地方公務員と国家公務員の離職率は低い?民間企業との比較や職種別順位を徹底解説!
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「公務員って安定してるイメージがあるけど本当?」
「実際に公務員の離職率ってどの程度なの?」
公務員を目指している方で、このような疑問をお持ちの方は多いと思います。
公務員と聞いて真っ先にイメージするのは「安定」だと思いますが、実際に公務員は自治体が倒産することが原則なく、人生設計が立てやすいことから、非常に人気の高い職種となっています。
それでは、安定していると言われる公務員の具体的な離職者数や離職率はどうなっているのでしょうか?
また、公務員の中でも事務系の職種や警察などの公安系の職種では離職率に違いはあるのでしょうか?
この記事では、公務員の職種別の離職率やランキング、民間企業と比較したデータを解説していきます。
公務員の離職率についてざっくり説明すると
- 安定している職業のため、離職率はとても低い
- 民間企業の離職率は公務員の10倍くらいある
- 公務員の中でも警察官の離職率は少し高め
- 公務員で離職する人は20代で多い
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公務員の離職率は低いって本当?
公務員は非常に安定している職業であるため、離職率はとても低いです。
地方公務員の離職率はおよそ1%程度、国家公務員の離職率はおよそ5%程度となっています。
民間企業の離職率が概ね10~20%であることを考えると、公務員の離職率がかなり低いことが分かるでしょう。
そもそも離職とは
総務省による地方公務員の退職状況等調査では、「離職」は以下の4種類に大別されて定義されています。
- 普通退職
- 定年退職
- 勧奨退職
- 早期退職募集制度による退職
「自分の都合」によって申し入れた退職は「普通退職」に含まれます。
つまり、一般的によく言われている「離職率」とは「普通退職の割合」である場合が多いということです。
インターネット上のWEBサイトの中には、「離職率」の計算に「定年退職」などの「普通退職以外の離職」を含みながら離職率を算出しているページもあり、「普通退職」の割合を正確に指し示していない場合もあるので注意が必要です。
離職率の計算方法
離職率の計算方法は厚生労働省によって定められています。
簡単に説明すると、離職率は
離職率 = (離職者数)÷ (在職者数)× 100
で求められます。
離職率は、その職場で長期的に仕事を続けられるかどうかの重要なデータとなりますので、自分が希望している職種の離職率には必ず目を通すようにしましょう。
民間企業の離職率は高い
厚生労働省の雇用動向調査を参考に、平成28年度の民間企業の離職率のデータを見てみましょう。
人数 | 退職者 | 離職率 | |
---|---|---|---|
一般労働者 | 36,612,000人 | 3,369,247人 | 9.2% |
パート | 11,848,200人 | 2,573,960人 | 21.7% |
一般労働者の離職率は9.2%、パートの離職率は21.7%となっています。
この割合を見ればわかる通り、定職者が多い一般労働者でさえ10人に1人近くが毎年離職しているのです。
職場の雰囲気が合わないことや、パワハラなどが原因で離職する人が近年は増えていることが高い離職率の原因と推測できます。
また、この数年は転職市場が大きく発達したので、従来の離職とは違って更なる好待遇ややりがいを求めたキャリアアップの離職も含まれています。
しかし、そういった傾向を考慮しても「10人に1人」〜「5人に1人」程度が1年に離職しているのはかなり多い印象があります。転職は「売り手市場」と言われていますが、スキルや職歴があってこその話です。
依然として新卒から数年以内での転職には相応のリスクがあり、民間企業の離職率が高いということは就職する上で不安材料の一つになります。
新卒の離職率は?
最近は「採用しても新卒がすぐにやめてしまう」といった悩みを抱える企業が多く、「退職代行」というサービスが出現したことからも新卒の離職率の高さが問題となっています。
厚生労働省の新規学卒者の離職状況によれば、平成26~28年度における民間企業の3年以内の離職率は高卒者40.8%、大卒者が32.2%となっています。
つまり、民間企業に就職した新卒者は3年以内に「3人に1人」が離職してしまっているのです。
特に、規模の小さい中小企業・零細企業での離職率が高い傾向があります。
企業の規模が大きくなるほど離職率は下がる傾向にありますが、それでも従業員数が1,000人以上の大企業に就職した大卒者ですら、3年以内離職率は24.3%も存在するのです。
地方公務員の離職率
地方公務員の離職率はどの程度なのか、以下で解説します。
総務省の地方公務員数の状況についての調査では、平成29年時点で地方公務員の総職員数が274万2596人でした。
1年間でこの約274万人の地方公務員うち何人が公務員を辞めてしまうのでしょうか。
地方公務員の離職者は何人?
