検察事務官試験の難易度は?高卒用・大卒用の試験科目や年収まで解説!

「検察事務官試験の難易度はどのくらい?」

「検察事務官試験に合格するには、どの程度の勉強時間が必要?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

検察事務官は、検察庁に勤務して検察官をサポートする業務を担当します。

具体的には、事件が発生した際に関係者への聞き取り調査や被疑者の取り調べ、証拠集めなどを行います。

検察事務官になるには国家公務員試験に合格する必要がありますが、試験の難易度はかなり高いです。

こちらの記事では、検察事務官試験の難易度や合格者などのデータ、具体的な試験内容などを解説します。

検察事務官を目指している方に役立つ内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください!

検察事務官(検事事務官)試験の難易度についてざっくり解説すると

  • 高卒向け試験と大卒向け試験で出題内容が異なる
  • 倍率は他の公務員試験よりも低い傾向
  • 合格に必要な勉強時間は1000時間程度
  • 筆記試験対策だけでなく面接対策も重要

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検察事務官試験の難易度は高い?

検察事務官とは、国家公務員の官職の一つです。

検察事務官は「検事事務官」と呼ばれることもありますが、「検察事務官」が正しい職名です。

検察庁において、検察官を事務方としてサポートする仕事を行います。早速、検察事務官試験の難易度を見ていきましょう。

高卒の方が倍率は高い傾向にある

2016年から2019年にかけての、検察事務官試験の倍率は下記の通りです。

実施年 2016 2017 2018 2019
倍率(高卒者試験) 6.4 5.8 4.8 6.0
倍率(大卒者程度試験) 4.2 4.2 3.8 3.4

高卒者試験よりも、大卒者試験の方が倍率が低いことがわかります。

一般行政事務職の公務員試験では倍率が10倍を超えることもあるため、検察事務官試験の倍率は比較的低いと言えるでしょう。

とはいえ、きちんと対策しないと合格できないため、周りの受験生と差をつけられるように努力することが大切です。

大卒の方が合格率が高い

続いて、2017年から2021年にかけての、検察事務官試験の合格率を見ていきましょう。

<大卒程度試験>

年度 合格率 最終合格人数/申込人数
2021 約24% 5,642/23,075
2020 約20% 4,771/24,180
2019 約23% 5,675/25,088
2018 約20% 5,651/28,080
2017 約18% 5,123/29,052

<高卒者試験>

年度 合格率 最終合格人数/申込人数
2021 約20% 2,187/11,187
2020 約18% 2,187/12,206
2019 約17% 2,305/13,797
2018 約20% 2,655/12,871
2017 約17% 2,121/12,344

大卒者程度試験の合格率は、年々上昇傾向にあることがわかります。

2021年の合格率は約24%という結果だったため、「約4人に1人」が合格していることになります。

また、高卒者試験は大卒者程度試験よりも合格率が低く、数字上は合格の難易度が高いと言えるでしょう。

検察事務官に必要な資格はある?

検察事務官になるにあたり、必要な資格は特にありません。

しかし、国家公務員採用一般職の「大卒程度試験」か「高卒者試験」に合格することが必要です。

また、受験にあたって学歴も関係ありませんが、大卒や法学部卒の方が「事前知識の有無」という点から有利です。

最近は受験者が増加傾向にあるため、十分な試験対策を行わないと合格することはできません。

採用への第一歩は国家公務員採用一般職試験合格

検察事務官になるためには、人事院が主催している国家公務員採用一般職試験に合格する必要があります。

合格する試験区分は「大卒程度試験(行政区分)」または「高卒者試験(事務区分)」のいずれでも構いません。

面接の際には、法学部や高学歴だと有利になる場合があるため、法律の知識がある場合はアピールすると良いでしょう。

1次試験の筆記試験、2次試験の面接の両方に合格することで検察事務次官として採用される流れとなっています。

高卒でも試験を受けられる

検察事務官を目指す際に、学歴要件は特に設けられていません。

高卒でも、試験に通過すれば検察事務官になれるため、検察事務官に興味がある場合はチャレンジすると良いでしょう。

もちろん、「大学で法律を勉強してから検察事務官を目指す」という選択肢もアリです。

高卒で就職する場合でも大卒で就職する場合でも、メリット・デメリットはとそれぞれ存在するため、どちらが良いということはありません。

いずれにしても、きちんと自分のキャリア展望を考えた上で、最適な選択をすることが大切です。

必要な勉強時間は?

