国家公務員の総合職の仕事は激務?本省の残業時間の具体例から仕事内容まで解説!
「国家公務員総合職は激務だって聞いたことがあるけれど本当?」
「国家公務員総合職は具体的にどんな仕事をしているの?」
このような疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
公務員という職業柄、いつも定時退社ができると思っている人がいる一方で、激務だと聞いたことがあるという人もいます。具体的にどのような仕事をしているのかわからないか人が多いからでしょう。
そこで、国家公務員総合職の具体的な仕事内容などについて解説します。残業などの実態についても紹介しますので、参考にしてください。
国家公務員の総合職についてざっくり説明すると
- 国家公務員総合職はブラック労働
- 省庁によっては残業時間が少ないところもある
- 総合職は一般職に比べて仕事内容が多い
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国家公務員は激務な仕事?
公務員は定時で帰ることが可能なので楽だと思っている人がいる一方で、国家公務員総合職でだけはそうではないという人もいます。
国家公務員の総合職の実態について迫ってみましょう。
国家公務員総合職のブラック労働は常態化
結論から申し上げますと、国家公務員総合職はブラック労働です。しかも、ブラック労働は常態化しています。
具体的には、国家公務員の総合職は残業が当たり前です。定時退社ということはほとんどなく、多くの人たちが夜遅くまで残業しています。
公務員は一般的に定時退社が当たり前というイメージがあります。しかし、総合職はそのようなことはなく、そのイメージから大きくかけ離れているというのが現状です。
官僚が激務にならざるを得ない主な要因
官僚と呼ばれる国家公務員の総合職に従事している人たちの多くは、連日多くの残業を強いられています。その原因の一つとして、国会の対応が挙げられます。
テレビなどで中継されることも多い国会ですが、議員の答弁の内容を選定しているのは、官僚と呼ばれる人たちです。どのような内容の質問が来るかを予想し、それに対する解答をあらかじめ用意して議員に伝えます。
また、重役につくと法案作成も担当することになります。議員の答弁内容に関する精査と並行して、国会で答弁される法案についても作成しなければならないため、業務は一気に増えるのです。
所属省庁の法案審議が行われている時は、特に忙しくなります。業務量もさらに増えるため日付が変わって帰宅するということも増えていきます。
平均残業時間は年間350時間
人事院が公表している「国家公務員給与等実態調査」では、2023年の調査で年間397時間の超過勤務があるとされています。月平均では33.1時間の超過勤務を行っているということです。
ちなみに、厚生労働省 2023年7月調査分が公表する一般労働者の所定外労働時間は月10.0時間となっています。年で換算すると120.0時間程度という計算です。
数字で比べた場合、国家公務員の方が残業時間ははるかに多くなっています。単純計算で3倍以上あるということです。
時間外手当はどれくらい支払われる?
意外に知られていないことですが、本省勤務の国家公務員には労働基準法が適用されません。その代わり、国家公務員法や人事院規則と言った別の法律や規則が用意されており、そちらが適用されます。
ちなみに国家公務員法や人事院規則では、残業時間の上限が決まっています。その上限を超える残業は残業代として支払われません。サービス残業になるということです。
具体的な内容としては、「月45時間以下で年間360時間以下」というのが人事院規則に記されている上限です。ただし、国会対応などの一部の職員については、月100時間以下で年間720時間以下」と定められています。
国家公務員の休職率は高い
メンタル面の不調で休業した国家公務員は2017年度で1.38%となっています。厚生労働省が発表している全業種の休職率は平均で0.4%です。その中でも最も高い通信業や通信業でも1.2%という数字です。
国家公務員がメンタル面の不調で休業する場合、人事院の公務員白書をもとに審査が行われます。この審査で「休職が必要」とされれば、休職することが認められます。
一般企業に比べてその基準は厳しいものになっています。それでも、1.38%という休職率の高さを考えると、いかに国家公務員総合職が多忙であるか想像できます。
本省の国家公務員の残業時間ランキング
ここまでは全体的な国家公務員の残業などについて解説してきました。そこで、次に本省の国家公務員の残業時間をランキング形式で見ていきます。「Open Work」の調査をもとに作成したのが以下の一覧表です。
ランキング | 本省名 | 月間残業時間(時間) |
---|---|---|
1位 | 財務省 | 72.59 |
2位 | 文部科学省 | 72.43 |
3位 | 経済産業省 | 70.16 |
4位 | 総務省 | 61.48 |
5位 | 内閣府 | 60.68 |
6位 | 警察庁 | 58.56 |
7位 | 外務省 | 58.13 |
8位 | 環境省 | 54.06 |
9位 | 衆議院 | 50.86 |
10位 | 国土交通省 | 50.40 |
11位 | 海上自衛隊 | 49.77 |
12位 | 農林水産省 | 48.06 |
13位 | 金融庁 | 47.29 |
14位 | 防衛省 | 46.69 |
15位 | 厚生労働省 | 45.76 |