出典: 地方公務員の退職状況等調査(総務省)
平成29年の総務省の調査によれば、地方公務員の離職者数は13万0256人でした。
上のグラフからわかるように、このうち「普通退職」の割合は31.2%の4万0676人を占めています。
普通退職は全てが自己都合というわけではない
上記で触れた「普通退職」の4万0676人の中には「在職期間の通算を伴う退職」が含まれており、またその割合が6.4%の8386人でした。
つまり、普通退職による地方公務員の離職者は
40676人ー8386人=3万2290人
となります。
地方公務員の離職率は何%?
離職率はわずか1%程度
1年間の地方公務員の「自己都合」による離職者は32290人であることがわかりました。
それでは、地方公務員の離職率はどの程度なのでしょうか?
地方公務員の総職員数が274万2596人であることから、計算式は、
3万2290人÷274万2596人×100=1.2%
となります。
平成29年度は地方公務員の離職率は1.2%しかないということです!
これは100人に1人しか離職していないということであり、民間企業の離職率と比較すればこれは驚異的な数字と言えるでしょう。
公務員は民間企業より格段に安定した職業
ここで思い出したいのが民間企業の離職率9.2%(一般労働者)という数字です。
地方公務員の離職率1.2%という数字は極めて低いことが伝わると思います。
民間企業は公務員の10倍近い離職率があることから、民間企業との差は歴然であり、地方公務員はとても安定しているということがわかります。
離職率が低いということは、一度地方公務員として就職すれば長く勤めることができ、確実にキャリアアップもできるということです。この安定さこそが公務員の最大の魅力の一つになります。
離職率が高い年齢層
出典: 地方公務員の退職状況等調査(総務省)
20代は離職率が高くなる傾向
離職者(普通退職者)全体の中で離職率が最も高い年齢層は、25歳〜30歳の年齢層であり、その割合は24.3%となっています。
このことから、20代以下の離職者(普通退職者)は合計で1万1914人いることがわかります。
公務員は一度不祥事を起こすと社会から大変厳しい目で見られてしまうため日常生活にも気を遣う必要がありますが、若年層にはそのような自覚が無いために離職してしまうケースもあります。
20代の離職率でさえ民間企業の10分の1程度
しかし、公務員の中で20代以下の離職者の割合が多いと言っても、民間企業と比較すると依然として圧倒的に公務員の離職率は低いという事実は変わりありません!
総務省の調査によると、20代の地方公務員は合計で25万9043人です。また上記で触れた通り、地方公務員の20代以下の離職者(普通退職者)は合計で1万1914人います。
つまり、20代の地方公務員の離職率はおよそ
1万1914人÷25万9043人×100=4.6%
となります。
最も離職率が高いとされている20代でさえ、離職率がおよそ4.6%しかないのです。
単純計算だとおよそ25人に1人の割合で離職している計算となり、民間企業の3年以内離職率がおよそ3人に1人の割合であることを考えると、公務員は非常に安定していると言えるのです。
そのため「60歳までの安定した雇用」を求めている人は、公務員がベストな選択となります。
20代の公務員が離職しやすい理由
それでは、20代の方々が離職してしまう理由はどのようなものがあるのでしょうか?
