質問集からよく質問が出ますので、それぞれに合わせた回答をあらかじめ準備しておきましょう。定番の質問を逃さないようにしてください。
ただし、丸暗記するだけでは「ひねった質問」に対応できない場合もあります。全て論理的に理解した上で本番に臨んでください。
模擬面接で場数を踏む
どのような資格試験でも、面接は緊張するものですよね。
技術士の口頭試験についても、一人で対策をするのみではなく模擬面接を何度も行い、慣れておくようにしましょう。
周囲に同じ資格を目指す人がいれば互いに協力し合うと良いです。面接官役を頼める人がいない場合は、講座などの外部機関を利用して面接の練習をしてください。
実際に声に出して練習
一人で練習する時も、実際の面接と同じように声に出して練習を行ってください。頭の中で質問に対する答えを反芻するだけでは、いざ言葉にする時につまづいてしまいます。
ボイスレコーダーやスマホの録音機能などを利用し、自分の話した内容を聞き返した上で、客観的に分析しましょう。
答えの内容だけでなく声のトーンや大きさも重要です。しっかり聞き取れるかどうかもチェックしてください。
口頭試験で不合格になってしまう原因
技術士の口頭試験は、よほどのことが無い限りは9割近くの合格率になる試験です。
ここで不合格になってしまう大きな原因は、主に「沈黙」もしくは「欠席」です。
口頭試験で「沈黙」は厳禁
技術士はコンサルタントやエンジニアになるための資格ですので、口頭試験では、コミュニケーション能力が非常に重視されます。
そのため、質問に対して「黙る(沈黙する)」ことは一番のマイナスとなることを覚えておいてください。
わからない内容があった時も、それなりの受け答えが必要です。5秒以上黙ることの無いようにしましょう。
答案などの見直しはしっかりしておこう
口頭試験で「わからないこと」があるとすれば、それは筆記試験の振り返りが不十分な場合です。面接までに不明点を洗い出し、全て答えられるようにしましょう。
また、専門用語を使い過ぎたり倫理性が欠けていたりすると、業務経歴について正確に口述することができません。技術者倫理の理解が足りていない場合も、口述する内容に不足が出るので不合格になりやすいです。
この辺りは、模擬面接や講座などで第三者に指摘してもらえば改善できます。また経歴票をわかりやすく作成しておくと、面接官の質問内容をある程度こちらに優位になるよう誘導することができるでしょう。
「欠席」は当然NG
当たり前のことですが、口頭試験に欠席した場合は不合格となります。
技術士の口頭試験は、11月~1月という冬の寒い時期に行われます。風邪を引きやすい季節ですから、体調管理には気を配ってください。
大事な日に風邪を引いてしまうというのは、技術士としてだけでなく社会人としてもマイナスです。普段から摂生に努めていきましょう。
面接でピンチになったときの対策
ここまでの内容を網羅しても、面接でピンチに陥る場面もあることでしょう。
どうしても切り抜けられない状態に陥った場合の対策をご紹介いたします。
話す内容に困った場合
当日にならないと質問内容が分からない以上、いくら対策が万全でも話す内容が出てこないこともあると思います。
もし「質問の意味が分からなかった」という場合は、下手に取り繕わず素直に聞き返したほうが良いです。意図が理解できれば、答えもすぐに出てくることでしょう。
「質問に対する答えがわからない」場合は最も困りますが、この場合も面接官に素直に聞いてみると、助け船を出してくれるかもしれません。
技術士試験で大きく重視されるのは「コミュニケーション能力」です。わからないことを素直に聞く能力も評価される場合がありますので、面接官と上手にコミュニケーションを取りながら、ピンチを切り抜けてください。
緊張で頭が真っ白になった場合
口頭試験では、緊張により頭の中が真っ白になることもあるでしょう。特に自分にとって納得のいく回答ができなかった場合、突発的に脳内が白紙状態になることが考えられます。
まずはこのような時に思いつめないよう、心構えをしておいてください。当日の受け答えがうまくいかなかったとしても、「そういうこともある」とすぐに切り替えて次の回答に移ることができたほうが、面接官の印象も上がります。
また、気持ちを落ち着けるためには「深呼吸」が有効です。
面接中にあまり何度も深呼吸するわけにもいきませんが、1回深呼吸するだけでも気持ちを落ち着ける効果があります。ぜひ覚えておいてください。
技術士口頭試験の内容まとめ
技術士口頭試験の内容まとめ
- 技術士口頭試験は、筆記試験の答案や業務経歴票、技術者倫理についての質疑応答となる
- 全ての項目の合格基準を満たすと合格となる
- 口頭試験は筆記試験合格者のみが受けるため、合格率は9割以上とかなり高い
- 万全の対策を行って、落ち着いて当日を迎えよう
技術士の口述試験では、専門的な知識とコミュニケーション能力が問われます。専門知識については筆記試験で合格できているわけですから、落ち着いて挑めば合格はそう難しいものではありません。
模擬面接などで万全の対策をして、ぜひ一発合格を目指してくださいね!