公認会計士は食えない資格なの?稼げない噂の実態やAI普及による影響まで徹底考察!
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公認会計士
白井敬祐
「公認会計士を目指したいけど、合格しても就職できるかな?」
「公認会計士って将来性がある仕事なの?」
公認会計士を目指す方は、このような不安をお持ちなのではないでしょうか。
「公認会計士は食えない職業」という噂を聞いたことがある方もいるでしょう。
この記事では「公認会計士は食えない資格」という噂は本当かについて詳しく解説しています。
公認会計士は「食えない」「稼げない」「将来仕事がなくなる」といったイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
しかし、公認会計士とは将来性があり今後さらに発展が見込まれる職業なのです。
今回は、現在の公認会計士の実態について詳しくお伝えします。ぜひ参考にしてみてください!
公認会計士は食えない資格かどうかについてざっくり説明すると
- リーマンショック時に就職率が低下したため「公認会計士は食えない資格」と噂されるようになった
- 現在は景気が回復しつつあり、公認会計士は「食えない資格」ではない
- 公認会計士は売り手市場であり、就職・転職で有利になっている
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公認会計士は食えないと噂される理由
「公認会計士は食えない」「公認会計士は稼げない」という噂を聴いたことがある方は多いのではないでしょうか。
そのような噂は本当なのか、噂が生まれた背景なども含めて解説します。
10年ほど前に就職率が低下した
もともと公認会計士試験に合格した方は、そのほとんどが監査法人やコンサルティング業界などへ就職できると考えられていました。
しかし、2010年〜2011年度の金融庁の調査によると、公認会計士試験の合格者で監査法人に内定した人の割合は56%でした。
その理由としては、当時リーマンショックの影響によって監査法人が採用数を少なくしていたことや、公認会計士試験制度の変更によって合格者が増加し、就職活動が難化したことが挙げられます。
しかし、現在は景気が回復傾向にあることから採用人数は増えてきつつあります。
また、近年公認会計士試験は難化しており、合格者数が減少傾向にあるため、そのことにより就職率は回復しています。
AIの登場によって代替される可能性
簡単な単純作業はAIに代替できますが、公認会計士の仕事自体がAIに代替されることはまずありません。
公認会計士の仕事は会計のプロとして監査、経理、コンサルと多岐にわたり、会社や状況に応じて会計処理も変化しますので、機械的な判断ができないような仕事です。
仮に会計士の仕事がAIに代替されるなら世の中の仕事のほとんどはAIに代替されてしまうでしょう。10年間会計士として実務に携わり、平均以上の報酬も獲得でき、転職も5回してきましたが会計士としての資格に需要があったからこそだと思っています。
この辺のお話は私のYouTubeでも語っておりますのでご参考ください。
2015年に、野村総研とイギリスのオックスフォード大学が共同研究した結果によると、公認会計士の仕事がAIに代替される可能性は、89.9%とかなり高い数字になりました。
具体的には、簡単な仕訳入力作業、複雑な税金計算など、やり方が定まっている作業はAIに代替される可能性が高いと言えます。
AIは決まった作業を正確にできるため、会計監査のデジタル化が進むにあたって、公認会計士の業務ではAIを利用する機会が多くなっているのです。
このように、AIによって仕事がなくなるのではないかという不安から、公認会計士の将来性に不安を抱く人もいるのではないでしょうか。
しかし、後で述べるように、AIによって公認会計士の仕事がなくなるということはありません。
会計士が食えないというのは真っ赤な嘘
ここまで「公認会計士は食えない」「公認会計士は稼げない」と噂される理由について解説してきました。
しかし、実際には公認会計士の将来性がないというのは真っ赤な嘘であり、公認会計士は未来が明るい士業なのです。
ここからは、公認会計士は需要が非常に高い職業である理由について解説していきます。
企業にとって非常に価値の高い存在
公認会計士は、監査業務や税務業務に関するプロフェッショナルであり、社会的地位が高い士業であると言えます。
経営や人材マネジメントの情報発信をしているマネジメントクラブは、経営者・自営業者が会社経営について相談できるのはどのような相手なのか調査しました。
その結果、会社経営について相談する相手として最も多かった回答は税理士・公認会計士でした。
このように、公認会計士は、経営者から非常に頼られている存在だと言えます。
経営者や自営業者のビジネス上の重要な決定をサポートし、経営する上での専門知識を提供する信頼性のあるパートナーとして評価されています。
売り手市場で就職・転職が有利
会社経営をするにあたって、会計業務は必要不可欠です。そのため、公認会計士の需要は安定していると言えます。
また、現在起業する人が増えていることから、公認会計士を必要としている人も増えています。
公認会計士の一般的な就職先としては監査法人がありますが、監査法人も現在人手不足のところが多いことが特徴です。
つまり公認会計士は売り手市場であると言え、就職・転職は有利だと言えるでしょう。
他の士業より有資格者が少ない
公認会計士は、他の士業よりも有資格者が少ないのが特徴です。
以下に、主な士業の人数をまとめました。
資格 | 人数 |
---|---|
税理士 | 78,028人 |
行政書士 | 47,874人 |
社労士 | 41,780人 |
弁護士 | 40,066人 |
公認会計士 | 37,243人 |
この主な士業5つのうち、公認会計士は需要が高い上に有資格者が少ないのが特徴であり、希少価値が高いと言えます。
また、公認会計士は税理士としても登録することができますので、公認会計士と並行して税理士業務を行うことも可能です。
