QC検定3級ってどんな試験?合格率・難易度から勉強法まで徹底解説!

「QC検定ってどんな資格?」「QC検定3級は簡単って本当?」 とQC検定について気になっている方も多いのではないでしょうか。

QC検定とは、品質管理検定と呼ばれる資格試験です。製造業を行う企業を中心に、品質管理知識をどの程度心得ているのか筆記試験を実施します。グレードは1級から4級まであります。今回はQC検定3級の詳細をご紹介します。

QC検定3級についてざっくり説明すると

  • 品質管理に欠かせない、QC七つ道具の使い方をほぼ理解している
  • 改善支援や指導により、職場で発生するQC的問題解決できるレベル
  • 各分野の得点が50%以上で、総合得点が70%以上であること

QC検定3級の基本情報

オフィスの画像 QC検定とは「品質管理検定」と呼ばれる民間資格試験のことです。主に製造業などを中心とした企業に勤める、一般社会人向けに実施されています。

商品サービスの品質管理の知識についてを問う、品質管理検定の筆記試験を行っています。

ここでは具体的にQC検定3級についての試験概要を中心にお送りします。これからQC検定3級を受験してみたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそもQC検定って?

QC検定とは、一般財団法人「日本規格協会」が行っている資格検定試験 です。毎年2回、3月と9月に全国の約120の指定個所にて実施されています。

日本企業の多くは、信用や安全性の面から自社製品の品質管理を幅広く、かつ注意深く行っています。その管理を適切に行うには、そこで働くスタッフの意識や品質改善能力が問われます。

QC検定とは、その品質管理能力をある程度公平に測るために行われている検定です。検定のグレードは5段階あり、1級、準1級から4級まで区分されています。

各自の品質管理レベル(QCレベル)によって知識を客観的に評価することができます。当初は社会人向けに始めた試験ですが、それだけではなく大学生、高校生もキャリアアップに向けて受験ができます。

QC検定3級の受験者数は年々増加

QC検定3級は業種・業態に関係なく、職場で起こった問題を解決できる全スタッフに向けて、基本的な管理・改善活動を実施できる知識を持てるまでの基準で考えられています。

QC検定3級の受験者数は、徐々に増え続けています。第1回実施で1468人だった受験者数が、 知名度アップとともに拡大し、2023年の第35回試験には23,776人という結果になりました。

特にQC検定3級の場合、他の級よりも圧倒的に受験者が多いという特徴があります。そのため、QC検定のメジャーな位置づけとされています。

どんな仕事内容を想定した試験なのか?

QC検定3級の設定基準は、一般的な企業内にて品質管理を専門とした人物や、品質への意識を持つポジションの仕事をしている人物を想定しています。

機械工業系の製造業から始まり、百貨店、ホテル業界といったサービス業でも品質管理を重視した業種が中心となっています。

業種や業界などは一切問わず、仕事をするうえで欠かせない自社商品サービスの品質管理のレベルを向上させたいという方に、ぜひ受験をしてもらいたい資格といえます。

どんな人が受験するのか

QC検定3級にチャレンジする人は、主に品質管理の仕事をしている、あるいは品質管理部門への転勤が予測されている社会人を中心にしつつ、今後その業種や業界へと入ってくると思われる大学生、高専生、高校生なども対象となっています。

そのような対象者を設定とした受験項目として、品質管理の能力、必要スキルを理解してもらうことが目的です。また品質管理とは直接関わりがなくとも、職場での問題解決を行う必要がある立場の社会人も受験しています。

3級を受験するにはどうすればいい?

