技術士の合格率ってどれくらい?部門別や一次・二次試験ごとに難易度を解説!
「技術士試験の合格率ってどのくらいなの?」
「部門別の合格率は?一次と二次で難易度は違う?」
こんな疑問をお持ちの方もいるでしょう。
技術士試験には、一次試験と二次試験が存在します。受験資格のない一次試験は比較的合格しやすい試験と言えますが、4年以上の実務経験が必要な二次試験は最難関です。
今回は技術士試験の合格率について、部門別合格率や一次・二次それぞれの合格率などを詳しく解説します。
これを読めば、二次試験の難易度の高さや勉強方法などがよく分かるはずです。
技術士試験の合格率についてざっくり説明すると
- 一次試験の合格率は40〜50%程度
- 近年の二次試験における合格率は10%前後
- 独学での合格は諦めて通信講座を利用するのもおすすめ
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技術士試験合格率の推移
以下では技術士試験合格率の推移を、様々な観点から確認してみましょう。
一次・二次試験合格率の推移
技術士は五大国家資格に数えられる難関資格の一つです。技術士試験は文科省令で定められた技術部門ごとに実施されますが、特に科学技術系は最難関になります。
また技術士試験では一次試験と二次試験が行われ、一次試験に合格すると技術士補、二次試験に合格すると技術士になる資格を得ることが可能です。
二次試験を受験するには4〜7年の実務経験が必要であり、受験ハードルも高い国家試験と言えるでしょう。
ちなみに例年一次試験には2万人、二次試験には3万人前後が受験する人気ぶりです。
以下では一次試験と二次試験、それぞれの合格率の推移を紹介します。
一次試験合格率の推移
2013~2022年の全部門総合の合格率推移は以下のとおりです。
上記を見ると、技術士の一次試験の合格率は例年40〜50%前後で推移していることが分かります。
部門によって難易度は異なりますが、全体としては比較的合格率の高い試験と言えるでしょう。
ただし、合格率が30%台に落ち込んでいる年度もあるため、特別合格しやすい試験とは言えません。
二次試験合格率の推移
二次試験の2013~2022年の全部門総合の合格率推移は以下のとおりです。
一方で二次試験の合格率は10%台です。特に平成30年度・令和元年度は10%前後のため、かなり低い水準と言えます。
技術士の二次試験には、実務経験のある猛者ばかりが受験するのにも関わらず、そのうちの9割程度が不合格になるということです。よって極めて難易度の高い試験と言えるでしょう。
部門別の合格率一覧
以下では令和元年度試験における部門別の合格率を、一次・二次に分けてそれぞれ紹介します。
一次試験の部門別合格率
令和4年度の技術士第一次試験における部門別合格率は以下の通りです。
部門 | 令和4年度合格率 |
---|---|
機械 | 41.5% |
船舶・海洋 | 47.4% |
航空・宇宙 | 56.4% |
電気電子 | 36.5% |
化学 | 55.2% |
繊維 | 53.7% |
金属 | 35.7% |
資源工学 | 82.4% |
建設 | 41.2% |
上下水道 | 41.0% |
衛生工学 | 50.7% |
農業 | 43.0% |
森林 | 37.8% |
水産 | 32.3% |
経営工学 | 58.5% |
情報工学 | 63.9% |
応用理学 | 40.2% |
生物工学 | 34.5% |
環境 | 39.3% |
原子力・放射線 | 52.9% |
全体 | 42.1% |
上記を見ると、一次試験の合格率には大体30〜75%の幅があることが分かります。
生物工学部門と資源工学部門では合格率に45ポイント以上差があるため、部門によって難易度の差が激しい試験と言えるでしょう。
二次試験の部門別合格率
続いて令和4年度技術士第二次試験の部門別合格率を紹介します。
部門 | 令和4年度合格率 |
---|---|
機械 | 17.5% |
船舶・海洋 | 27.3% |
航空・宇宙 | 20.0% |
電気電子 | 9.7% |
化学 | 18.5% |
繊維 | 27.3% |
金属 | 19.8% |
資源工学 | 14.3% |
建設 | 9.7% |
上下水道 | 10.2% |
衛生工学 | 11.6% |
農業 | 12.2% |
森林 | 15.9% |
水産 | 13.5% |
経営工学 | 14.7% |
情報工学 | 12.7% |
