消防設備士の合格率は?甲種と乙種の種類別難易度や人気の乙6についても解説

「消防設備士の資格に興味があるけど、実際どれくらい難しいの?」

この記事を読んでいる人の中には、そんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

消防設備士はビル管理会社などで需要が多く、役立つ資格の一つと言われていますが、きちんと勉強すれば無理なく取得できる資格なのです。

この記事では消防設備士試験の難易度や合格率、勉強法などを詳しく解説していきますのでぜひ、参考にしてください。

消防設備士の合格率についてざっくり説明すると

  • 消防設備士の合格率は30~40%
  • 甲種と乙種の2つに分かれ、難易度は甲種の方がやや高い
  • 乙種は受験資格がない
  • 消防設備士の資格があるとビル管理で活躍できる

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消防設備士資格の合格率はどのくらい?

クエスチョンマークとビックリマーク

消防設備士の資格は大別すると甲種と乙種の2種類です。

甲種は消防用設備等または特殊消防用設備等(特類の資格者のみ)の工事、整備、点検ができ、乙種は消防用設備等の整備、点検を行うことができます。

甲種と乙種では試験の内容と難易度が、同じではありません。よって合格率にも違いが見られます。

それでは、甲種と乙種に分けて合格率について詳しく見ていきましょう。

消防設備士甲種・乙種の合格率

消防設備士の甲種では、1類から5類に加えて、特類という分類があります。それぞれ合格率は異なりますが、甲種全体の合格率は大体30%前後です。

消防設備士の乙種では、1類から7類までが存在し、乙種についてもそれぞれで合格率が異なり、大体38%程度になります。

そのため基本的には「甲種が乙種の資格の上位にあたり、より難易度も高くなる」という認識で問題ないです。

資格の種類別の合格率

グラフを指差す女性

消防設備士の資格は甲種と乙種に分かれており、それぞれ合格率が違います。ここでは合格率の推移を中心に解説をしていきましょう。

消防設備士第1類の合格率

消防設備士第1類の資格には甲種1類と乙種1類があります。第1類の消防設備士は主に消火栓やスプリンクラーなどの水系消防設備の点検・整備・工事を行うことのできる資格です。

それぞれ受験資格や出題内容、合格率が違いますので、それぞれ詳しく解説をしていきます。

甲種1類

下記のような学歴・資格・経験のいずれかに該当する場合、甲種の資格試験を受験することが出来ます。

必要条件 内容
学歴 大学、短期大学、又は高等専門学校(5年制)において機械、電気、工業化学、土木又は建築に関する学科又は課程を修めて卒業した者
資格 甲種消防設備士(甲種1類以外)・電気工事士・電気主任技術者・技術士のいずれか
経験① 消防設備工事の補助者として5年以上の経験者
経験② 乙種消防設備士として2年以上の消防設備の点検・整備の経験者

