公務員の初任給はいくら?国家・地方公務員の給料から実際の手取り額まで徹底解剖!

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「公務員の初任給ってどれくらいなの?」

「公務員のお金の事情について知りたい!」

このような疑問をお持ちの公務員志望の方、いらっしゃいませんか?

公務員と聞くと、簡単にクビになることはないため真っ先に「安定」を思い浮かべる人が多いと思います。

また、初任給や手取り金額などのお金の事情も気になりますよね。

こちらの記事では、公務員の初任給やボーナスなどのお金の事情や、恵まれている諸手当などについて解説していきます!

公務員の初任給についてざっくり説明すると

  • 公務員の初任給はやや低いが、徐々に給料は上がっていく
  • 地方公務員でも国家公務員でも、大きな差はない
  • 地域手当などの諸手当の差が手取りに影響する
  • ボーナスも一年目から支給される

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公務員の初任給はどれくらい?

お金の画像

公務員には、国家公務員や地方公務員、また裁判官から県庁等で働く行政職など幅広い役職が存在しています。

公務員としてどの職場で働くかによって、初任給の額は変化してきます。

こちらの記事では、主に地方公務員と国家公務員の代表的な2つの例から、公務員の初任給を検証していきます。

なお、この記事で紹介する初任給の指標は、主に一般行政職を対象としています。

初任給と手取りの違いを押さえよう!

まず、収入面について注意したいのが、初任給と手取りの額の違いです。

公務員が実際に受け取っている手取り額は、給料に加えて各種手当額の2つから構成されています。

前者の給料については、初任給や月給などの一般的な金額を指しており「固定給」などとも呼ばれます。

後者は、都道府県ごとの物価調整のための定められている地域手当や住宅手当・扶養手当・通勤手当や残業手当などが存在しています。

なお、地域手当は公務員の種類によって異なり、平均を取ると以下の表のようになっています。

種類 地域手当の率
国家公務員 20%
政令市 10%
県庁 5%
市役所 4%
町村 1%

地域手当の注意点としては、地域手当が高いからといって生活が裕福になるわけではないことです。

一見、地域手当が20%の公務員は「もらえて金額が多くてうらやましいなぁ」と思われがちですが、地域手当が高い地域は物価や家賃の負担が大きく、その分生活にかかる負担も大きくなりやすいのです。

またこの支給される地域手当についても税金の対象となり、税金が天引きされることにも注意が必要です。

地方公務員の初任給はいくら?

地方公務員は、主に都道府県・指定都市・一般市役所・町村役場で働く人たちに分けられます。

初任給の指標は主に一般行政職(試験採用)を対象としており、紹介する金額は令和3年地方公務員給与実態調査を参照しています。

  • 都道府県
学歴 初任給
大卒 187,623円
短大卒 167,464円
高卒 154,067円
  • 指定都市
学歴 初任給
大卒 183,142円
短大卒 162,905円
高卒 150,396円
  • 市役所
学歴 初任給
大卒 184,524円
短大卒 165,291円
高卒 152,870円
  • 町村役場
学歴 初任給
大卒 182,343円
短大卒 163,573円
高卒 151,462円

この表を見ると、実際にはそこまで金額に大きな差はないことが分かります。

実際の手取りは地域手当の差によって決まることが多く、政令指定都市など財政が豊かで都市規模の大きいほうが実際の手取りも大きくなる傾向にあります。

国家公務員の初任給はあまり高くない

次に、国家公務員の初任給について見ていきましょう、

なお、こちらで紹介する金額は国家公務員の初任給の変遷(人事院)を参考にしています。

学歴 初任給
総合職(院卒) 216,000円
総合職(大卒) 189,700円
一般職(大卒) 185,200円
一般職(高卒) 154,600円

総合職はいわゆる官僚と呼ばれるエリートのポジションのことを指し、一般職は総合職を支えるポジションを指します。

総合職と一般職では初年度から給与に差がありますが、そこまで大差はなく地方公務員と比較しても圧倒的な金額差があるというわけではありません。

しかし、将来の官僚や幹部候補ということもあり、出世のスピードが総合職と一般職では大きく異なります。

総合職の公務員はかなりのスピードで出世していくため、初任給では差が小さくても将来的には大きな差となります。

初任給の手取り額はどれくらい?