QC検定3級の 受験資格はまったく制限がありません。誰でも受験が可能な資格です。各自申し込み制度により受験ができます。ただしQC検定3級の申し込み期間には、個人受験と団体受験とで応募期間が異なってきます。

直近で開催される試験日は2024年3月17日(日)と2024年9月1日(日)とされています。それぞれの申込受付期間は2023年12月上旬と2024年6月下旬に予定されています。

受験料は3級単体で5,170円、2.3級併願で10,450円、3.4級併願で8,250円です。

なお、一般受験会場で受験を行う場合は5名以上であれば団体Aとして、自主会場で30人以上の団体で行う場合には団体Bとして申し込みを行います。 団体Bの場合には受験料の割引がなされます。 団体Bの受験料は3級単体で4,400円、2.3級併願で8,800円、3.4級併願で6,930円です。

出典:日本規格協会グループ QC検定

受検地は全国各所要都市にて行われ、その中から好きな場所を選ぶことができます。ただし試験会場についての指定はできません。また、具体的な試験会場に関する詳細は、申込受付後に受検票へ記載されて手元に届きます。

注意点として、公平性を保つために、試験の各場所は一切公表していません。受検票が届くまでは、場所に関する案内や問い合わせの受け付けもしていません。

3級の出題範囲・難易度

難易度

QC検定3級の受験は、工場などの現場で働く人々の知識を多く含みます。現場経験者を中心にしながら、これから就職を考えている学生などが資格取得を目指すレベルで設定されています。

ただし、ある程度決まった出題範囲があるので、傾向と対策を練って受験に挑む必要があります。では具体的にその出題範囲や難易度についてご紹介します。

出題形式・出題範囲とその内容

QC検定3級の 出題形式はすべてマークシートによるものです。内容はほぼ暗記をしていれば答えられる部分もありつつ、計算問題も含まれています。

試験時間は決まっていて13:30~15:00までの90分間です。出題範囲も決まっていて、主に品質管理の「実践」「手法」の2つに分類されています。

実践の出題範囲

  • QC的ものの見方・考え方
  • 品質の概念(定義と基本的な考え方)
  • 管理の方法
  • 品質保証:新製品開発(定義と基本的な考え方)
  • 品質保証:プロセス保障(定義と基本的な考え方)
  • 品質経営の要素:方針管理(定義と基本的な考え方)
  • 品質経営の要素:日常管理(定義と基本的な考え方)
  • 品質経営の要素:標準化(言葉として)
  • 品質経営の要素:小集団活動(定義と基本的な考え方)
  • 品質経営の要素:人材育成(言葉として)
  • 品質経営の要素:品質マネジメントシステム(言葉として)

手法の出題範囲

  • データの取り方・まとめ方
  • QC 七つ道具
  • 新 QC 七つ道具(定義と基本的な考え方)
  • 統計的方法の基礎(定義と基本的な考え方)
  • 管理図
  • 工程能力指数
  • 相関分析

品質管理の実践の中では、プロセスを用いた考え方や、データを基にしたアプローチなどについてを、一問一答形式で出題していきます。

品質管理の手法の中では、統計や相関関係の分析など、実際のデータを読み取りながら問題を説く方式で出題されます。

そのため、これらのポイントを押さえた内容が掲載されたテキストを用いて、計画的な学習をしていく必要性があります。

QC7つ道具について

QC検定3級の中でも、メインとなる手法であり重要な項目が「QC7つ道具」と呼ばれているものです。これは、ヒストグラム、グラフ(管理図)、チェックシート、散布図、層別、特性要因図、パレート図の7つを指します。

ヒストグラムとは、 計量値の度数分布を棒グラフにしたもので、グラフとは、数値を図で表現した管理図、チェックシートは、日常の管理をレ点でチェックするシートのことです。

散布図とは、二つの特性を調べ、層別とは、共通点や特徴をグループ分けする手法で、特性要因図は結果と原因の関係を図で表します。

パレート図は、不適合な要因を項目別に層別し棒グラフで順に並べたり、折れ線グラフで累積比率を示す図です。

これらの各用語や特性、見方なども理解しておきながら、実際に仕事の現場でも活用できるレベルを目標としています。

データのとり方について

QC検定3級の頻出範囲の中で、もう一つ重要な個所が「データのとり方」 です。データにはいくつかの種類があり、各用語についての意味も暗記して理解しておく必要があります。