このように消防設備士甲種の資格試験を受験するには、学歴や国家資格(甲種消防設備士や電気工事士等)、実務経験などの受験資格が必要となるのです。

甲種1類の合格率は、近年では以下のようになっています。

実施年度 甲種1類の合格率
令和4年度 22.4%
令和3年度 28.8%
令和2年度 31.2%
令和元年度 26.3%
平成30年度 27.5%

甲種1類の平均合格率は27.2%であり、他の消防設備士の試験と比較して高めの難易度であることが分かります。

乙種1類

乙種1類の合格率は、近年ではこのようになっています。

実施年度 乙種1類の合格率
令和4年度 29.2%
令和3年度 34.8%
令和2年度 33.8%
令和元年度 26.3%
平成30年度 31.4%

乙種1類の平均合格率は31.1%となっており、乙種試験の中では難しめになっています。

消防設備士第2類の合格率

消防設備士の第2類は、泡消火設備を点検・整備・工事するために必要な資格です。ここでは甲種2類と 乙種2類の合格率の推移について、解説をしていきます。

甲種2類

甲種2類の合格率は以下のようになっています。

実施年度 甲種2類の合格率
令和4年度 29.5%
令和3年度 35.7%
令和2年度 33.2%
令和元年度 36.2%
平成30年度 35.6%

甲種2類の平均合格率は34.0%で、甲種試験の中では最も高い合格率となっています。

乙種2類

続いて、乙種2類の合格率を見ていきましょう。

実施年度 乙種2類の合格率
令和4年度 34.3%
令和3年度 35.4%
令和2年度 37.5%
令和元年度 37.3%
平成30年度 35.3%

乙種2類の平均合格率は36.0%となり、乙種試験の中では平均的です。甲種とも合格率では大差ありません。

消防設備士第3類の合格率

消防設備士の第3類は、二酸化炭素や窒素などのガスや、粉末を用いて消火をする設備を、点検・整備・工事するための資格です。

こちらでも甲種3類と乙種3類、それぞれの合格率を見ていきます。

甲種3類

まずは甲種3類の合格率を見ていきましょう。過去5年間の推移は以下の通りです。

実施年度 甲種3類の合格率
令和4年度 32.0%
令和3年度 38.5%
令和2年度 39.8%
令和元年度 38.3%
平成30年度 39.0%

甲種3類の平均合格率は37.5%であるため、甲種試験の中ではちょうど真ん中の難易度であると言えます。

乙種3類

次に乙種3類の資格試験の合格率を見ていきます。

実施年度 乙種3類の合格率
令和4年度 29.9%
令和3年度 36.4%
令和2年度 34.1%
令和元年度 27.5%
平成30年度 35.8%

乙種3類の平均合格率は32.7%で、甲種3類よりも低い合格率です。乙種試験の中でも最も合格率が低く、難易度は高めの試験となっています。

消防設備士第4類の合格率

消防設備士の第4類は、火災報知設備の点検・整備・工事を行うために必要な資格です。

4類の資格保持者は需要が多いため、消防設備士資格の中では特に取得することをおすすめします。

甲種4類

まずは甲種試験の合格率から見ていきましょう。

実施年度 甲種4類の合格率
令和4年度 34.8%
令和3年度 37.8%
令和2年度 37.2%
令和元年度 33.6%
平成30年度 32.4%

甲種4類の平均合格率は35.2%であり、甲種試験の中では比較的取りやすい資格であると言えます。

乙種4類

続いては乙種の合格率です。

実施年度 乙種4類の合格率
令和4年度 34.4%
令和3年度 35.9%
令和2年度 35.4%
令和元年度 33.0%
平成30年度 32.4%

乙種4類の平均合格率は34.2%と乙種試験の中では低めであり、甲種4類とも大差はありません。

同様にそこまで難易度の高い試験ではないと言えるでしょう。

消防設備士第5類の合格率

消防設備士の第5類は、建物内で火災が起きたときに、避難するときに使用する避難器具を点検・整備・工事するために必要な資格です。

甲種5類と乙種5類の合格率の表はこちらになります。

甲種5類

まずは甲種5類の合格率から紹介していきます。過去5年間の推移は以下の通りです。

実施年度 甲種5類の合格率
令和4年度 35.6%
令和3年度 37.1%
令和2年度 38.2%
令和元年度 34.1%
平成30年度 35.2%

甲種5類の平均合格率は36.0%となっており、甲種消防設備士試験の中では簡単な部類に入ると言えます。

乙種5類

続いて乙種5類の合格率を紹介します。

実施年度 乙種5類の合格率
令和4年度 38.6%
令和3年度 38.6%
令和2年度 42.9%
令和元年度 35.9%
平成30年度 39.1%

乙種5類の平均合格率は39.0%と乙種の中でも高めであり、このことからも、やはり5類という分野の試験が簡単であることが分かります。

消防設備士甲種特類の合格率

消防設備士特類は、総務大臣の認定を受けた特殊消防用設備等を、点検・整備・工事するための資格で、消防設備士試験の中で最高ランクの資格となります。

消防設備士特類の合格率はこちらの表です。

甲種特類

実施年度 甲種特類の合格率
令和4年度 30.3%
令和3年度 29.6%
令和2年度 27.0%
令和元年度 21.3%
平成30年度 23.9%

平均合格率が26.4% となっており、消防設備士資格の中では圧倒的に低いです。後述する受験資格の厳しさもあり、最も難しい試験であると言えます。

消防設備士乙種6類の合格率