応用理学 | 13.6% |
生物工学 | 17.2% |
環境 | 12.8% |
原子力・放射線 | 16.7% |
総合技術監理 | 18.3% |
全体 | 11.7% |
以上より、二次試験の合格率には7〜30%ほどの幅があることが分かります。
船舶・海洋部門や金属部門は比較的合格しやすいと言えますが、それでも合格率30%程度です。また電気電子部門や建設部門の合格率は10%を下回るため、かなり難しい試験だと言えます。
他技術系資格試験の合格率との比較
例えば、他の技術系資格の合格率は以下の通りです。
資格 | 合格率 |
---|---|
第一種電気主任技術者試験 | 15〜20% |
一級建築士 | 20%前後 |
無線従事者試験 総合無線通信士1級 | 6.5% |
上記と技術士の二次試験を比較すると、第一種電気主任技術者と一級建築士よりは合格率が低く、総合無線通信士1級よりは合格率が高いことが分かります。
事実、技術士は総合無線通信士1級に次ぐ難関資格です。よって、各部門の専門家として最前線で活躍したいという人におすすめできます。
技術士二次試験の合格率が低い理由3選
技術士は一次試験の合格率こそ平均的であるものの、二次試験の合格率はかなりの低水準です。以下ではその理由を解説します。
仕事と両立して勉強する必要がある
技術士二次試験は受験資格として実務経験が必要です。そのため、多くの受験者は実務経験を積むために、働きながら試験の勉強を続けることになります。
よって、試験勉強だけに集中できる受験者層が多い資格試験に比べると、合格率は必然的に低くなってしまします。中には試験前日に夜遅くまで働き、眠気まなこで試験に臨む人もいるようです。
またそのような受験者層が多いため、そもそも受験を断念する人もいます。二次試験受験申込者のうち、約20%は試験を受けません。
なお、この記事で紹介している合格率は、全て「受験者数に対する合格率」です。なので「断念する人が多いから実質の合格率はもっと高い」というようなことはありません。
学習範囲が非常に広い
技術士二次試験では、筆記試験と口頭試験が実施され、各部門の専門知識だけではなく、現在の社会状況も踏まえた幅広い知識が要求されます。
よって、勉強しなければならない範囲が広いので、試験勉強は大変です。そのため、合格率は必然的に低くなります。
ちなみに一次試験は基礎科目・適性科目・専門科目という構成で、こちらも学習内容は広範囲です。合格率で平均的であるものの、対策は比較的厄介と言えるでしょう。
技術士第二次試験の構成
技術士第二次試験の構成は以下のようになっています。
試験 | 内容 | 試験時間 |
---|---|---|
筆記試験・必須科目 | 「技術部門」全般の専門知識・応用能力・問題解決能力・課題遂行能力が試される | 2時間 |
筆記試験・専門科目 | 「専門科目」に関する専門知識及び応用能力・問題解決能力及び課題遂行能力が試される | 3時間30分 |
口頭試験 | 筆記試験の合格者のみ受験する・技術士としての適格性が判定される | 20分 |
なお、専門科目に関しては「技術士第二次試験の科目表」を参照して下さい。
出題形式が論述・口頭試験のため対策が困難
技術士二次試験における筆記試験は論述形式で行われます。また口頭試験も対策がしにくい試験なので、合格率が低い要因と言えるでしょう。
論述試験
二次試験の筆記は論述式で、原稿用紙2、3枚の小論文を書くという試験です。そのため、知識だけではなく、文章の構成力や論理的で明解な表現力なども必要になります。
マークシートなどのように答えが一つに決まるわけではないので、試験勉強の際に正しい答案であるかどうかの判定がしにくいということも難点です。
口頭試験
口頭試験では、自身の経歴や論述試験の答案などについての質問を通して、技術士としての適性が評価されます。
年々厳格化が進んでいるというも言われており、部門によっては半数近くが落とされることもあります。そのため、筆記試験に合格しても油断はできません。
口頭試験は事前に作成する実務経歴票に基づいて行われるため、面接官の質問を上手く誘導できるような経歴票にするというテクニックも必要です。
また面接官の質問に的確に答えたり、自分の魅力をより良くアピールするには、コミュニケーション能力やプレゼンスキルが欠かせません。
こちらも論述試験同様、一人では客観的な評価が難しく、対策がしにくいというデメリットがあります。
近年は合格率が低下傾向にある?