例えば、何かの試験を実施した際に、合格と不合格の数位を表すものを「質的データ」と呼び、長さや質量、温度を表す「量的データ」、人の意見、単語などを文章化、音声化したデータを「言語データ」と呼んでいます。

そしてデータ収集する全体を表すものを「母集団」と呼び、その一部を示すサンプル(標本)を取ります。

それらのデータの平均値や最頻値、分散までを示します。データ・サンプリングの方法は、ランダムもしくは意図的に選ぶ方法があり、そこで起こる誤差にもさまざまな種類が存在します。

他にも「工程能力指数」と呼ばれるものがあり、工程能力の状態を判断する指標です。これらについての基本的な知識を確認する試験問題が頻出されます。

実践分野でよく出題される範囲

品質管理の実践分野での問題出題にて重要となるポイントは、QC的ものの見方と考え方という項目にあります。

これは2つに分かれ、消費者のニーズを優先的に捉えた「マーケットイン」の考えと、消費者ニーズよりも自社技術を優先した「プロダクトアウト」な考えです。実際に活躍する思考フレームも覚えておく必要があります。

また、QCDと4Mも出題されます。QCDとは、品質(Quality)、原価(Cost)、納期(delivery)の頭文字で「生産3条件」とも呼ばれている項目です。

4Mとは、材料(Material)、機械(Machine)、作業者(Man)、方法(Method)の製造過程での要因を意味します。

他にも現場、現物、現実のそれぞれの頭文字を取った三現主義といったキーワードも登場しますので、これらの意味を捉えてしっかりと暗記しておくことが必要です。

QC検定3級の合格率・合格者数・合格ライン

やはり気になるところは、QC検定3級の難易度と、受験者のうちどのくらいの確率で合格するのかという点です。QC検定3級の合格者数は、2023年3月の第35回試験の結果では11,866人で、合格率は49.91%です。

QC検定3級の場合、 受験者数のほぼ半分の割合で合格するとされている試験です。以下は、最近の試験合格率の指標です。

開催回数 合格率
29回 中止
30回 53.69%
31回 52.45%
32回 54.39%
33回 64.18%
34回 54.39%
35回 49.91%

出典:日本規格協会グループ QC検定

品質管理についての基本的知識を押さえておけば、十分に合格が狙える試験です。他の級と比べてみても、難易度は極端に高いものではありません

合格ラインの範囲として重要なのが、先述してある「品質管理の実践・手法」の部分です。どちらも50%の得点率を獲得しています。そして2つの合計で70%以上であることが大切です。

頻出範囲は的を絞りやすく暗記ものが多いので、しっかり勉強しておけば得点を取りやすいといえます。

試験終了後に関するスケジュールは、ホームページの「試験要項」の中にある「試験日程」のページで案内をする予定になっています。

なお、QC検定3級試験結果の合格発表は、通知書にて各自に郵送されるシステムです。合格発表の日時は、試験日から約1ヵ月半~2か月くらいで届きます。

QC検定の合格基準については、以下の記事でより詳しく解説しています。

3級合格に向けた勉強方法

目覚まし時計の画像 QC検定3級の基準は、一般的な企業で働く人々を想定しながらも、その内容は多岐に及んでいて、幅広い知識を要します。

恒常的に品質管理を行っているプロフェッショナルはもちろんのこと、職場での問題解決の意識が必要とされるシーンにて、十分に役立つ知識として考えられたものです。

では、合格に向けた理想的な勉強方法は、どのように計画し設定しながら進めればいいのでしょうか?

