消防設備士試験の勉強時間は?勉強方法や独学のおすすめテキスト・参考書も紹介

消防設備士試験の勉強時間は?

勉強方法は?テキスト・参考書はどれがおすすめ?

などと疑問をお持ちの方もいるでしょう。

結論から言うと、消防設備士試験の合格に必要な勉強時間の目安は、甲種で3ヶ月、乙種で1〜2ヶ月です。

ただし、事前知識や勉強方法の工夫次第ではより短い時間で合格できることもあります。

今回は消防設備士試験の勉強時間について、勉強方法や独学におすすめのテキスト・参考書と共に解説します。

これを読めば、勉強時間を含む消防設備士試験の対策法がよく分かるはずです。

消防設備士試験の勉強時間についてざっくり説明すると

  • 甲種は120時間・乙種は60〜70時間
  • 甲種は「製図」に1ヶ月以上かけるべき
  • 乙種は筆記試験を重点的に対策すべき

このページにはプロモーションが含まれています

消防設備士甲種の勉強時間

消防設備士の勉強時間表

以下では消防設備士甲種の勉強時間について、試験範囲や合格率などと共にお伝えします。

甲種の試験範囲と合格率

消防設備士甲種の試験科目と出題数は以下の通りです。

分類 試験科目 出題数(問)
筆記 消防関係法令 15
基礎的知識 5
構造・機能・整備など 20
実技 鑑別等 5
製図 2

甲種試験では、実技試験で「製図」が出題されるため、乙種よりも難易度が上がります。

合格率は約30%なので比較的に合格しにくい試験と言えるでしょう。しかし、偏差値は50程度のため、資格試験の中ではそこまで難しい部類ではありません。

令和4年度・令和3年度試験の合格率

令和4年度及び令和3年度に実施された消防設備士甲種の合格率は以下の通りです。

令和4年度 令和3年度
特類 30.3% 29.6%
1類 22.4% 28.8%
2類 29.5% 35.7%
3類 32.0% 38.5%
4類 34.8% 37.8%
5類 35.6% 37.1%
平均 30.8% 34.6%

上記を見ると特類と1類の難易度が高い一方、2類と3類は比較的合格しやすい試験であることが分かります。

甲種の学習期間は3ヶ月強

消防設備士甲種に合格するには、一般的に120時間程度の勉強が必要と言われています。つまり1日1、2時間勉強したとして3ヶ月程度を要する計算です。

ただし、上記の勉強時間はあくまで参考であり、実際にどれだけの勉強が必要になるかは個人の学力やライフスタイルなどによって異なります。

消防設備士に関する知識が全くない状態で臨む場合は、上記よりも長めに勉強時間を設けた方が良いでしょう

理解度次第でより短くできる

理解度次第では、勉強方法を工夫することによって、より短い時間で合格することも可能です。

例えば問題集がそこそこ解けるという場合なら、問題演習をひたすら繰り返し完璧に解けるようにするのが良いでしょう。そうすることで比較的短時間で合格することが可能です。

また問題集をスラスラ解けるほどの知識があるなら、70時間程度の勉強で十分でしょう。

なお、受験経験があるなど過去に消防設備士の勉強をしたことがある場合は、消防法の改正などの最新情報に気を配るべきです。そういった情報に対応していることから、勉強は最新のテキストで行うようにしましょう。

