QC検定の難易度はどれくらい?各級の合格率から勉強時間まで解説!
「QC検定の難易度や合格率はどれくらい?」
「各級の合格ラインや合格に必要な勉強時間が知りたい!」
このようにお考えの方も多いのではないでしょうか?
QC検定(品質管理検定)の知識が必要となるお仕事をしている方でも、難易度がわからないとなかなか一歩が踏み出せないですよね。
そこでこの記事ではQC検定の難易度について、合格率や勉強方法などの基本情報から、試験当日の注意点などもまとめました。
ぜひあなたのステップアップにお役立てください!
QC検定の難易度についてざっくり説明すると
- QC検定の難易度は初心者向けから難関レベルまで様々
- 3級以上を受験する場合は100時間以上の勉強時間が必要
- 1級に合格できなくても準1級に認定されることがある
QC検定とは?
QC検定は別名を「品質管理検定」といいます。「QC」は「Quality Control」の略で、「質(クオリティ)を管理(コントロール)する」という意味になります。
日本のほとんどの企業では商品やサービスの品質管理が行われていますが、終身雇用制度が失われつつあることから品質管理の業務を社内で指導する機会が減ってきています。
そのためQC検定(品質管理検定)を取得している人材は近年企業から重宝される傾向があり、多くの方がQC検定の合格を目指すようになりました。
QC検定の難易度はどれくらい?
それではQC検定の難易度について解説いたします。
級ごとの難易度
QC検定には4級~1級がありますが、各級ごとに難易度が異なります。それぞれの級が求めているレベルを以下で詳しくご紹介しますのでご覧ください。
4級
QC検定4級は、全ての級の中で最も難易度が低く、品質管理においては初心者向けの内容になっています。対象となるのは以下のような方々です。
- これから企業で働く方
- 派遣社員としてお勤めを考えている方
社会人の方はもちろんのこと高校生や大学生の受験者も多く、品質管理の基本的な知識を中心にした問題が出されます。
QC検定4級の難易度については、以下の記事で詳しく取り扱っています。
3級
QC検定3級は、品質管理の基本的な業務を任せるための最低限の知識が身に付きます。そのため3級は全ての級の中で最も受験者数が多くなる傾向があります。
QC検定3級の対象となるのは以下のような方がです。
- 既に品質管理の経験を持っている方
- 4級で品質管理についてをある程度学んできた学生の方
「QC7つ道具」を中心とした品質管理の重要知識を中心とした出題内容になっており、品質管理における知識をどれだけ持っているかが問われます。
QC検定3級の試験の特徴や難易度については、以下の記事で詳しく解説しています。
2級
QC検定2級は、3級に比べて問題の難易度がぐっと上がります。受験の対象となるのは以下のような方々です。
- 実際に品質管理の仕事に携わり、現場でリーダー的な役割を担っている方
QC検定2級では品質管理の業務において、指示を受けなくてもある程度自主的に作業できる能力が求められます。また従業員の品質管理の状況を客観的に評価できるようにもなりますので、2級を取得すると職務の幅が広がるでしょう。
QC検定2級の難しさについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
1級
QC検定1級は全ての級の中で最も難易度が高くなっています。合格率も1割を切るほど低く、かなりの難関試験になると思ってください。
対象となるのは以下のような方です。
- 企業内において品質管理全般についての知識が要求される立場の方
QC検定1級は既に品質管理の業務に携わり、リーダー的な役割を担っている方がスキルアップのために受験する場合が多いです。
ただ、実際に品質管理の現場で働いていても合格することは簡単ではありません。品質管理の知識を深めることはもちろんですが、習った手法を実際の現場で活かす能力も必要となります。
QC検定1級については、以下の記事で詳細な難易度を解説しています。
QC検定の合格率
QC検定の合格率は2023年3月(第35回)の試験では以下のようになりました。
級 | 合格率 |
---|---|
4級 | 84.95% |
3級 | 49.91% |
2級 | 25.08% |
準1級 | 8.8% |
1級 | 2.48% |
4級は8割以上が合格できているので比較的易しいと言えますが、級が上がるにつれて難易度が上がっているのがわかります。
なお4~1級の過去6回分の合格率もまとめましたので、以下をご参考ください。
- 4級
開催回数 | 合格率 |
---|---|
30回(2020年9月) | 85.09% |
31回(2021年3月) | 85.07% |
32回(2021年9月) | 85.15% |
33回(2022年3月) | 85.05% |
34回(2022年9月) | 85.89% |