16位 | 陸上自衛隊 | 31.35 |
17位 | 海上保安庁 | 32.88 |
18位 | 航空自衛隊 | 29.84 |
19位 | 検察庁 | 28.86 |
20位 | 法務省 | 26.05 |
21位 | 会計検査院 | 24.72 |
22位 | 特許庁 | 20.72 |
23位 | 国税庁 | 17.86 |
24位 | 裁判所 | 9.15 |
人事院で規定されている残業時間の月間上限は45時間です。この規定を考慮した場合、半分以上の本省では既定の残業時間を上回る残業をしているがわかります。
裁判所は残業時間が少ない
数ある行政機関の中でも、裁判所だけは月間残業時間が9.15時間と極端に少なくなっています。1位の財務省と比べた場合、裁判所の残業時間は約8分の1です。
裁判所だけ目立って残業時間が少ないのは、長時間残業を減らす取り組みが積極的に行われているからです。一定の残業時間を超えると上司との面談が行われ、業務の効率化が徹底的に行われます。
また、裁判所は国会対応がありません。国家公務員の残業時間が多い一番の原因は国会対応です。その原因が裁判所にはないということも、月間残業時間が極端に少ない理由として挙げられます。
国家公務員の主な仕事内容
国家公務員は具体的にはどのような仕事をしているのでしょう。主な仕事内容について解説します。
国家公務員は主に2種類
国家公務員には「総合職」「一般職」「専門職」の3つがあります。これら3つの中で多くの人たちが国家公務員として目指すのは「総合職」と「一般職」の2つです。
国家公務員採用試験は人事院が実施しています。その主な試験内容については以下の通りです。
項目 | 内容 | 受験資格や注意など |
---|---|---|
受験申込 | 試験種によって申し込み時期などは異なる | 試験種によって異なる |
一次試験 | 筆記試験や作文など | 受験する試験種によって異なる |
二次試験 | 面接や性格検査など | 一次試験を合格した者 |
最終合格発表 | 二次試験の合格者が発表される | 採用決定ではないので注意 |
官庁訪問 | 各官庁へ赴き、自己PRを行う | ここで採用決定が行われる |
注意したいのは、二次試験の後に行われる最終合格発表が採用ではないという点です。最終合格発表の後に官庁訪問が行われます。この官庁訪問で自分自身をアピールすることで、採用が決定されます。
また、総合職と一般職では試験内容の難易度が大きく異なります。総合職の方が圧倒的に難易度が高いので、多くの人たちは一般職の試験を受験します。
総合職の仕事内容
総合職の主な仕事は、本省で働くことです。総合職は本省の幹部候補生でもあるため、早い段階で役職について仕事に従事します。
役職につくということは、一般職と比べて仕事量が多いということです。入庁したばかりの早い段階で激務になることも多く、体力勝負となる一面もあります。
幹部になるにはさまざまな部署を経験する必要があります。このことから、2年単位で部署移動が行われ、短期間で幅広い分野に携わって知識や経験を積んでいきます。
政策の立案や評価など、国家政策に関わる仕事も受け持つことになります。重大な責任を負う仕事が増えるため、強靭な精神面も必要と言えるでしょう。
一般職の仕事内容
一方の一般職は、事務処理がメインになります。書類の整理や処理はもちろん、他の行政機関などへの橋渡しにも従事します。
部署移動は一般的に3~5年です。総合職と異なり、一つの行政機関で仕事をする期間は長めです。腰を落ち着けて仕事をすることができるので、専門的な知識やスキルを磨きやすいという特徴があります。
総合職は特に大変だが働くメリットも多い
国家公務員の総合職は激務です。同じ国家公務員の中でも目立って激務と言われています。しかし、メリットもたくさんあります。
まず、国家の政策決定に関与できます。総合職は幹部候補生でもありますから、政策決定の根幹に触れることができるのです。仕事内容はその分激務になりますが、一般職では得られない経験をすることができます。
また、社会的地位のある人との縁ができます。総合職は国会議員とやり取りをすることが多くなります。その国会議員を通じて他の業界の人とも顔見知りになり、縁を結ぶことが可能です。
総合職の仕事の一つとして、事業者や業界団体などに情報を提供するという業務があります。政策に関係する情報を提供することで、事業者や各業界団体と連携を取ることが目的です。
情報提供するためにはいち早くその情報を知っておかなければいけません。総合職は情報提供という役目を担っていますから、誰よりも早く最新の情報を容易に入手することが可能なのです。
総合職は収入が安定しています。2年ごとの部署移動はありますが、収入が減少するということはほぼありません。また、国家公務員という立場上、社会的に信頼されています。そのため、ローンなどが組みやすい点も挙げられます。
国家公務員の総合職についてまとめ
国家公務員の総合職についてまとめ
- 国家公務員の総合職は激務
- 幹部候補生なので2年ごとに部署移動がある
- 仕事は激務だが収入の安定や信頼性などのメリットが多い
国家公務員総合職について解説してきました。公務員は定時退社というイメージがありますが、それは一般職などの場合です。国家公務員の中でも総合職に従事している人は、激務を強いられています。
しかし、仕事は激務ですがその分やりがいがあります。一般職や専門職では経験できないようなことも多いので、ぜひ国家公務員の総合職を目指してみてください。