消防設備士の乙7の特徴や難易度は?実技の対策法や電気工事士・乙6の免除まで解説!

消防設備士乙7の特徴って?

試験は難しい?一部免除の内容は?

などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。

消防設備士乙7は、漏電火災報知器の整備・点検に関する資格です。合格率が高く、消防設備士の中では最も取得しやすい資格と言えるでしょう。

実は乙7の難易度の低さには、他の消防設備士や電気工事士を保有していることによる一部免除が関係しています。

今回は消防設備士乙7の特徴及び難易度について、一部免除の内容や対策法を含めて解説します。

これを読めば、あなたも乙7を取得してみようという気になるはずです。

消防設備士乙7の特徴や難易度についてざっくり説明すると

  • 合格率は60%程度
  • 電気工事士免状があれば実技試験が免除になる
  • 独学でも1週間勉強すれば合格可能

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消防設備士乙7ってどんな資格?

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まずは消防設備士乙7の概要をお伝えします。

乙種にのみ存在する分類

消防設備士の資格には甲種と乙種が存在します。消防設備士甲種は1類〜5類、特類の6種類なのに対し、消防設備士乙種は1類〜7類の7種類です。

つまり6類・7類に関しては、乙種特有の分類になります。

ちなみに各類で扱える消防用設備等は、甲種・乙種共通です。両者の違いですが、乙種は対象となる消防用設備等の整備・点検のみを行うのに対し、甲種は設備工事も行うことができます。

漏電火災報知器を主に扱う

消防設備士乙種7類は、「漏電火災警報器」の整備・点検を独占的に行うための資格です。

消防法では、ラスモルタル造りの建築物への漏電火災警報器の設置義務が明記されいます。また絶縁監視の目的でマンションのキュービクルなどに漏電火災警報器が用いられることもあるようです。

このように乙7は一定の需要のある資格と言えます。ただし、あくまで乙種なので、整備・点検はできても工事を行うことはできません。

消防設備士免状の種類と対象設備等

各消防設備士免状が扱える消防用設備等は以下の通りです。

消防用設備等
甲種 特類 特殊消防用設備等
甲種・乙種 第1類 屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消化設備など
第2類 泡消火設備・パッケージ型消火設備・パッケージ型自動消火設備
第3類 不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備など
第4類 自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備など
第5類 金属製避難はしご・救助袋・緩降機
乙種 第6類 消火器
第7類 漏電火災警報器

乙7の試験の特徴

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ここからは乙7試験の特徴について、受験資格や試験範囲・出題数、試験日程などを解説します。

乙種なので受験資格はない

乙種消防設備士試験には受験資格がありません。よって乙7は誰でも受験することができます。

また消防設備士試験には一部免除の制度がありますが、乙7は特に免除される科目の多い試験です。

他の消防設備士資格や電気工事士などの資格があれば、受験する科目をかなり減らすことができます。そのため、乙7はそれらの資格を取得した後に受験するのがおすすめです。

乙7の試験範囲と出題数

消防設備士乙種7類の試験科目及び出題数は以下の通りです。計35問が出題されます。

乙種7類の試験科目 出題数
消防関係法令(筆記) 10
基礎的知識(筆記) 5
構造・機能・整備(筆記) 15
実技試験 5

試験時間は1時間45分ですが、免除を受けた場合はそれに応じて試験時間が短縮されます。免除を受ける際には、この点に注意しましょう。

試験日程や受験費用等の情報

乙種7類の試験日程や受験費用等の詳細は以下の通りです。

  • 試験日程:都道府県ごとに不定期に実施されるので要確認
  • 受験費用:3,800円
  • 申請先: 一般財団法人 消防試験研究センター
  • 合格発表:ネットでの発表と結果通知書

前期試験は4月〜9月、後期試験は10月〜3月に実施されます。

試験は各都道府県で実際されますが、試験が複数回実施されるところもあれば、一度しか行われない都道府県もあるので注意しましょう。

試験日程の詳細はこちらで確認してください。

また試験手数料は郵便局の窓口にて振り込みます。

申請方法は書面申請と電子申請の2通り

乙7は書面申請もしくは電子申請で、受験の申請を行うことが可能です。

書面申請の場合は、以下の書類を揃えた上で、東京・中央試験センターもしくは消防試験研究センター・各道府県支部に申請を行います。

  • 受験願書
  • 消防設備士免状のコピー(他の消防設備士を取得している場合)
  • 免除の資格を証明する書類等(一部免除を受ける場合)
  • 郵便振替払込受付証明書