消防設備士の第6類は、消化器を点検・整備するための資格で、数多くある消防設備士の中でも、1番受験者数が多い人気資格です。

第6類には乙種しか存在していません。つまり消化器については工事を行うことはできないということになります。

消化器は身の回りで多く見かけるものであり、数ある消防設備の中でも圧倒的な設置数を誇るので、最も仕事の需要は多いです。

そのため、特に取得をおすすめする資格であると言えます。合格率については、以下の通りです。

乙種6類

実施年度 乙種6類の合格率
令和4年度 38.8%
令和3年度 40.6%
令和2年度 42.7%
令和元年度 38.3%
平成30年度 40.0%

乙種6類の平均合格率は40.1%と乙種試験の中でも標準的で取得しやすいので、初学者はこの試験から取得することがおすすめします。

消防設備士乙種7類の合格率

消防設備士第7類は、漏電火災報知器の点検・整備を行うために必要な資格です。

第7類についても乙種しか存在しておらず、工事を行うことはできません。合格率の表はこちらになります。

乙種7類

実施年度 乙種7類の合格率
令和4年度 59.6%
令和3年度 57.3%
令和2年度 57.0%
令和元年度 57.4%
平成30年度 58.7%

乙種7類の合格率は平均して58.0%となり、消防設備士試験の中でも非常に簡単な部類に入ります。

消防設備士の難易度は標準からやや簡単

OKのサイン

消防設備士の資格は押し並べて、標準からやや簡単の部類です。基本的には「乙種→甲種→甲種特類」の順で難しくなっていく傾向にあります。

以下で、消防設備士資格の偏差値や受験資格、試験範囲などについて、詳しく見ていきましょう。

消防設備士資格の偏差値

消防設備士試験の偏差値は、乙種・甲種・甲種特類の3種類で大きく異なるのが特徴です。

実技試験の製図の難易度が高いため、乙種より甲種の方が難易度が高めに設定されていると言えます。

資格種類 偏差値
乙種 偏差値45(簡単)
甲種 偏差値50(標準~簡単)
甲種特類 偏差値52(標準)

似たような偏差値や難易度の資格として、「危険物取扱者の乙種」や「言語聴覚士」、「電気工事士」などが挙げられます。

乙種のみ受験資格がない

上記したように消防設備士の資格試験の中では、甲種にのみ受験資格が存在します

甲種の試験には、「その他の消防設備士資格や電気工事士などと言った国家資格の所持」「 機械・電気・土木関係の大学、専門学校の卒業」などの要件があります。

さらに、甲種特類となると、消防設備士甲種の資格を複数取得している必要があるため、より受験のハードルが高くなるのが特徴です。

資格の種類ごとの試験範囲

乙種と甲種の筆記試験の出題範囲は同じですが、問題数に差が見られます。

実技試験に関しては乙種は鑑別等だけですが、甲種には製図が追加され、出題数も甲種の方が多く難易度が高)です。

乙種と甲種の2通りに分けて、試験詳細について解説をしていきましょう。

乙種の試験範囲

乙種の試験は計35問あり、試験の出題範囲は以下の表のようになっています。

乙種の試験科目 出題数
消防関係法令(筆記試験) 10
基礎的知識(筆記試験) 5
構造・機能・整備(筆記試験) 15
鑑別等(実技試験) 5

甲種の試験範囲

甲種の試験は計52問あり、試験の出題範囲は以下の表のようになっています。

甲種の試験科目 出題数
消防関係法令(筆記試験) 15
基礎的知識(筆記試験) 10
構造・機能・整備(筆記試験) 20
鑑別等(実技試験) 7

特に甲種で出題される「製図」については難易度が高く、鬼門となるので確実な対策が必要です。

甲種特類の試験範囲

甲種特類の試験は計45問あり、試験の出題範囲は以下の表のようになっています。

甲種特類の試験科目 出題数
工事設備対象設備などの構造・機能・工事・設備(筆記試験) 15
火災及び防火(筆記試験) 15
消防関係法令(筆記試験) 15

消防設備士資格の合格基準

消防設備士資格の合格基準は、試験内容や難易度、合格率にかかわらず同じなのが特徴です。

合格基準は筆記試験では「科目ごとの出題数で40%以上の正答率かつ、全体で60%以上の正答率」となっています。

また実技試験では60%以上の正解率が必要ですが、問題数が少ないため、一問あたりの比重がどうしても重くなってしまうのが、難点と言えるでしょう。

部分点を少しでも取り点数を増やすためには、確実な対策が必要となっています。

乙種の試験対策・勉強方法

ノートを取る男性

消防設備士試験では、資格ごとに合格率や難易度、試験内容が変わるので対策方法も変わってきます。

ここでは乙種の試験対策・勉強方法について、詳しく解説をしていきます。

学習期間は最低2ヶ月は確保する

乙種を受験する人の場合、1〜2ヶ月前から学習を始めるという人が大半です。

ただしこれは一つの目安であり、受験したい資格試験の種類の合格率によって、各自でしっかりと調整をしなくてはなりません。

例えば比較的簡単な乙種7類を受ける人であれば、1ヶ月以内で済む場合もあります。さらに、受験者それぞれの知識量によっても設定すべき学習期間の長さは変わってきますので、自分の状況としっかり相談するようにしましょう。

乙種では暗記分野を重点的に

乙種試験は筆記試験が中心となるので、より暗記分野に力を注ぐ方が合格しやすくなります。

ここでは、今すぐ試せる暗記の上手なやり方や、コツについて解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

