産業カウンセラーの難易度は?試験対策法や過去問、養成講座まで解説!

更新日時 2020/04/16

「産業カウンセラーになって、社会で働く人の心理的なケアがしたい」

このようにお考えの方もいらっしゃるかと思います。

一方で、産業カウンセラーになるための試験は、どれくらいの難易度なのか心配ですよね。

また、どんな試験なのかや合格率、通信講座はないのかなども知りたいと思います。

そこで資格Timesでは産業カウンセラーの基本的な情報をわかりやすくお伝えしていきます

もちろん、試験に合格するための対策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

産業カウンセラーの難易度についてざっくり説明すると

  • 産業カウンセラーの試験を受けるためには、養成講座を修了するなど条件がある
  • 試験は毎年1月に2週間かけて、学科と実技試験がある
  • 試験の合格率は70%前後

産業カウンセラー試験の難易度

疑問を持っている女性

産業カウンセラーの合格率は、実技・学科試験ともに毎年70%前後です。

数字だけを見れば、それほど難しい試験ではないように感じます。

では、実際の難易度はどれくらいなのでしょうか。

ここでは、産業カウンセラー資格の取得難易度について詳しく解説していきます。

産業カウンセラーの仕事

産業カウンセラーとは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する心理職の民間資格のことです。

2001年までは労働省(当時)が認定する技能検査資格(国家資格)でり、公的な資格でした。

現在は民間が認定する資格として変わりました。

ただし、役割が小さくなったわけではなく、働く人の精神面をサポートすることで、産業社会の発展に貢献してけるのです。

具体的には、メンタルヘルスなど心理的手法で、労働者が職場で抱える悩みをカウンセリングし、不安を少しでも小さくして心の健康を支えることを仕事としていきます。

悲しみや喪失感を抱きやすいストレス社会では、産業カウンセラーの役割はむしろ大きくなっていくものと考えられるでしょう。

産業カウンセラー試験は2段階構成

産業カウンセラーの試験は、学科試験と実技試験の2つで構成されています

産業カウンセラーはカウンセリングの原理や技法、理論などを知っていることはもちろんのこと、それを実際に活用できるかどうかが肝心です。

そのため、知識を問う学科試験のほかに、実技試験も行われるのです。

試験は年に2回あり、1月と6~7月にそれぞれ行われます。

会場は東京や大阪、名古屋、仙台など、多くの場合は全国13会場で実施されます。その時々で開催都市や会場数が違うので、注意してください。申し込みする際は、しっかりと確認するようにしましょう。