ちなみに消防設備士試験は、在住の有無などに関わらず、希望する都道府県で受験することが可能です。申請手続きや受験会場などの詳細は、受験を希望するセンター支部に問い合わせて下さい。

また電子申請(インターネット受験申込み)は、こちらから行うことが可能です。

なお、電子申請ができるのは受験資格を証明する書類などを必要としないものに限ります。

そのため、電気工事士などを取得しており、一部免除を利用したいという場合は書面申請を選ぶようにしましょう。

ただし、他の消防設備士免状で免除を受けるという場合は、電子申請でも一部免除が適用されます。

乙7の難易度は消防設備士試験で最も低い

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消防設備士試験の中では、乙7は飛び抜けて合格率が高い試験になります。比較的合格しやすい試験と言えるでしょう。

以下では乙7の合格率が高い理由を紹介します。

乙7の合格率は60%

過去5年間の乙種試験の合格率を比較してみましょう。

資格名 合格率(%)
乙種1類 31.1%
乙種2類 36.0%
乙種3類 32.7%
乙種4類 34.2%
乙種5類 29.0%
乙種6類 40.1%
乙種7類 58.0%

このように比較すると、乙7の合格率の高さが際立ちます。最も合格率の低い乙3と比較すると、乙7の合格率は2倍程度の水準です。

乙種の中では3番人気の資格

令和4年度・令和3年度試験における、乙種の受験者数は以下の通りです。

令和4年度 令和3年度
乙種1類 1,300 1,370
乙種2類 434 483
乙種3類 700 804
乙種4類 5,464 5,914
乙種5類 656 718
乙種6類 16,592 17,247
乙種7類 3,921 4,195

上記を見ると、乙7は乙種試験の中で3番人気であることが分かります。中でも需要の高い乙4や乙6の取得後に、乙7を受験するケースが多いようです。

乙7の合格基準は他資格と同様

甲種特類を除く消防設備士試験の合格基準は全て共通です。そのため、合格率が突出して高い乙7に特別な合格基準が適用されているわけではありません。

消防設備士試験は以下の2つを満たすことで合格となります。

  • 筆記試験の各科目で40%以上かつ全体で60%以上の正答率

  • 実技試験で60%以上の正答率

合格基準は変わらないのに乙7だけ合格率が高い要因としては、後述する科目免除の強力さが挙げられます

なお、甲種特類には実技試験がないため、合格基準は各科目40%以上かつ全体で60%以上の正答率です。

科目免除の活用が合格を決める

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科目免除を活用すれば、かなり楽に乙7を取得することが可能です。以下では免除される科目や対象となる資格などを解説します。

免除次第で問題数が10問に

乙7では他の消防設備士資格に加え、電気工事士などの資格でも科目免除を受けることが可能です。

例えば、乙7以外の消防設備士資格と電気工事士を両方保有していた場合、乙7試験の問題数は以下のようになります。

試験科目 問題数 電気工事士の免除 消防設備士の免除 解く問題数
法令(共通) 6 なし あり 0
法令(種別) 4 なし なし 4
基礎知識(電気) 5 あり なし 0
構造・機能・整備等(電気) 9 あり なし 0
構造・機能・整備等(規格) 6 なし なし 6
実技試験(鑑別等) 5 あり なし 0
合計 35 - - 10