製図の分野に最も時間を割く

甲種試験の山場となるのは実技試験の「製図」です。甲種は製図が出題されることで乙種よりもかなり難易度が上がると言われており、入念な対策が必要になります。

勉強時間の配分としては、製図だけに1〜2ヶ月を費やすのが一般的です。

実際、消防設備士甲種の合格者のほとんどが苦労したと語っており、試験勉強は製図の攻略を最優先に行いましょう。

人気の甲種4類の学習期間を例にとると

消防設備士甲種4類は、甲種試験の中で最も受験者の多い試験です。

火災報知設備を扱う4類は活用の幅が広く、設備工事まで行える甲種は特に需要が高い資格になります。

合格率は甲種の中では真ん中程度であり、甲種としては比較的取得しやすいことも含めて人気の資格です。

事前知識なしで甲種4類の取得を目指す場合は、130時間程度の勉強が必要と言われています。勉強期間にして3ヶ月もしくはそれ以上です。

しかし乙4をすでに取得している場合であれば、知識が多分に応用できるため、40時間程度の勉強で合格できる場合もあります。

甲種4類の概要

甲種4類は毎年2万人近くが受験する甲種試験で一番人気の資格です。消防設備士試験の中でも乙6に続く受験者数を誇ります。

甲種4類は以下の消防用設備等に関する工事・整備・点検をすることができます。

  • 自動火災報知設備

  • ガス漏れ火災警報設備

  • 消防機関へ通報する火災報知設備

  • 共同住宅用自動火災報知設備

  • 住戸用自動火災報知設備

  • 特定小規模施設用自動火災報知設備

  • 複合型居住施設用自動火災報知設備

消防設備士乙種の勉強時間

勉強する子供

乙種は甲種よりも難易度が低いため、比較的短い勉強時間で取得できる資格になります。

乙種の試験範囲と合格率

消防設備士乙種の試験科目及び出題数は以下の通りです。

分類 試験科目 出題数(問)
筆記 消防関係法令 10
基礎的知識 5
構造・機能・整備など 15
実技 鑑別等 5

乙種試験では、甲種の鬼門であった「製図」が出題されないため、難易度は大きく下がります。

乙種の合格率は平均30%程度で、甲種よりもやや高い水準です。また偏差値は45のため、比較的易しい試験と言えるでしょう。

令和4年・令和3年度試験の合格率

以下は令和4年度及び令和3年度の消防設備士乙種の合格率をまとめたものです。

令和4年度 令和3年度
1類 29.2% 34.8%
2類 34.3% 35.4%
3類 29.9% 36.4%
4類 34.4% 35.9%
5類 38.6% 38.6%
6類 38.8% 40.6%
7類 59.6% 57.3%
35.5% 38.3%

上記を見ると、乙種限定の6類と7類に関しては合格率が高いものの、それ以外は甲種とそれほど変わらないことが分かります。

試験内容は甲種よりも易しいですが、甲種に比べて特別合格しやすいと試験とは言えません

乙種は1〜2ヶ月で合格できる

消防設備士乙種に合格するには、一般的に60〜70時間程度が必要と言われています。つまり1日1時間勉強したとして、2ヶ月程度かかるということです。

また乙種も甲種同様、事前知識を有している場合はより短い勉強時間で合格することが可能です。例えば電気工事士の資格を取得している場合は、かなり楽に試験勉強を行えるでしょう。

しかし、電気工事士があれば甲種の受験資格が得られるので、折角なら甲種を受験するべきです。

乙種には受験資格がない、という点も試験のハードルを下げている要因と言えるでしょう。

受験資格を満たすなら甲種を受けよう

甲種は設備工事ができるため、乙種よりも需要の高い資格です。そのため、甲種の受験資格があるのなら、積極的に甲種を狙いましょう。

一方で乙種の魅力は受験資格がないことです。また乙種を取得して2年以上の実務経験を積めば甲種の受験資格が得られるため、乙種を甲種の第一歩とするのも良いでしょう。

ちなみに甲種の受験資格には以下のようなものがあります。

  • 受験する類以外の甲種消防設備士免状
  • 乙種消防設備士(要2年以上の実務経験)
  • 電気工事士
  • 電気主任技術者
  • 技術士   など

さらに上記以外にも学歴による受験資格も存在します。甲種の受験資格は複雑なので、受験する際は一度消防試験研究センターのホームページで確認するのがおすすめです。

筆記試験の分野を重点的に対策

乙種は甲種と異なり、実技試験のウェイトがそれほど大きくないため、試験勉強は筆記試験の対策を中心に行うのが良いでしょう。

また実技試験である「鑑別等」の問題を解くには筆記試験の知識が不可欠なので、筆記試験の対策を徹底的に行うことは合理的な選択だと言えます。

特に「構造・機能・整備」は筆記試験全体の半分を占めるため、確実に得点できるように仕上げましょう。

乙4や乙6の勉強時間を例にとると

乙種の中でも乙4と乙6は圧倒的な人気を誇ります。両者の合格率は乙種の中でも平均的だということもあり、以下では乙4と乙6を例にとって勉強時間を解説しましょう。

乙4の合格率は34.4%(令和4年度)です。合格までに必要な勉強時間は、初学者の場合は80時間程度、ある程度知識を有している場合は30〜50時間程度と言われています。