おすすめの勉強方法

QC検定3級の合格に向けた勉強方法は、基本的に 市販されている参考書と過去問を中心に進めていくことをおすすめします。受験者の対象に制限がないことから、高校生でも受験をします。

難易度も比較的に高くないことから、しっかりテキスト類をマスターできていれば、独学でも十分に合格ラインに達します。

シンプルな方法ですが、テキスト類は毎日読み続けながらインプットをします。そして過去問を解くことでアウトプットをしていく流れが理想的です。

また、時間が許されるようであれば、4級の基本知識をテキストで理解してから3級へと移行すると、より確実に理解が深まります。

特にQC7つ道具やデータのとり方の辺りは出題範囲の中でも極めて重要個所なので、重点的に学習しておく必要があります。

もしも、わからないところや訂正個所、苦手な項目が見つかったら、2回3回と繰り返し刷り込み式に学習し、知識を体に染みつけるつもりで取り組んでみましょう。

試験日一週間前くらいを目安にして、できるだけ過去問中心に試験を想定した学習に切り替えながら、最終的なチェックを怠らないように勉強することが大切です。

勉強時間は100時間程度

QC検定3級受験に充てる勉強時間はどのくらいを考えておけばよいのでしょうか?当然、勉強時間には個人差はでてきます。

少なくとも1カ月程度は学習期間を確保しながら、1日1~3時間を目安にした勉強時間で進めるのが標準的です。普段から業務上でQCの知識があれば、さらに短縮して半月程度でも追い込めるかもしれません。

全く知識がゼロという方は、100時間以上は勉強時間に費やしたほうがよいでしょう。まずは、1日3時間を勉強時間として、なるべく確保できるように心がけておくのがベストです。

テキスト選びは大事

QC検定3級の勉強で使う参考書は、テキストと問題集がセットになっている「 1回で合格 QC検定3級テキスト&問題集」(1760円、成美堂出版、高山均)がおすすめです。

このテキストの特徴は、各章ごとに練習問題があり、一章ずつ学習したら問題を解いて理解を深め、繰り返すことで身につくよう体系的に学べるからです。テキストと演習や問題集がセットになっていることが重要です。

他にも、過去問を選ぶ場合は、日本規格協会から公式に出版されている過去問題集を購入しておきましょう。ポイントは、あまりたくさんの参考書を買うのではなく、最初に決めた一冊に集中して進めることです。

それが終わった時点で、余裕があれば次のテキストにすすむべきです。シンプルに使いこなすことのほうがより理解が深まります。

電卓選びは慎重に

3級に限らずQC検定に合格するためには、実は電卓が大きな意味を果たします。QC検定試験で出題される計算問題は、 電卓を持ち込んで使用しても良いことになっています。

むしろ電卓を使わなければ計算ミスの恐れもあり効率も悪くなります。事前に自分で使いやすい電卓を選んで持参することがポイントです。

電卓選びの基準は、窓が大きくて数字が見やすいもの、かつコスパの高いものがいいでしょう。特別に高水準な機能が付いた電卓は必要ありません。

特に注意点としては、三角関数などの計算が可能な関数電卓は禁止となっていますので、それだけは避けておくようにしましょう。

QC検定の電卓については、以下の記事を参考にしてください。

QC検定3級についてのまとめ

QC検定3級についてまとめ

  • 一般企業内で、品質管理の仕事をする上での知識を確認できる内容
  • 社会人だけではなく、就職活動をする学生、高校生も受験をする
  • マークシートによる出題で、合格率は50%に近いレベル

QC検定3級は、品質管理に関わる一般的な従業員を基本に、これから就職をしようと志す学生も受験をする民間資格です。

製造業の過程で発生する問題に対して、どのように解決していくのかを問う場合、製品の質やサービスの管理を確認することが重要です。

そのために、ある一定の基準をクリアした品質管理のスペシャリストの必要性があり、QC検定はその水準を見定めるのに効率のよい資格と言えます。

難易度は高くありませんが、取得して無駄ということはありません。QC検定3級を所持することで、社内での信用もワンランク向上します。

それを機会に2級、準1級、1級へとステップアップするきっかけにもなります。ぜひチャレンジしてみてください。

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