コンサルティング業務はAIには難しい
先ほども述べたように、公認会計士の業務のうち、仕訳作業、税金計算などの単純作業はAIに代替される可能性はあります。
しかし、AIには、直感的な判断、文脈に戻づく判断、自己学習など苦手な分野もあります。
そのような分野に関する業務は、顧客企業の特色や、長年の経験を踏まえ、柔軟なコンサルティングをする必要があります。
公認会計士は、数値やデータだけでなく、クライアントの戦略やビジョンに対して深く洞察し、法的規制や業界動向に通じた総合的なアドバイスを提供する必要があります。
それはAIには難しいため、このようなコンサルティング業務業務はやはり公認会計士の重要な業務になると言えるでしょう。
そのため、公認会計士の業務が完全にAIに代替されることはないと言えるのです。
公認会計士の平均年収は900万円近く
2018年に厚生労働省が行った賃金構造基本統計調査によると、公認会計士の平均年収は、男性が914万円、女性が804万円で、全体の平均年収は892万円でした。
これは日本の平均年収436万円の2倍以上ですので、公認会計士は男女ともに高収入が見込める職業であると言えます。
男女雇用機会均等法が実施されている昨今と言えども、やはりまだ男女の収入の格差はあると言わざるを得ません。
しかし、士業、特に公認会計士は、男女の平均年収さは100万以下であり、他の業種に比べれば女性が高収入になれることが特徴です。
高収入を得られる職業に就きたい女性は、高収入かつやりがいがある仕事ができる公認会計士を目指すことがおすすめできます。
さらに、公認会計士の場合、男女ともに昇進していけば将来的には年収が1,000万円を超えることも十分あり得ます。
公認会計士に将来性はあるのか
ここまで、公認会計士の需要や収入など、公認会計士の実態について解説してきました。
公認会計士は、今後も安定して需要がある職業と言えるのでしょうか。
ここからは公認会計士の将来性について解説します。
人手不足の売り手市場は続くとみられる
景気が回復してきていることに伴い、監査法人の求人は増えています。
また、上場直後に不祥事が発覚する企業が多く見受けられることから、金融庁は監査業務を厳格化しています。そのため、公認会計士の仕事量は増えてきています。
これら2つの理由から、公認会計士は今後も需要が高く、売り手市場が続く職業であると見られています。
働き方が多様になっていく
公認会計士の最も多い勤務先は大手監査法人です。しかし、最近では企業の在り方が変わってきているため、公認会計士の働き方も多様になってきています。
ベンチャー企業という選択肢
先ほども述べたように、公認会計士の最も多い勤務先は大手監査法人です。
ただ、最近ではベンチャー企業への就職・転職も人気になってきています。
ベンチャー業界が拡大していることにより、公認会計士の需要はさらに高まっています。
ベンチャー企業は、上場を目指すにあたって公認会計士をCFO(最高財務責任者)に就任させたり、監査・財務の仕事を任せたりするのが一般的です。
そのため、ベンチャー企業に関われば、やりがいがある仕事を任されることとが多くなります。
このように、公認会計士にとってもベンチャー企業で働く方が幅広い業務を担当でき、メリットがあると言えるでしょう。
独立開業すればさらに高収入を狙える
ある程度企業で経験を積んだあと、独立開業をすれば自分自身で営業や経営を行う必要があります。
つまり、収入は個人の能力によって変わってくるということになります。
ですから、公認会計士の資格を持っていると言えども能力が不足していれば稼げないということになってしまいます。
ただ、開業した公認会計士の平均年収は1,000万円以上と言われています。
独立が成功すれば、社員として勤務していたときよりも、さらに高収入を狙えるでしょう。
グローバルで活躍する会計士も
現在、日本の証券制度や会計基準は海外に合わせて変化してきています。
海外進出する企業も多いため、海外での監査業務などを行える公認会計士の需要が高まっており、公認会計士は活躍の場がさらに広がっています。
また、発展途上国への支援の一環として、その国の会計インフラや公認会計士制度の整備の支援を行う人材として働く公認会計士もいます。
公認会計士はぜひとも取りたい有望資格
公認会計士は合格率が10%と非常に低く、難易度が高い資格です。しかし、その分合格すれば企業から重宝される存在になれるため、高収入が期待できます。
また、景気の回復に伴って監査法人での採用が増えてきていてることから、公認会計士は売り手市場が続く見込みです。
さらに、働き方の多様化が広まっていることにより、公認会計士は今後も十分稼いでいける職業であると言えます。
AIの普及により単純作業が代替されることが懸念点ではありますが、公認会計士はコンサルティング業務など、人間にしかできない強みがある職業です。
つまり、AIによって仕事がなくなることはなく、今後もさらなる発展が見込まれる職業だと言えるのです。
公認会計士は食えない資格かについてまとめ
公認会計士は食えない資格かについてまとめ
- AIの台頭によって、単純作業は代替される可能性が高い
- しかし、AIが出来ないコンサルティング業務があるため、公認会計士の仕事がなくなることはない
- 公認会計士は独立開業・海外で働くなど働き方が多様化しているため「食えない資格」ではなく、むしろ高収入が期待できる資格
公認会計士は、企業に勤める場合でも一般企業の平均年収の2倍以上が見込まれ、高収入が期待できます。
また、最近では公認会計士の働き方も多様化してきているのも特徴です。
企業のグローバル化に合わせて、海外で公認会計士として働いてる方も増えています。
また、ベンチャー業界が拡大していることにより、ベンチャー企業を上場させるという大きな仕事を任されることもあります。
また、独立開業して成功すれば、勤務していた頃よりもさらに高収入を狙えるでしょう。
さらに、公認会計士の場合はAIが出来ないコンサルティング業務がありますので、将来仕事がなくなる心配をする必要もありません。
公認会計士に興味がある方は、ぜひ合格を目指してみてください。