ここからの手取りを計算するにあたり、色々と控除される金額を5000円と仮定して、 「初任給+地域手当ー5000」 で計算していきます。

控除を5000円とする理由は、初月の税金は5000円程度であることが多いためです。

なお、5月以降は厚生年金保険料年金や健康保険料が上乗せされるので注意が必要です。

また、手当に関しては初年度では地域手当、残業代や住宅手当などの諸手当がもらえますが、ここでは単純化のために地域手当のみを計算に入れて計算していきます。

  • 大卒の手取り額(地域手当割合は上記で説明した表を参照)
区分 手取り額
国家公務員一般職(本省勤務) (185,200円+地域手当20%)-5000=217,240円
国家公務員一般職(5級地勤務=広島・福岡・京都など) (185,200円+地域手当10%)-5000=198,720円
都道府県 (187,623円+地域手当5%)-5000=192,004円
指定都市 (183,142円+地域手当10%)-5000=188,142円
市町村 (184,524円+地域手当4%)-5000=186,904円
町村役場 (182,343円+地域手当1%)-5000=179,166円
  • 高卒の手取り額(地域手当割合は上記で説明した表を参照)
区分 手取り額
都道府県 (154,067×地域手当割合5%)-5000=156,770円
指定都市 (150,396×地域手当割合10%)-5000=160,435円
市町村 (152,870×地域手当割合4%)-5000=153,984円
町村役場 151,462×地域手当割合1%)-5000=147,976円

以上の表から、初月の手取りは地域手当の割合によって大きく左右されることがわかります。

やはり地域手当の率が高い市町村であれば初任給も上がるため、総支給額が上昇します。

賃貸暮らしだと出費も大きいデメリットがありますが、実家暮らしなどで出費を抑えることでゆとりのある暮らしが可能です。

初任給はいつ支払われる?

初任給は、国家公務員と地方公務員でもらえる日に違いがあります。

国家公務員は毎月16日前後が給料日となっているのに対し、地方公務員は21日前後が給料日となっている自治体が多いです。

該当日が土日祝日と重なる場合は前倒しして支給してくれます。

なお、民間企業では初任給が5月となるところも多いですが、公務員の場合は4月から全額が支給されます。

ボーナスの支給時期

公務員は1年目から夏・冬の年2回ボーナスが支給されます。

ボーナスの支給日は夏は6月30日、冬は12月10日となっており、一年目の夏のボーナスは3か月しか働いていないため12万円程度と少なめです。

一方で、冬のボーナスは満額支給されて43万円程度が支給されます。

一年目からボーナスが支給されるのは大きな魅力であり、仕事のモチベーションにもつながるでしょう。

なお、2年目以降は夏と冬のボーナスを合わせておよそ基本給の4.5か月分のボーナスを支給してもらえます。

公務員の平均年収は安定して高い

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公務員の去年の給与は、人事院の行った「令和4年度国家公務員給与等実態調査」によると国家公務員の平均給与686万円、地方公務員は推定663万円となっています

国家公務員の方がやや高い数字となっていますが、大きな差はありません。

令和3年度のサラリーマンの平均給与が443万円であることを考えると、公務員の年収はかなり高いと言えるでしょう。

また、基本的な給与が安定していること以外にも、賞与や退職金などの金額も多く待遇面で非常に恵まれているため、安定した暮らしを送ることができます。

国民全体の給与に合わせて決定される

公務員の給与は、人事院の勧告などによって決められます。

公務員は団体交渉権が認められていないため、公務員自体は自分たちで賃上げ交渉を行うことができません。

賃上げ交渉などを行う場合は、人事院が公務員たちに代わって内閣総理大臣に対し「民間企業との兼ね合いを考えると、公務員の給料上げたほうがいいですよ」という「勧告」をすることで賃上げが実現しているのです。

なお、人事院が公務員の給与を決定する時の基準は「国全体の給与などを参考に、平均値を超えすぎないように定める」というルールになっています。

ただし、この時に人事院が判断基準としている「国全体の給与の平均」は中小零細企業のデータを細かく追うことは難しいため、大手の民間企業の平均値などを参考にしています。

つまり、中小企業に勤める人よりは少し高めに算出されるため、「公務員は恵まれている」という声が多いのも事実なのです。

公務員の給与は年功序列制度に基づいて決定

公務員の給料は、勤続年数に応じて一定の割合で上昇していきます。

能力評価や業績評価というものは行われていますが、ある程度の仕事を無難にこなしていれば問題なく毎年昇給することができます。

この制度は、仕事ができる公務員でも仕事ができない公務員でも基本的に同じであるため、「安心して働くことができる」という点では公務員の大きなメリットと言われています。