なお、受験料は試験の種類によって違います。

  • 学科試験:10,500円
  • 実技試験:21,000円

ちなみに、受験料は変更される場合がありますので、納入する前に確認するようにしましょう。

筆記試験はマーク式で60問

産業カウンセラーの学科試験は、「学科試験1」と「学科試験2」の2部構成です。

学科試験1は、解答時間90分で、基礎的な知識を問う問題が出題されます。

5択のマークシート方式で40問を解いていきます。

学科試験2は、解答時間60分で、対応能力や対話の分析能力などを試される試験です。

学科試験1よりも実践に近く、実際に仕事をする上でも重要な内容といえます。学科試験の出題範囲は以下の通り、まとめましたので、参考にしてみてください。

  • 産業カウンセリングの概論
  1. 産業カウンセリングの発展

  2. 産業カウンセラーの役割と活動

  3. 産業組織と人事労務管理

  4. 産業カウンセリングに関わる関係法令

  • カウンセリングの原理および技法
  1. カウンセリングの原理

  2. カウンセリングの理論

  3. 傾聴の意義と技法

  • パーソナリティ理論
  1. パーソナリティ理論

  2. 心理テストの利用

  • 職場のメンタルヘルス
  1. 職場のメンタルヘルス

  2. 精神医学概論

  3. 危機介入

  • 事例検討
  1. 事例検討

  2. 逐語記録作成と対話分析

学科試験では、上記5つの分野から学科試験1と学科試験2に分かれて出題されます

実技試験はカウンセリングの実践

学科試験が終わると、後日実技試験が実施されます。

実技試験の内容は、受験者同士でのロールプレイングによるケーススタディや試験官との口述試験です。

産業カウンセラーの実技で問われる能力は以下の4つです。

  • 基本的態度
  • 技法の適切な活用
  • 自己理解的側面
  • 社会的貢献への姿勢及び認識

これら4つの能力が問われます。

重要なのは、学科試験で身につけた知識を用いるだけでは合格できないことです。

カウンセリングの知識はもちろんですが、服装や言葉遣い、発声など、カウンセラーとしての態度なども問われます。

「相手がいる」ということをしっかりと認識して実技試験に挑むようにしましょう。

筆記試験と実技試験の合格率・合格基準や難易度

ここでは、産業カウンセラー試験の合格率と合格ライン、難易度を紹介していきます。

まず、合格ラインですが、学科と実技それぞれ、最低6割程度得点することが必要と考えられます。

つまり、学科試験1と学科試験2の合計が60問ですので、36問以上の正答が必要です。

過去問を使う場合は、36問以上の正答を目標に行いましょう。

合格率は公式サイトにデータがあるので、2018年度の産業カウンセラー試験結果を紹介します。

学科試験 結果
志願者数 3,450名
欠席者数 161名
受験者数 3,289名
合格者数 2,368名
合格率 72.0%
実技試験 結果
志願者数 1,409名
欠席者数 67名
受験者数 1,342名
合格者数 905名
合格率 67.4%

ちなみに、学科試験と実技試験を合わせた総合合格者数は3,450名中、2,304名でした。

学科試験と実技試験通しての合格率は、64,2%になるのです。

案外高い合格率と感じたのではないでしょうか。しかし、合格率は高いですが、油断は全くできない試験であることをお伝えします。

その理由は、試験を受けている人が、「受験者達は大学の専門教育を修了した人」か「専門講座で知識を身につけた人」ばかりだからです。

言い換えれば、産業カウンセラーの学習をかなり積んできた人でも、半分近くの人が落ちる試験なのです。つまり、合格率の数字以上に、難しい試験であることがわかります。

産業カウンセラー試験に合格するためには、しっかりとした対策を講じる必要があるのです。

合格率ばかりに目が向きがちですが、高いからと安心しないようにしましょう。

産業カウンセラー試験の受験資格や実技免除

笑顔の男性

産業カウンセラーの試験には、受験資格があるので、受験するためには資格を得なければなりません

また、学科試験と実技試験には、それぞれ免除制度もあるので、ここではそれらを詳しく解説していきます。

産業カウンセラーの受験資格

この章のはじめにも書きましたが、産業カウンセラーの試験には受験資格があります

そのため、受験をするためには、まず受験資格を得る必要があるのです。

具体的な受験資格は2つです。

  • 大学院で心理学や心理学に隣接する学問を専攻し、一定の単位を取得した人
  • 日本産業カウンセラー協会主催の産業カウンセラー養成講座を受けた人

この2つのうち、どちらかを満たさなければなりません。

多くの人は、産業カウンセラーの養成講座を受けて受験資格を得ています。

なお、2019年までは、心理学に関連する単位を取得していた「学士」にも受験資格がありました。

しかし、2020年からは、「修士」に限られていますので、注意してください。

大学院で取得すべき単位

産業カウンセラーの受験資格を得るためには、大学院研究科において、心理学または心理学に隣接する学問を修了しなければなりません。

具体的には、以下の通りです。

  • A群:産業カウンセリング、カウンセリング、臨床心理学、心理療法各論(精神分析・行動療法など)などの科目群
  • B群:カウンセリング演習 カウンセリング実習などの科目群
  • C群:人格心理学、心理アセスメント法などの科目群
  • D群:キャリア・カウンセリング、キャリア概論などの科目群
  • E群:産業心理学、産業・組織心理学、グループダイナミックス、人間関係論などの科目群
  • F群:労働法令の科目群
  • G群:精神医学、精神保健、精神衛生、心身医学、ストレス学、職場のメンタルヘルスなどの科目群