上記を見ると、消防設備士と電気工事士の資格を両方持っていた場合、乙7試験の問題数は10問になることが分かります。

よってかなり試験対策がしやすくなるため、合格するのも比較的容易と言えるでしょう。このことが乙7の合格率の高さに繋がっていると考えられます。

電気工事士の資格で実技試験が免除

上記の免除内容の中で特に影響が大きいのが、電気工事士免状の保有による実技試験の免除でしょう。

実技試験は消防設備士試験の山場であるため、免除されることでかなり難易度が下がります。もちろん試験対策も随分楽になるでしょう。

そのため、電気工事士を持っている場合は、乙7も取得しておくのがおすすめです。

ちなみに電気工事士の資格によって実技試験が全部免除となるのは乙7のみになります。

免除には各種書類が必要

消防設備士試験で免除を受けるには、資格を証明する書類が必要になります。

例えば、消防設備士免状のコピーや電気工事士免状のコピーなどです。

なお、電気工事士に関わる免除を受ける場合は免状を所持していなければなりません。

電気工事士の試験には合格したが免状を持っていない者や認定電気工事従事者は免除対象外となるため注意しましょう。

その他の一部免除

消防設備士・電気工事士以外にも、以下のような免除が受けられます。

電気主任技術者の免除

電気主任技術者を保有している場合、「基礎的知識」と「構造・機能及び工事・整備」の「電気に関する部分」が免除されます。

他の消防設備士免状も保有していた場合、免除後の問題数は以下の通りです。

試験科目 免除前の問題数 免除後の問題数
消防関係法令 10 4
基礎的知識 5 0
構造・機能・整備 15 6
実技試験 7 7
合計 35 17

このように問題数を半分以下に減らすことができます。なお、この免除を受けるには電気主任技術者免状のコピーが必要です。

技術士の免除

技術士の場合、部門に応じて免除を受けられる類が異なります。詳細は以下の通りです。

部門 試験の指定区分
機械部門 第1・2・3・5・6類
電気・電子部門 第4・7類
化学部門 第2・3類
衛生工学部門 第1類

各部門に対応する類の試験では、筆記試験の「基礎的知識」と「構造・機能及び工事・設備」が免除になります。

よって、他の消防設備士免状も保有していた場合の問題数は以下の通りです。

試験科目 免除前の問題数 免除後の問題数
消防関係法令 10 4
基礎的知識 5 0
構造・機能・整備 15 0
実技試験 7 7
合計 35 11

上記のように、技術士を持っていると筆記試験がかなり楽になります。

なお、この免除を受けるには技術士第2次試験もしくは本試験の合格証明書または技術士登録証のコピーが必要です。

日本消防検定協会員の免除

日本消防検定協会員もしくは指定検定期間の職員で、型式認証の試験の実施業務における実務経験が2年以上ある者も一部免除の対象者です。

免除内容は技術士の場合と同じで、筆記試験の負担が大きく軽減されます。

なお、免除を受けるには型式承認試験の実施業務の従事証明書が必要です。

乙7試験の注意点

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消防設備士試験の中ではかなり難易度の低い乙7ですが、それでも最低限の試験対策は必要になります。

合格率が高くとも甘くみすぎない

乙7の合格率は約60%と高いですが、4割程度の受験者は例年不合格になります

ネットでは「一夜漬けで合格できる」や「本屋で立ち読みするだけで合格できる」などの口コミもありますが、それらを鵜呑みにせず、きちんと対策すべきです。

特に専門用語の暗記は入念に行うべきです。専門的な知識がないと解けない問題も多いので、入念に勉強しても損はありません。

免除によって足切りが50%に

先述した通り、消防設備士の筆記試験におけるボーダーラインは各科目40%以上です。

しかし、乙7で免除制度をフルに利用した場合はボーダーラインが50%以上に上がってしまいます。なぜなら、免除によって問題数は「法令4問」と「規格6問」だけになるからです。

法令で1.6問以上・規格で2.4問以上という条件を満たすには、必然的に法令で2問以上・規格で3問以上に正解しなければなりません。

よって1問にかかるウェイトが大きくなるため、ミスができないというプレッシャーがあります。問題数が少ないということはメリットばかりでもないのです。

奇問や珍問が出ることも

乙7の件では、重箱の隅をついたような内容かつ出題意図が不明ないわゆる奇問・珍問が頻出されることで有名です。

特に法令種別ではその傾向が顕著で、定番問題の中に1問だけ難問や奇問が混ざっているケースがよくあります。

上記の通り、乙7で免除をフル活用するなら、法令では4問中2問以上に正解しなければなりません。

1問は奇問で落とす可能性があるため、法令に関しては徹底的に対策しておくのがおすすめです。

乙7試験の合格に向けた勉強方法

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乙7の試験勉強を行う際は、以下の内容を参考にしてください。