まず第一に、公務員のイメージと実際のギャップに苦しむ新卒の若者が多いことが挙げられます。
希望をもって就職したものの、「単純作業ばかりの業務で仕事が思ったより面白くなかった。」「時代遅れで古い体質の現場にガッカリした」という声は少なくありません。
公務員はホワイトだと思っていたが勤務先が残業が多い部署で働くのがきつくなった・仕事内容が評価されにくいなどといった不満も良く理由に挙げられます。
ハッキリ言うと、公務員の仕事は地味な作業が多いというのが原因でしょう。
公務員を志望する際に「スケールの大きいやりがいのある仕事をしたい」「全国民の利益となるよう活躍したい」という大きな夢を持って就職すると、現実のギャップに幻滅してしまうのです。
また、条件面を理由に離職してしまう方も多く、周りの民間に勤務した同期と比べて給料が低いため転職をする・結婚などで家庭環境や居住環境が変わり離職せざるを得なくなったことなどが挙げられます。
公務員は異動が多くライフプランが崩れるケースもあり、ストレスを感じる方も多いようです。
地方公務員安全衛生推進協会の調査によれば、地方公務員の健康状況は芳しくなく、特に「長期病休者率」では「精神および行動の障害」を抱える地方公務員の割合は10年前の1.4倍になっており、地方公務員の精神状況は悪化してきているのです。
40歳を超えると途端に離職率は低下
20代は離職率は比較的高くなる傾向にあるものの、40歳以降になると離職率が低くなり、50歳以降はほとんど離職がありません。
地方公務員の退職状況等調査(p13)を見ればわかるように、40代以降は非常に安定したキャリアが構築できるのです。
公務員として何年も勤務していると様々な分野が詳しくなり、また課長補佐や課長といった役職も与えられるため、収入も安定するようになります。
また、長く公務員としてコツコツ頑張ってきたので、転職などを目指す人が少ないことも離職率が低い理由の一つです。
40歳以降は特に安定したキャリアを築く
40代以降が非常に安定したキャリアを築いている原因・背景として、公務員が年功序列であり、年齢を重ねるごとに給料が上がっていくことがあります。
年齢を重ねるごとに重要なポストに回ることが多く、安定した地位を築き若手時代と比較すると収入も上がります。
また、転職市場は40歳を超えるとどうしても不利になることが多く、転職しにくい年齢であることも理由です。
加えて、公務員は個人の能力などが正当に評価されにくい職種であるため、この年齢での離職は大きなリスクを伴います。
あと数年・十数年勤めきれば民間企業よりも多くの退職金を手に入れることができるため、離職することにメリットは無いのです。
職種別の離職率ランキング
地方公務員の職種には、市役所での事務や窓口業務を担当する「一般行政職」、専門職である「教育職」「福祉職」「医療職」などがあります。
それぞれの職種で離職率が異なるため、自分が就職を希望している職種のデータには目を通すようにしましょう。
離職率が高い傾向にある職種
職種 | 離職者数(人) | 普通退職者数(人) | 普通退職の割合 |
---|---|---|---|
一般行政職 | 33,674 | 9,129 | 27.1% |
税務職 | 1,170 | 325 | 27.8% |
海事職 | 86 | 35 | 40.7% |
研究職 | 444 | 94 | 21.2% |
医療職 | 9,387 | 6,431 | 68.5% |
福祉職 | 5,566 | 2,214 | 39.8% |
消防職 | 4,684 | 966 | 20.6% |
企業職 | 16,534 | 7,145 | 43.2% |
技能労務職 | 5,371 | 561 | 10.4% |
教育職 | 43,036 | 9,490 | 22.1% |
警察職 | 10,301 | 4,283 | 41.6% |
この表は地方公務員の退職状況等調査(p9)(総務省)を参考に作成しています。
上で述べた通り、普通退職数が全体の離職者数に占める割合は31.2%です。
この表で普通退職の割合が31.2%を超えている「海事職・医療職・福祉職・企業職・警察職」は普通退職が多い傾向にあります。
一般行政は離職率が低い傾向
一般行政職とは省庁や都道府県庁、市役所などで主に事務系の仕事をする職種です。公務員と聞いて真っ先にイメージされる仕事と言えます。
その一般行政職では、普通退職数が全体の離職者数に占める割合は27.1%であり、平均を下回っています。
自分がイメージしていた仕事内容と大きくギャップが無いため、平均を下回っていると考えられています。
警察官は離職率が高い
公務員の中でもやや特殊な職種と言える警察官の離職率はどうなっているのでしょうか?
実は20代の警察の離職率は6.6%と、20代の地方公務員の離職率が4.6%であることと比較すると若い警察官の離職率は高くなる傾向にあります。
