産業カウンセラーの試験制度は?実技試験の難易度や受験資格、実技免除まで解説

更新日時 2020/04/16

労働環境の複雑化やキャリアの多様化により、ますます重要性が高まっている産業カウンセラー。興味を持ちながらも資格の取得は難しそう、と思っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、産業カウンセラー試験の形式や難易度・合格率はもちろん、産業カウンセラー養成講座や気になる実技免除制度についても詳しく解説しています。記事の全てに目を通すことで、安心して資格取得を目指していただきたいと思います。

産業カウンセラーの試験制度についてざっくり説明すると

  • 学科試験と筆記試験の2つに分かれている
  • 受験資格や試験の一部免除制度がある
  • 産業カウンセラー養成講座を受講して受験する方が多い
  • 養成講座での習熟度次第では実技免除となることもある

産業カウンセラー試験の形式や出題範囲は?

テキスト

はじめに試験の形式や出題範囲など、産業カウンセラー試験の内容を詳しく見ていきましょう。

産業カウンセラーとは

産業カウンセラーとは、産業社会において働く人たちが抱える様々な問題を、自らの力で解決できるようサポートする役割を担う資格であり、一般社団法人日本産業カウンセラー協会(以下、協会)により認定されています。

産業カウンセラーは、以前は労働省(当時)の技能審査により認められる公的資格でしたが、2001年からは技能審査から除外され民間資格となっています。

産業カウンセラーの活動領域と具体的な業務には、主に次のようなものがあります。

  • メンタルヘルス対策への支援

メンタル不調の予防から危機介入、職場復帰への支援、ストレスチェック後のフォローなど、働く人たちと面談や電話による研修やカウンセリングを行います。

  • キャリア形成への支援

人生の節目におけるキャリアについての悩み相談、個人のキャリア形成のための相談や研修などを行います。

  • 職場における人間関係開発・職場環境改善への支援

働きがいのある職場や、働きやすい職場をつくるために、組織における活動をスムーズに進める能力の開発などの研修や、組織診断による職場環境改善の提案などを行います。

試験は筆記と実技の2つ

産業カウンセラー試験は、6・7月と1月の年2回実施され、試験日は学科試験と実技試験の2つに分かれています。

会場は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡・沖縄など、全国13の大都市を中心として行われています。学科試験は実技試験より若干会場数が多く設定されていますが、詳細は協会のホームページでご確認ください。

受験料は、学科試験が10,500円、実技試験が21,000円となっていますが、変更となる可能性もありますので確認が必要です。

参考に、2020年度産業カウンセラー試験の実施予定をご紹介します。

  • 学科試験日 2021年1月24日(日) 全国16会場

  • 実技試験日 2021年1月30日(土)・31日(日) 全国13会場

※2020年6月・7月実施予定の産業カウンセラー試験は中止となりました。

※2021年1月実施の産業カウンセラー試験の詳細は、9月下旬に協会のHPにて発表される予定です。

筆記試験の出題形式と出題範囲

産業カウンセラー試験の学科試験は「学科試験1」と「学科試験2」の2つの試験があり、次の5つの分野から出題されます。

1.産業カウンセリング概論

産業カウンセリングの発展と課題、産業カウンセラーの役割と活動、活動規範・倫理、産業組織と人事労務管理、産業カウンセリングに関わる関係法令

2.カウンセリングの原理及び技法

カウンセリングの基本や諸理論、傾聴の意義と技法

3.パーソナリティ理論

パーソナリティ心理学、こころのメカニズム、心理アセスメント

4.職場のメンタルヘルス

職場のメンタルヘルス、精神医学概論、危機介入、キャリア形成支援

5.事例検討とスーパービジョン(逐語記録)