5感を活用してテキストを覚える

手だけではなく、5感をフルに使って暗記をすることで、テキストの内容が脳にインプットされやすくなります。

そのため、テキストを声に出しながら暗記するなどと言った方法が非常に効果的であるのです。

さらに、このようにして何回も繰り返すことで、さらに知識が定着しやすくなる、というメリットもあります。

勉強を行う時間帯も大切

暗記科目の学習にはとにかく「繰り返し行うこと」が大切です。通勤時間や休憩時間などの隙間時間を、上手く活用するようにしましょう。

さらに、寝る直前に日中行った暗記科目の復習を行うと、覚えたことが脳に記憶されやすいので、おすすめの勉強法と言えます。

初めての人は乙6から受験しよう

乙種6類の資格では主に消化器についての点検・整備を行います。

消化器は消防設備の中でも設置数が非常に多く、そのため仕事が豊富で、需要が多い資格です。消防設備士の資格の中では乙6は最も人気があり、特におすすめの資格となります。

また、乙種であるため受験資格がなく、さらに合格率もそこまで低くないという点がメリットです。このような理由もあり、乙6はコストパフォーマンスの良い資格と言えます。

特にビルメンで需要がある

消防設備士の資格を取得した人が目指す人の多い職場としては、「ビルメンテナンス会社」が挙げられます。

オフィスビルや商業ビルなどを管理するビルメンテナンスでは、保守業務の一環として消火器を点検することがあります。

乙種6類の資格では主に消化器についての点検や整備を行うため、ビルメンテナンスの仕事で最大限に活かすことができるのです。

ビルメンで活躍できる資格としては、他に「第ニ電気工事士」「2級ボイラー技士」「危険物取扱者乙4類」「消防設備士甲種4類」などがあるため、それらの取得も同様におすすめします。

甲種の試験対策・勉強方法

リンゴと本とハサミ

甲種は乙種よりも難易度が高い試験なので、合格するためには対策もきちんと取らなくてはなりません。

ここでは、甲種の試験対策について詳しく解説をしていきます。

学習期間は3ヶ月以上に設定しよう

甲種の資格試験は乙種に比べて合格率が低く、内容も専門的なものになので、より長い学習期間が必要になります。

そのため甲種の受験者は「少なくとも3ヶ月以上は学習をした」という人が多いのが特徴です。

特に、甲種特類は合格率が非常に低く、別格の難易度を誇るので、より長い学習期間を設定すべきであると言えます。

甲種では実技試験対策が合格の鍵

甲種試験においては実技試験の対策がとても重要です。この対策次第で、合格できるかが決まると言っても過言ではありません。

そのため、甲種試験では特にこの部分を重点的に行うべきなのです。おすすめの学習の配分としては、筆記試験:実技試験=4:6くらいの配分で学習をすると良いでしょう。

筆記試験以上に実技試験では、回答の正確さとスピードが求められるので、ちょっと多めに対策をしておくことをおすすめします。

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過去問もフル活用して合格を目指す

どの資格試験でも基本的にそうですが、消防設備士の試験でも過去問や練習問題を生かしたアウトプットによる勉強法が、大変効果的です。

乙種・甲種の過去問はともに「一般財団法人消防試験研究センター」のホームページなどからダウンロードできますので、ぜひ活用してください。

また、練習問題についてもネットで検索することで、例題を解いてみることができるので、試してみると良いでしょう。

甲種4類の取得が最もおすすめ

甲種4類は火災報知器の扱いを専門としていますが、火災報知器は消化器と同じほど施設や建物の設置数が非常に多いので、需要が高い資格として人気があります。

また甲種4類の資格は、甲種試験の中でも比較的取りやすいため、取得難易度に対して効果が大きい資格です。そのため、甲種資格の中では一番のおすすめであると言えます。

通信講座を利用して確実な対策を

消防設備士試験には独学で挑戦するという人もいますが、合格率が30~40%と、半数以上の人は不合格となる難しさの試験であることを踏まえた対策が必要です

通信講座にはこれまでに出題された問題の分析や初学者の段階からでも理解しやすいように設計されたカリキュラムといったように確実に合格するためには欠かせない要素が詰まっています。

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消防設備士の合格率まとめ

消防設備士の合格率 についてまとめ

  • 消防設備士の難易度は標準からやや簡単
  • 甲種と乙種の2種類あり、甲種の方が難しい
  • 消防設備士の資格があるとビル管理で活躍できる

消防設備士の合格率について、資格の種類や難易度、合格率の推移などについて解説をしてきました!

消防設備士の資格を取得するのは、決して簡単ではありません。種類により難易度が異なりますが、取得していればビル管理の仕事に就く時など、就職活動の際にも有利となる資格です。

これからも需要が見込める魅力的な資格である消防設備士を、ぜひ取得してみてはいかがでしょうか。

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