検察事務官になるために必要な勉強時間は、

  • 大学卒業しているかどうか
  • 法学部出身かどうか

など置かれている状況によって異なります。

一般的に、全く知識のない状態から国家公務員採用一般職試験の合格を目指す場合、必要な勉強時間は1000時間程度と言われています。

長期間に渡る勉強が必要になることから、通学通勤時間などの隙間時間を有効利用するなどの工夫が必要です。

特に、社会人の人が検察事務官試験を受験する場合は、隙間時間を有効活用する意識を持ちましょう。

出身大学のランキング

検察事務官の出身大学に関するデータがないため、参考までに司法試験合格者を輩出した大学院のランキングを紹介します。

順位 大学院名 合格率 合格人数/受験人数
1 京都大学法科大学院 68 119/175
2 東京大法科大学院 61 117/192
3 一橋大法科大学院 60 66/110
4 慶応義塾大法科大学院 57.5 104/181
5 東北大法科大学院 56.3 27/48
6 神戸大法科大学院 48.7 54/111
7 大阪大法科大学院 45.9 51/111
8 早稲田大法科大学院 44.8 104/232
9 創価大法科大学院 37.5 12/32
10 大阪市立大法科大学院 36.6 15/41

京都大学や東京大学をはじめとする日本最高峰の大学群から、合格者が多く出ていることがわかります。

つまり、検察事務官になるためには、豊富な法律知識が求められると言えるでしょう。

検察事務官の試験内容

続いて、検察事務官試験の受験資格や出題内容などを解説していきます。

試験内容を知ることは試験対策を行う上での第一歩となるため、きちんと情報を集めることが大切です。

高卒者試験と大卒者試験で異なるため、事前に確認しておきましょう。

高卒者試験(一次)

受験資格

検察事務官の高卒者試験の受験資格は、下記のようになっています。

  • 高等学校または中等教育学校を卒業後2年を経過しない人
  • 在学中の場合、3月までに高等学校または中等教育学校を卒業見込みの人
  • 人事院が上記同等の資格があると判断した人

出願前に、自分が受験資格をクリアしているか確認しておきましょう。

試験科目

検察事務官の高卒者試験では、下記の試験が行われます。

試験名 試験内容
基礎能力試験 【知能分野】20題
文章理解
課題処理
数的推理
資料解釈
【知識分野】20題
自然科学
人文科学
社会科学
適性試験 速く正確に事務処理を行う能力、比較的簡単な制限時間内にできるだけ多く解答するスピードを問う
作文試験 文章力や思考力、表現力を問う

基礎的な知識だけでなく、早く正確に情報を処理する能力や文章力も問われます。

基礎能力試験の対策がある程度進んだら、適性試験や論文試験の対策にも着手しましょう。

各試験の対策をきちんと行うことが重要です。

大卒者程度試験(一次)

検察事務官の大卒者試験の受験資格は、下記のようになっています。

  • 大学卒業後30歳未満の人
  • 在学中の場合、3月までに大学を卒業見込みの人
  • 人事院が上記同等の資格があると認めた人

大卒の場合は「30歳未満」という年齢上限がある点に注意しましょう。

試験科目

検察事務官の大卒者試験の内容は下記の通りです。

試験名 試験内容
基礎能力試験 【知能分野】27題
文章理解
判断推理
数的推理
資料解釈
【知識分野】13題
自然科学
人文科学
社会科学(時事を含む)
専門試験 以下の16科目(各5題)から8科目を選択する計40題
政治学
行政
憲法
行政法
民法(総則及び物権)
民法(債権、親族及び相続)
ミクロ経済学
マクロ経済学
財政学・経済事情
経営学
国際関係
社会学
心理学
教育学
英語(基礎)
英語(一般)
一般論文試験 文章力や思考力、表現力を問う

