地方公務員の平均年収は高い?年代別の給料やボーナス・国家公務員との違いまで解説
「地方公務員ってどんな職業なの?」
「地方公務員の年収ってどのくらい?」
地方公務員に興味がある方は、このような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。
この記事では、地方公務員の平均年収、初任給、ボーナス、国家公務員との違いなどについて解説しています。
地方公務員になりたい方、地方公務員を目指してみようかなと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
地方公務員の年収についてざっくり説明すると
- 地方公務員の平均年収は600万円程度
- 公務員の給与は民間の年収を参考に決められている
- 市役所職員の場合、政令指定都市の市役所職員の方が給料が高くなる傾向がある
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地方公務員の平均年収は600万円前後
総務省が発表している、全国1741市区町村別の地方公務員の年収データを参考にして計算すると、地方公務員の年収は毎年以下のように推移しています。
年度 | 平均年収 |
---|---|
2022年度 | 611.0万円 |
2021年度 | 613.0万円 |
2020年度 | 622.0万円 |
2019年度 | 598.9万円 |
2018年度 | 587.8万円 |
2017年度 | 586.4万円 |
2016年度 | 588.8万円 |
2015年度 | 597.9万円 |
このように地方公務員の平均年収は600万円程度となっています。
「やはり公務員の年収は高い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
国家公務員と年収を比較すると
令和4年度国家公務員給与等実態調査によると、国家公務員の平均年収は約686万円でした。
県庁、市区町村の役所などに勤める地方公務員の年収は約663万円で、民間と比べると地方公務員でさえ年収が高いとされています。
その地方公務員と、省庁などに勤める国家公務員を比べると、国家公務員の方が地方公務員よりもさらに約20万円ほど上回る年収をもらっていることがわかりました。
同じ公務員で、なぜこれほどの年収の差が生まれるのでしょうか。
国家公務員の年収がより高い理由
国家公務員の方が地方公務員より年収が高い理由としては、仕事でカバーする範囲が、地方公務員より国家公務員の方が広いということが挙げられます。
地方公務員は県や市区町村レベルの仕事しかありませんが、国家公務員の場合は国全体のレベルの仕事を任されています。
また、仕事の規模が大きいこともあり、国家公務員は残業が多かったり、仕事自体が激務であったりするために、給料が高く設定されているのです。
また、国会議員には、大臣や国会議員など、給料が圧倒的に高い特別職も含まれていることも、国家公務員の平均年収が高くなっている要因の一つです。
年度によって給料が低いことも
公務員の給料は、民間の給与の額の平均などを参考にしつつ、平均値を超えすぎないように設定されています。そのため、毎年必ず給料が高くなるということはありません。
例えば、景気が悪くなって民間の平均給与が落ち込む場合には、それに合わせて公務員の給与も低く設定されます。
「公務員の給与は高い」「公務員は得をしている」といったイメージがある方もいるかもしれませんが、民間の給与と大差がないように配慮されているのです。
地方公務員の年収は様々な職種で異なる
地方公務員といってもさまざまな職種が存在します。また、その職種によってもらう年収も大きく変わってくるのです。
地方公務員は大きく分けて「県庁勤務」と「市役所勤務」の二つがあります。この二つの平均年収について解説します。
県庁職員の平均年収
県庁職員の仕事には、警察関連、土木工事関連、税務関連、食品の営業許可、病院や薬局の開設許可などさまざまなものが含まれます。
県庁職員の平均年収は約650万円程度と言われており、市役所勤務の公務員よりも多くの給料をもらっています。
市役所職員の平均年収
市役所職員の仕事には、消防関連、戸籍登録、高齢者福祉、保育所の運営などが含まれます。
総務省の令和3年地方公務員給与の実態によると、市役所職員の平均年収は550万円から600万円程度です。政令指定都市の市役所職員だと、給料が高くなりやすい傾向にあります。
地方公務員のボーナスや昇給は?