独学でも1週間で合格できる

いくつか懸念事項はあるものの、免除をフル活用すれば問題数はわずか10問のため、乙7は比較的対策しやすい試験と言えます。

独学でも十分合格は可能です。市販のテキストで毎日1時間程度勉強すれば、1週間程度で合格できるレベルになるでしょう。

ただし、試験対策は余裕を持って行うのがおすすめです。最低でも試験の10日前には勉強を始めるのが良いでしょう。

テキストと過去問を反復しよう

乙7の対策としてはオーソドックスな勉強法がおすすめです。他の資格試験同様、テキストの読み込みと過去問演習を繰り返すのが良いでしょう。

まずはテキストを一通り読み、ある程度の内容を頭に入れます。続いて過去問を解き、間違えた問題や分からない部分を再びテキストで復習して下さい。そして復習が済んだら、また過去問を解きます。

このサイクルを繰り返すことで、徐々に知識が定着していくはずです。

過去問は一般社団法人消防試験研究センターのホームページからダウンロードすることができます。

またネット上には乙7の例題や予想問題を公開しているサイトが複数あるため、そうした問題を利用して演習量を増やすと良いでしょう。

規格についての問題も重点的に

先述した通り、法令の1問は難問・奇問の可能性があり、ボーダーラインを突破するためにも、まずは法令を重点的に対策するのがおすすめです。

しかし、問題数としては規格の方が多いため、全体で60%以上を取るには規格の攻略が欠かせません。

規格に関してはオーソドックスな問題しか出題されないため、上記した紹介したテキストと過去問を用いたサイクルを2回か3回繰り返せば十分でしょう。

建物の面積や契約電流も問われる

乙7は漏電火災警報器の整備・点検に関する資格です。そのため、漏電火災警報器の「設置義務が生じる建物の面積や契約電流」については必ず押さえておくべきです。

大抵のテキストでは重要なポイントが網羅されているはずですが、より詳しく知りたい場合は消防法施行令の第22条「漏電火災警報器に関する基準」を読むと良いでしょう。

消防設備士乙7のメリットや需要

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消防設備士乙7は、乙4や乙6と合わせて取得することで、仕事の幅を広げることが可能です。

ただし、消防設備士として本格的に活躍したいという場合は、甲種4類などを狙うべきだとも言えます。

乙4や乙6との相性が良い

乙7は、人気の乙4や乙6の保有者が取得するケースが目立ちます。

乙4や乙6はビルメンテナンス会社などで主に活用される資格であり、電気系の乙7とは相性が良いからです。

乙7を合わせて取得することでより幅広い業務を行えるようになります。

また乙7は電気工事士との親和性も高い資格です。電気工事士があれば実技試験なしで乙7が取得できるため、合わせて持っておくと良いでしょう。

甲種4類などの資格の方が需要はある

乙7の取得には一定のメリットはありますが、乙7だけで生計を立てるのは難しいと言えるでしょう。

乙7が扱う漏電火災警報器の設置数はそれほど多くないため、現場においては実用性が低いからです。

消防設備士として活躍したいなら、やはり甲種4類などの実用性の高い資格の取得を目指しましょう。4類は火災報知器を扱い、甲種なら設備工事も行えるため、甲種4類があれば様々な現場で重宝されます。

乙4や乙6・電気工事士から取得しよう

消防設備士免状を一つも持っていない場合は、まず乙4や乙6から受験すると良いでしょう。その後乙7も合わせて取得すれば、仕事の幅を広げることができます。

また電気工事士を先に取得するのもおすすめです。電気工事士試験には受験資格がないため、学歴や実務経験に関わらず誰でも受験できます。

電気工事士を取得すれば、甲種消防設備士の受験資格も得られるため、需要の高い甲種4類にも挑戦可能です。例えば、電気工事士と甲種4類、乙7を合わせて取得すれば、仕事で活躍できる可能性も高まります。

消防設備士乙7の特徴及び難易度まとめ

消防設備士乙7の特徴や難易度についてまとめ

  • 漏電火災警報器を扱う資格
  • 乙4や乙6と相性が良い業務内容
  • テキストと過去問を反復することで独学でも合格できる

消防設備士乙7の特徴及び難易度について解説しました。

漏電火災警報器を扱う乙7は、消防設備士の中で最も合格率の高い資格です。それには免除制度が大きく関係しており、免除をフル活用すれば問題数をわずか10問にすることができます。

筆記試験10問だけなら、独学でも1週間で対策が可能です。テキストと過去問の反復で知識を定着させましょう。

乙7は電気系の資格のため、乙4や乙6、電気工事士などと好相性です。そのため、まずはそれらの資格から取得するのが良いでしょう。

その後、一部免除を最大限利用して楽に乙7を取得するのがおすすめです。

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