一方で乙6の合格率は38%程度のため、乙4よりも短い勉強時間で合格が可能です。初学者の場合は70時間程度、事前知識がある場合は30時間程度を目安にすると良いでしょう。

乙4と乙6の資格の概要

乙4は甲4と同じ消防設備等を扱えることもあって、乙種では二番人気の資格です。

一方で乙6は消防設備士試験で一番人気の資格で、毎年2万人以上が受験しています。ちなみに乙6は「消化器」の整備・点検を行うことが可能です。

なお、乙種が行えるのは消防用設備等の整備・点検のみで、工事は行えません。

甲種・乙種の合格基準や免除

どこかを見つめる女性

合格基準は甲種・乙種で共通

消防設備士試験の合格基準は甲種・乙種で共通です。以下の2つを満たせば合格となります。

  • 筆記試験で各科目40%以上かつ全体で60%以上
  • 実技試験で60%以上

なお、試験が一部免除される場合は、受験した問題で上記の合格基準が適用されます。

また甲種特類には実技試験がないため、筆記試験の各科目40%以上・全体で60%以上の成績を収めれば合格です。

一部免除を受ければ勉強時間は短くて済む

消防設備士試験では甲種特類を除き、一部免除制度が存在します。消防設備士や電気工事士、電気主任技術者などの有資格者がその対象者です。

消防設備士の資格を持っている場合

消防設備士の資格を有している場合の免除内容は以下の通りです。

甲1 甲2 甲3 甲4 甲5 乙1 乙2 乙3 乙4 乙5 乙6 乙7
甲1 -
甲2 -
甲3 -
甲4 -
甲5 -
乙1 - - - - - -
乙2 - - - - - -
乙3 - - - - - -
乙4 - - - - - -
乙5 - - - - - -
乙6 - - - - - -
乙7 - - - - - -

◎:消防関係法令の共通部分・基本的知識が免除

○:消防関係法令の共通部分が免除

なお、乙種の資格を持っていても甲種で免除を受けることはできません。

その他の資格を持っている場合

電気工事士や電気主任技術者、技術士を取得していれば、消防設備士の筆記試験で以下の免除を受けることが可能です。

資格 免除内容 備考
電気工事士 「基礎的知識」と「構造・機能及び工事・整備」の各科目で「電気に関する部分」が免除・甲4と乙4を受験するなら実技の「鑑別等」の問1が免除・乙7なら実技が免除 合格したが免状のない者や認定電気工事従事者は対象外
電気主任技術者 「基礎的知識」と「構造・機能及び工事・整備」の各科目で「電気に関する部分」が免除 -
技術士 技術の部門に応じた指定区分の類(詳細は右の通り)における「基礎的知識」と「構造・機能及び工事・整備」が免除 機械部門:第1〜3・5・6類 電気・電子部門:第4・7類 化学部門:第2・3類 衛生工学部門:第1類

また、日本消防検定協会又は指定検定機関の職員として型式認証の試験の実務経験を2年以上積んだ者は、筆記試験の「基礎的知識」と「構造・機能及び工事・整備」の免除を受けることが可能です。