学科試験1は回答時間90分で5肢択一問題を40問、学科試験2は解答時間60分で2題の文章問題を回答します。

実技試験の出題形式と出題範囲

実技試験では、受験者が2名でペアになってロールプレイングによるミニカウンセリングを行います。

ミニカウンセリングの時間は、クライアント役とカウンセラー役をそれぞれ5分ずつ(途中で交代)、合計10分間行います。ミニカウンセリング後は、試験官との振り返りや質問への回答を行います。

産業カウンセラーとしての基本的態度・適切な技法・自己理解的側面・社会的貢献といった能力が問われるのが実技試験です。学科試験と異なり、知識を身に付けているだけでは評価されない点に注意が必要です。

服装や言葉遣い、相手の話を聞く姿勢など、信頼を得られる態度にも気を配ると良いでしょう。

筆記試験と実技試験の合格率・合格基準と難易度

産業カウンセラー試験の合否基準は公表されていませんが、学科試験・実技試験ともに、およそ6割以上の正答が合格ラインと言われています。

協会ホームページに公表されている、2018年度の試験結果は以下のようになっています。

学科試験
志願者数 3,450名
欠席者数 161名
受験者数 3,289名
合格者数 2,368名
合格率 72.0%
実技試験
志願者数 1,409名
欠席者数 67名
受験者数 1,342名
合格者数 905名
合格率 67.4%

また、総受験者(いずれか1科目でも受験した者)3,583人中、学科試験と実技試験を合わせた総合合格者は2,302人であり、総合合格率は64.2% です。

産業カウンセラー試験は、大学の専門教育を修了したり、講座で知識を身に付けたりした方が受験していても、合格者は6割強という難易度です。このことを考慮すると、十分な試験対策をする必要がある試験といえます。

産業カウンセラー試験の受験資格や実技免除

教室

産業カウンセラー試験を受験するためには、専門課程の履修や養成講座の修了が必要です。また、過去の試験結果による一部の試験免除や、養成講座の習熟度による実技免除の制度もあります。

産業カウンセラーの受験資格

産業カウンセラー試験を受験できるのは、次の1~4のいずれかに該当する方です。

  1. 試験日に20歳に達している者で、協会が行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座を修了した者(養成講座を修了後、受験資格としての有効期間はありません)

  2. 4年制大学において、心理学又は心理学隣接諸科学・人間科学・人間関係学のいずれかの名称を冠する学部又は専攻(課程)の卒業者であって、指定の科目群において規定以上の単位を取得し、かつ協会が行う産業カウンセリングの技能を修得するための講座を修了した者

(ア)大学院研究科において、心理学又は心理学隣接諸科学・人間科学・人間関係学のいずれかの名称を冠する専攻(課程)の修了者であって、指定の科目群において規定以上の単位を取得していることを要する

(イ)社会人として週3日以上の職業経験を通算3年以上有し、大学院研究科において心理学又は心理学隣接諸科学・人間科学・人間関係学のいずれかの名称を冠する専攻(課程)の修了者であって、指定の科目群において規定以上の単位を取得していることを要する。なお職業経験とは、雇用形態を問わずすべての職業経験をいう

4.「修士」受験資格に該当する方(2018年度より追加)・・・社会人としての職業経験を有し、大学院研究科において協会が定める科目数・単位数が認められた者(※「修士」受験資格により受験希望する方は、受験資格判定を申請し受験資格の有無を確認してください)

※「学士」による受験資格で、2018年度の産業カウンセラー試験を受験し「学科試験一部合格」または「実技試験一部合格」となった方は、2020年度産業カウンセラー試験まで受験可能です(「学士」による受験資格は、2016年度の試験をもって廃止)