高卒者試験よりも出題レベルが上がるうえに、専門試験も出題されます。

専門試験は選択式とはいえ、各科目で専門的な知識が要求されるため、勉強の負担は重いです。

大卒者試験対策では、より多くの勉強時間を割く必要があることから、計画的に勉強することが重要です。

2次試験は面接

高卒者試験・大卒者程度試験ともに、1次試験を通過した後は個別面接試験を行います。

面接試験を通じて、検察事務官としての適性や仕事への熱意、コミュニケーション能力を評価します。

面接での印象が悪いと試験に合格するのは一気に難しくなるため、何度も面接練習を重ねて「慣れる」ことが大切です。

近年の公務員試験は人物試験を重視する傾向にあるため、筆記試験だけでなく面接試験の対策も入念に行いましょう。

検察事務官試験の対策法を解説

検察事務官を目指している方の中には「効果的な対策方法を知りたい」と考えている方も多いでしょう。

以下で、検察事務官試験の効果的な対策法を解説していくので、参考にしてみてください。

1次試験は過去問中心に対策

1次試験の筆記試験では、過去問を中心に対策を進めるのがおすすめです。

公務員委試験では頻出問題がある程度決まっているため、過去問題の演習をきちんと行い、基本問題を確実に解けるようにすることで得点力を伸ばすことができます。

過去問は、書籍はもちろんインターネットでも各科目ごとに掲載されています。

隙間時間を有効活用することで、着実に知識を習得できるため、ぜひ使いやすい過去問を用意して対策を進めましょう。

また、大卒者試験を受ける場合は、専門科目の中でも得意分野を重点的に勉強することが大切です。

2次試験は予習が大事

2次試験では面接が行われるため、予習を行うべく模擬面接をこなすのがおすすめです。

予備校が行っている模擬面接の機会を活用したり、知り合いと面接の練習を行うなどして、面接に慣れることを意識しましょう。

また、面接では検察庁の仕事内容やどのような仕事をしたいのかが問われるため、ホームページなどをチェックすることが大切です。

面接を苦手にしている受験生は多いため、面接を得意にできれば一気に差をつけることも可能です。

インターネットに載っている各地検の職員の声を参考にするほか、知人の先輩職員がいれば話を聞くなどして、面接での受け答えの幅を広げると良いでしょう。

検察事務官ってどんな人

検察事務官とは、容疑者の取り調べなどを行う検察官を、事務の面からサポートする国家公務員です。

検察事務官には、法令で下記のような権限が認められています。

  • 被疑者の取調べを行うこと(刑事訴訟法198条)
  • 逮捕状による逮捕を行うこと(刑事訴訟法199条1項)
  • 緊急逮捕とこれに伴う逮捕状の請求を行うこと(刑事訴訟法210条)
  • 差押え・捜索・検証又は身体検査の令状請求とその執行を行うこと(刑事訴訟法218条1項等)
  • 第三者の取調べと鑑定などの嘱託を行うこと(刑事訴訟法223条1項)
  • 被疑者の鑑定留置請求及び鑑定処分許可請求を行うこと(刑事訴訟法224条1項等)
  • 検察官の命により検視を行うこと(刑事訴訟法229条2項)