さらに消防団員としての勤務経験が5年以上あり、消防学校の教育訓練における専科教育の機関科を修了した場合は、乙5・乙6で実技と筆記の「基礎的知識」が免除されます。

甲種を独学する際の勉強方法

本を読む女性

消防設備士甲種の勉強には、以下の内容を参考にしてください。

語句や公式をまずは覚える

「消防関係法令」では、消防設備士の業務に欠かせない知識を扱うため、まずはこの分野から暗記作業を始めるのがおすすめです。

消防関係法令は点数を稼ぎやすい分野と言われているため、確実に知識を定着させましょう。

その後は「基礎的知識」で重要な公式や法則を覚え、最後に「構造・機能・整備」を対策するという流れが定番です。

製図には1ヶ月以上の期間を確保

製図を含む実技試験は写真やイラスト、図などを用いた記述式で実施されます。

実技試験で合格基準の60%以上を確保するには、製図の攻略が欠かせません。製図は知識の暗記だけでは対応できないため、かなりの勉強時間が必要です。

少なくとも1ヶ月以上を費やして対策を行うのが良いでしょう。

ちなみに製図の試験では、解答用紙に配線などを書き込んで、実際の施工で用いるような設計図面を完成させなければなりません。

出題数は2問で、系統図と平面図に関する問題が1問ずつ出題されるのが通例です。

乙種を独学で合格するポイント

喜ぶ子供

先述した通り、乙種では筆記試験に重点をおいた対策を行うのがおすすめです。

消防関係法令から学習しよう

乙種の場合も甲種同様、「消防関係法令」の専門用語を学ぶことから始めましょう。専門用語を頭に入れておくことで、その他科目の対策がしやすくなります。

その後は「基礎的知識」に進み、最後に「構造・機能・工事」を対策するという流れも甲種の場合と同じです。

消防設備士の試験には、「防火対象物・特別防火対象物・消防対象物」などよく似た用語が登場します。

こういった用語は名称こそ似ているものの意味は大きく異なるため、きちんと区別できるようにしておきましょう。

実技試験対策も時間をかける

甲種の「製図」ほどではありませんが、乙種の「鑑別等」もそれなりの対策が必要な科目です。

しかし乙種のレベルでは基本的な出題が多いため、特別理解に苦しむような問題はないでしょう。参考書をよく読み込み、問題演習を繰り返すことで十分対策は可能です。

消防設備に関する基本的な知識をしっかりと押さえておけば、合格点に到達できるでしょう。

ちなみに「鑑別等」の試験では、発信器などの消防設備の名称や用途を答えさせる問題が出題されます。

消防設備士のおすすめテキスト

スマホを見る女

独学で資格試験に合格するためには、自分にあったテキスト選びが欠かせません。

以下ではおすすめのテキストを紹介します。

甲種のおすすめテキスト・参考書

消防設備士甲種の資格で最も人気である、甲種4類のテキストを紹介します。

合格を目指す際には「わかりやすい! 第4類消防設備士試験」(工藤 政孝)で学習を進めましょう。

このテキストでは、語呂合わせで難解な用語が暗記できるような内容になっており、さらに演習問題も豊富に掲載されています。

特に「鑑別・製図」といった実技試験の範囲の解説がわかりやすく、この一冊で合格を目指せる内容になっていると言えるでしょう。

乙種のおすすめテキストで対策

乙種で最も人気のある、乙種6類のおすすめテキストを紹介します。

乙種6類対策では「消防設備士第6類 」(公論出版)が一番のおすすめです。この一冊で「知識のインプット」と「過去問での演習と復習」が全て行うことができます。

また、試験範囲の科目ごとに分類して掲載されているため、頻出分野の把握もスムーズに行うことができるテキストです。

さらに毎年改定され、新しい傾向に沿った問題を掲載してくれています。自分の受験する年に合ったバージョンのものを購入するようにしましょう。

通信講座での学習が最もおすすめ

パソコンを見る二人

独学に不安のある場合は通信講座を利用しましょう。特に甲種試験の受験者には、講座の受講を強くおすすめします。

上記のように、甲種で出題される「製図」は非常に難易度が高く、独学ではしっかりとした対策ができない場合があります。試験対策のプロの力を借りることが最善の策と言えるでしょう。

数ある消防設備士講座の中で、資格Timesが最もおすすめするのは「たのまなの消防設備士講座」です。

この講座では、たのまなの講師陣が厳選した重要項目をオリジナルのテキストで学習することができます。

頻出する要点だけを徹底的に対策できるので、受講者は独学者よりも短期で合格することが可能でしょう。

また、添削サポートが充実している点もメリットの一つです。実技試験は筆記式なので、試験対策のプロに見てもらうことでより効率的に得点アップを狙えます。

たのまなの公式サイトはこちら

消防設備士試験の勉強時間についてまとめ

消防設備士試験の勉強時間についてまとめ

  • 合格率は甲種30%・乙種36%程度
  • 「製図」は甲種合格者の大半が苦労
  • 通信講座を活用するのがおすすめ

消防設備士試験の勉強時間について解説しました。

消防設備士試験に合格するには、甲種で3ヶ月、乙種で1〜2ヶ月程度の勉強時間が必要だと言われています。

勉強方法ですが甲種は「製図」を重点的に対策すべきです。3ヶ月のうち、1ヶ月以上は製図に使うと良いでしょう。

一方で実技試験のウェイトがそれほど高くない乙種では、筆記試験を中心に対策するのがおすすめです。

参考書をよく読み込み、問題演習を繰り返すことで知識を定着させましょう。

多忙で勉強時間が満足に取れな****いという場合は、通信講座を活用するのがおすすめです。

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1