地方公務員の昇給は、勤務年数が長くなればなるほど高くなっていきます。その昇給額は、俸給表と呼ばれる給与の一覧表のようなものの水準次第で決まっていきます。
また、地方公務員のボーナスについては、国家公務員のボーナスを参考にして決められます。例えば、令和4年度の東京都の公務員の年間ボーナスは184万円程度でした。
出典:東京都 報道発表
公務員の平均年収は民間を超えすぎないように設定されているものの、ボーナスに関しては民間よりも多い額が支給されていると言えます。
地方公務員の手当の内容
公務員の手当には、扶養手当、通勤手当、特殊通勤手当、管理職手当、時間外手当、その他手当などがあり給付されます。
このような手厚い手当は、民間ではないケースも多く、公務員特有であるとも言えます。手厚い手当は、公務員の魅力の一つです。
年齢別に見た地方公務員の給料
地方公務員は、基本的に年功序列により勤続年数に合わせて給料が上がっていくシステムであるため、高い年齢層の公務員の方が年収が高くなっています。
例えば、30代~40代では平均年収は500~600万円ですが、40代では700万円程度50代では約850万円まで昇給することがあります。
40代、50代では、それまでの年功序列での年収アップに加えて、能力による出世で課長、部長クラスになると給料が大幅にアップしていくシステムになっているため、平均年収は30代までと比較すると上がりやすくなっています。
地方公務員の初任給はどのくらい?
地方公務員の初任給は、それぞれの職員の学歴によって大きく異なります。
地方公務員として入職すると、学歴により、高校新卒者、短大新卒者、大学新卒者、大学院修士修了者とそれぞれランク付けされ、初任給にも差が出ます。
大学院修士修了者と高校新卒者とでは、初任給の差が10万円以上になることもあります。
公務員試験の段階で、学歴により上級・中級・初級と分けられていますし、入職後の仕事も上級・中級・初級で違うため、初任給が変わってくるのです。
地方公務員は学歴によってこのように区別されていることは知っておくべきことでしょう。
また、出世にも学歴は関係します。課長、部長クラスに出世する方は、大学卒業や大学院修了者がほとんどを占めています。
地方公務員として若いときから高収入を得たい方、40代、50代になっても昇給したい方は、大学卒業後や大学院修了後に地方公務員になることを考えてもよいでしょう。
自治体や地域ごとの地方公務員の年収
地方公務員の仕事内容は、勤務する都道府県や市区町村によって大きく異なります。それに伴い、地域ごとに年収にも大きな違いが生まれます。
ここからは、地域別の地方公務員の年収について解説します。
年収上位は都市部が多い
総務省が発表した2022年度の全国1741市区町村の年収データを元にすると、地方公務員の平均年収が700万円以上の都市は16ありました。
出典:令和3年地方公務員給与の実態
その11都市のほとんどを、千葉、神奈川、東京、大阪など都会の自治体が占めていることがわかりました。
平均年収の1位は神奈川県川崎市で、約725万円でした。
このように、同じ地方公務員でも、都市部の公務員の方が、地方の市町村の公務員よりも平均年収が高い傾向があると言えます。
年収500万円未満の地域も
先ほどの総務省の調査では、年収500万円未満の地域が55存在していました。
その55の自治体には、地方の町村役場が含まれていました。そのような町村役場の職員は年収が都市部に比べて低めなのです。
調査によると、地方公務員の年収が最も低い地域は青森県今別町で、平均年収は約437万円程度でした。
これは都市部の平均年収と比べると、250万円ほど低いことになります。同じ地方公務員でも、地域によってこれほどの差があるということなのです。
出身地の自治体で地方公務員になりたい方もいると思われますが、地方の自治体の場合、一度平均年収を調べてみることをおすすめします。
年収が低めでも地元に貢献したいのであれば、地元で公務員になるのもよいことです。しかし、地元の自治体が想定より低めの年収だった場合、都道府県庁や都市部の市役所に進路を変更するのも方法の一つです。
地方公務員の就職事情
地方公務員の仕事は多岐にわたりますが、具体的にどのような組織に就職するのかや、組織ごとの年収事情などを解説していきます。
地方公務員の職種別年収ランキング
地方公務員の職種の中で最も年収が高いのは、公立病院で働く医師です。平均年収は1,500万円にも上ります。
その他の職種では、最も高いもので平均年収は720万円程度です。例えば、高校教師、警察官、小中学校教師、消防士、薬剤師などが高い給料の水準であり、年収ランキングの常連になると言えます。
地方公務員というと役所の職員を思い浮かべる方がいると思いますが、地方公務員は役所だけではなく、都道府県の警察、消防、教育機関、病院などに勤務する人も地方公務員です。
公務員薬剤師は人気が高い
医療関係の地方公務員の中では、国の機関で薬事業務に関わる「公務員薬剤師」が非常に人気です。
人気の理由としては、平均年収が民間の薬剤師よりも高い水準であることや、職業としての需要が安定してある点が挙げられます。
また、公務員であるため福利厚生もしっかりしており、特に女性の場合は産休・育休が問題なく取れるところも民間の薬剤師と比べると魅力的です。
公務員薬剤師の代表的な仕事内容としては、保健所に勤務して労働衛生業務、食品衛生業務などを行います。
地方公務員の退職金は?