警察官として採用された後は警察学校に半年ほど入学することになりますが、この警察学校での訓練や生活が苦痛で辞めてしまう人もいます。
警察官の離職率が高い理由
若い警察官の離職率が高い理由はいくつかあります。
まずは、前述したとおり採用後に配属される警察学校に入ってから辞めてしまう人です。
この警察学校では研修と訓練を受けることになり、この研修期間中は集団生活を送り、外界との接触も制限され厳しい研修が実施されるのです。
スマートフォンやパソコンなどの平日使用は禁止され、若い人たちにとって苦痛となり例年多くの退職者が出ています。
また、最近はSNSを中心に警察官の不祥事や資質に欠ける警察官が見受けられるとの国民からの指摘も多いです。
その対策として従来のように無理に警察学校を卒業させるのではなく、資質に欠ける傾向が見られる者は卒業させない方針に変更されていることも警察学校の厳しさを助長しています。
警察学校以外の理由では、日常から柔道・剣道・護身術などの鍛錬を積む必要があり肉体的に限界を迎えたことや、業務の責任感が大きく休日もゆっくり休めずに精神的に疲れてしまったことが挙げられます。
このように警察官は心身ともに負担が大きく、生半可な覚悟では務めることはできませんが、民間企業での離職率に比べると警察官の離職率は少ないことも事実なのです。
国家公務員の離職率
国家公務員一般職の在職者と離職者数の推移を見てみましょう。
年度 | 在職者 | 離職者 |
---|---|---|
平成20年度 | 355,140人 | 23,193人 |
平成21年度 | 343,835人 | 32,182人 |
平成22年度 | 338,969人 | 17,026人 |
平成23年度 | 337,905人 | 19,443人 |
平成24年度 | 337,091人 | 20,135人 |
平成25年度 | 336,058人 | 21,465人 |
平成26年度 | 337,922人 | 22,277人 |
平成27年度 | 278,107人 | 16,935人 |
平成28年度 | 278,581人 | 17,205人 |
平成29年度 | 279,463人 | 17,547人 |
この表は厚生労働省の長期統計等資料を参考に作成しています。
この表から、毎年約30万人の国家公務員一般職のうち2万人前後が離職していることがわかります。
国家公務員一般職とは
国家公務員の一般職は、「特別職に属さないすべての職」のことです。
採用試験で任用された公務員を指します。学科試験や面接試験・小論文などの様々な課題をクリアし、 省庁や地方部局から内定をもらうことができれば、国家公務員として働くことができます。
「特別職の公務員」とは次のように規定されており、内閣の偉い方々や裁判所の方々が該当します。
国家公務員法に定める成績主義の原則(競争試験による採用などの原則)などを適用することが適当ではない政治的な国家公務員(内閣総理大臣、国務大臣など)や、三権分立の観点や職務の性質から国家公務員法を適用することが適当ではない国家公務員(裁判官、裁判所職員、国会職員、防衛省の職員など)
つまり、公務員と聞いて真っ先にイメージされる、各省庁で働く一般の事務官や行政官、外交官などのほとんどは一般職の国家公務員です。
こういった面も、若い方々の理想と現実の乖離を産んでしまっている原因と考えられます。
国家公務員の離職率は5%程度
出典: 人事院 年次報告書
ここでの離職とは定年退職・辞職・免職、失職等の総称であり、平成28年度の離職者総数は17,205人でした。
離職率は給与法適用職員で6.1%、行政執行法人職員で4.0%、全職員で6.2%(男性6.4%、女性5.2%)となっており、全体的にみると5%前後で推移しています。
離職率は民間企業の離職率の半分以下であるため、国家公務員は地方公務員と同様、非常に安定している職業と言えるでしょう。
女性の離職率も低い
国家公務員は女性の離職率もとても低く、さらに年々減少傾向にあります。
国家公務員の女性職員の離職率が年々低下している理由としては、以下のようなものが挙げられます。
-
女性でも働きやすい環境が整い、結婚・育児等を契機とする退職は現在の国家公務員においてはほとんどなくなったこと。
-
育児休業など共済からの援助も充実しているため、出産後の定着率が高まったこと。
-
国が女性国家公務員の採用・登用を積極的に推進して、女性の社会進出が進んだこと。
実際に女性管理職は増加している傾向にあり、国も女性が活躍できる社会を目指していることが分かります。
日本はまだまだ世界的に見ても女性の社会進出が遅れているため、今後も国が率先して女性の採用を促進していくという傾向は続くでしょう。
公務員の離職率が低い理由
なぜ公務員の離職率は一般企業と比べて低いのでしょうか?