また、万が一自分の長所や生かせなかったり、適性がない部署に配属されていたとしても、それなりに仕事をしていれば評価してもらえる安心感があります。

このように、年功序列制度は仕事へのモチベーションが湧きづらいというデメリットはありますが、これをはるかに上回るメリットがあるのです。

年齢別の給料額一覧

張り切る男性

公務員の給料が勤続年数に応じて上昇していきます。

そこで、年代別の給与はどのようになっているのかを見ていきましょう。

20代の給料は我慢が必要

20代の平均給与は250万円~450万円程度です。

20代の公務員の給与が低い理由は「資料のコピー」「会議室の準備」「議事録の作成」といった、あまり責任感がない基本的な仕事をこなすことが多いためです。

いずれも円滑な仕事をするためには欠かせない仕事ではありますが、大きな仕事や責任のある仕事が任せられる機会は少ないです。

そのため、人によっては仕事のやりがいと低い賃金により、モチベーションを失う危険性が高い時期でもあります。

同じ年代で民間企業に就職した人と比較すると自分の給料を安いと感じることも多く、ついつい転職することを考えてしまいがちですが、我慢することが大切です。

30代は比較的給料が安定

30代の平均年収は500~600万円程度となっており、この年代になると日本の平均年収をやや上回る水準になります。

これまでの成績次第では係長・局長などを引き受けさせてもらえる年代でもあり、裁量権を与えられて仕事をできるようになるため、仕事にやりがいを感じることが多くなります。

また、部下もでき始めるので仕事の責任感も増していくのもこの年代の特徴です。

公務員の平均年収である686万円に近づくのがこの時期であり、20代の頃と比べて仕事へのやりがいを徐々に感じられる時期と言えるでしょう。

40代の給料は比較的高い

40代の平均年収は600万~750万円程度となっており、この頃から同期の中でも出世する人と出世しない人の区別や待遇の差が歴然としてきます。

学歴やこれまでの仕事ぶり次第では、課長や部長を任せてもらえることもあり、より仕事に対する責任感が増します。

また、課内や部内の責任者として、部下の教育や裁可などの仕事も増えてくるでしょう。

この年代になると、管理職手当などが付くこともあるため、20代と比べると非常に金銭面での恩恵を感じることができるでしょう。

給料水準としては生活に困らない金額を確実に稼げるようになります。

しかし、その分責任の伴う仕事をする機会が増えてくるため、部署内のマネジメントと仕事をうまく調節しながら立ち回っていく必要があります。

50代の給料は高水準で推移

50代の平均給与は650~900万円程度となっており、これ以上は伸びなくなってきます。

体力的にも残業や休日出勤が厳しい年齢になってきますが、部署を統括する立場として非常に決定権の大きなポストに就くことになります。

職員のみならず国民・市民に対して大きな責任を負わなければならず、プレッシャーは増していく年代と言えるでしょう。

人によってはかなり高い給与を稼ぐことができ、年功序列制のため解雇される可能性も非常に低く、公務員の給与制度の恩恵を最も受けやすい年代と言えるでしょう。

公務員の恵まれた福利厚生

喜ぶ女性

公務員の身分保障は手厚く、非常に福利厚生が恵まれています。

前述したように数多くの諸手当があることに加えて、休暇制度も非常に充実しています。

よって、どの年齢層の人でも働きやすい環境が整えられています。

休暇制度

地方によっては違いがありますが、こちらでは年次有給休暇以外の代表的な特別休暇について紹介します。

  • 夏季休暇

  • 慶弔休暇

  • 子育てのための育児休暇

  • 結婚休暇

  • 子どもの看護

  • ボランティア休暇

  • 産前産後休暇

このように、年次有給休暇以外にも様々な休暇制度があります。

これらはすべて有給の特別休暇となっているため、申請しても給料が減ることはありません。

むしろ、働き方改革の一環として取得を推奨している自治体もあります。

このように、公務員はワークライフバランスを実現しやすいと言えるでしょう。

休業制度もある

休暇以外にも、休業制度も整備されています。

女性が出産をした後の育児休業は当然のこと、介護休業や病気やけがによる休業もあります。

公務員は、窓口で多くの人たちと接する機会が多いため、クレーマーと遭遇してしまうとメンタルを病んでしまい出勤することができなくなる人がいます。

そのようなときに、諸手続きを踏むことで病気による休業を取得することができるため、この点の身分保障も非常に手厚いと言えるでしょう。

「公務員は甘い」と言われてしまう機会はかなり多いですが、このように安心して働くことができる制度があることも公務員の魅力の一つです。

公務員の初任給まとめ

公務員の初任給まとめ

  • 初任給は民間企業と比べると劣ってしまうが、徐々に平均を上回る
  • 年功序列制なので、着実にキャリアを積むことが収入アップにつながる
  • 30代以降は日本の平均的な給与水準を上回る
  • 福利厚生も非常に恵まれているため、初任給の低さもカバーできる

公務員は手厚い身分保障がされているため、安心して働くことができる点が大きな魅力です。

初任給は民間企業と比べると劣ってしまいますが、それもカバーできる手厚い福利厚生があります。

20代はなかなか給料が上がらずにモチベーションも上がりづらいですが、この時期に我慢できれば徐々に平均以上の年収を稼げるようになります。

公務員は非常に人気が高い仕事なので、興味がある人はぜひ目指してみてください!

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