これらのうち、A群からG群までの科目のうち、1科目を2単位として、4科目以上8単位以上の取得が必要です。

ただし、D群からG群の科目に関しては、6単位以内です。

大学院で心理学を専攻していた人は、受験資格を得られる単位を取得しているかどうか、確認するようにしましょう。

産業カウンセラーの免除制度

産業カウンセラーの試験には、免除制度が大きく2つあります

1つは、1度学科試験または実技試験に合格した人です。

学科試験に合格した人は、翌年と翌々年の学科試験は免除されます。

実技試験も同様に、合格した人は、翌年と翌々年の実技試験は免除されます。

1度でもいずれかの試験に合格した人は、一部試験を免除されるメリットを活かして、この間に合格できるようにしましょう。

もう1つは、産業カウンセラーの養成講座で、実技能力評価制度により面接実技能力が一定の基準に達していると試験委員会から評価を下された人です。

養成講座を受けた年が受験と同じ年度、あるいは前年度の場合、実技試験免除の適用申請を行うことで、実技試験が免除されます。

養成講座を受けたという人は、実技試験の免除を申請し忘れることがないように、注意しましょう。

上級資格のシニア産業カウンセラーはもっと難関

さらなる先を目指している画像

産業カウンセラーの上には、上級資格として「シニア産業カウンセラー」という資格があります

産業カウンセラーよりも難易度が高いですが、より社会貢献ができる資格です。

ここでは、上級資格である「シニア産業カウンセラー」についても紹介していきます。

シニア産業カウンセラー

シニア産業カウンセラーとは、産業カウンセラーの上級資格です。産業カウンセラーよりも、さらに高い専門知識を有する人がなれます

産業カウンセラーと比べてさらに難易度が高まりますが、活躍の場を広げて、より社会貢献をしたいという人は、目指してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、試験を受けるためには、産業カウンセラーの試験を合格後、新シニア産業カウンセラー育成講座を受ける必要があります。

  • カウンセリング能力(12科目)
  • 人間関係・組織開発を援助する能力(6科目)
  • 組織に働きかける能力(2科目)
  • シニア産業カウンセラーとしての素養的能力(3科目)

以上の23科目を受講して終了することで、受験資格が得られます。

高い専門性と経験を積むためにも、受講してみてはいかがでしょうか。

なお、試験は産業カウンセラー試験と同様に、難易度が高い筆記試験と実技試験の2つで行われます。

シニア産業カウンセラーの合格率

シニア産業カウンセラーの合格率は、産業カウンセラーの試験よりもさらに難易度が高くなります。

どれくらいの難易度か、2017年度と2018年度の合格率を紹介しますので、参考にしてください。

  • 2018年度試験結果
試験種 受験者数 合格者数 合格率
学科 40名 18名 45.0%
実技 74名 16名 21.6%
総合 84名 15名 17.9%
  • 2017年度試験結果
試験種 受験者数 合格者数 合格率
学科 79名 37名 46.8%
実技 116名 31名 26.7%
総合 147名 41名 27.9%