近年の技術士試験は難易度が徐々に上昇しています。これから技術士試験に挑戦するという方は以下の内容を参考にして下さい。
合格率と難易度の関係に注意しよう
試験の難易度を決める要因は合格率だけではありません。
例えば、国立大学の二次試験はセンター試験(現在は大学入学共通テスト)によって予め受験者の選抜が行われます。
そのため、二次試験の倍率は概ね一定です。つまり合格率はどの大学もあまり変わらないことになります。
もし「合格率=難易度」という図式が成り立つなら、偏差値70の大学と偏差値40の大学は同じ難易度であることになってしまいます。
よって「合格率が高いから簡単」「合格率が低いから難しい」とは、一概には言えないのです。
受験者のレベルが重要
試験の難易度を測る上で重要になるのが、受験者のレベルです。合格率が同じ二つの試験があった場合、受験者のレベルがより高い方が難易度も高くなります。
上記の国立大学二次試験の例で言うと、偏差値70の大学の受験者は偏差値40の大学の受験者よりも、センター試験の成績が良いはずです。
以上を踏まえると、技術士の二次試験は相当難易度が高いことになるでしょう。二次試験には最低でも4年以上は実務経験を積んだ実力者ばかりが受験するからです。
試験は年々難化傾向に
近年技術士第一次試験の合格率は若干の上昇傾向にある一方、二次試験は一貫して合格率が下がり続けています。
令和元年度技術士第二次試験の合格率は11.6%でしたが、将来的には8%まで合格率が下がるのではないかと言われています。
上記で解説した通り、二次試験は受験者レベルの高い試験です。そのため、合格率8%というのは相当高い難易度であると言えるでしょう。
技術士第二次試験の合格率の推移
過去10年間における技術士第二次試験の合格率(21部門の合計)は以下のような推移を見せています。
年度 | 合格率 |
---|---|
平成24年度 | 13.7% |
平成25年度 | 16.4% |
平成26年度 | 15.1% |
平成27年度 | 14.7% |
平成28年度 | 14.6% |
平成29年度 | 13.3% |
平成30年度 | 9.1% |
令和元年度 | 11.6% |
令和2年度 | 11.9% |
令和3年度 | 11.6% |
令和4年度 | 11.7% |
上記より、ここ4年はかなり合格率が低くなっていることが分かります。平成30年度には10%を下回っているため、合格率が一桁の試験だと思って対策するのが良いでしょう。
技術士の実際の難易度
ここからは勉強時間や勉強方法なども含めて、技術士の難易度をさらに深堀してみましょう。
技術系資格の中では最難関
技術士は特定の技術部門において最先端での活躍が期待される者に与えられる資格です。そのため、難易度が高いのはある意味当然とも言えるでしょう。
実際、科学技術系の資格の中では最も難しい部類になります。
しかし、取得するのが難しい分、資格によって得られるメリットもまた大きいです。周囲から信頼されやすくなるのはもちろん、大規模なプロジェクトに携わるなど仕事での活躍の幅も広がるでしょう。
また技術士を取得すれば年収アップも期待できます。技術士の年収は650万円前後とも言われており、一般のサラリーマンと比較すると収入が高い職業です。
十分な勉強時間が求められる
技術士を取得するまでには、一般的に1,100〜2,000時間程度の勉強が必要と言われています。そのため、働きながら数年がかりで合格を目指すことになるでしょう。
また全ての技術士にはCPD(継続研磨)の責務が課せられているため、資格取得後も勉強を続けなければいけません。
勉強のモチベーション維持も重要
独学での試験勉強ではモチベーション維持が課題になります。特に技術士を取得するには、相当の勉強期間が必要です。
勉強時間の目安は1,100〜2,000時間なので、毎日1時間勉強したとしても3年程度はかかることになります。
そのため、モチベーションを上手くコントロールできる人でなければ、途中で挫折してしまうこともあるでしょう。
無理して独学合格を目指さない
技術士試験は学習範囲が広いため、長期間の勉強が必要です。また論述試験や口頭試験があり、一人では対策の難しい試験でもあります。
そのため、無理に独学での合格を目指す必要はないでしょう。上記で解説した通り、独学で数年間モチベーションを維持するのは困難です。
特に論述試験や口頭試験の対策にはコツがあるので、独学でそのコツが掴めなければ挫折してしまう危険があります。
独学で数年間勉強できるかどうか不安な場合は、むやみに時間とお金を浪費する前に、通信講座など別の方法を検討するのも良いでしょう。
通信講座がおすすめ
技術士は多くの勉強時間が長く、難易度も高いことから独学での勉強は難しいことから、通信講座での学習をおすすめします。
通信講座では、難しい内容もわかりやすく説明してくれる講義やテキストはもちろん、学習ツールが豊富だったりとスムーズに試験勉強を進めるサポートが豊富であることが多いです。
よって、通信講座で勉強をすることで効果的に実力を身につけることが可能なのです。
資格Timesでは、数ある技術士の通信講座の中でも特にスタディングの講座をおすすめします。
スタディングは技術士試験でも特に勉強が必要な二次試験に特化した講座を開講しており、最大の売りはスマホ学習機能の充実です。
スマホ一つでわかりやすい講義はもちろん、確認テストで復習したり学習スケジュールを練ったりと、スマホでの学習利便性が極めて高いです。
技術士を受験する人の多くは仕事の忙しい社会人であることから、スキマ時間での学習ニーズが高く、この機能が役立つこと間違いなしです。
ぜひ、スタディングの技術士講座で勉強を始めてみてはいかがでしょうか?
技術士試験の合格率についてまとめ
技術士試験の合格率についてまとめ
- 二次試験では論述試験と口頭試験が行われる
- 合格には1,100〜2,000時間の勉強が必要
- 独学はモチベーション維持が難しい
技術士試験の合格率について解説しました。
技術士一次試験の合格率は40〜50%程度です。そのため、独学でも比較的合格しやすい試験と言えるでしょう。
一方で二次試験の合格率は10%台という低水準です。二次試験には実務経験を積んだプロばかりが受験するため、かなり難しい試験と言えるでしょう。
試験合格までに必要な勉強時間は1,100〜2,000時間で、働きながら数年がかりで合格を目指すことになります。
特に二次の論述試験と口頭試験は対策がしにくいので、独学では途中で挫折してしまう可能性もあるでしょう。
そのため、無理して独学での合格を目指すのではなく、通信講座の活用がおすすめです。
是非技術者試験の合格を目指してみてください!