産業カウンセラー養成講座修了者と学歴等による受験資格がありますが、養成講座を受けて受験資格を得るケースの方が多いです。

産業カウンセラーの免除制度

産業カウンセラー試験において、学科または実技試験が免除となるケースには次の3つがあります。

  1. 学科試験は合格したが実技試験は不合格の場合・・・翌年度・翌々年度の受験の際に学科試験が免除になる

  2. 学科試験は不合格だが実技試験は合格・・・翌年度・翌々年度の受験の際に実技試験が免除になる

  3. 産業カウンセラー養成講座受講時の、面接の体験学習において一定の基準に達していると評価された場合(実技能力評価制度)・・・講座修了直後の産業カウンセラー試験の実技試験合格に相当させることができる( 受験の申込みとともに申請が必要)

産業カウンセラーの勉強法

本棚

産業カウンセラー試験に合格するためには、具体的にどのように勉強をすれば良いのでしょうか。

産業カウンセラー養成講座を受ける人が多い

受験資格との関係もありますが、多くの方は産業カウンセラー養成講座を受けて試験に臨み、見事合格を果たしています。満20歳以上であれば、学歴や職歴を問わず受講できます。前述の通り、産業カウンセラー試験で実技免除を受けられる可能性もあります。

産業カウンセラー養成講座の大まかな内容は、e-learningを利用した在宅でできる講義や課題と、講座会場での面接の体験学習や理論学習のライブ講義の併用となっています。

講座の修了には、必要出席時間を満たすこと、確認テストや課題について一定以上の評価を受けること、などの条件があります。

養成講座の詳細は次項でご説明します。

産業カウンセラー養成講座の概要

産業カウンセラー養成講座には、6ヶ月コースと10ヶ月コースの2種類があります。カリキュラムや学習時間・受講料は共通ですが、通学日や確認テスト解答期日の間隔が異なります。ご自身のスケジュール等に合わせてコースを選択すると良いでしょう。

講座は全国主要都市を会場としていますが、受講できるコースが会場により異なるので注意が必要です。申込みは先着順なので、希望するコースや会場には早めに申し込みましょう

講座内容は次のようになっています。

①面接の体験学習 15~16日間(104時間)通学

②ライブ理論講義 2日間(12時間)通学

③Web配信講義視聴 32時間相当 e-Learning

④理解度確認テスト 13時間相当 e-Learning

⑤面接の体験学習に関する課題学習6課題 28時間相当 ホームワーク

なお、養成講座修了には次の条件を満たす必要があります。

  • 面接の体験学習およびライブ理論講義の計116時間中101時間以上出席すること

  • 理解度確認テスト各科目において6割以上正答すること(6割未満の場合は再実施)

  • 面接の体験学習に関する課題学習6課題を提出し、このうち4課題についてはABCD4段階評価においてAまたはBの評価を受けること(2課題は評価対象外)

通信講座の内容詳細

e-Learningには、臨床分野で活躍中の大学教授や研究者・産業医等によるWEB配信講義(32時間相当)の視聴と、理解度テスト(13時間相当)があります。

WEB配信講義は、システムメンテナンス時(月1回程度)を除き、24 時間いつでも利用できます。また講座期間中であれば繰り返し視聴することができます。

パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンでの視聴も可能です(動作環境をご確認ください)。

通学講座の内容詳細

会場受講では、面接の体験学習(15~16日)と理論学習のライブ理論講義(2日)を学習します。

面接の体験学習では、原則として受講者6名につき実技指導者1名の小グループに分かれて、カウンセラー役とクライアント役・観察者を体験します。面接の体験学習に関する課題(ホームワーク)が6課題あります。

ライブ理論講義では、現役産業カウンセラーから現場の知識を学びます。

前述の通り、面接の体験学習の評価によっては実技試験が免除となるため、参加する方は皆真剣です

会社員や主婦・専門資格者など様々な環境にある方と、グループで定期的に会って勉強するため、仲良くなって食事会や勉強会を開くグループもあるそうです。

産業カウンセラー試験前の勉強法

産業カウンセラー試験対策には、講座で配布されるテキストによる勉強が最も大切です。とはいえ、第Ⅰ編・第Ⅱ編合わせて750ページ以上にもなるテキストなので、丸暗記は難しいでしょう。