上記の通り、総合合格率が2017年度は27.9%で、2018年度は17.9%でした。

産業カウンセラーとして経験を積んで知識も豊富にある人でも、半数以上の人が不合格になるのです。いかに難易度が高い試験であるかが、わかると思います。

そのため、シニア産業カウンセラーの資格を取得すれば、能力の高い産業カウンセラーである証となります。

上を目指したい人は、ぜひ挑戦してみてみてください。

産業カウンセラーの試験対策

本を読んでいる人

産業カウンセラーの試験は、ここまで説明してきた通り、難易度の高い試験です。

そのため、しっかりと試験対策をしておく必要があります。

ここでは、産業カウンセラーになるために、どのような勉強をし、試験対策をすればいいのか、説明をしていきます。

公式の講座を使って勉強する

産業カウンセラーの試験を受ける人は、大学院で心理学を学んできた人がいます。

しかし、ほとんどの受験生は日本産業コンサルタント協会が行っている、産業カウンセラー養成講座を使って勉強を進めているのです。

できるだけ多くの人が受講できるように、6ヶ月コースと10ヶ月コースがあり、自分の都合の良い方を選べます。

講座の内容は以下の通りです。

  • 面接の体験学習 昼間コース:15~16日間、夜間コース:33~36日(いずれも104時間)通学
  • ライブ理論講義 2日間(12時間)通学
  • Web配信講義視聴 32時間相当 e-Learning
  • 理解度確認テスト 13時間相当 e-Learning
  • 実習に関する在宅課題6課題 28時間相当 ホームワーク

通学と通信の両方で学習をするので、自分のペースで進められるのが特徴です。

忙しくて通学ができないときは、通信講座を視聴すれば、スムーズに学習が進められるようになっています。

この5つに加えて、面接の体験学習では、グループワークや事例検討が実施されます。

講師は大学の教授や産業カウンセラーの実践者などで、内容の濃い指導を直接受けられるのです。

この講座を受ければ、試験対策はしっかりとできるといえるでしょう。

なお、受講料の297,000円(教材費・消費税込み)と講座の内容はどちらのコースを選んでも同じですので、自分の都合を優先して選択するようにしましょう。

産業カウンセラーにオススメのテキストや過去問

産業カウンセラーは決して簡単な試験ではないので、テキストや過去問で講座とは別に独自に学習をすることが必要です。

そこで、ここでは、オススメのテキストや過去問を紹介していきます。

1つ目は、産業カウンセリング 産業カウンセラー養成講座テキスト1・2(編集・発行:日本産業カウンセラー協会 7700円)です。産業カウンセラーの教科書ですので、養成講座を受けずに受験する人は、購入するようにしましょう。

8部23章で構成され、 カウンセリングの理論・産業保健・コミュニケーションの基本・ 法令と制度・労務管理・コンプライアンスと倫理などの概要が書かれています。

産業カウンセラーとして身につけるべき多岐にわたる知識ですので、合格した後も現場で活用できる教材です。

2つ目は、産業カウンセラー試験 演習問題集(編集・発行:一般社団法人日本産業カウンセラー協会 2200円)です。この演習問題集には、「学科試験1」と「学科試験2」それぞれに相当する問題が収録されています。

学科試験1の問題は、産業カウンセラー養成講座のテキストの内容から出題され、学科試験2の問題は2014~2016年度に実際に出題された問題が収録されています。

この本は過去問の機能も兼ね備えているので、試験対策として有効活用ができるのです。

3つ目は、産業カウンセラー試験 厳選問題集(編集・発行:一般社団法人日本産業カウンセラー協会 2200円)です。

この本も過去問のように、過去に出題された問題が載っています。領域ごとに再構成されているので、試験対策がしやすくなっているのが特徴です。

ただし、「こころのメカニズム」「コミュニケーション」の領域については、実際に出題されたものではなく、想定問題となっています。

しかし、学科試験を網羅的に学習できるので、試験対策には十分な内容といえるでしょう。

「過去問のような本が欲しい」という人は、ここで紹介した本を参考にしてください。

産業カウンセラーの難易度のまとめ

産業カウンセラーの難易度のまとめ

  • 産業カウンセラーの試験は油断できない難易度
  • 受験資格があるので、人によっては養成講座の受講が必要
  • 試験には学科試験と実技試験の2つで構成されている
  • さらなる上を目指す人には、シニア産業カウンセラー試験が受けられる

産業カウンセラーは、働く人の心をサポートする役割があるので、ストレス社会には欠かせない存在です。

そのため、労働者の精神面を支えるだけでなく、組織や社会全体に貢献しているといえます。

そんな産業カウンセラーの試験は、なかなか簡単に合格できるものではありません。

受験を考えている人は、養成講座を受講したり問題集を購入したりして、しっかりと試験対策を講じるようにしましょう。

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