地方公務員の退職金についても、都道府県や市区町村によって違いがありますが、大きな違いがあるわけではありません。
60歳定年時の地方公務員の退職金は、平均で2,300万円程度だと言われています。
大卒・大学院卒のサラリーマンの平均退職金は1,880万円であることと比べると、地方公務員の退職金は民間よりも高めであると言えます。
地方公務員の給与は民間と大差がないように設定されているとは言え、福利厚生や退職金など、やはり民間よりも条件がよい部分はあると言えます。
地方公務員は福利厚生も充実している
地方公務員の大きな魅力の一つとして、福利厚生が手厚いという点があります。地方公務員がどのように福利厚生を受けられるのか解説していきます。
ワークライフバランスの取れた環境
公務員は「働き方改革」に伴って、積極的にワークライフバランスの向上に取り組んでいます。
例えば、民間企業の手本となるべく、プライベートの充実を目指している役所も多いです。
そのため、役所勤務の場合、比較的長めの育児休業や介護休業が取りやすい傾向があります。
また、その他にも休日制度が民間と比べてかなり充実していることも特徴の一つです。
休暇には、民間で言うところの有給休暇である年次休暇の他にも、特別休暇、病気休暇、介護休暇などがあります。
特に、特別休暇ではボランティア休暇、結婚休暇、妻の出産休暇など民間ではなかなか取りにくい休暇があることは、地方公務員としてのメリットの一つでしょう。
ワークライフバランスの取れた職場環境で働きたい方にとっては、地方公務員は最も適している職業の一つだと言えます。
手厚いサービスも魅力の一つ
地方公務員になると、手厚いサービスを受けられるのも魅力の一つです。共済組合からさまざまなサービスを受けることができるのです。
例えば、住宅、婚活、セカンドライフに関する情報提供を受けられたり、これらに関しての実際のサービスを受けられたりもします。セミナーも開かれ、学べる機会も提供されます。
さらに、職員の福利増進を目的とした職員互助会に加入すると、職員の健康維持や職員間での交流などを目的とした事業があるため、生活の質を向上させることができるなど、さまざまな恩恵を受けることが可能となるのです。
このようなサービスは、なかなか民間の企業では受けることができないことであり、地方公務員のメリットの一つであると言えるでしょう。
地方公務員になるまで
多くのメリットがある地方公務員になるにはどうすればよいのでしょうか。詳しく解説をしていきます。
公務員試験を受ける必要がある
公務員は誰でもなれるというわけではなく、公務員試験に合格しなければなりません。
公務員試験は簡単なものではなく、大学で公務員試験対策講座が開かれたり、公務員予備校に通ったりして対策している人もいるほどです。
また、公務員試験には受験資格があり、共通要件と、学歴・年齢・身体・資格といった試験種特有要件を満たす必要があります。
ですから、まずは公務員試験の受験資格を自分が満たしているか確認しなければなりません。
一次試験と二次試験が存在する
各自治体が行っている公務員試験には、一次試験と二次試験があります。合格するためには、それぞれ異なる試験対策をすることが必要です。
一次試験は筆記式
一次試験には教養試験と専門試験の2種類があります。どちらも筆記形式の試験です。
教養試験では、高校の授業で学んだような内容が出題されます。一方、専門試験では、大学で学ぶような水準の内容の問題が出題されます。
ただし、多くの市役所や町村役場の試験では教養試験のみを実施するところも増えています。
二次試験は個別面接