まずはテキストを一度しっかり読み込んだら問題集を解いてみて、分からなかったり間違えたりした問題をテキストで確認してみましょう。その後、再度問題集に取り組んだり、講座の課題の復習などを行うといった流れがおすすめです。

試験対策の問題集は、協会のホームページから購入できます。苦手な箇所はそのままにせず、関連知識も含めてしっかり復習すると良いでしょう。

産業カウンセラーの受講料負担を減らす方法

お金

産業カウンセラー養成講座は多くの方に必要不可欠とは言え、受講料が高額であることは事実です。受講料の負担を少しでも減らせる方法を確認しておきましょう。

受講料には割引制度がある

産業カウンセラー養成講座の受講料は、297.000円(教材費・消費税込)となっていますが、一定の条件を満たす方は受講料の割引制度が適用されます

※割引の重複利用はできません。

早期申込割引

==募集開始日から 2 週間以内に受講の申込みと受講料の支払いをした方は、受講料本体価格 270,000 円 から13,500 円割引(受講料の5%引)==になります。割引後の税込価格は282,150 円です。

説明会参加割引

募集期間中または募集期間直近の説明会に参加し、その場で受講の申込み、または 申込み予約をした方は、受講料本体価格から 10,000 円割引になります。割引後の税込価格は286,000 円です。詳細については説明会当日に案内があります。

日本産業カウンセラー協会会員・賛助会員割引

日本産業カウンセラー協会会員の方(入会手続き中の方も対象)、申込時に賛助会員企業、団体(契約事業所)に在籍する正規従業員の方(労働組合の場合は専従役職員の方が対象)は、受講料本体価格 から 27,000 円割引(受講料の 10%引)になります。割引後の税込価格は267,300 円です。

給付制度や分割払いを利用する方法

教育訓練給付制度を利用する

産業カウンセラー養成講座は、雇用保険の一般教育訓練給付制度指定講座となっています。一定の要件を満たす雇用保険の被保険者又は被保険者であった方が利用できる制度です。

支給額は、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額となります(ただし、その額が10万円を超える場合は10万円とし、4千円を超えない場合は支給されません)。

ご自身が一般教育訓練給付金の支給対象となっているかどうかは、住民票がある地域を管轄するハローワークで照会できます。要件を満たさないと制度を利用できないので、事前によく確認しておきましょう。

一般教育訓練給付金の申請は講座終了の翌日から1か月以内に、管轄するハローワークに必要書類を提出します。希望者には申請書類一式が講座終了時に配付されます。

学費ローンを利用して分割払いにする

受講料の支払い方法は次の2種類です。

  1. 指定金融機関へ一括振込み(クレジットカード決済は取り扱いなし)

  2. 学費ローン利用による分割払い

学費ローンを利用すると、受講料を最大で24回の分割払いにすることができ、一括払いの負担を軽減することができます。分割払いを希望する場合は、(受講申込みと学費ローンの申込みの、いずれもインターネットからとなります。

学費ローンの使用には審査があり、審査に通らなかった場合は一括振込みに変更する必要があります。一括振込みに変更しない場合は、講座申込みが取り消しとなるので注意ください。

産業カウンセラーの試験制度まとめ

産業カウンセラーの試験制度まとめ

  • 学科試験・筆記試験ともに6割以上の正答が合格ライン
  • 専門知識を持って受けても合格率は6割強と、難易度はやや高め
  • 試験勉強は産業カウンセラー養成講座テキストをべースに行うのが基本
  • 養成講座には受講料割引や教育訓練給付制度を利用できることがある

産業カウンセラー試験は難易度がやや高めで、十分な対策が必要と言えます。産業カウンセラー養成講座は試験対策としても非常に有効なので、確実に知識を身につけたいですね。

今回紹介した内容も参考にし、皆様が輝かしいキャリアを築かれることを心からお祈りしています。

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