それには「福利厚生が充実している」「休暇を取りやすい」などの様々な理由があります。
以下で詳しく見ていきましょう。
福利厚生の充実
公務員は、福利厚生が非常に充実しています。
例えば、休暇制制度を見てみると休暇の種類が充実していて、しかも取得しやすいのです。
- 年次休暇
通常の有給休暇です。民間企業と違い、就職直後に何日分か付与されます。
- 病気休暇
病気や怪我などで就業が不可能なときに取得できます。証明書類として、病院の診断書や領収書が必要になります。
- 特別休暇
特別休暇の中にもいくつか種類があります。夏期休暇や子供を看護する必要があるとき、親族が亡くなったとき、また配偶者が出産を控えている場合などのケースで取得できます。
- 介護休暇
親族に介護が必要な方がいる場合に取得できます。
このように休暇制度の充実度では、他職種より遥かに上です。
さらに、小さい子供がいる職員に対しては寛容な風潮があり、「イクメン」という言葉が出ているように男性でも育児休暇がとても取りやすいようです。
ここ最近は働き方改革の推進・女性活躍推進法の制定などにより、福利厚生に関するさまざまな制度が整備され、ますます手厚くなってきています。
国としては民間企業にも波及させたい考えで、「まずは国の省庁から率先して行う」ことが重要と考えているのです。
有給休暇を行使しやすい
公務員は民間企業と比べると有給休暇を取得しやすく、実際取得率もとても高く、新人・ベテラン問わず幅広い層で有給を取得できています。
民間企業では有給休暇取得率が50%を下回っており、取得しても行使しにくい状況がある中で、公務員の有給制度はとても優れていると言えるでしょう。
また、勤続が5年、10年と5年ごとの節目を迎える度に1週間まとまった休暇を取得できる「リフレッシュ休暇」という制度もあります。(通常の年次有給休暇で処理)
このように、民間企業と比べるとかなり恵まれている環境が公務員は与えられています。
安定した給与形態
公務員は、就職して間もない若手の頃は給料が低く苦労するかもしれませんが、徐々にキャリアを積んでいくにつれて少しずつ給料は上がります。
そのため、安定した雇用を求めていて、給料も平均程度の額で満足できる人は公務員に向いています。
公務員の給与額は法律で定められているため、年齢を重ねれば確実に給料・ボーナスが上がっていくのです。
公務員は、個人情報の漏洩などの社会的に問題となる大きなミスや失敗をしなければ、基本的に給与は下がりません。
そのため、安定して勤務できるので結果的に生涯賃金は大きくなり、一般的に退職金が民間よりも多くなります。
また、民間のブラック企業では起こりやすい「残業代未払い」に関しても、公務員であれば時間外給与等の支払いがしっかり法整備されているため安心です。
残業をする場合には事前に決済が必要となるため、未払いになる余地が無いためです。
雇用が安定している
公務員が「安定」と言われる最も大きな理由は、倒産やリストラが無いことです。
もちろん、犯罪行為や反社会的行為を行った場合は懲戒の対象となりますが、そのような行為をしなければリストラされることは基本的にありません。
また、精神的な病気などで勤務が難しい場合であっても、比較的簡単に休職の措置をとってもらえるため、民間企業と違い公務員の身分保障はかなり手厚いです。
公務員よりも福利厚生や身分保障が充実している民間企業はほんの一部の大企業に限られるため、転職・起業思考の人が少ない傾向にあるのです。
ゆるい仕事が多い
公務員の仕事は、比較的簡単なものが多いです。
ジョブローテーションなどで様々な部署を転々とするため、特定の分野のプロフェッショナルは求められないためです。
そのため創造的な仕事は求められておらず、ノルマのようなものも基本的には無いため、精神衛生上楽なのです。
公務員は与えられた環境で仕事を確実にこなす能力と、円滑な人間関係が築ける人物が求められるのです。
民間に向いていない人が多い
また、民間企業の雰囲気に馴染むことができない人も、公務員に適性があると言えます。
例えば、民間企業は残業が多く残業の嵐に耐えられなかったり、またサービス残業が常態化していて嫌気が差してしまった人や、仕事にノルマがありそれがストレスとなってしまう人は特に公務員が向いているでしょう。
また、民間企業の中には上下関係が厳しく体育会系の企業もあり、そのような会社の風潮にうんざりしている人や、企業内競争をストレスに感じる人も公務員が向いているでしょう。
公務員はガツガツした雰囲気は無く、お互いに助け合いながら仕事を進めている職場が多いようです。
そのため、人間関係が良好でノルマなどのプレッシャーを感じることなく働きたい人は、公務員が最適です。
公務員の離職率に関するまとめ
公務員の離職率に関するまとめ
- 民間企業と比較すると、公務員の離職率は圧倒的に低い
- 地方公務員の離職率はわずか1%程度
- 国家公務員の離職率はわずか5%程度
- 20代で離職率がやや高い傾向にあるが、それでも民間企業より非常に低い水準
- 50代以降はキャリアが安定し、離職率は1%を常に下回る
- 仕事も民間企業ほどハードではなく、プレッシャーを感じることなく働きたい人は公務員がおすすめ
地方公務員・国家公務員のいずれでも、公務員は皆さんがイメージする通り非常に離職率が低くコツコツと長いキャリアを築いていくことができます。
実際に、民間企業を経験した後に公務員に転職した人は、業務量の差や定時で帰れるなどのギャップに驚く人も多いようです。
また、不祥事や問題を起こさない限りは解雇されることはないなど、身分保障も手厚いためとにかく長く安定的に社会人として働きたい人は公務員がピッタリです。
公務員になるためには学科試験や面接試験などをクリアする必要がありますが、合格したときのメリットは絶大です。
公務員への転職を目指している方や、学生で公務員としての就職を考えている方は、是非公務員試験の勉強を始めてみましょう