一次の筆記試験に合格すると、二次試験の面接に進むことができます。
面接では、まず志望動機や自己PRを話すことが求められます。また、公務員の適性を見極めるような質問が面接官から聞かれることも想定しておかなければなりません。
面接の形式は個別面接の場合が多いです。最近では面接が重視される傾向があるため、しっかりとした対策をしておく必要があります。
自治体によって試験が異なる場合も
筆記試験、面接に加えて、自治体によっては集団討論やプレゼンテーションを試験として課すところもあります。
実際に埼玉県庁では二次試験で集団討論が行われました。また、東京都の試験ではプレゼンテーションが行われています。
試験を受ける前に、自分の受けたい自治体の試験の内容を必ず確認し、その自治体の試験形式に合った対策を行うことが必要です。
独学での対策は難しい
公務員試験の試験範囲は広いため、特に筆記試験の試験勉強では、勉強の仕方やどの内容から進めるのがよいのかわからないことが多々あります。
また、面接の対策は、受け答えはもちろんのこと、本番での緊張感をどう克服するのかなど、独学では対策が難しい問題が多いでしょう。面接の本を読むなどしても、対策には限界があります。
そのため、公務員試験の対策は、独学ではなく通信講座を受講することをおすすめします。
通信講座なら、独学でつまずいてしまうような点は全てカバーされており、プログラムに沿って学習していけば対策をすることができます。
面接対策も、ビデオ、ワークシートなど教材が充実しています。通信講座によっては、校舎で講師と模擬面接をすることができるものもあります。
実際に面接の練習ができなくても、ビデオなどの教材で実際の面接のような練習をすることが可能です。
通信講座で公務員試験対策
上で述べたように、通信講座なら独学では難しい対策をしっかりと網羅できることから、対策の手段として使用をおすすめします。
通信講座は予備校と異なり、半分ほどの価格で受講可能であることから、手軽に対策できる点も非常にありがたいポイントです。
特に、スタディングの公務員講座は、通信講座の中でも破格の安さで公務員講座対策を打てるおすすめの講座です。
価格は、一般的地方上級・市役所 教養合格コースで66,000円(税込)となっており、相場の17万円と比較すると10万円以上も安くなっています。
試験種は、地方上級・市役所に対応していることから、地方公務員志望の方が気軽に受講できること間違いなしです。
ぜひ、スタディングの公務員講座で地方公務員講座合格を目指してみてはいかがでしょうか?
地方公務員の年収についてまとめ
地方公務員の年収についてまとめ
- 公務員の給料は民間の平均給料を超えすぎないように設定されているため、景気によっては年収が低くなることもある
- 県庁職員の方が市役所職員よりも年収が高い傾向がある
- 平均年収が700万円以上になるのは都市部の地方公務員が多い
地方公務員の平均年収、初任給、ボーナス、国家公務員との違いなどについて解説しました。
地方公務員の年収は、県庁、市役所など勤めている職場によっても違いますが、大都市か田舎かによってもだいぶ違ってきます。
平均年収が多い地域は政令指定都市などの大都市が多く、反対に地方の町村役場などは低めの年収になっています。
とは言え、地方公務員全体に言えることとして、手当がたくさんある、休暇が取りやすい、職員互助会があるなど福利厚生が充実していることは大きな特徴です。
このように安定した働き方ができる点が地方公務員の魅力だと言えます。
地方公務員に興味がある方は、ぜひ合格を目指してみてください。