35回(2023年3月) | 84.95% |
- 3級
開催回数 | 合格率 |
---|---|
30回(2020年9月) | 53.69% |
31回(2021年3月) | 52.45% |
32回(2021年9月) | 54.39% |
33回(2022年3月) | 64.18% |
34回(2022年9月) | 54.39% |
35回(2023年3月) | 49.91% |
- 2級
開催回数 | 合格率 |
---|---|
30回(2020年9月) | 27.63% |
31回(2021年3月) | 48.43% |
32回(2021年9月) | 44.33% |
33回(2022年3月) | 23.77% |
34回(2022年9月) | 25.23% |
35回(2023年3月) | 25.08% |
- 1級
開催回数 | 合格率 |
---|---|
30回(2020年9月) | 8.10% |
31回(2021年3月) | 9.18% |
32回(2021年9月) | 12.69% |
33回(2022年3月) | 8.18% |
34回(2022年9月) | 10.35% |
35回(2023年3月) | 2.48% |
ここまでを見ても、4級においては例年85%前後の合格率となっており比較的合格しやすい試験です。しかし簡単なのは4級のみで、3級は2人に1人、2級は4人に1人しか合格できません。
1級は回によって合格率が大きく違うのですが、一番低い回では3%を割る合格率になっているところを見ると、かなりの難関試験だと言えるでしょう。
合格基準は級によって異なる
QC検定の合格ラインは各級で異なっており、それぞれ以下のようになっています。
- 4級:総合得点が概ね70%以上の正答率
- 3級・2級:手法分野・実践分野で各50%以上獲得、かつ総合得点率70%以上
1級は合格ラインが3つに分類されており、以下の要素を満たすと合格となります。
-
一次試験の手法・実践分野で各50%以上獲得、かつ総合得点率70%以上
-
二次試験の正答率が概ね50%以上
-
一次・二次の正答率が70%以上
QC検定の試験形式・出題範囲
QC検定は各級において出題範囲や問われる知識の深さが異なります。それぞれの級の出題範囲や試験の形式をご紹介いたします。
4級
QC検定4級の試験はマークシート方式で、試験時間は90分となります。
出題範囲は大きく分けて「実践分野」「手法分野」「企業活動の基本分野」です。
「実践分野」においては品質管理の基本知識、改善、標準化などが出題されます。「手法分野」ではデータを駆使した「事実に基づく判断」、また品質管理の勉強では必ず出てくる「QC7つ道具」についての出題もあります。
「企業活動の基本分野」においては製品とサービス、5W1Hといった内容からの出題もありますので、勉強する際はこうした内容をしっかり頭に入れるように心がけていきましょう。
3級
QC検定3級の試験もマークシート方式、試験時間は90分です。
出題範囲は「実践分野」「手法分野」の二つです。4級にあった「企業活動の基本分野」は3級にはありませんが、その分前者の二つのカテゴリをさらに深めた内容が出題されます。
「実践分野」ではQC7つ道具、プロセスを用いた考えやデータを基にしたアプローチなどが一問一答形式で出題されます。「手法分野」においては、統計や相関関係の分析など実際のデータを読みながら問題に答える形式の出題となっています。
4級で学んだ品質管理における基本的な知識をしっかり頭に叩き込んだ上で、さらに理解を深めることが3級合格のカギとなります。
2級
QC検定2級においてもマークシート方式の試験です。試験時間は90分です。
出題範囲は3級と同じく「実践分野」「手法分野」の二つとなります。
「実践分野」では3級と同じくQC7つ道具などの基本分野も範囲となりますが、他にも診断、監査など新たに加わる内容もあります。長文問題も出題されますので、文章の読解力に不安がある方は過去問を解いてしっかり練習しておきましょう。
「手法分野」では分散などの基本統計量はもちろんのこと、仮説検定や相関分析など統計分野での出題が多くなります。電卓の持ち込みは可能ですが、それぞれの計算式は一通り覚えておいた上で、基本的な計算に応用する能力が求められます。
長文読解や計算が苦手な方にとって2級は難関となりますので、十分な演習が必要となるでしょう。
1級
QC検定1級は、これまでのマークシート方式に加えて論述式の出題もあります。試験時間は120分となります。
出題範囲は「実践分野」「手法分野」の二つの分野で、「実践分野」ではQC7つ道具といった基本はもちろんのこと、これまでの各級の内容を暗記だけでなく理解していることが求められます。
「手法分野」では2級の統計分野をさらに深めた重回帰分析、多変量解析法といった統計知識も必要です。
論述式の内容とは?