出典:検察庁 検察事務官の職務権限

犯罪や法律に関する高度な知識が求められる点が特徴ですが、以下で検察事務官の仕事内容について解説していきます。

仕事内容は3部門にわかれる

検務部門

検務部門とは、検察庁において検察事務官が独立して業務を遂行する部署です。

具体的には、捜査機関から送付されてきた事件について、捜査や手続きが適切に行われているかを判断して受理する業務です。

また、事件に関する証拠品の管理や情報管理、刑の執行を行うための執行手続きなどの業務も含まれます。

被告の犯罪歴情報や裁判の記録などを、検察庁のデータベースで管理することも検務部門が行います。

捜査・公判部門

捜査・公判部門は、検察事務官にとってメインの仕事と言えます。

事件が発生した際に、事件の概要や詳細について検察官と一緒に立会いながら捜査し、状況を判断します。

事件を調査したうえで被疑者の取り調べも行い、起訴・不起訴処分の手続きを行うことも捜査・公判部門の仕事です。

被疑者が起訴されたケースでは、検察事務官も裁判に参加します。

事件の犯人を適切に処罰できるように、検察官をサポートする重要な業務を担っています。

事務局部門

事務局部門とは、一般企業における庶務や総務事務を担当します。

検察庁に勤務する人の給与や勤怠管理、書類の作成などを行い、会計業務にも携わることもあります。

検察事務官が安心して働けるように、事務面でサポートする部門と言えるでしょう。

検察事務官のやりがいが大きい

検察事務官は、通常2〜3年ごとに部門を異動します。

先輩検察官のもとで、多岐にわたる専門知識やスキルを学べるため、法律に関する高度な知識とスキルを習得できるでしょう。

高度な知識とスキルを活かして、発生した事件や犯罪を解決に導けるのは、検察事務官として大きなやりがいを感じられるポイントです。

副検事や検事へと昇進することも可能で、順調にキャリアアップすれば、在外公館に勤務してグローバルに活躍できる可能性もあります。

検察事務官はつらい

検察事務官は非常にやりがいの大きな仕事を行いますが、業務内容は多岐な渡り業務量も膨大です。

単なる事務仕事だけではなく、検察官とペアになって事件の捜査に同行するなど、検察官をサポートしなければなりません。

また、犯罪捜査などストレスフルな仕事を行うため、ストレスを感じやすい職業と言えるでしょう。

状況によっては残業や休日出勤が発生することもありますが、事件が無事に解決すれば大きなやりがいを感じられるでしょう。

年収は高い

国家公務員給与実態調査結果概要によると、検察事務官の年収は「約465~477万円」となっており、日本人の平均年収よりも高いです。

また、定年を迎えたときの生涯年収は2.8億円程度までのぼる人が多いため、安定して勤め上げることができます。

検察事務官は、採用時は一般的な国家公務員と同じく行政職の給料が適用されますが、一定の年数(大卒程度試験合格者は約1年、高卒者試験合格者は約5年)が経つと、公安職の給料が適用され給与が高くなります。

国家公務員法令に基づき、ボーナスや残業代が支払われ、福利厚生も充実しています。

計画的に業務を進めれば、有給休暇や特別休暇も取得しやすいため、働きやすい職業と言えるでしょう。

検察事務官に向いてる人とは

検察事務官は、犯罪捜査に関するプライバシー性の高い情報を取り扱うため、守秘義務があります。

そのため、口が堅く守秘義務を遵守できる人が向いています。

また、犯罪捜査を行うことから、強い正義感と洞察力を持っている人も、検察事務官に向いている可能性が高いです。

検察事務官は、捜査だけでなく膨大な業務量の事務作業も行うため、デスクワークが得意な人も向いています。

検察事務官の人数

検察庁は

  • 最高検察庁
  • 高等検察庁
  • 地方検察庁
  • 区検察庁

上記の4種類があり、裁判所に対応して設置されています。

検察庁で働いている人数は全国で約11,800人おり、内検察官の人数は約2,000人です。

また、検察庁の職員は検察官、検察事務官、検察技官、その他の職員で構成されています。

検察官は

  • 検事総長
  • 次長検事
  • 検事長
  • 検事
  • 副検事

上記のような区分があり、検事総長、次長検事、検事長は内閣が任命したうえで天皇が認証する仕組みです。

検察事務官と検事の違いは?

検事になるためには、司法試験に合格することが前提条件となるため、かなり険しい道のりです。

検事は、検察庁で主に捜査・公判や裁判執行の指揮監督を行っており、起訴するべきかどうかの判断を下す役割を担っています。

被疑者を起訴できる「起訴権限」を有しているのは検事だけなので、非常に大きな権限を有していることがわかります。

また、裁判後に判決の内容が正当に執行されるように、執行機関に対して指揮をとることも検事の仕事です。

検察事務官と検事は国家公務員ですが、検察事務官は「検事のサポート役」に過ぎません。

検察事務官の仕事は、検事や検察官の指揮を受けながら、犯罪の捜査や罰金の徴収などの事務が中心で、検事のように裁判執行の指揮監督を行いません。

このように、検事の仕事は非常に影響力が強いため、また検事になるためのハードルは検察事務官よりもはるかに高いと言えるでしょう。

検察事務官(検事事務官)試験の難易度まとめ

検察事務官(検事事務官)試験の難易度まとめ

  • 試験の難易度は高いが、計画的に勉強すれば合格を狙える
  • まずは国家公務員採用一般職試験に合格する必要がある
  • 1次試験は過去問中心の対策、2次試験は予習を意識しよう
  • 検察事務官の年収は比較的高く、待遇面は充実している

検察事務官試験の難易度は高いですが、採用倍率は他の公務員試験よりも低いです。

合格に必要な勉強時間は1000時間程度と言われていますが、計画的に勉強することで、着実に合格へ近づくことができます。

また、検察事務官の仕事はやりがいが大きく年収も比較的高いため、待遇面でも満足できる可能性が高いです。

検察事務官の仕事に興味がある方は、こちらの記事を参考にしながら対策を進めてみてください。

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