QC検定1級における論述式の問題では、4つのテーマから1つを選んで回答します。4テーマの構成としては、実践分野から2、3問、手法分野から1、2問の出題となることが多いです。
品質管理の知識を体系立てながら論理的に説明する必要がありますので、これまで学んだ内容を活かしてしっかりと回答しましょう。
準1級とは?
実はQC検定には1級の前に「準1級」があります。しかし準1級には検定が存在しません。
準1級は、1級の合格ラインには達しなかったものの一次試験の内容が合格だった場合に認められる級となります。一次試験とはマークシート試験のことです。
合格証は発行されませんが、1級に再チャレンジする時の励みとなるでしょう。1級の合格が難しいと思われる方でも、ぜひ準1級を目指して頑張ってください。
QC検定はどうやって勉強する?
QC検定の試験勉強は、1冊のテキストを決めて勉強する方式が最も有効とされています。テキストを読みながら章末問題を解くという順序で進めていくとスムーズに学習することができます。
なお、わからないところがあっても深入りせず一度全ての単元の学習を終えてしまうことをおすすめします。一箇所にこだわりすぎると全体の学習が遅れてしまいますので、全てを読み終えてから戻ってもう一度学習すると良いでしょう。
テキストである程度学習したら過去問にチャレンジして、これまでの出題傾向をつかんでいってください。
各級の具体的な勉強法の注意点・勉強時間
QC検定各級の勉強方法や時間、注意点を解説いたします。
4級
QC検定4級は、検定を主催している「日本規格協会」が公式のテキストをwebで公開しています。無料で閲覧できますのでぜひこちらをご利用ください。
4級の試験対策は、上記のテキストを使った上でQC7つ道具や品質管理に関する基本知識などを網羅していけば十分と言えます。テキストとしてかなり充実した内容になっているので最大限に活用してください。
問題例もwebで無料公開されています。ただしこちらは解答例がありませんので、別途問題集を購入して演習を行う必要があるでしょう。
勉強時間としては、50時間程度あれば十分と言われています。1日3時間ずつ学習したとして半月と少しが目安となりますが、これは毎日休まず学習を続けた場合です。実際はもう少し勉強期間が必要になるでしょう。
3級
QC検定3級は無料テキストがありませんので、「この一冊で合格! QC検定3級集中テキスト&問題集(ナツメ社)」など市販のテキストを使って勉強しましょう。
ここで注意したいのはQC検定の4級を受けずに3級からチャレンジする場合です。3級から受け始める方は4級の知識がないと思いますので、基本知識は4級のテキストで事前に学習することをおすすめします。
3級の「手法分野」ではQC7つ道具が頻出分野となります。またデータの取り方については特に重点的に学習してください。わからないところは2回3回と繰り返し学習し、知識が体に染みつくように心がけましょう。
3級の合格には100時間程度の勉強が必要とされています。1日3時間ほどの勉強時間とすると、1ヵ月と少しかかる計算になります。しかし実務経験があるなど基本的な知識がある方は100時間かけなくても合格できる場合もあるようです。
2級
QC検定2級の学習をする時は、「実践分野」における頻出の知識を中心に暗記していきましょう。「手法分野」は多くが統計分野から出題されます。統計学の概要もしっかり理解しておいてください。
2級の統計では公式が多数出てきます。試験当日は電卓を使うことができますが公式を知らなくては計算できないので、ノートにまとめながらしっかり覚えていきましょう。
ある程度学習が済んだら過去問で問題演習を行ってください。実践分野では長文問題も出るので、苦手な方は特に重点的に演習に取り組み、問題形式に慣れておきましょう。わからないところが出てきたら、その都度復習してください。
合格に必要な勉強時間は、品質管理未経験の方で200時間以上と言われています。1日3時間勉強しても2ヵ月少しかかる計算になります。
ただ2級に関しては既に品質管理の現場経験がある方も多いので、その場合は100時間程度の勉強時間でも足りるでしょう。
1級
QC検定1級は非常に高度な知識が求められます。勉強時間は具体的には提示しませんが、全ての内容を1つ1つモノにして行く必要がありますので、納得いく時間をかけてじっくり取り組むようにしてください。
実践分野においては、2級までで学んだ知識をさらに深い形で理解することが必要となります。手法分野に関しては統計分野を中心にハイレベルな知識が問われますので、それぞれの手法の使い方や意味をしっかり理解し、知識を深めていきましょう。
1級には論述もありますが、文字数の感覚や内容のポイント、どのテーマを選ぶかなどは過去問や問題集で演習を重ね、ご自身なりの戦略を立てる必要があります。
仮に1級に合格できなかったとしても、マークシートの「一次試験」のみ合格ラインに達していれば準1級に認定されます。最後まで諦めずに学習を進めていってください。
実際の試験ではここを気を付ける
QC検定の試験を受ける際、効率的に得点を重ねていくためにはコツがあります。ここでは2級を例にお話ししていきますが、全ての級において共通する内容になっていますので参考にしてください。
試験当日の心構えが必要
QC検定2級は難関資格ですので、知識を深めていくことはもちろん、試験本番の対策が必要です。具体的には以下のようなことに気を付けましょう。
こまめにマークしていく
QC検定2級は非常に問題数が多いですので、解き終わった後で一気にマークをしようと思うと時間が足りなくなる可能性があります。
1~2問解くごとにマークしていくことで、解ける問題全てのマークを漏れなく行うことができるでしょう。
独特の言い回しに慣れておく
QC検定2級は選択問題において言い回しが独特、端的に申しますとややこしいものが多くなっています。言葉の意味自体は正解でも名称の違いでひっかけになっている問題もありますので、単語は正確に覚えるようにしてください。
こうした独特の言い回しに慣れるためにも、過去問をしっかり解いて傾向をつかんでおくことを強くおすすめします。
電卓を使いこなせるようにしておく
QC検定は試験当日に電卓を持ち込むことができますが、その分電卓をどれだけ使いこなせるかが鍵となります。
公式を覚えておくのはもちろんですが、電卓の機能もしっかり網羅して使いこなせるようにしておいてください。
例えばメモリープラス(M+)、メモリーマイナス(M-)のキーを使えるのとそうでないのとでは計算スピードが大きく違います。試験対策の時にはテキストの内容を覚えるだけでなく電卓の練習もしっかりしておきましょう。
悩んだ問題は捨てることも必要
QC検定2級は長文問題や言葉遣いが曖昧な問題も多く、回答にあたっては悩む場面も多くなることが予想されます。
分からない問題に出会った場合、時には捨てる判断も必要になります。あまりに長時間悩んでしまいますと他の問題を解く時間が無くなってしまいますので、どこに時間割くかの判断を誤らないようにしてください。
合格発表は試験当日から約1ヶ月後
QC検定は試験から約1ヵ月後にweb上で合格発表があります。この際、有償で認定カードの発行を受けることができますのでぜひお申込みください。
発行手数料は各級1,975円(税込)で、申し込みは合格発表から約1ヵ月間となります。
認定カードは財布などに入れて持ち運ぶことができますし、それまでの努力の成果を表す証拠にもなります。ぜひ入手しておきましょう!
QC検定の難易度まとめ
QC検定の難易度まとめ
- QC検定4級は合格率が高く難易度が低い
- QC検定1級は1割未満しか合格できない難関試験となる
- 公式テキストや問題集を使って効率的に学習して合格を掴むべし
- 1級の論述には通らなくても一次試験が合格ラインに達していれば準1級に認定される
QC検定はチャレンジする級によって注意点やコツがそれぞれ違います。ご自身に合った方法で合格への道を進んでくださいね。
品質管理において有用な人材になれるよう、QC検定を活用していきましょう!